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作家買いです。タイトルの『閨盗賊』というタイトルといい、小山田さんの描かれた麗しい表紙といい、ちょっと淫靡なかほりが漂い、読む前からテンションが上がりました。内容はすでに書いてくださっているので感想を。
沙野作品なので一筋縄ではいかないストーリーなんだろうなとは思っていましたが、そう来たか!というストーリー展開でした。伏線があちこちに巻かれていて、それを回収しつつ二転三転するストーリー展開はさすが。ネタバレしてしまうと面白さ半減だと思うので詳細は描きませんが、SFというか、ファンタジー要素があり、とても面白かった。
沙野さんというと、受けに執着する攻めに攻めを一心に慕う受け、というCPが思い浮かびますが、この作品は勘違いからくるすれ違いがあったり、受けの『攻めに弱みを見せたくない』という思いが強いせいで甘さはやや低め。
濡れ場は多いですし、二人の間に甘い空気は流れるものの、中盤まではそれが「まがいもの」の気持ちからくる甘さなので(少なくとも受けのレンはそう思い込んでいる)こともあってより切ない感じで話は進んでいきます。
なので終盤の二人のバカップルぶりにはほっこりしました。
カイルのレンへの執着ぶりには沙野さんらしさが出ていましたし、まっさらさんだったレンがカイルによって開花されていくさまは圧巻。頓珍漢なカイルのヤキモチも可愛いです☆
しかし、この作品の影のボスはイザイでしょう。彼の存在感は半端なかった。
沙野さんの書き方がお上手なこともあると思います。が、小山田さんの描かれたイザイが何しろかっこよすぎる。
年齢不詳で、実にミステリアスなイザイを見事に描き切っています。
出てくる登場人物たち、みんな強烈な個性を持ちながらも、その個性を失うことなく進む統一感のあるストーリーでした。最後にレンがお父さんと和解できたのもとてもよかった。
文句なく、神評価です。
日本人の母を持つレンは東洋の血が流れているということで周囲の人間や継母からぞんざいに扱われ育ちますが、14歳のある日盗賊に誘拐されカインと出会います。
これまで継母の強い信仰心のもと厳しい制約の中で育ってきたレンがカインからの優しいキスで初めての”欲情”を経験した時のうぶな反応には可愛くて笑ってしまいました。
その後、父と同じ貿易商となったレンは12年後にカインとの再会を果たしますが、カインは別人のように敵意を向けてきます。
盗賊との話と思いきや「金の根」という錬金術が絡んだ悪業の話に展開していき、読み応えありました。
とても面白かったです。
小山田先生のイラストも素敵でした。
カインとレンの二人については、12年越しの思いが通じで良かったね~という感じです。
それにしても錬金術師イザイが掴みどころのない存在で気になりました。
表紙タイトルとあらすじがどうにも厳つい印象。
見るからに妖艶で怪しげな雰囲気やな( *´艸`)ワクワクw
純潔を汚すとか、とんだレイプ系!?
なんて読んでみればなんとも甘め。
なんともかわいらしいお話しなのであります。
ニヤニヤが、止まらないw
金持ちの家に生まれたものの、
義母の厳しい躾と扱いで抑圧された生活を送っていた。
ちょっとした心の安らぎのため、行ってはいけないと言われていた川向うに
少しだけ出かけるのが楽しみだった。
そんなある日、うっかり拉致されて~から始まるお話し。
危うく輪姦されそうになっていたところを救ってくれたのが攻。
お互いまだ若い時分。
周りの大人たちから守ってくれる攻の存在に癒され
拉致された身でありながら、このままさらってほしいと願う。
しかし夢はかなわず、現実はとても冷たいものだと思い知らされる。
家に帰されてから月日は流れ、運命の再会と~。
突飛な設定はあるものの、これがまたわかりやすく
サッパリとした話の作りになっているため、
無理なく、起承転結が読みやすい。
再会してからは、二人の仲は良いわけではなかった。
頭に根を植えられて、従順になった攻の言動が
「本当はこうしてやりたかった」の本音と吐露するシーンが好き。
本当は出会った時から、本当はもっと、本当は。
優しくしたい、甘やかしたい、ずっとそばに。
そんな攻が好きだ。
また、大人の事情で少々ひねくれて育った受もまた
子供のころのように「舌が痛い」とキスをねだるしぐさがすごくかわいくて良。
まさかの父がおかれた真実にもビックリですが、
最終大団円でほっとしました。
予想外の甘さが胸にしみます。楽しく読了
英国ビクトリア朝末期を背景とした物語。
英国の作曲家ヘンリー・チャールズ・ラン(1817-1894)が「昨年亡くなった」という記述があるので、1895年の話と思われます。
主人公は准男爵の息子・レン(受け)。
