日本最大級のハイブリッド書店
舞台がアムステルダム。馴染みがなくて、アムステルダム中央駅を画像検索したり、ビターバレンを調べたり、作中に登場するオランダ語をGoogle翻訳したり、ちょこちょこ調べては「お~!」と驚きながら楽しく読書しました。
アムステルダムに3年ほど暮らしている日本人のヤマトは、ある時ひょんなことから港颯真と知り合いになる。港は日本の人気俳優だったが週刊誌の記事がきっかけで引退、国外を転々としているところだった。
二人は友達になり、より親しく日々を過ごす中でだんだんお互いを大切に思うようになる、というお話。
その関係性の変化や、自意識ゆえの葛藤など、瑞々しくじっくり描かれています。
著者のことはテレビで見る程度だったのに、読み始めた最初こそなんとなくチラチラと浮かんだりもしましたが、途中からそんなことは忘れて作品世界に耽溺しました。
無為な日々を送り壁を作り下ばかり見ていたヤマトが、港と付き合うことでどんどん感化されて、前を向いて歩くようになる姿にほろっとしました。「本当に小さくていいから、いいことばかりを思い浮かべてみなよ」という港の科白に、読んでいるこちらもついつい「そうだよなあ」などと思ってしまいました。
港もヤマトに会って変わって行きます。そもそも日本から逃げて来た人です。刹那的な快楽に身を委ねて、その場さえよければいいと考えていた人が、紆余曲折を経てやめられなかったドラッグをやめて、俳優業に復帰した。すごいことです。人間らしくなっていく過程を見届けている気持ちになりました。
巻末に港颯真が復活したときのインタビューが載っているのですが、インタビュー途中にヤマトに電話したりして、にやけてしまいました。可愛い二人です。
そう、ドラッグの蔓延がすごいです。本の半ばまで、普通にドラッグ、ドラッグなので、ちょっと麻痺してしまいました。こんな感じなのかと。煙草を吸うようにドラッグを吸っている。怖すぎます。
アムステルダムを舞台にした、日本人2人のBL。
雲田先生のお表紙からして、もう哀愁感が漂ってきて、切な系BLなのかなと思ったら、たしかに切なさはありましたがとても繊細な純愛BLが丁寧に描かれているように思えました。
あと、既存のBLレーベルではないせいか、人と人との恋愛が自由に描かれていて、後半で「僕」が港くんとの関係をはっきりさせておきたくなったときに関係を尋ねて、「セッ…しなくても一緒にいられる関係」的な返答があったのに、個人的にはキュンとしました。
普段、えちありきのBL小説を読みなれているせいか、とても新鮮というか。
そうだよ、恋ってこういうのもありだよ!! とハッとさせられましたし、結局最後まで致さず、2人はそれぞれの道を円満に進もうとする、決してメリバではなく、希望の持てる余韻エンドがとても良かったです。
あわよくばいつか、その後の2人を読んでみたい。
そう思えた1冊でした。
BLソムリエアンリ54世氏がYouTubeで紹介してたので読んでみましたなんと、この作品、何故にBLレーベルではない?と言いたくなるような作品。ブロマンス寄りのBLという感じです
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お話の舞台はアムステルダム。彼女とオランダに移住した主人公が彼女に振られ破局し、1人で鬱々と飲食店の仕事をしながら生きていたある日、不祥事で芸能界を引退した港に出会い、主人公の日常が港を中心にガラッと変わり始めます(ᯅ̈ ).。o
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俳優時代に唯一の親友にハメられ(?)俳優生命を絶たれアムステルダムに行き着いた港君。傷心した彼の心を癒したいと思う一般人のヤマト。ヤマトの港を思うこの気持ちはただの有名人に近づけたと思うミーハー心や優越感なのか。それでも港にとって嘘偽りなく港自身を受け入れて寄り添ってくれるヤマトに港は心を許し始めます
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自分は港が『俺のこと絶対裏切らないって誓える?』みたいなシーンで『わかりません、人は変わるものだから、でも今港君の力になりたいと思ってる。それじゃダメですか?』といったところ好きだった。(ざっくり記憶だけど)嘘をつかれて傷心した港だからこそ安っぽい『yes』を言わず、わからないと言う港いいね。
