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レコードを再生しているような、静かに始まって静かに終わる、静かに、静かに、遠い外国の映画のような作品。
白と黒のコントラストがとても素敵。BLを好んで読まない私が、帽子先生の作品なら間違いなく好きだから、という理由で読んでるし、買ってるし、飾ってるし。表紙が本当に絵画。ホントに好き。
誰もが優しくて、誰もが生きづらさの中で生きていて、誰もが悲しくて、誰もがただ幸せになりたいと生きているお話。そしてわんこがかわいい。文句なしにかわいい。
主人公の職業は狙撃手。
仕事上のパートナーでもあった恋人を亡くした彼は、闇に蝕まれながら死に場所と死ぬタイミングを探す為に生きているかのよう。
その彼が、生きる為に生きる事を選ぶ。
新たな恋人の存在と、幸せになって良いものかと浚巡する主人公の姿と、その向こう側にある結末。
つい達者な画力に目が行きがちですが、ストーリーの組み立ても見事です。
ほとんど説明セリフなど無いものの、ストンと心に落ちてくるのは作者の描く画面の力でしょう。
描き込むところと省略するところの足し引きが大変に巧みで、映画の画面を観ているような構成も素晴らしいです。
私はKindleで購入しましたが、これは紙の本で読んでみたいので近々そちらも購入を予定しています。
最初に言うとカジュアルにエッチなBLを読みたい人には向いてない。
でも、じんわりした暖かさが余韻として残る独特な読後感で良かった。
主人公のガルさんは暗闇を生きている。
目が見えないという意味ではなくて、生きる希望を喪くしてしまったおじさんなのだ。すでに最愛の人がいなくなった世界から物語が始まる。
こんな所から始まるのにこれはハピエンなのだ。最愛の人・ファルカの生き写し、バルバには秘密があり、これがハピエンへの鍵なのだ。
過去に囚われ一進一退するガルを見ていると早く幸せになって…!と思わずにいられない。
だからこそラスト直前の急展開は胸が苦しくなり、そこからの流れは泣けた。
私ももふもふに包まれたい…
私は漫画は基本的に消耗品だと思っていて、数回読んだらすぐに中古へ下ろしてしまいます。ただ、この先ずっと好きだろう作品だけを手元に残して置くようにしています。この作品は書店で表紙デザインが気になったので手に取りました。物語も絵もとても好みでしたが、大掃除を気に手放そうと思いました。「手放す前にもう一度…」と読み返して、私は残しておく事に決めました。決め手は見開きで描かれた空へ飛び立つシーン。あのシーンがあまりにも素敵で切なくて美しいと思ったからです。薄暗い世界を生きるサバーカ達の切なくも暖かい愛情が素敵な作品でした。