「家」に捉われた麗人は、支配者の執愛にどこまでも堕ちていく――。

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表題作蜜華の檻 ~堕ちた麗人~

眞鍋高明,27歳,実業家
華倉千秋,27歳,元華族の翻訳者

あらすじ

「困っているなら助けてやる」屋敷を売らなければいけない程に困窮した華族家の長男・千秋に手を差し伸べたのは、かつては対立し、会いたくないと思っていた同級生――眞鍋だった。千秋と病弱な姉ごと屋敷を引き取るという資産家の眞鍋の提案に、やむなく従う千秋。美しい姉が目当てではと疑うが、眞鍋は不自然に千秋に触れ、過去の過ちを呼び覚ます。その感情に目を背けていた折、三人の関係を大きく変える事件が! 独占欲を剥き出した眞鍋は、千秋を夜ごと陵辱して…。

作品情報

作品名
蜜華の檻 ~堕ちた麗人~
著者
丸木文華 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784041055694
3.3

(52)

(7)

萌々

(21)

(12)

中立

(5)

趣味じゃない

(7)

レビュー数
9
得点
160
評価数
52
平均
3.3 / 5
神率
13.5%

レビュー投稿数9

戦後混とんとした時期の退廃ロマン

戦後の戦犯狩りがあった時代。

華族家の長男・千秋は、父が自殺。
病弱な姉と屋敷を守る為奔走するが、守り切れない。
そんな時に同級生の眞鍋が支援を申し出てくる。
眞鍋の真意を測り切れな千秋。
必死で藻掻くけれど、大事な姉が呆気なく病死。
独りぼっちになって、生き甲斐も失った千秋には、真鍋しかいなくなる。

色々ナンデモアリだった戦後の混乱期が背景。
退廃的ムードの中で光る存在の美貌の千秋。
千秋をずっと想っていた真鍋。
真鍋の罠にかかった蝶のような千秋は、もう逃げられない。

あとがきに、収録しきれなかった構想があったそうですけど、
最近の丸木先生はTLばかりで、BLは書いていないみたい、
続編を期待できそうもないのが残念。


0

違った意味で怖さがある

丸木文華先生の新作、そして大好きな笠井あゆみ先生の挿絵ということで読ませて貰いました!
簡単に言えば、「蜜華の檻〜落ちた麗人〜」のタイトル通りだったなと思いました。


※ネタバレあり(話の流れ)


華族でプライドが高い主人公(受け)の千秋の一族が困窮し、困っている所にかつて対立していた同級生の眞鍋(攻め)と再会する。眞鍋は資産家となっており「自分(主人公)とお姉さんを養ってやる」と2人と屋敷を引き取ります。
屋敷の主人となった眞鍋(攻め)にほだされ、プライドが高かった受けが段々と眞鍋にいいようにされる流れです。
最初は嫌々でしたが最後の方だとラブラブです。
しかし…初めにいた頃のプライドの高い主人公の面影はなくなりました。
(華人であるべき主人公が死んだ様に)
眞鍋(攻め)の策略にまんまと嵌り、憎しみを抱きながら体を繋いでいたはずが、快楽で人が変わったかのように眞鍋(攻め)に寄り添うようになる…
お互いに心も結ばれたので、そこ辺りだとハッピーエンドかな?っと思いました。

けど最後の文面を読むと…
恐らく…バッドエンドと捉えていいかな…

2人から見るとハッピーエンド
華族(家族)から見るとバッドエンド
そんな感じがしました。

私的に最後の文面は一番キモだと思ってます。読まれると方は注目してみるといいかもしれません。
それと攻めの「※ションション飲んでやる」な変態発言も見所です(笑)

