不器用なリーマン×囚われの烏天狗

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表題作明烏夢恋唄

金沢暁人,サラリーマン
御岳山太郎坊翠蓮,200歳,烏天狗の男娼

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • カバー下・本編その後、設定裏話

あらすじ

あんた俺を買ったんだから 好きに触れたらいいよーー…」

会社員の暁人が豆腐小僧に連れられ、足を踏み入れた妖怪専用の遊郭。そこで出会ったのは、黒髪褐色の烏天狗・翠蓮という美しい男娼で――…。
絢爛豪華な「遊郭」を舞台に繰り広げられる、男娼と客の純愛絵巻。

コミックス描き下ろしも収録!

作品情報

作品名
明烏夢恋唄
著者
朔ヒロ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
双葉社
レーベル
マージナルコミックス
シリーズ
明烏夢恋唄
発売日
電子発売日
ISBN
9784575380699
4.3

(203)

(115)

萌々

(57)

(24)

中立

(6)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
25
得点
881
評価数
203
平均
4.3 / 5
神率
56.7%

レビュー投稿数25

和風ファンタジーの世界が素敵。

先に2作目『羅城~』を読み、このかすみ楼ワールドが好きでシリーズ買いしました。
悪そうなのや怖そうなのもちょっとは出てくるけど、おどろおどろしくなく、重苦しくなく、美しい和風ファンタジーの世界をライトに楽しめるところが気に入ってます。

その半面、籠の中の鳥!命懸けの恋!みたいな重めの話を描くには、ちょっとそぐわない気がしました。
「年季」「間夫」「足抜け」なんて、遊郭らしいワードは出てくるけど、どれもそんなに絶対的に縛り付けられてる感がなく、ゆるい。そもそも楼のトップたる楼主様が人格者で、なんだかんだ翠蓮を許したり助けたりしてくれちゃう。
なので相対的に翠蓮が甘ちゃんで身勝手に見えてしまった……。
命懸けで好きな人を訪れて、普通の恋人のようにデートして、1日限りの想い出を胸に……っていうその部分だけを切り取ったら、すごく切なくて美しくて好きだったけど。前後の流れがいただけない。

羽を出すために肩から背中まで大きく開いた着物が色っぽくて好きです。翠蓮が照れたりソワソワしたりするのに連動して、羽がパタパタするのも可愛い。
ワンコ妖怪は最初コワすぎと思ったけど、なんだかんだ仲良しになっちゃうのが暁人らしくて良かった。
このシリーズに関しては、悲恋っぽいのより明るい路線が好きです。

0

問題を抱えたあやかしと人間が出会ってゆっくり恋を温めるお話

どの作品を先に読んでも後に読んでも違和感がなく世界観に浸れるシリーズです。
それぞれスピンオフ、ではなくシリーズだから、なのでしょうか。
こういう作品たちの場合、どれが先だっけ?読む順番は?となりがちですが、このシリーズに関してはそれがないです。ひとつひとつが完結していて、それでいて、大きな世界でつながています。
何周目かの読み返しで、改めてこの素晴らしい世界に浸ることができました。

あやかしと人間、という組み合わせのシリーズですが、他2作はメイン2人が割と力や本人のスペックが高めなのに対して、今作はあやかしも人間も弱めです。

烏天狗は過去のあやまち(事故みたいなものだけど)のために、力を貯めて使って約束を成し遂げるまで遊郭に縛り付けられています。
人間はごく普通のサラリーマンですが、公私ともにうまくいっていないときに、浦島太郎と亀的な出会いがあり、あやかしの世界、妖怪専用の遊郭に足を踏み入れます。

出会った烏天狗との交流は、遊郭という場所であったにも関わらず、すぐに性的な関係にはなりません。
これきりのはずだったのに烏天狗が気になってしまい、命を削りかけながらも会いに通う人間。
すぐに肉体関係にならないからこその心の動き、表情、言葉のかけあいがとてもきれいです。

また、他の2作と違ってメインの2人に弱さがあるのがこの物語の麗しいところだと思いました。
あやかしと人間、それぞれの弱さが醸し出す危うさ、のような空気感がすごく素敵でした。

