小説

  • S捜査官は跪かない―Dom/Subユニバース―

S捜査官は跪かない―Dom/Subユニバース―

s sousakan wa hizamazukanai

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作S捜査官は跪かない―Dom/Subユニバース―

櫛田,医師資格を持つ厚生労働省官僚,Dom
羽田静,29歳,特殊性向犯罪対策本部に所属する警察官

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

人を支配したい“Dom"とされたい“Sub"、D/Sと呼ばれる性向を利用した犯罪が、疑似的にD/Sプレイを楽しめるドラッグ・アポロと共に急増。警察官の静は麻取と合同の対策本部に配属され、厚生労働省官僚でDomの櫛田と組まされる。無表情すぎて何を考えているか読めない櫛田を持て余していた静は、手配車両を捜索中アポロを摂取してしまいSubに覚醒する。櫛田は発情した静を助けるため“命令"を下す。屈辱的なのに征服されることに静は喜びを感じてしまい…。

作品情報

作品名
S捜査官は跪かない―Dom/Subユニバース―
著者
手嶋サカリ 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784778131753
4.2

(48)

(25)

萌々

(14)

(6)

中立

(0)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
10
得点
199
評価数
48
平均
4.2 / 5
神率
52.1%

レビュー投稿数10

Dom/Subユニバースものということで。

初読みの作家さまでしたが、今人気上昇中らしい「Dom/Subユニバース」ものということと、みずかねさんの描かれた美麗表紙に釣られて購入。

Dom/Subユニバースものはまだ2冊目で(1冊目は山田ノノノさんの「跪いて愛を問う」)、今一つ世界観を理解しきれていないような気もしましたが、ストーリー自体非常に面白く一気読みしました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公は警察官の静。
彼の父親は警官から叩ぎ上げで政治家にまでなった重鎮。が、静の母親は愛人でしかなく、父親からはずっと放置されてきた。けれど本妻さんとの間に子がなせなかったことから父親は静を跡取りと認め、それに伴い静の生活の一切を管理し取り仕切ってきた、という過去がある。

静が刑事になったのも父親の意向でしかなく、さらに父親のおかげもあってか順調に出世を続ける静にやっかみ、辛辣な態度を取る周囲の人たちもいる。それを跳ねのけようと、日々奮闘する健気な男性でもある。

最近とあるセックスドラッグ「アポロ」が蔓延し、そのドラッグを介した事件が多発していた。「アポロ」は摂取することで疑似的にDom/Subを体験できる、というものだが、クスリ欲しさに犯罪に手を染める事件が急増し、アポロを駆使したと思われる犯罪だと推測された。

それに対抗する形で「特殊性向犯罪対策本部」が立ち上げられ、そこに静は捜査員として加わるが、医師免許も持つ異色の官僚・櫛田とペアを組まされることになる。お飾りの上司と組まされたことに辟易としつつ捜査に奔走する静だったが、捜査過程でアポロを浴びてしまい―。

というお話。

Dom/Subユニバース。
んー、オメガバースに近い感じかな?SMとは違う…、んですね?
と今一つ理解しきれていないのですが、

人を支配したい「Dom」と支配されたい「Sub」がいる。
「Sub」には発情期があり、発作的に支配されたいという感情に苦しむことがある。
生まれつき持つ性癖で、とある出来事をきっかけにその性癖を発症することもあれば気づかずに生きていくこともある。
基本的にはパートナーを作るが、パートナーの解消は自由。
セックスの時だけではなく、日常生活の上でも「Dom」は「Sub」から認められたいし、可愛がりたいし、甘やかしたい。反対に「Sub」は「Dom」に構ってほしいし、いじめられたいし、尽くしたい。
この関係が上手くいかないと日常生活に支障をきたすほどの身体的な変調をきたすことがある。
っていう感じでしょうか。

今作品では、静は潜在的に「Sub」の性癖を持ち合わせていたけれど、アポロを浴びてしまったことで顕在化した、ということなんですね。

で、静と仕事上のパートナーである櫛田は「Dom」であり、仕事において、そして私生活において、静と櫛田は仮のパートナーになるけれど。

静はその生育環境により、一人で奮闘する癖がついているっていうのかな。誰に頼ることもできず、周囲からの偏見を跳ね返すためには自分が頑張るしかないと思っている。そんな彼が、自身が「Sub」だと知ってしまった。その時の絶望感が手に取る様にわかる。櫛田を頼りたくない、けれど「Dom」に支配されたい。手嶋さんの文章が非常にお上手で、彼の葛藤や苦しみが読者の胸に迫ってくる感じ。

