【電子限定おまけ付き】【イラスト付き】
作家買い。
サマミヤさんの描かれた表紙も麗しく、どんなお話かなあとテンション高く読み始めました。
保険会社で営業事務として働くリーマン・織人。24歳。
年齢=恋人なしという彼はちょっと弱気で人に物事をはっきり言うのが苦手な青年。その性格に付け込んだように仕事を押し付けられ、仕事を辞めてやる!と思っている。そんな彼はある日とあるゲームを自身の荷物の中から発掘。RPGで、主人公の仲間だと思っていた聖騎士が実はラスボスで…、という内容のゲームを何周かしたところで、彼は突然そのゲームの中にトリップしてしまい―?
というお話。
突然トリップし茫然とする彼だったがはじめは「これは夢だ」と思う。
が、もしかしたらほんとにゲームの中にトリップした?と気づき…。
そしてそこで彼はゲームと同じ内容をたどっていくわけですが。
最近、こういうゲームの中にトリップする、という内容のものって多いですが、個人的にはゲームはほとんどしないので今一つ話に入り込めないんですよね。ゲームをされる方ならもっと違う読み方をされるのかも。
織人はゲームの流れそのままに、聖騎士団の副団長のシルヴィスと出会い、そして魔物討伐をしたりしていくわけですが、織人にはシルヴィスがどういう立ち位置の人で、これからどういう経緯をたどるのか、ということを知っている。ゲームそのままの設定でありストーリーだから。
闇落ちしラスボスと化すシルヴィスと、そのラスボスを倒す存在なのが織人、という展開なので、織人とシルヴィスはいうなれば相反する立場。そのシルヴィスと織人の恋の行方は―?という部分を軸に進むストーリーです。
まずシルヴィス。
彼がカッコいいです。とっても。
神の加護を受けた聖騎士団員。強く美しく、そして優しい。
そんな彼の素の姿が可愛くってギャップ萌え。そして彼が抱える孤独にも。
織人は、まあ「ずるい」んですよね。
だってシルヴィスがどういう人で、これからどういう行動をとるのか、ということをゲームを介して事前に知っているわけですから。シルヴィスが望むものや、どうすれば彼を救うことができるのかその答えを、織人は知っている。
が、そううまくいくはずもなく奮闘する織人という青年がまあ可愛いのなんのって。弱気で、人からは下に見られる、というと語弊があるかもしれませんが、とにかく自分でどんどん行動して行くタイプの青年ではありません。その彼がシルヴィスのために奮闘し、少しずつ逞しくなっていく過程がカッコよくって萌える。
人々からの期待、今は亡き兄への複雑な思い、そういったものを抱えたシルヴィスが闇落ちしてしまうのか?、という部分がベースにあるので若干シリアスさはありますが、全体の雰囲気としてはコミカルでほのぼのです。織人、シルヴィスのパーティに加わるリリアーナとグレゴリーがいい味を出していることもありますし、シルヴィス×織人の掛け合いが楽しいこと、そして彼らを取り巻く周囲の人たちが非常に優しいからかな。
シリアス過ぎないので、さらりと読める可愛らしい1冊でした。
シルヴィス×織人の2人の掛け合いはとっても可愛いのですが、一転、閨のシーンになるととんでもなくエロいです。ページ数は多くはありませんがまっさらな織人を快楽で堕とすシルヴィスがとってもエッチでした。そのシーンをサマミヤさんの美麗挿絵が飾るという眼福さ。
コミカルで、シリアスで、でも二人の深い愛情もきちんと描かれているバランスのいい作品でした。
ブラック企業の社畜リーマン織人はある日古いRPGゲームの世界にトリップ。そこで聖騎士団副団長シルヴィスと出会い…織人の成長と共に、真実の愛を実らせた2人の物語。
織人が必死でシルヴィスを守ろうとしてるのは理解できたけど、真実を隠され孤独になり破滅の王になってしまったシルヴィスは切なかった。シルヴィスにとっては唯一心を許せて愛したのが織人だったから。織人の想いが通じてシルヴィスが救われて安堵しました。2人のその後も書かれていて嬉しかった。
シルヴィスの孤独が深かったので、織人に執着溺愛する様は、愛する人を見つけられて良かったなぁと嬉しかった。
サマミヤアカザ先生のイラストが美しい!目の保養でした(〃艸〃)
面白かった。
ゲームの世界にトリップして、最初の仲間にして闇堕ちラスボス予定の攻めと恋する話。
受けの中で最初はゲームキャラクターの一人でしかなかった攻めがどんどん解像度を上げて生身の人間になっていく過程がとても良かった。ゲームでは描かれてなかった本人の気持ちや、ゲームシステムではなく受け本人の行動が攻めの好感度を上げているとわかる描写が特に良かった。
受けは内向的なコミュ障でところどころにコミュ障あるあるが詰まってるのも面白かった。攻めの悪口を言う人々に受けが怒るシーンがあるんだけど、主人公補正なんてなくてコミュ障らしくもにょもにょと不完全燃焼に終わっちゃう。このシーンがとても良かった。ゲームシナリオの影響ではなく、受け自身に攻めが惚れる動機が理解できるシーン。人見知りで初対面の人が現れると攻めの後ろに隠れちゃう受けも可愛かった。
攻めは普段は聖騎士らしく品行方正で上品なんだけど、素はもうちょっと粗雑で味の濃いジャンクな食べ物が好きで、そんなギャップも萌える。そして独占欲が強くて周りに牽制しまくりなのも良い。
パーティーメンバーのグレゴリーやリリアーナも二人と相性が良くて、見ていて楽しいグループだった。
初見の作家さんでしたが、文章がスルスル入ってきて凄く読みやすかったです。
正にタイトル通りの展開で王道異世界転移モノですが、自分の性癖が詰まった設定にドキドキしながら楽しめました
まず、攻め様の【闇落ちラスボス】設定が最高ですね!!
〝闇落ちする攻め〟が大好きなので、シルヴィスのキャラ設定にめちゃくちゃ萌えた〜…!!
品行方正・清廉潔白で市民からの人気を集める聖騎士様ですが、本当は元ヤン(元々ヤンチャ)で口が悪い二面性も◎
元ヤン設定ですが俺様傲慢な怖い印象は無く、情に熱い気さくな兄貴ですね。
また、完璧な兄に対して憧れとコンプレックスを拗らせている、闇の部分も兼ね備えていて……
爽やかなのに闇を抱えるキャラクターってやっぱ良いな…!
主人公・織人はゲームシナリオを全て知っているので、将来的にラスボスになるシルヴィスとは出来れば離れたい…なんて思っていましたが、ゲームキャラでは無い等身大のシルヴィスを知れば知るほど惹かれていき……
シルヴィスとの交流を経て、卑屈だった性格が前向きに成長していく様子にジーンときました。
シルヴィスの闇落ち回避のために懸命に行動するものの、それが原因ですれ違ってしまう展開が切ない……
そして、濡れ場が大変エロくて驚きです!
素直に甘える織人がめちゃくちゃ可愛く、「あーん」と媚薬を求める描写が兎に角エッチで堪らん……!!
意地悪に責めるSっ気シルヴィスもスケベで最高すぎる!!!
エロメインの作品では無いですが、ボリュームたっぷりの艶かしい濡れ場は嬉しい誤算でした。
ただ、2人の交流にキュンとする反面、闇落ちしたシルヴィスの救済方法が攻略本キッカケなのが少し残念……
1番重要な部分なので、織人には自力で気づいて欲しかったな…と言うのが正直なところ。
とは言え、大団円のラストにほっこり幸せな気持ちになり、甘々な2人に癒される可愛い作品でした!
前作が気に入って村崎さんの3冊目を購入しました。
しかし、一冊一冊雰囲気が違う感じがします。
このつかみどころのない感じが、村崎樹さんなのかなぁ?
『気がつくとゲーム世界の中に入っちゃっていました』系のお話は、いわゆる『〇〇バース』と一緒で『運命というものとどう関わるか』という所がテーマなのかなと思うんです。
うーむ……私は運命って、なんか苦手なんですよ。
気がつくと織人は自分が何度もクリアしたゲーム世界の主人公(世界の終わりを止める光の聖者)になっちゃっていて、知り合った聖騎士団副団長のシルヴィスとパーティを組むんだけど、このシルヴィス、ゲームの最後で破滅の王と化してしまうキャラクターなんですよ。織人はシルヴィスを知るほどに「こんな良い奴、闇落ちさせたくない」と努力するんですけれど……っていうお話なんですが。
気がついたらするっと読み終わっちゃっていました。
なんだろう、面白くない訳じゃないんですよ。
でもひっかかりがなくて。
織人が感じる自分の人生に対する不完全燃焼感も、シルヴィスが背負っている亡き兄に変わって完全な聖騎士であらんとすることによって生まれる抑圧も、解るんですよ。解るんですけどなんか『するっと読んじゃった』んです。
Loveについても、シルヴィスは織人に対して解りやすく甘々です。
織人なんか「主人公補正がかかってるからじゃないか」なんて思っています。でも、最初から最後までずーっと甘々なんですよね。
波乱がない。
ひねりが好きな捻じ曲がった根性の私には、ちょっと物足りなかったです。