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はいらなくても、いいじゃないか

hairanakutemo iijanaiaka

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表題作はいらなくても、いいじゃないか

漆原冬真,トーマ
小鹿日路,ヒロ

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • あとがき(描き下ろし)

あらすじ

映画館で出会った、トーマとヒロ。
すぐに意気投合し、お酒を飲みつついい雰囲気のままホテルへ。
いざ、ヤろうとしたら
トーマのアレがデカすぎて、はいらないー! ! !
でも、ヒロは「挿入だけがSEXじゃない! 」と、挿入なしのSEXを提案。
ヒロの突拍子もない提案に驚きつつも
今まで普通にSEXができていなかったトーマは、
その提案を受け入れて…。

2人が見つける『自分たちなりのSEX』の行方はー。

作品情報

作品名
はいらなくても、いいじゃないか
著者
ゆざきさかおみ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ブライト出版
レーベル
B.Pilz COMICS
発売日
電子発売日
ISBN
9784861238697
3.6

(62)

(17)

萌々

(21)

(15)

中立

(4)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
13
得点
218
評価数
62
平均
3.6 / 5
神率
27.4%

レビュー投稿数13

これは名作でしょ!

コメディかと思ったら、なかなかセンシティブ。
タイトルがまんま核心をついています。

「自分らしさ」じゃなく、「自分たちらしさ」を追求していく素晴らしいストーリー。
〝大きすぎて入らない〟問題から派生していく恋人同士の問題や心情を丁寧に描いていて、非常に共感できました。

レイトショーで出会い、意気投合したヒロとトーマ。
いざヤろうとしたら、トーマのtnkが大きすぎて入らない事態に。
そこから2人は、挿入なしのセックスを模索していくのですが……

今までも、大きさが災いしてセックス出来なかったトーマ。
挿入なしのセックスにヒロが満足していないのでは……と、勝手に悩み始めます。

とにかく、ヒロの男らしさが際立っていました。
勝手な言い分のトーマに、「僕はあんたの容れ物じゃないし あんただってちんぽの付属品じゃないだろ」と叫ぶところは、共感を通り越して感動してしまったよ。

何とか問題を乗り越え、挿入に向けての一歩を踏み出した2人。
そこに、新たな問題が生じ……と、展開していきます。

先っぽしか入らないtnk。
いつの間にか苦痛を抑えてトーマに合わせようとしているヒロ。
そして、ヒロなら何でも受け入れてくれると思い込んでいるトーマ。
何だかんだ、トーマがちんぽ野郎なんですよね;
攻めと受けの考え方の違いなんだろうけど、これって男女にもいえることなんだろうなと思う。

上手くできないのを自分自身のせいにし、すれ違っていく2人が切なかったです。
そして、それぞれの相談役がナイスアシストで主人公達を導くのですが、これがすごく良い!素敵な2人でした。

「セックスの合意に履行義務はない」って、正にそう!
ヒロは女の代弁者でもあると思う。

セックス(挿入)をしない・出来ないということは、恋人という関係の概念を覆すことかもしれない。
それでも一緒にいたいし、愛する人と触れ合うことに意味があるし、「普通」じゃない恋人の形があってもいいと思う。
完璧じゃない2人が、隙間を埋め合うようにするセックスが何より気持ちよさそうに見えました。
挿入に拘らない、〝2人なりのセックス〟を探究して欲しい!

終始、ゴムを使用したセーフセックスだったところも素敵でした。
フェラも慣らしも、ちゃんとゴムを付けていたのが良かったし、デートでSTD検査しに行くお話は初めて読みました。

挿入に拘るトーマに、「ハルキストか!」ってヒロのツッコミw
激しく同意ですよ(笑)
全体を通して重いテーマながらも、ヒロのキャラに助けられた感じがしました。
とても感慨深かったし、面白かったです!

14

挿れるだけが愛じゃない!

