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4

蒼穹のローレライ

soukyu no Lorelei

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表題作蒼穹のローレライ

三上徹雄,整備科飛行班の整備員,24歳
浅群塁,一飛曹,零戦搭乗員,19歳

その他の収録作品

  • 幽き星に栄誉あれ
  • 月と懐中時計
  • 面影(書き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

時は太平洋戦争中期──。空路ラバウルの基地に向かっていた整備員の三上は、敵襲の危機を一機の零戦に助けられる。不思議な音を響かせて戦うその零戦のパイロットこそ、≪ローレライ≫の二つ名を持つ浅群塁一飛曹だった──‼︎「俺は一機でも多く墜として名誉を取り戻す」と、命知らずな戦いを続ける塁。三上は塁の機専属の整備員に任命されて…!? 尾上与一の初期最高傑作≪1945シリーズ≫待望の復刊‼︎

作品情報

作品名
蒼穹のローレライ
著者
尾上与一 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
天球儀の海
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011269

マンスリーレビューランキング

4

4.9

(62)

(59)

萌々

(2)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
11
得点
304
評価数
62
平均
4.9 / 5
神率
95.2%

レビュー投稿数11

とりあえず読んでくれと言いたい。

再販作品なのにマンスリーレビューランキング第1位になっていることに興味を引かれて、うっかり手を伸ばしてしまいました。戦争もの、あんまり得意じゃないのに。しかし、読み始めると物語の世界にたちまち引き込まれてしまいました。

電子書籍で読んだので文庫の物理的厚みはわかりませんが、個人的体感では、休憩なしで読んだとしたら二時間かからず読めるほどの分量だと思います。

でも、そんなに長くはない作品だけれど、あえて小刻みに休憩を入れなければ読めなかったです。物語の吸引力が凄すぎて、どっぷりハマると当分脱け出せず、読後虚無の日々を過ごしてしまいそうな気がしたのです。

それはラバウル島の風景描写が眩しくて、零戦の構造や飛行の様子がまるで本物を見ているかのように詳細に描かれていて、三上と浅群の切実な心情が自分のことのように伝わってくるからです。

戦闘描写や空爆の場面の真に迫る描写には鳥肌が立ちました。残された時間の無いことに追い立てられながら切実に相手を求めて愛を交わす三上と浅群には心臓をギュッと鷲掴みにされたように苦しくなりました。

なんて凄い小説としか言いようがないです。これを、商業BL小説というターゲット層がごく限られた範囲に絞られたジャンルで読めるという贅沢……。

出来たら普段はBLは読まないという方にも読んで欲しい名作です。

3

最後の最後に見つけた幸せ

作品じたいは創作でも、本当にあった戦争。
どうしてもファンタジーとは受け止められない1945だと思います。
その中でも不幸せな人生を歩んできた塁が最後の最後に見つけた幸せ。
本当にBLとは何なのか、愛は孤独な心にどれだけ潤いを与えるのかを学ばせて頂きました。
作品は切なく、涙してしまいますが幸せを見つけた塁が本当に良かったと思いました。
素敵な作品を読ませて頂いて先生に感謝致します。

6

感無量

再出版おめでとうございます。この日を心より待ち望んでおりました。

私の拙い文章ではこの壮大な愛の物語を語ることはできません。けれど間違いなく、私の中で「蒼穹のローレライ」を超えるbl小説に出会うことはないでしょう。それくらい、最初に読んでから6年の時が過ぎた今でも心に残る作品です。

7

この作品を読めたことに感謝

絶版で読めなくて、でもフリマアプリで買うとなぁ…と悩んでいたところに再版!ありがとうございます!ありがとうございます!
本当にこのシリーズに触れられて幸せでした。
尾上先生は、ままならない恋心を描くのがとても素晴らしい!花降るシリーズのアイデース皇帝ご夫妻で思っていたことがここでも…
泣けたし、現実になかなか戻ってこられませんでした。
シリーズすべて再版されるということで、今からとても楽しみです!

8

恋という表現では生ぬるい

初読みです。読み終えて10日ほど経ちましたがいまだにこの世界から抜け出せず、次読もうと買っておいた本にまだ手を付けられていません……。BL小説の枠を超えた物語だと感じました。単純な萌えとかときめく恋模様とかでは片付けられなくて、なんて言うんでしょう、恋と呼ぶのでは生ぬるい。2人が恋に落ちた、という表現では陳腐で言い表せない。もっと深く、本能的に相手を求めているというか、心の奥深くに相手を想う気持ちがあるというか、無償の献身というか……なんとも私の文章力では言い表せません。時代や状況的にも、「好きだ」とか「恋人になってくれ」とかの告白の文言も一切ないのですが、でも、身も心も相手に捧げ、身を引き裂かれるような心地になりながらもまっすぐ相手を想い焦がれる男二人の切実な感情を浴びることが出来ます。そういうの大好きです……!
戦闘シーンや機体の整備、整備士や搭乗員の暮らしやちょっとしたエピソードまで戦時中のリアルが溢れています。風景の描写や心理描写も巧みで、文章もストレスなくするすると読むことが出来ました。
ざっくり言うと、戦果を挙げるため諸刃の剣のような戦い方をする零戦搭乗員の塁と、そんな塁の戦い方を辞めさせようと何度も阻む整備士の三上のお話です。だいぶ悲惨な過去があり、警戒心が強く他人との交流が乏しい塁が、反発を繰り返しながらも次第に三上に心を開いていくさまにじんわりと胸が熱くなります。家の汚名を雪ぐため、戦果を挙げ栄誉の死を望み向こう見ずな戦いをする塁ですが、次第にその無茶な戦いをする理由が変わっていくのが……なんともせつなくやるせなく、胸が締め付けられます。
太平洋戦争中の前線地ラバウルが舞台となっており少し重めのお話となっておりますが、是非とも読んでいただきたいです。尾上先生の書き下ろし短編と牧先生の描き下ろしイラストが収録されているので、絶版本を持っていらっしゃる方にもおすすめです。どちらも素晴らしく、あたたかいのにせつなくて情緒が乱されます。

8

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