15

挿絵が素晴らしい

丸木さんの作品は当たりハズレがあります。高評価のレビューが多くても、私的には地雷があったりと・・いつも買うとき迷います。今回もどうしようと迷い、あらすじを読んで、大丈夫かなと判断し購入しました。結果、買ってよかったです。
あらすじなどは他の方が書いていますので、割愛します。ざっくりいうと、華族だった千秋が戦争後華族制度が廃止し、お金がなくなり屋敷を手放そうとしたところに眞鍋が千秋の屋敷を買うというお話。相変わらず、攻め様が受け様に執着しますが、今回は他作品ほどの執着はありませんでした。眞鍋は学生の頃から千秋のことが好きで、10年も思い続けていますが、その割には話の内容的には薄い。千秋の屋敷を買って、千秋を手元に置こうとするけど、その後何があるのかと思いきや、特に無く。私としては監禁とか・・そういうのがあったら(私の希望です)もっと面白かったかな?お姉さんの八重子がいたから、そんなことできないと思いますが・・。今回の攻め様は割とまとも・・?後半に色々とありますが、それもあっさりめでした。
もともと、ルビー文庫さんはそんなに濃ゆいシーンはありませんよね。大人のルビー文庫と謳っていても、それほど濃ゆーい大人?な話は書けないんですかね?丸木さんの作品にしてはおとなしめな印象でした。
しかし、色々と書きましたが今回のお話、大好きです!!もっと、こう展開すればいいなぁという希望はありますが、あっさりと読めて特に後味が悪くなかったので良かったです。

3

受け、がんばれ…


時代は戦後の日本。
母は幼い頃に亡くなり、父親は自殺。
残ったのは当主となった受けと、体の弱い姉だけ。

戦争前は華やかに暮らしていたのが一変し、苦難する受けの前に学生の頃ライバルとも思っていた攻めが姿を現します。

自分とは違って成功している攻めに取引を持ち掛けられ、渋々条件を吞みますが何故好条件を突きつけるのか。
それは自分の姉を好いているからだと納得しようとしたり、華族として尊厳や誇りなどに葛藤してグルグルしてます。

また、受けは姉を少し神聖視しているところがあったり…と、このお話で姉の存在が結構大きかったなと思いました。

この時代でなければもっと簡単で幸せだったかもしれないのに…と読みながら何度も思わせられました。
ただ、そんな窮地でも攻めが受けを大切に思っていることも伝わるし、不器用だけれど本当に一途だぁと思う反面、受けはなかなか素直になれません。

もちろんちゃんと攻めに執着心ありますが、男前で純愛さを感じました。
受けは悩み過ぎてしまうもありますが、芯も持っている。

そしてある出来事をキッカケに、受けが廃人も同然になります。
痛々しくて本当に可哀想な思いをしてる受けに胸が締め付けられました。

その後、どうなったのか…。
続きが気になる方は、ぜひ購入して読んでみてください。

全体的にダークめ。
雰囲気は「フェロモン探偵」より「mother」「ノエル」「隷属志願」の方が近いと思います。

イラストが秀麗で想像していた人物や雰囲気にとても合っていました。

あとがきで丸木先生がおっしゃっていた、ページ数の都合上入れれなかった攻め視点や学生時代のエピソードが豊富だったら、もっと深くこの作品を好きになれただろうなぁと思いました。

1

同級生ライバル

同級生だが、旧華族と新華族で対立しながら過ごした過去。
それから戦後になって…
没落してしまった旧華族の千秋。細々と翻訳で生計を立てていたが、ある日、真鍋が屋敷を買い取ると言ってきて…

千秋はかなり容姿端麗、線は細いもののややもすると女性だけじゃなくて男も寄って来るほど。
対する真鍋も男としての貫禄と戦後うまくやって財力まで備えていました。そして二人には過去、抱き合った記憶が…

真鍋はずっと千秋のことが好きだったんですよね。だから、気持ちを抑えたいが、そうも出来なくて。対する千秋は、旧華族としてのプライドがあり、学生時代から成金の真鍋には負けられない気持ちもあり、でも気になる存在でもあり。小屋での出来事も記憶に残っていて。
真鍋に施されているという状況をなかなか認められず、真鍋の真意(千秋を好きだということ)を見ないようにしていたところもあったように思います。でも、ちゃんと想いが通じ合えてからは、翻訳だけじゃなく通訳としても働くことによって、真鍋の立ち位置もわかり、支えることで自分にも自信が持てたからうまくやっていけるんじゃないかなって終わり方でした。

笠井あゆみさんのイラストが素敵なんですが、KADOKAWAの電子書籍なので、ebookではまとめ収録でページジャンプになっちゃうのが辛い…やっぱり読んでてスムースに挿絵を見られるのが雰囲気が壊れなくていいのになぁ。

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