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俺はお前が欲しいだけの、ただのずるい男だ
作家買い。
沙野さん×奈良さんという、個人的な神タッグによる作品ということで発売を心待ちにしていました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は晶。
彼は祖父と二人暮らしでしたが、その祖父が逝去。以来、愛犬のシンシャと共に山奥でひっそりと暮らしていましたが、ある日複数人の男たちの襲撃を受けることに。このまま死に、祖父のもとへ行ける。そう思う晶だったが、彼は死んではいなかった。
が、そこで彼は対面する。自分を浚った男に。その男・虎目に無理やり身体を凌辱されそうになる晶だが―?
というお話。
もう、さすが沙野さん作品です。
序盤からグイグイと作品の持つ世界観に引きずり込まれます。
なぜ晶は隠れるようにひっそりと山奥に住んでいたのか。
虎目の目的は何なのか。
そういった謎を、少しずつ解明しながら進む展開です。
晶の持つ「能力」を軸に晶と虎目の攻防が繰り広げられていくのですが、すごくお上手だなと思うのは謎が少しずつ解明していくストーリー展開の仕方。小出しで、少しずつ謎が解明していくのでストレスを感じることなく読み進めることができるんですね。
晶の持つ能力も、序盤に描写があって、なぜ彼が山奥にひっそりと生きなければならなかったのかも書かれています。そこから、彼の能力を欲する輩たちが登場してくるので、読んでいて一気に晶の視点になってしまうというか晶寄りの立場で物語を読み進める形になります。
そんな晶を襲い、彼の能力を欲する虎目という人物は、晶の味方なのかはたまた敵なのか―。
読んでいてハラハラドキドキするんです。
で、晶の能力が早々に分かってなお、読者を惹きつけるのはまだそこから物語が二転三転していくところ。誰が見方で、誰が敵なのか。晶は幸せになれるのか。晶の能力を欲する虎目ですが、そのために虎目があれやこれやするシーンがなんとも官能的です。そして、そんな虎目に惹かれていく晶の心情も。
晶という少年はひっそりと生きてきたために何も知らないまっさらさん。
そんな新雪のような晶が虎目と出会ったことで少しずつ変わっていく。エロも良いエロですが、エロだけではなくて晶の強さと優しさがカッコいい。そんな晶のおかげで、虎目もまた変わっていく。
この作品には隠れたテーマがありまして、一つはタイトルからも推測できるように「忍者」の存在。忍ですよ、忍。ロマンかつ萌えの宝庫(だと個人的に思っている)。で、このバックボーンがフルで生きてるのがまた素晴らしい。
表紙の晶のイラストが良い…!
花嫁衣装を着ていますが、その下の服装にご注目。
いやいや、素晴らしい。で、ソックスガーターも良い。このガーターベルトを虎目が晶につけるシーンがあるのですが、これがまた萌える…!
で、もう一つは…。
と書きたいのですがあまり書いてしまうとネタバレになりすぎてしまうのでここでストップ。触手、というか何というか…。エッロ!
忍びの世界ってBL作品にもありますが、今作品はシリアス度高めです。
晶が虎目以外の人にあれこれ致されてしまうシーンもありますし(挿入まではありません)、人の生き死にも書かれていますので、苦手な方は注意が必要かもです。
攫われてきた晶が、虎目に惹かれていく。
そして、虎目が何のために自分を攫ってきたのかを知ることで、彼の恋心は玉砕する。
BLとしての萌えもギュギュ―っと詰まっていて、ストーリーも、萌えも、キャラも、何もかも素晴らしかった。もちろん、奈良さんの挿絵も。
彼らを取り巻く脇キャラも素晴らしい。シンシャの可愛さは反則級です。
どこをどう切り取っても素晴らしいの一言に尽きる、そんな神作品でした。
沙野先生って色々なお話を創り出す引き出しの多さと、それに見合う文章力が見事な作家様だと思うのです。
そしてそのどれもが一定のレベル以上に面白くて、人気作家様であるのが読んでいてとても納得出来るのです。
今作もとても面白くて夢中で読みました。
そして早くも出来るならばシリーズ物にして欲しいほどに、甲賀忍者の頭領である虎目とその伴侶である晶の活躍がもっと読みたくてしょうがなくなりました。
今作の感想ですが晶が虎目に思いを寄せて行くと同時に、虎目が甦らせようとする人物を知り報われない思いを抱える切なさにとても萌えました。
そして虎目の男としての格好の良さと、忍びの頭領としての頼もしさにギュンと来ました。
後半の伊賀ものとの手に汗握る戦いも面白くて夢中になって読みました。