バックボーンとしてはシリアス寄りなのですが、ベースとしてはシリアス一辺倒ではありません。その大きな要因の一つが、櫛田の関西弁。仕事の時は標準語で会話しますが、プライベートの時はおっとりした関西弁で話すのです。これがなんともまろやかというのか。そして彼自身、穏やかな人物ということが大きく効いている感じ。

Dom/Subは基本的にDomが支配し、Subは支配される側、という関係なので、どうしてもセックスの時はDomがSubを押さえつける、といった立ち位置がベースなのだと思います。支配する、ということで、櫛田が静を言葉で嬲ったり、軽くお尻を叩いたり、我慢させたり、ということはあるのですが、ハード過ぎず、ぬる過ぎず、櫛田が優しい男性なのでプレイ自体がハードになりすぎない。このジャンルは初心者なのでこの二人の関係が標準的なものなのか否か分かりませんが、少なくとも初心者には非常に手に取りやすい1冊だったと思います。

で、今作品は二人のDom/Subという関係が大きな因子ではありますが、そこにセックスドラッグが絡んだ犯罪が加わることによりミステリーの要素もプラスされて、犯罪解明のストーリーもすごく面白かった。

正直に言ってしまうと犯人は途中で読めてしまう部分もあったりするのですが、そこに絡めてDom/Subの性に生まれついてしまった人の葛藤とか苦しみとか、櫛田の過去とか、あるいは複雑な人間関係もきちんと描かれていて非常に読みごたえがありました。

お互いに深い愛情があるからこそ、Dom/Subユニバースという性が生きてくる、というのが素晴らしい。そしてオメガバものと大きく異なるのは、パートナーという関係を、Subからも解消できる、という部分なのでしょうかね。一度番契約を結んだら最後、オメガにとってはどんな状況でも番解消はできない(アルファは可能なのにね)と違って、本当に対等な立場。

SMものとか、オメガバものとか、近い関係のものは他にあるので、作家さまの書き方によってDom/Subユニバースが生きるか否か変わってきそうなのも面白い。

新たなジャンルとして確立されそうなのもうなづける、非常に魅力的なジャンルだと思います。

初読みの作家さまでしたが、読みやすい文体に素晴らしいバックボーン、魅力的なキャラ、引き込まれるストーリ展開。どれをとっても素晴らしい作品でした。手嶋さんの違う作品も読んでみたいと思います。

あ、みずかねさんの挿絵は今回も素晴らしかったです。
みずかねさんの描かれるスーツは最高だ…。

9

待っていましたよ‼︎

新作、めちゃくちゃ楽しみにしていました!色々な設定を楽しませてくださっている先生ですが、新作Dom/Subとは…‼︎これはもう、期待しかない‼︎しかも警察ものです‼︎


主人公の羽田静は、警察庁のエリート。将来が約束されているのは警察出身の父の後ろ盾があってのこと。親の期待に応えるため、幼少期からその思いに支配され続けてきた羽田。誰にも弱音を吐けない精神的な孤立の中で、職務に身を投じてきたのですが…。

羽田の転機は、D/Sドラッグ犯罪の根絶を掲げた、警察と麻取による合同対策本部の新設でした。彼とペアを組むことになった櫛田は、厚労省キャリアでDom。それまでNだった羽田は、捜査現場で不用意にD/Sドラッグを吸い込んでしまい、潜在的にSub傾向が強かったために覚醒してしまいます。


事件の展開も興味深かったし、成人してからD/Sに覚醒した羽田の戸惑いと葛藤や、父親からの支配から解放してくれた人物との出会いなど、物語の核心となる部分をしっかりと読ませてくれて、さらにDom/Subユニバースの美味しいところを存分に楽しませてもらいました‼︎

警察と麻取の競演(饗宴?)は最高の舞台ですし、メインカプの肩書きがこれまた絶妙で…。いやぁ〜、Dom/Subって、攻めの魅力が試される設定なんだなーって改めて実感しました。攻め厨に優しいユニバースです!