すごい読み応えでした…!!
何より台詞の一つ一つが素晴らしい!
金言並みに胸を打つ台詞がたくさんでした。

コメディ風味でありながら、セックスに切実な問題を抱えた二人。
好きだからこそ、挿れたい。でも、挿れるだけが愛じゃない。
そんな葛藤を抱え、ぶつかり合いながらも
自分たちなりの愛の形を見つけてゆく二人のお話です。

小柄でオープンな性格で明るいヒロと大柄な割に内向的で純朴なトーマ。
二人は映画館で出会って意気投合し、飲みに行くことに。
語り合ううちに互いがゲイであることを知り、酔いに任せてそのままホテルへ。

けれど、いざそのときを迎えると問題発生。
トーマのアレが予想以上に巨根すぎ、
ヒロの穴が予想以上に小さかったのです。

「ちゃんとしたセックスできない…」と落ち込むトーマですが、
「穴に棒挿れるだけがセックスじゃない」と熱弁をふるうヒロに
説得され、二人なりのセックスを追求することに。

穴以外にも突っ込めるところはある!というヒロの提案によって
素股に、フェラと色んな“気持ちいい”を試していく二人。

最中だけじゃなく前後のイチャイチャを含めてセックス、
互いが楽しめてこそ、というヒロの考えが素敵です。

二人で気持ちよくなれるように色々と試行錯誤を重ねるヒロが
とても献身的で、彼が体だけの関係ではなく、心の繋がりを
何よりも大切にしていることが伝わってきました。
好きだからこそ、自分も、相手も尊重した関係を築きたい、と。

それまでずっと巨根すぎるがゆえにセックスもできず、
恋人から受け容れられないというコンプレックスを抱えてきた
トーマもヒロからたくさんの初めてを教えられ、トラウマから
少しずつ解放されてゆきます。

けれど、それでもやっぱり挿入への希望を捨てきれないトーマ。
挿入を目指し頑張るも、焦れば焦るほど空回り、ヒロとすれ違ってゆきます。
ヒロも恋人の気持ちを理解し、受け容れてあげたい気持ちはあるものの、
体のしんどさや自分の曲げられないポリシーがちゃんとあって、
トーマとの方向性の違いに思い悩みます。

二人とも根底にあるのは相手を気持ちよくしたいという気持ち。
だけど、二人の経験の差がもたらす価値観の違いがあって、
そこが分かり合えないのが辛かったです。

ただ、この二人のいいところはそうなっても、
面倒臭いからもういいやではなく、ぶつかった後には
しっかり真っ正面から向き合い、言葉を尽くして仲直りできること。

不安から焦り、空回るトーマにヒロが放った
「はいらないってだけで僕たち不幸な恋人になっちゃうのかよ」
「全部ひっくるめて愛だろうがッ」にジーンときてしまいました。
そう、セックスだけが愛の証明ではない。
愛し合う気持ちがあってこそで、あとのことは
愛さえあればどうにでもなるんだって。

互いの気持ちをぶつけあった後に、
いい年した男が二人、わんわん泣き合っている姿に
こちらまでもらい泣きしそうになってしまいました。

「相手が完璧じゃなくてもいい」って最高の恋人だと思うんです。
ヒロとトーマはこれからもこうして、何回も喧嘩して仲直りして、
愛を深めていくんだろうな…

ヒロの先輩とトーマが通うバーのマスターもそれぞれが
迷う二人の背中を押してくれる、よき理解者たちでした。
二人が話す恋人との向き合い方の誠実さに心打たれました。

余談ですが、トーマは気持ちいいを模索してるだけあり、
将来的にすごいテクニシャンになりそうだなあと思ってしまいました(笑)

11

性描写が記号化していなくて良い

こういうのが読みたかった、そんな1冊。

セ〇クス=挿入という概念がBLにはあると思うんですけど、巨根&穴が小さいという事態によって自分たちだけの付き合い方を模索し、「やっぱ挿入なんじゃん」ってガッカリしちゃう下りも良い。

キャラ萌えに特化したBLもいいけどこういうのが読みたかったから嬉しい。
愛の手段としてかなり突っ込んだところまで描写されたお話の中に、二人の絆があって素敵。

一風変わったテーマで書いているだけに、トーマさんとヒロさんの二人が終始ラブラブなのもポイントが高し。
ヒロさんがちゃんと不満を叫べる人でよかった(笑)
キレるととことん口調と態度が悪くなるヒロさんが素敵!
すぐ泣くトーマさんも可愛い……こういう互いを尊重した交際って見ていてキュンとします。
そしてラストの性的同意を得てからするえっちいいですね…セ〇クスが記号化してなくてよい作品だなあと思いました。

