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とにかく痛くて苦しい恋。
でも好きで、例え誰かを傷つけようとも、例え相手の心がこちらに向かなかろうとも、手に入れたい。
まさに堕ちる、という表現が適切な恋の話でした。恋の辛い部分を切り取ったような作品です。
別に誰も悪くない。受けが攻めの気持ちに応えられないのは当然悪いことではないし(発言は無神経ですが...)、攻めは多少卑怯な手を使って受けの体だけを手に入れましたが、正当な取引の末です。
でも、こうもままならない。
受けは好きな女の子のために体を差し出し、攻めは嫌そうな受けを抱きながら攻めの願いを叶える。
お互いに傷つけると同時に傷ついている。泥沼というか、誰も幸せにならないというか。
とにかく痛いほどの切なさが伝わってくる作品でした。
攻めの程よい腹黒さや弱さ、でも決して悪人ではないところに人間味を感じてしまって、余計生々しい痛みが伝わってきます。
物語としての終わり方が素晴らしくてあそこで締めてくれてよかった、と思う自分と、それはそれとして二人が両想いになった姿を見せてくれ、の気持ち…。
心が二つある…。
10年ぶりの再会を果たしても
周の感情には"喜び"が感じられなかった時点で
切ない展開になりそうなのが伝わり、
その先をある程度覚悟して読み進められたところはありましたが。
覚悟していてもツラい、心が痛い…。そんなエピソードはかりで、どこまでいっても誰も救われないことが本当に苦しかったです。
というか、紗知の命を繋ぐために優しいようで残酷な言動を取る橘をどうしても理解できなくて
モヤモヤしてしまった感じです。
彼が真っ直ぐな人なのはわかります。
ただただ『紗知が元気になる』ことを願い続ける優しいお兄ちゃんなだけだし、
生きる希望を渡してあげたいと考える優しさはあたたかいと思う。
でも。だからといって人の気持ちを操っていい理由にはならないと思うんですよ。
そんなことをしても誰も幸せになれないと少し考えればわかることなのに。
ひとつの可能性を前に周りが見えなくなってしまう様子がなんだか痛々しくて悲しくなりました。
結局紗知には周の本当の気持ちや橘が根回ししたことだとバレていて病気の彼女を苦しめるし、
そんな拗れた関係のまま亡くなってしまうし。
良かれと思ってやっていたことは逆に紗知を苦しめたのでは?という別れがツラすぎましたね…。
なので亡くなってからふたりがくっつくのも
どういう気持ちで受け止めていいのかわかりませんでした。
ストーリーにはグイグイ引き込まれたけれど、
なんだか胸に引っかかるところが多すぎて…
すんなり飲み込むのが難しいお話でした。
非常に美しく流れるような文章で物語を紡がれる作家さんなので、夢中になってあっという間に読み進めてしまうんです。
こちらの作品を読みながら、何度も残りのページ数を確認しました。あとこれだけで本当に終わる?どう終わるの?大丈夫?と、そんなことを思いながら読み終えた次第です。
評価が割れるのも分かるというか、読む人を選ぶ作品かなと思いました。うーん、私はどうかなあ。
好きか嫌いか。お話としてはやはり好きです。三角関係が最後までどうなるのかがわからない、ストーリーを読ませる力がありますし、こういったあまりないアプローチで書かれたBLは新鮮でした。
しかしながら、萌えたのかどうか・高遠先生の過去作品と比べてどうか?となると微妙なところ。
けれど、胸が苦しくなる心理描写が好みでしたので、こちらの評価になりました。
地雷皆無で攻め視点のお話が読みたい方はぜひ。
綺麗なだけではない、一筋縄ではいかない恋を描くのが上手い作家さんだなと思います。
この作品で1番悪かったのは誰か?それはもう、受けの侑一で間違いないでしょう。
でも、この作品でずるかったのは?となると、3人全員がそれぞれずるかったような気もするのです。初恋に囚われて堕ちてしまったのは3人ともなのでしょうか。