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お前も俺を理解してくれないのか、のところの、理解できるわけないじゃないですか。ただ港君に幸せになってもらいたいだけです。も良かったなあ
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この作品の冒頭で、悲しい話なんかな。と見せかけて、最後でそういうことか〜。というハッピーなオチも良かったです。オチから冒頭に繋がるやつですね。一般小説枠だけど、だからこそ図書館とかで借りれるのでオススメできるなあと思いましたふたりの中に流れる恋人とも友人ともいえる甘すぎない空気感が良いです。
ずっと気になっていた作品、やっと読めました。
非BL作品ということですが内容はしっかりとBLだと思います。
でも恋愛の部分だけを記しているわけではなく、さまざまな感情を織り交ぜたストーリーになっているという点で非BLなのかなと感じました。
港との出会いでヤマトの日常はこれまでと違うものになったけれど
それが必ずしも恋愛に繋がっているわけではない、というのが美しかったです。
例えばこれが、港に恋をしたことでこれまでの何ら変わりない毎日が楽しく思えるようになったヤマトの話だったら…
ここまで心を動かされることもなかったでしょう。
日本での暮らしに不満があったとしてもそれなりの安定を捨てて移住する決断は簡単ではなかったはずで
その支えになっていた元カノにも結局裏切られてしまい、異国の地での慣れない暮らしに心も折れかけて…
港に出会うことがなければ腐ってしまったかもしれないな、と。
そんな日々の中で彼との出会いがヤマトの中で一歩を踏み出すことへのエネルギーとなったのが素晴らしかったなと思いました。
繋ぎ止める愛や永遠を求めるのではなく、その時その一瞬を大切にしたいと思うヤマトの心が痛いほどに伝わってくることに感動し、そして何だか無性に泣きたくなりました。
愛する人と離ればなれになるかもしれない時に、冷静にそっと背中を押すことはなかなか出来るものではないから。
港もヤマトがいるからこそ、また踏み出そうと思えたのでしょうね。
支えになる相手が居るって心強いものなんだな、としみじみ思いました。
終始ヤマト目線で進んでいくお話の中で港の気持ちがわかるものが
タイトルにもなっている曲だというのが本当に上手いな、と。
ぎゅっと心を掴まれて、更にこの作品に引き込まれたのを感じました。
とても美しくて、でも現実的な苦しさもきちんと伝えてくれるようなとても素敵な作品でした。
あの古市さんが書く恋愛小説ってどんなの?
表紙が雲田はるこ先生なの?
めっちゃ気になるやん!って事で買った、のに積んでた本。
やっと読んだら、めちゃくちゃいい話じゃないかーーーー!泣いてしまった。
薬物疑惑で芸能界ドロップアウトした若手俳優 港くんと
付き合ってた彼女にオランダ移住しようと言われてついて来たのに、浮気されてここに居る意味見失ってるヤマトくんのお話。
あるキッカケで2人は出会って積極的な港くんのおかげで急速に仲良くなっていく。
港くんはゲイ、ヤマトくんはノンケ。
だけど、キラキラ芸能人オーラのある港くんに
ドキドキしっぱなしのヤマトくん。
一緒に居ると楽しいし、バイトあるのに港くん優先して当日欠勤してしまう事しばしば。
この気持ちは、恋愛的な意味じゃないって何回も自分で確認してる。(不安になってる時点でラブの意味で好きだよ)
セレブと一般人の非日常なストーリーって
ふと、ローマの休日みたいじゃね?って今思い浮かんだ。身分違いの恋的な。
切なさは同じだけど、このお話の結末の方が未来がある感じで私的にすごく好みでした。
反響によっては、続編もと言われていたそうで是非続き書いて欲しい。
古市さん、ワイドショーに出られているだけあってその体験や感じられた事をお話に組み込まれているのかなって思いました。
あと、他の小説に比べて時事ネタや固有名詞、作品名、ブランド名がとっても出て来たのもびっくりしました。確かに、どんなブランドを身に付けてるかでキャラクターがわかりやすくなったり、曲名でイメージ膨らんだりするかぁーと思ったり。
読んだ後に、ビートルズのアスク・ミー・ホワイ聴きながら歌詞見て更にジーンときました。
映画化してくれないかなー。
めっちゃ観たい。
勝手に港くん誰がいいかはもう考えてます。