挿入するだけじゃない、二人だけの夜の生活への追及が面白い。
夜の生活が上手くいかないのにそこにある葛藤が楽しそうで微笑ましい、そんな新感覚の1冊です。

9

入らないけどエロい、エロいけど内容しっかり

お初の作者さんでした。
試し読みで面白そうだと思い、そのまま購入。

ヒロとトーマが映画館で出会い、そのまま意気投合し、ホテルまで行くのですが…てなお話。
体格差が結構あるので、そこの部分も格差あるよね。
BLでは例えXLであろうがXXLであろうが入っちゃうのはよく見かけるのですが、こちらのカップルは苦戦します。
ヒロの方が入れるという選択肢も、トーマが痔疾なため脚下…そっちのパターン見たかったかも。
尻、大事にしろよ…涙

〜セックスはコミュニケーション〜
〜お互いが楽しめることに意義がある〜

ありがたいお言葉いただきました。
穴を使うことだけがセックスじゃない、て事で2人で試行錯誤していくんですね。
「俺たちのセックス」を。

性病の検査の事や、フェラの時もゴムは必要なこともしっかり盛り込んであり、そういう所がいいなと思いました。
洗浄が必ずしも必要じゃないってのはどうなんだろ?
個人的には必要な気がするが…?

完全に挿入できない事で、ちょっとした言葉のニュアンスとかに引っかかったり、人に相談して相手に隠し事が増えていく感じがリアルでした。

あんまりしたく無い時に今日はしないとはっきり言える受けって、あまり見たこと無かったので新鮮でした。
思えば普通の事なんだけども、BLってしたくないのに感じちゃうっ…みたいなシチュエーションが良いって傾向あるからなぁ。
正直そんなお話も好きですが、断れるって大事だよなと。

2人の相談相手、橘先輩と店長の彩人が良い人達で良かったです。
第三者的目線で冷静にアドバイスくれたり、そっと背中を押してくれたり…。

まだ完全挿入には時間がかかりそうですが、色々試して挿入が目的じゃない彼らだけのセックスを追求して欲しい2人でした。

12

GRRRLs エンパワーBL

はいらなくても、いいじゃないか
イヤ、その通り。
いれなくても、いいじゃないか、ムリなら。

…というのは女性側の意見、なのかも。
話題作になった「夫のちんぽが入らない」や朝◯新聞の夕刊で不定期連載の「オトナの保健室」を思い出しました。
本作は、巨根すぎて「マトモ」なHができなかったトーマ。「マトモ」「普通」にこだわって縮んでいた心が、柔軟な考えを持つヒロと出会って…というお話です。
ヒロを「柔軟な」、と表現しましたが、柔軟かどうかはともかく、攻め(男)イコール勃起・挿入・射精ワンセット、という固定観念は無い、というところから始まって、イマの女性たちが声をあげ始めている性の場面での問題点が散りばめられているように感じられました。
例えば「性的同意」。
例えば「感染症検査」。
例えば「フィンドーム」。
フ◯ラでもコンドームをする事、などなど。
ヒロがKuTooTシャツ着てたり。
なんというか…フェミニズムの文法で描かれているのかな?
読者の私はヒロにシスターフッド感じたり。というか感じるように描かれているような空気感。
トーマも優しい性格でヒロの意見を受け入れるので、物語としてはセックスは2人でするもの、という正に「理想」を擦り合わせていく展開。
なのに結局ヒロがトーマの巨根を受け入れるのを「頑張」ちゃうんですよね。それでちょっと心が磨り減ったりして。
ここから先輩やら店主さんやらが絡んできて、正直安易な筋立てになってしまったのがちょっと残念でした。
この作品の流れなら、一貫してトーマとヒロで言葉を尽くして試行錯誤して欲しかった。そして、挿入ではないセックス・バリエーションを「2人で」編み出して欲しかった。

最近私はア◯ルセックスって必須じゃないなぁと感じているので、この作品は私にとってとてもタイムリーでした。

8

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