相手を想っているようで誰もが利己的。恋は理性でするものではありませんから、こんな恋の形があっても不思議ではないかな。
そして、お話の着地点ですが、誰も救われない終わりだったら神評価になったかもしれません。ただ、これはこれで咎を背負っているようにも見えてありなのかも。
とはいえ、周には好感が持てたのですが、受けの侑一の良さと気持ちが最後までいまいち分からず…そこは今ひとつ盛り上がれずでした。
北沢きょう先生挿絵なのでマストバイ。堕ちるというか、囚われて身動き取れなかった方のお話ような印象でした。沁みるし泣いたのですが、人に薦めたいかというと、うーん・・という心地なので萌にしました。せつなすぎてダメなのかも。本編260Pほど+あとがき。
一人で美容院をやっている周(あまね)。上得意のお客様に頼まれて、休日返上で病院へ出張カットに来て、可愛い女の子の髪をカットしていたら、その子の彼氏と言われる男性がやってきます。それは周が高校時代に好きだった一つ上の先輩で・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
紗知(さち、受けの幼馴染)、マキさん(メイクアップアーティスト、♂)、高校時代の映像部仲間少々、さっちゃんのお母さんぐらいかな。誰も悪くない。
++攻め受けについて
攻めさんは超イケメン。ただ人間が出来ている訳ではなく、かといってめっちゃ腹黒なわけでもなく、美容師という職業柄、笑顔は標準装備ですが、ごく普通に悩むんですよね、自分の恋心に。再会してしまった後、一生懸命、受けのことを忘れようとして、上手くいかなくて苛立ったりもして。イケメンでスパダリにもなれるのに、受けに対してはスパダリになれないで、足掻いている印象です。
受けの気持ちは良く見えなかったです。普通の方だと思うのですが、あまりに綺麗な攻めをずっと見ていたかったというのが恋心だったのでしょうか。幼い頃から守らなきゃと思っていたさっちゃんがいたから、自分の気持ちに全く気付かなかったのでしょうか。受けの気持ちにシンクロするのは、最後の最後になってようやくでした。
2人して良かれと思ってしたことが、本当に良かったんだと思いたいのですが、本当のところは永遠にさっちゃんの心の中にしまわれたまま。ただそれをちゃんと受けとめて、二人が前を向いて歩きだそうとしたので、救われた心地で終わる事ができました。よかった。
基本「せつない」一択です。せつなさ大好物の方でしたら、良いのかもと思うお話でした。
この話は女子が出てきます。一見、受け→女子→攻め→受けのBLトライアングルのように見えて、結局は攻めと受けは両思いで女子だけ攻めに片思いしていたような展開。女の子が病弱だったため彼女にとって残酷で受けと攻めにとっても後味の悪い事になってしまいました。最初は青春っぽく爽やかですが、徐々にドロドロしてきます。
誰が悪いかと言えばやはり受けが悪い。高校の時に自分に告白してきた攻めに向かって(その時は気持ちに応えられず逃げてしまった)病弱な幼馴染みの彼女と付き合ってほしいと頼む。年下だけど1人で美容院を切り盛りする真面目な攻めに。後で自分でも言っていますが、攻めもその彼女の気持ちも弄ぶようなとても傲慢で失礼な事です。攻めも惚れた弱みで受けの体をくれるなら言うことをきいてもいいと取引し…後戻りできなくなってきてしまいます。
結果的に彼女の気持ちをダシにして攻めと受けが心と体の距離を縮めていき、彼女もうっすらそれに感づいていたのが切なかったです。彼女に本当は受けを愛している事を指摘され、それからまもなく彼女が亡くなると攻めも罪悪感から精神を壊してしまう。1番年上の受けが大事な2人を自分の浅はかさで傷つけてしまうのです。
でも恋は惚れてしまった方が負けなので、悪気なく残酷な事をしてしまうような受けを好きになったのは攻めの方。高校時代の映像部の思い出や天国の梯子のシーンが美しかったので、少しドロドロしててもBLとして私は楽しめました。受けと攻めの2度の再会シーンも映画のようで素敵でした。