そ・し・て!・!このお話にはもう一つニッチな特典があります!それは…

関西弁♡

あれ、ズルいです〜。死ぬほど萌えました。読みながらテーブルがんがんに叩きました。叩き割る勢いでした…。

ハードボイルド系がお好きな方にぜひおすすめ‼︎

2

こんな攻め最高だよ〜!

初めましての作家さんと小説では初めての設定です。

支配とか服従とかちょっとな…と思ってましたし、読んでみてやっぱりその部分はそこまで萌えなかったのです。
ストーリーや事件捜査や犯人を突き止めたりがとても読み応えがありました。

そしてなにより攻め櫛田!最高だよ!
受け静視点でしか書かれない櫛田。静を通してしか櫛田のことはわからないのですが、こんなん惚れるわ!

美形エリートで無表情。しかしそれは自分の特性を他者に影響を与えないため。
本当はべつに気難しくもなく、世話焼きで心配性で。そして熱い想いを抱えていて…。
二人がだんだん互いのことを理解していく様子に、櫛田のことがわかってくると、もう夢中になりました。関西弁ずるいでしょ〜。

最後のエッチは発情ということもあり、命令があったりで、ここまで神だったけどエッチが残念だな…と思ったら!
はぁ〜、とことん尽くす攻め、甘やかし管理し可愛がり。しかも互いがパートナーとしてぴったりなんて最強でしょう!

静も一皮剥けて(精神的にね!)父の支配や七光りも利用してやろうって思えるようになって。
あとやっぱり攻めが受けを可愛いと思ってるのって自分にとっては大事なんですよね。
このお話はそうじゃないのかな?と思ってたら最後にちゃんとあって良かったです。

2

ある意味純な二人

Dom/Subはコミックス、小説共に経験無しで、こちらが初めて読んだ作品です。
そもそもオメガバースは刺さらずで、最初は小難しい設定やなー、どうかなー、と読み出すまでが長かった…。ついつい後回しにして他の作品を読んでしまったり(笑)

で、読みだしたら意外とスルスル進んで、警察ものというのもあり、挿絵のDom(攻め?)がイイ男ですっかり一気読み。

ストーリーは違法ドラッグの摘発を主題に、Dom/Subの症状?を絡めつつ、主人公の静が櫛田に惹かれていく様が書かれています。
コレがいい。次第に好きになっていく、櫛田の真摯な振る舞い、過去の出来事からパートナを作らないとはいえ、親身に覚醒してしまった静をサポートします。

支配する側の櫛田のキャラクタに萌。そりゃ静じゃなくても惚れますわ〜。支配の仕方というか、加減がちょうど良いんだなと。標準語と関西弁の使い分けがとても上手。この設定のおかげで、櫛田の精神状態というか気持ちの在処がわかりやすく表現されてると思います。
君塚に支配されてしまった静が、櫛田のグレアと「僕のもんになれ」の言葉で君塚の支配から櫛田の支配へ切り替わるところとか、愛を感じます!

最後はお互いにパートナになり、同じ組織の中で働いていけるというハッピーエンド。
読後感もよく、読んで良かったなと思いました。

2

攻の関西弁が素敵なDom/Subもの

表紙に惹かれて購入しましたが、手嶋サカリ先生!プライベートバンカーですごく好きだなーと思った作家さんでした。

性別とは別に、支配欲と被支配欲があるDomとSubどちらでもないNomalに人間が分かれているということが近年判明した世界。受の静は警察官。Dom Subを擬似体験でき、元々Dom Subの人はその傾向が強くなり快感が強烈なものになるセックスドラッグを追う対策本部に、エリート官僚の櫛田とペアで動く事に。その中で静は誤ってドラッグを吸い込んでしまい…というお話。

事件の真相までのお話も面白く、真犯人が思ってもなかった人だったので驚きました!
BL面では、Domの櫛田に助けられて惹かれていく静の様子が分かりやすく描かれていて良かった。普段標準語の櫛田がプライベートでは関西弁で、それがすごくえち面で効いて色っぽい!

甘いSM的な関係なので、初心者でも読みやすそうと思いました!

2

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP