特典付き
由元先生は典型的なα×Ωのカップルよりも、βがメインになる作品が多くて好きです。
今作もα×β。
運命に左右されない、「人を好きになる」ことに主軸を置いていて、でも好きだからこそ「運命」や「性別」「番」などの特別な関係性にコンプレックスを持ってしまう人間臭さがすごく良かった。
一般的にオメガバース作品で苦悩するのはΩやβの受けであることが多いですが、αである攻めが苦悩するところも由元先生らしさだなぁと。
α攻めがモブΩに故意にヒートを当てられて、それを助けたいと思った受けのβが「オレでよければしてもいいよ」のような発言を攻めにするのですが、
そのときの攻めの拒否の言葉がすごくすごーく刺さってじーんとしました。
攻め泣きが好きな人にもぜひオススメしたいです。
ちょこっとだけ出てくる受けのバイト先の脇役である典型的圧力系のαと、Ωだけどカラっと「あいつ苦手だわ〜」と言える陽キャな子の絡みも良くて、この2人のスピンオフはどこだ?!と探してしまいました笑(見つけられなかった)
全体的に悲壮感が無く、エロエロなのにほわっとした作風なのが、理不尽不憫系オメガバースが苦手な私にはとても良かったです。
由元千子先生の作品を読むのは「ロマンティックマリッジ」に続いて2作目になります。
まず幼馴染同士で受はとくに可愛くもないβで、攻は人気者の年下αの高校生って面白くない訳ないです。
もう二人のセックスシーンが凄く色っぽいんですよ。感じてる稀壱の表情もですが、上になって必死な勇威の表情が堪らないです。
勇威の稀壱に対する執着具合とかに萌えまくりでした。
一番は勇威が自分がαだと判明した時の気持ちにジワジワ来ました。そして好きでもないΩにヒートで迫られて、その場を必死になって立ち去る勇威にグッとくる事間違いなしです。
同時収録作の「花の生態」は番に夢を見ていたαの稚那と、Ωでクズ設定って面白いと思った宏頼のお話でした。宏頼に振り回されて我慢する稚那がとにかく可哀想で気の毒でした。
こちらのお話は好き嫌いが分かれると思います。
↓ネタバレ含みます!
表題作α×β(運命よりも好きだと言って)と1話のみの短編α×Ω(花の生態)と書き下ろしのそれぞれの後日談が入っていました。どちらもオメガバースですがスピンオフ等世界線が繋がっているわけではなさそうです。
○運命よりも好きだと言って(萌×2)
攻めの勇威がとても良かったです。読者から見ると好意も執着もダダ漏れなのですがなかなか受けに対してハッキリ好意を示せないのが可愛かったです。不器用な年下らしさが感じられました。そしていざ両想いになってみると甘々の溺愛っぷりを素直に見せているのも可愛かったです。
攻めのキャラがとても良く、受けにも特に不満はなかったのですが他の方も言っているようにストーリーがあっさりとして感じられました。他のΩのヒートに当てられてもかなり理性保っていられるし、受けに対してもそのまま理性を抑えられず押し倒すわけでもなく比較的普通に想い伝えてラブラブエッチで結ばれる形でした。途中でドキッとする展開を好む私からするともう少し何か山場が欲しかったなぁと思いました。
○花の生態(中立〜萌)
受けが堂々と色んな人と関係を持っているクズ受けです。最初攻めに嫉妬して欲しくて嘘ついたりしているのかと思いましたが、おそらく普通にクズ受けでした。運命の番なのでなかなか離れるのも難しいのでしょうが主に攻めはこの先の人生苦労が多そうだなぁと思いました。ただ攻めは攻めで手錠で抵抗させないようにして無理矢理番になっているのでどっちもどっちなとこはあると思います。
萌と萌×2で迷いましたが表題作の攻めである勇威君がかなり好きだったので萌×2にしました。彼が幸せそうなので良かったです。
個人的にオメガバースなのにα×Ωよりもそうじゃないカップリングが好きです。
運命に抗う、第二の性に囚われない、そんなふたりの恋愛がいいんですよね。
近頃は王道や運命の番のα×Ωによるオメガバース作品ばかりで、健気なβの恋愛を応援したいわたしはずっと待っていました!!
しかも幼馴染でイケメン陽キャ年下α攻めと地味で陰キャ無自覚βとは最高です。
小さい頃から好きだったαがとにかく攻めまくり、あっという間に流されてしまうチョロい受け。ふたりの気持ちの噛み合わなくて焦る攻めが空回りするのを見るのもよかったです。
やっぱりΩか女の子がいいよね、と距離を置こうとする受けの健気さも可愛かったです。
だんだんとふたりの想いが近づいて、両想いになってからのエッチはやっぱりふたりとも幸せそうでとってもエロエロだし、安心した攻めが年下ならではの甘えを出すギャップも幼馴染ならではの良さもありました。
βの項を何度も跡が残るくらいに噛んだり、孕ませたいと思ったりする執着ぶりがαならではで、まるで運命やΩに対するようでした。ある意味、ふたりはバース性に囚われない運命の相手なのかもしれませんね。
由元千子先生の描かれる丁寧できれいな絵柄とエチエチなシーンもいいですよ。
シャルルコミックスさんは大人向けのエッチな作品を量産してくれます。
バイト先の当て馬かも??と思われたαとΩの関係性とその後が気になるので、ぜひつづきを描いてほしいなぁと思っています。
あと短編で、運命の番の真面目な年下α×ダメおやじΩが収録されています。
オメガバース2作品収録。
「運命よりも好きだと言って」
由元先生はエロおじ作品多め?というイメージがあったけど、本作は大学生同士。
冒頭は、イケメンが隠キャのオドオドくんの事をいじめていていいように使ってる、という雰囲気で始まるんだけど、読んでいくうちにαイケメンの勇威(実は年下の幼馴染)はフツメンβの稀壱を小さい時から大好きだった、どんどん好きが高まってる、というのが分かってきます。
逆に…
稀壱の方は勇威の気持ちに全く気づいてません。
鈍感というのもあるし、αはΩと付き合うものだ、という価値観があるため。
また、勇威も何も言葉にせず「誰でもする」なんて言い訳してHな事を仕掛けていくんだもの。
稀壱は勇威が飽きるまででいいから、なんて思ってるし。
ああすれ違い。
しかし、ある日勇威がΩのヒートに当てられて発情しかかったことで事態は動きます。
結果的に「番」とか「運命」には当てはまらない2人だけど、恋人になった後の勇威が思いの外可愛い。意外とこれからはワンコ攻めになったりして。
「花の生態」
「運命の番」に出会った大学生でαの稚那。
しかし、相手のΩ・宏頼は相手が一人では満足できないから番わない、と言う。そして平気で他の男ともホテルに…
我慢できない稚那は宏頼を監禁し、無理矢理うなじに…!
…と、どんな薄暗い話かと思いきや。
えっここで終わり?これで良かったの?というラストでした。イヤまあ良かったんですけどね。
さて、私としては表題作の稀壱のバイト先にいるαの美堂が気になってる。スピンオフ来ないかな…