甲賀のくノ一達の情の深さもこの作品の読後感を爽やかにしていたと思います。
それから最近のBLでは猫ばかりが人気なので犬派の私にはシンシャが可愛くてしょうがありませんでした。
是非是非、シリーズ化をよろしくお願いします。
書店で、きらびやかな表紙に惹かれて手にとり、口絵カラーの初夜の淫らさで、購入決定しました。
忍び、花嫁、大正もの、と好みのツボ押されまくりでガマン出来ずどんどん進んでしまいました。
こちら最初からアマアマではないです。受けさんが、健気に仁義を貫こうとする健気さが勝っていて「男子」な分色気には欠けたり、かたや目的があって受けさんの能力を利用するためにさらってきた攻めさんも、能力利用のために受けさんをオトそうと執着するものの、当初はそこに恋愛がないので、どこか作業チックで色っぽさに欠けます。
欠けますが、奈良先生の挿絵がとても萌え度高くて(奈良先生の作品好きで何冊も読みましたが、本作品な絵柄はまた今までとも少し違って(進化?)いるように思いました。)、やがて二人がラブラブアマアマになる展開を予感しながら読みました。
果たして期待は裏切られず、受けさんが攻めさんへの好意を自覚してからぐっと色気が増します。
しかしそこからしばらく二人の、エッチはお預けで、受けさんは髪の毛バージョンの触手に捕われて嬲られたり。
花嫁ものは、始めからあまあま展開が読めるところも含めて大好き物ですが、本作品は花嫁が忍びという設定を活かして、一本筋がとおった受けさんが、逡巡しながら段々ほだされていく過程がしっかり楽しめました。
沙野先生のエロ描写も繊細で独特で好きなのですが、奈良先生な挿絵とのコラボ効果がすごかったです。
話はそれますが、江戸時代までの人は小さな歩幅で小走りをしていたんだそうです。だから普通、足袋の裏側なんて見えないのね。
で、何が言いたいのかと言えば、この本の口絵の話なんですよ。
あたしは度肝を抜かれたね、この口絵を見て。
『綿帽子姿の花嫁御料の白足袋の裏』がこんなにエロティックなものだとは!
どんな肌色よりも破壊力満載!
まだご覧になっていない方に強くお勧めします。
この口絵は是非観るべきだ。
ページを開いて、一旦びっくりして閉じてからもう一度、そーっと開いて、舐めるように観ると、寿命が延びるような気がします。
奈良画伯、素晴らしい!
私は沙野さんのファンでございますが、今作は奈良画伯の口絵に『神』評価です。
たくさんの方がレビューされておりますので、中身は感想だけを。
沙野さんも、今のご時世なので「エンタメを!」と思われたんではなかろうか、と思っております。
その心配りに感謝!
私は沙野さんが以前書かれた『つる草の封淫』が好きなのですけれども、あちらにある一種の『暗さ(私は沙野さんの持ち味のひとつだと思っております)』がなくて楽しく読めるので、沙野さんのお話をまだ読んだことの無い方が手が出しやすいと思います。
前述のように口絵がとんでもないので、未読の方は是非。
正に〝沙野風『甲⚫︎忍法帖』〟最高に面白かったです!
山風『忍法帖シリーズ』が大好きな自分にとっては胸熱すぎる〝甲賀vs伊賀〟の設定。
それでいて、大好きな【俺様攻め×健気受け】ときたもんだ。はぁーーーー堪らん。
今回のテーマは「少年」、裏テーマは「触手」らしいですが、真のテーマは【調教】だったに違いない。
精通すらしていない未成熟な少年が、虎目と言う悪い男に捕まり、あれよあれよと身体を開発されていく…
もう、ピュアな晶をこれ以上汚さないで!!!!と憤慨しつつ、もっと虐めてください虎目さま…と大興奮で二人の新婚生活をじっくり堪能しました。
抜け忍の祖父により、大切に純粋培養されてきたピュアっ子少年の主人公・晶。
彼の直向きで、裏表のない無垢な優しさに癒されます*
傲慢で俺様な虎目に反発しつつも、その男振りに惹かれていく様子が可愛かったのですが、恋心を自覚してからの晶の心情がめちゃくちゃ切ない……
自分は虎目の想い人を蘇らせるためだけの存在で、虎目の側にいられない人間なんだ…と泣く姿に思わず貰い泣き。
そんな晶の直向きさに、次第に惹かれていく虎目。
晶への想いが大きくなる一方で「想い人を裏切る」と、素直に気持ちを認められない虎目も焦れったくてしんどい……!
辛い、辛すぎるよ…けど、この切なすぎるすれ違いと両片思いを経て、無事に結ばれた2人に幸福感もひとしおです(合掌)
欲を言えば、晶を失いかけて狼狽える虎目をもっと見たかったのが正直なところ。
辛いターンに比べると甘さが若干足りないので、晶にデレデレな虎目の続編を是非ともお願いします……!