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表題作Platinum

梶原直人
25歳,大手都市銀行のエリート銀行員
鵜川葵
28歳,区役所・職員

その他の収録作品

  • eternity
  • happy
  • Answer

あらすじ

”ーーこれは、偽物の結婚指輪。ただの「魔除け」で、冗談半分のおもちゃだ。

すべて承知の上で、この部屋にいる。そのはずだった。”


区役所に勤める地味な公務員、鵜川葵は、恋人と別れ自暴自棄になっていたところを、都市銀のエリート、梶原直人に拾われる。二人は、お互いに束縛も干渉もしない大人の関係だと、そう割り切っていたはずだったーー。

作品情報

作品名
Platinum
著者
冬木真魚 
媒体
小説
サークル
サバクノバラトウミノホシ*<サークル>
ジャンル
オリジナル
電子発売日
4.6

(15)

(12)

萌々

(2)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
69
評価数
15
平均
4.6 / 5
神率
80%

レビュー投稿数6

「一つあれば、十分。――本当に大切なものって、一つだけでいいんだよ。たくさん持ってたら、大変だろ?」

最初はお互い都合のいい関係でいただけなのに、少しずつ染み込むように感情が変化していく様子がとても好きです。
なぜか無意識に指輪を眺めてしまう葵。出世のための結婚を割り切っているはずなのに葵のことがよぎる直人。
大切なものは一つだけで、代わりなんていらないという葵の言葉は今までのことを思うと本当に感情を持っていかれます。
冬木先生の場面の見せ方と言いますか、決め手のシーンはそこに行き着くまでの心理描写やエピソードがしっかりと盛り込まれているからこそ何度読んでも心に刺ささります。
そして、Answerでは直人本当にいい男になって。改心する攻めが大好きなので葵のためにこんなに変わった直人が本当にすごいなと。
みんなに祝われる素敵な結婚式に涙で声が詰まる葵に読みながら涙が止まらなくなります。
偽物から本物に。葵が素直な気持ちを話せるように、将来を考え合える関係になったのだなと。プラチナのリングがという最後に余韻が残る終わり方が印象的で素敵です。

0

切なさたっぷり甘々たっぷり

切なさをたっぷり味わえる表題作と、甘々たっぷりのその後のお話。最後の二人は交際歴九年のカップルになっており、これからもきっと大丈夫と安心できる雰囲気で、幸せな気持ちで読み終えることができた。

冒頭一言目から、とても辛い始まり。そしてわざと泥酔した葵は、真夜中の冬の河原で意識を手放す。そんな葵を拾って持って帰ったのが梶原という、運命なんだか気まぐれなんだか分からない出会い。で、なし崩し的に同居が始まる。

葵は本質的には尽くし系だけど、微妙な梶原との関係を保つためか、本音を見せずに都合の良い相手で居続けている。適度にドライに見えるくらいの演技力はあるってことなのか、あまりに梶原が表面しか見ようとしないのか、一年同居しても気付かれていない。

梶原は野心バリバリの俺様系銀行員。出世のためには社長令嬢との結婚も厭わない。葵への優しさは、拾った猫に対するもののように見えることがある。酔った勢いで指輪を渡し、それをはめた葵に違和感を覚えながらも、深くは考えない。

二人の関係は、葵を失った梶原が初めてその大切さに気付くことで変化を迎える。それは同時に葵が初めて素直に気持ちを口にした瞬間でもあって、もしこのとき、二人の歯車がかみ合わなかったらどうなっていたんだろうと思う。退路を残したままやってきて、葵の言葉を聞いてから決断するズルさは梶原らしいかな。

十年経っても二人に熟年感はあまりなく、葵はいまだに梶原と別れる日のことを考えている。そうした不安を取り除くのに何年かかってるんだって話ではあるけど、鈍感な梶原と嘘吐きな葵では仕方ないのかもしれない。

最後は幸せしかない夢のような展開。とても良かった。

1

なんだかんだ、3回は読んでる

期間を開けて3回くらい読んでます。
展開わかってても好きです。
小説は想像が絵に制限されない分、リアル感のある想像ができていいですよね……

あらすじにもある通り、天涯孤独受け様・葵がスーパーエリート攻め様・梶原に"拾われる"ところから始まります。
葵はゲイでそれに伴い過去の恋愛でも辛い経験があり、ノンケの梶原に"拾われ"て、家賃を身体で払う、みたいになるわけなんですが、梶原の優しさに触れたり、交わるうちに好きになっちゃうんですねー、看病とか猫の件とか優しくされたらイメージとのギャップでコロっといっちゃうよねぇ……わかるよ葵サン
葵さんが梶原への恋心に全力で目をそらしながら生活する中、梶原が出世のために結婚すると言い出すのです。
結婚とか関係ない、身体だけでいいと梶原に嫌われないために言い張っていたけど、本当は婚姻届けという契約も愛も欲しくてたまらなかった葵さん、身を投げそうになるのですが、梶原によって阻止されます。そして葵さんへの気持ちも自覚して告白した梶原と同棲を始めるわけです。幸せでよかった!!!