0

美しい烏天狗と、幻想的な妖の世界をたっぷり楽しめる

何度も女性に騙されて、仕事は上手くいかなくて人生疲れてるリーマン暁人。たまたま手にした割符で妖怪の遊郭かすみ楼に行き、烏天狗の翠蓮と出会います。翠蓮は黒髪、褐色肌に緑色の美しい瞳を持っています。しかし、かすみ楼での翠蓮の男娼としての仕事ではあまり大切に扱われていない事に気づいた暁人はまた変なことに首を突っ込む、、、と思いながらも翠蓮を指名します。
翠蓮の和風の男娼姿がとても美しいです。そして、翠蓮と寝るつもりはないと言う暁人に見せるビジネスでは無い翠蓮の表情が可愛らしいです。そして、事情があって明け方に蓮池の上を飛ぶことしか出来ない翠蓮は、朝日に大きな羽が照らされた姿は美しくもあり、切なくもありました。
暁人はかすみ楼に縛られている翠蓮をほっとけないし、翠蓮も、男娼としての自分ではなく本当の自分を見てくれる暁人を気に入ってしまいます。
しかし、普通の人間と、妖の男娼では思うように逢うことは出来ません。暁人は翠蓮に逢う為に体を張って努力したのですが、結局は翠蓮とは会えなくて。しかし、そんな暁人の姿を知って、翠蓮は命懸けで暁人のいる現世に姿を現します。
現代風の翠蓮の姿がまた素敵で読んでいて、デートしている二人が普通にたのしそうで幸せで。しかし、、現世では夕方が別れの時間になるんです。かすみ楼は明け方が別れの時間だったのですが、朝焼けと夕焼けという夜と昼の狭間で別れの時間が来るところがエモいと思いました。このお話、朝焼けや夕焼けのシーンの絵はとても感傷的な気持ちになります。そして夜に提灯で張りめぐらされた結界の様子はとても幻想的な雰囲気があって、とても美しい世界に浸れます。
無理して現世に来てくれた翠蓮には必ず罰が与えられると知った暁人は、、ラストは直接読んで欲しいです。
暁人は無鉄砲な所があるけど、お節介で突っ込んだ首を最後まで諦めずに翠蓮に向けた所が良かったし、翠蓮は真剣に恋した事がなくて、ビジネスから離れると、途端に少年のような初恋に目覚めた可愛らしい姿に何度も見惚れてしまいました。
二人でタバコを吸うシーンはとっても良いですよ!
絵の美しさや世界観、設定がとても面白く、登場する妖はどれも個性的で見ていて楽しくて、萌えだけでなくストーリーがとても楽しかったです。

1

男娼とリーマン

ファンタジーBLですが、どちらかというと二人の恋物語がメインなので、それほどあやかし感はないかも。

彼女に振られて落ち込んでいるリーマン暁人。助けた豆腐小僧に例としてなにかのおふだをもらう。
これが、公園の奥地に隠された怪しの楼閣で、誰でも指名できるという札だった。。
という設定。

そこで出会った、翠蓮という烏の妖怪。朝黒黒毛のかわいらしい妖怪さんです。
二人は男娼と客という関係を超えて惹かれ合うが、しがらみもあり。
それをどう乗り越えてゆくのか、というお話でした。

絵がきれいで、Hもしっかりあります。
仕事柄擦れているかと思いきや純情な翠蓮。一方、チャラくみえるリーマンの暁人も恋愛や人間関係には真摯で。。
大きなどんでん返しはないけど、二人が晴れて恋人になるまでのストーリーを楽しめます。

1

絵と世界観がマッチ

きれいな絵と世界観がマッチしたドラマチックなラブストーリーだなと思いました。
妖怪モノってよくわからなくて、妖怪にも性欲があったり遊郭があったりするんだな〜と思いながら読んでいました。

明烏は…夜明けは一夜の終わりの意味で遊郭では烏は嫌われると翠蓮は言っていたけど
暁人が夜明けの大空を飛ぶ翠蓮を見て
─「夢の終わり」は一日(げんじつ)の始まり
─こんな始まりなら 少しは現実も 楽しいかも知れない
のシーンがよかったです。
そちらの世界で烏はそういう存在でも、暁人にとって翠蓮はきれいで飛ぶ姿にワクワクする恋する相手だというのがよく伝わる。暁人のポジティブな人柄も。

ただ、きゅんポイントの照れた表情とか、ここ萌えですよ〜とわかりやすく示されているようで正直なところ少し恥ずかしいなと思う場面がいくつかありました。

暁人のスタイルの良さ、翠蓮の腰を抱く絵が好きです。

壺に憑いていた犬神と暁人が盟友になっていたのは笑いました。どこまでいい奴〜。そしてポチ太郎ってw
番頭さんの妖怪、公園にいた妖怪の子どもたちがかわいらしかったです。

noe67ではアンドロイドの設定がしっかりしていて読み応えあり、本作では妖怪の世界…あとがきの陰陽五行のエピソードがおもしろかったです(私は詳しくないですが)
ファンタジーでもこういう裏設定、マンガの中の理(ことわり)がしっかりしていると、どういうこと?と変なところで疑問が沸かずストレスなく読めるのでありがたいです。こういう作家さま好きです。

1

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