彼は12年前、14歳のころ盗賊団に誘拐されたことがあり、そのとき優しくしてくれた棟梁の息子・カイル(攻め)に淡い恋心を抱いていました。
12年後、父のあとを継いで貿易商となったレンは、カイルと再会。
盗賊をやめレンの同業者となったカイルは、レンの商会を潰すと宣言し、様々な妨害を仕掛けてきて…
というような話。
レンは、あとがきに書かれているように色々こじらせまくった複雑な人物。
彼の亡くなった母親は東洋人で、
有色人種を劣った存在とみなす継母(敬虔なクリスチャン)に厳しく育てられたことから、
かなり抑圧された少年時代を過ごしていました。
誘拐された数日間はカイルと幸せな日々を過ごしますが、その後カイルにあっさり解放されたことに傷つき、家に戻ってからは心を殺して勉学に打ち込むように。
12年後の彼は立派な商人に成長し、商売敵のカイルのことも潰す気満々ですが、その一方で自慰も性交も自戒するほど未だカイルのことを引きずっている…
そんな、冷徹になりきれないところに人間味があるキャラクターです。
カイルは、盗賊時代はレンを他の盗賊から守ってくれる優しいお兄さんでしたが、再会後の彼はちょっと思い込みの激しい俺様攻めに。
レンの商会が錬金術師と組んで人を操り、秘密裏に奴隷貿易を行っていることや、
レンがその錬金術師と親しげに話していたことから、
レンのことも疑い、彼を「男好きの色情狂」と罵り陵辱します。
そんなカイルですが、錬金術師に捕まり、彼の発明した「金の根」を脳に埋め込まれてからは、レンの言うことは何でも聞く「隷属者」に。
レンにデレデレで、レンと同じ世界を見たくて貿易商になったんだ、などと嬉しそうに語る彼はやけに素直で可愛いです。
罪悪感を抱きつつもこの状況を利用してカイルの商会を抱き込み、カイルとの蜜月をちゃっかり楽しむレンは、やはり人間味あふれるキャラクター。
しかし最終的にはカイルの洗脳を解き、「金の根」撲滅に邁進する正義感の強さを見せます。
錬金術師や医師のガードの緩さや、カイルが盗賊をやめ貿易商になった経緯(なぜカイルだけ捕まりもせず生き延びたのか?)など細部の甘さが気になりましたが、レンが抑圧された少年時代から解放され、愛する人と自由を手にするラストは感動的。
実は12年前からレンに惹かれていたカイルのデレや、カイルに開発され立派な誘い受けに成長するレンの変化など、萌の面でも楽しめました。
小山田あみさんの挿絵もいつもながら大変重厚で美しく、特に表紙のイザイ(錬金術師)のカッコよさには見惚れてしまいました。
大好きとまではいきませんが、沙野さん作品らしい安定した面白さのある一冊です。
父と継母から抑圧され育ったレン(受け)は、14歳の頃に盗賊団に誘拐され、輪姦されそうになったところを助けてくれた頭領の息子・カイル(攻め)に心を捕らわれた。共にはいられず家に帰されたが、12年後、父の貿易会社を手伝うレンの元にカイルが現れる。カイルはなぜかレンの仕事を邪魔し、父の貿易会社を潰すと宣言するが…。
継母に厳しい洗脳教育を受けていた受けが、ゆるゆる俺様な攻めと出会って心惹かれる話です。出会いは受け14歳攻め17歳、再会は受け26歳攻め29歳。
表紙のおどろおどろしい感じやタイトルから、割と耽美な話なのかなーと思っていましたが、結構明るく微笑ましい話でした。
抑圧されて育った受けは、ちょっと羽目を外して貧民街に行ったことで盗賊団に誘拐されます。そこで盗賊団のメンバーに輪姦されそうになったところを、盗賊団の頭領の息子に「俺専用にする」と助けられます。
継母に姦淫は悪だと厳しく躾けられたため、穢れは悪、穢されたら死んでしまう、と思っています。攻めにヤられそうになって、自害を厭わないほどに抵抗する受け。そんな受けを面白く思い、攻めは手は出さないでいてくれます。
受けは人肌の温かさや、攻めの優しさに惹かれていきます。この少年時代の2人が微笑ましすぎて、主な萌えはこのあたり。
再会したときにはお互いに誤解があったりでツンケンし合っているのですが、受けを気に入っている錬金術士が、受けのために攻めをとある術で従順にしてくれるのがエロ要素です。
自分にいつもツンケンしている想い人が、にっこりしながら何でも言うことを聞いてくれる傀儡に…そりゃ誘惑に負けて使っちゃいますよね、口やら棒やら。
エセ従順攻めに開発されちゃってエロエロになっちゃう受け。元々「姦淫は許されません!」とか言ってた子と同一人物とは思えません。小山田あみさんの描く上品そうな黒髪受けが乱れる様は大層眼福でした。
ラストもちゃんと作り込まれていて、全てが片付いたスッキリした終わり方でした。
よくある「誰それはどこ行ったの?」とか脇役が消えちゃうこともなく、伏線もきちんと回収され…。
BL要素だけでなく、作品としてしっかりしている印象でした。