小説は登場人物の心情がそのまま文字として書かれるから、葵さんが梶原の婚約でショックを受けたり出て行ったりのところ、自分もホントにつらくて胸がぐ―――――っとなってしまいました。
葵さん、本当は好きな人には尽くしたいし愛されたいし、梶原と幸せに暮らしてくれ~~~泣
と、ここまでがきれいに完成しすぎて、その後は軽い日常回の番外編かなーと思いながら次を読んだら!まださらにこの二人は幸せに向かって歩いてくれた!!!

相原さんのショートストーリーを挟んで、時は同棲9年後。
出会ってから10年の二人が、海外で挙式するお話です。
同棲しているだけで本当に幸せだから、それ以上は望まない(壊れるのが怖い)葵さんを連れて、海外に住む梶原さんの家族のもとを訪れます。
梶原さんのお姉さんの挙式に合わせて、サプライズで梶原さんと葵さんも挙式。
基本的に葵さん目線でストーリーがすすむので、私もびっくり嬉しかったです笑
婚姻届けはないけども、梶原さんの周囲の人にも認められ、何より梶原さん葵さんの当事者自身が将来の愛を誓いあって、本当に良かったね葵さん~~~~~~とこちらもうれしくなりました。

梶原さんに発破かけてくれた相原さん、グッドジョブです…!!

葵さんの「多くは望まない、このままの幸せを」という願いに終始こちらの胸も痛くなりましたが、最後は大団円でよかったですTT
冬木先生の文体もうまくて、こんなにはまり込んだ小説は久しぶりでした!

1

最高

すれ違った時も乗り越えて幸せを掴んだ2人に涙が出ます。同性婚が日本で早く認められるといいな。

1

キャラにハマれず

Kindleでおすすめ候補に挙がっていて気になっていた作品。うーん、終盤にたどり着くまで厳しかった。テーマとしては、ゲイとノンケが出会い、生涯のパートナーになるまでを描いたもの。ハッピーエンドです。ストーリーラインはテンプレですが、エンディングでゲイの受けが幸せに描かれているので救われます。

残念だったのは、メインカプもサブキャラもわたしにはあまり魅力的に映らなかったこと。主人公の受けが、作中にも言及されているように日陰の「女」としか感じられなかったうえに、優秀な銀行員の攻めは合理主義で出世欲しかなく、人間的にあまりカッコイイとは思えなくて。

受けと同棲していく中で徐々に攻めの価値観が変わっていったのだろうと思うけれど、エッチしかしてなかった二人を強烈に繋ぎとめていたものは何だったのでしょうか?結末まで読み終えてもやっぱりエッチしか思いつかなかったのですが…。攻めが婚約を覆し、上司に土下座級の謝罪をしてまで手放したくなかった受けの魅力が、わたしにはよくわかりませんでした。攻めにとって受けの価値は「いい嫁さん」なだけじゃないですよね…、、?

能動的な受けが好きなので、最初から最後まで悲劇のヒロインを彷彿とさせる受け身の主人公が自分には合わなかったのだろうと思います。

攻めもなぁ…はじめは男っぽさをあえて強調するかのような、銀行員には似つかわしくない粗野なふるまいに違和感しかなくて。でも、同僚女性との付き合い方や家族との関係性が描かれるていくことによって、やっと最後の方で彼が単に裕福なだけではなくリベラルな環境で育ってきた背景が見えてくる。少なくともお話の中盤くらい、いや序盤からにおわせて欲しかったです。猫ちゃんは攻めの器の大きさを本能的に嗅ぎ取っていたんだな…。

ストーリーとは別に視点について気になることが。受け攻めの視点がコロコロ変わり、転換のタイミングが唐突で混乱する場面が多々ありました。そもそも章立てがない作品なのですが、章ごとに視点を変えた方がより読みやすかったのではないかと思います。

1

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