【電子限定おまけ付き】【イラスト付き】
『図書塔』を舞台に展開される、ファンタジックで美しい物語です。
主人公は半獣うさぎのチカ。チカには両親がおらず、“図書塔”の読書士長であるセザールに育てられます。
図書塔は、旧世界の書物や資料が眠る場所。読書士とうさぎは、とうに眠る書物を発掘するのがお仕事で、チカもその一員。
そんなチカは、物心ついた頃から愛情たっぷりで接してくれるセザールに恋をしており……というのがあらすじです。
セザールは37歳、チカは18歳なので年齢差好きな方はぜひどうぞ。人間×半獣というのも、好きな方にはぶっ刺さるジャンルなのではないでしょうか。
わたしは年齢差も異種恋愛も好きなのでたまりませんでした。
そしてセザールのイケメンスパダリっぷり。言うことなしです。
まず、世界観がRPGのようで、ファンタジー好きな方にはかなり刺さるのではないでしょうか。私はファンタジークソ野郎なので、設定にのめり込むのにそう時間は要しませんでした。
不憫で一途な健気受けが読みたい!という方に是非オススメしたい作品です。
以下ネタバレです。
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育ての親である図書塔の読書士長セザールを一心に愛する、半獣うさぎのチカ。
セザールが与えてくれる疑うことなき愛に、チカは心を満たしていきますが、チカの18歳の誕生日を目前に王宮からの使者が二人を分かちます。
チカは、王の血を引く王子様だったのです。
チカはセザールと離れ離れになることを拒否しますが、セザールには、チカの知らないある一面がありました。
それは、セザールの憎しみです。セザールは、パートナーであった半獣うさぎの婚約者を国王に奪われたという過去があったのです。
セザールの婚約者と国王との間にできた子供が……
そう、チカです。
セザールの憎しみの矛先は、チカに向きます。
「殺さずに育てれば、そのあいだずっと国王を苦しめられるからだ。そしていつか、私を裏切った二人の血を引くうさぎに、私と同じ恥辱を味わわせてやるために、特別優しくしてやったんだ。懐いて、恋をして、私がすべてだと思わせてから、犯すためにね(150ページより)」
チカはセザールしか知りません。生まれてからずっと、彼に育てられ、慈しまれ、愛されてきたと思って生きてきたのです。そして急に、お前への憎しみからそうしていたのだと言われたら、縋るすべもなく、世界は閉ざされてしまうのは想像に容易いこと。
憎しみをぶつけられてもなお、セザールを信じようと、彼の憎しみと悲しみすら理解した上で、どんな形でもいいから一緒にいたいと懇願するチカに涙腺は緩む一方でした。
「なにか取ってこいって言うなら、世界の果てまで行ってきてもいい。蔑むのでも、耳が嫌いなら切り落とすのでも――そうだ、蹴るのだっていいです。さっき、男の人が言ってたんです。船に乗っているあいだは暇だから、鞠のかわりに蹴飛ばそうかって。僕、そういうのでも全然――(187ページより)」
愛されなくてもいいから、何されてもいいから、傍にいて役に立ちたい。それ以外の生きるすべを知らない。まっすぐなチカの想いは、セザールに罪悪感を感じさせ、チカを傷つけるべきではなかったと、後悔するのでした。
ところどころセザール視点の話が挟まれるのが、より双方の心情の変化を読み取ることができて良い。
不憫な健気受けが読みたい!という方がいらっしゃいましたら、手放しで勧めたい作品です
くっそ泣きました。
受け・健気うさぎ チカ
攻め・粘着質復讐男 セザール
もう、読んで欲しい。
読んで、セザールどうよ?フレデリコどうよ?と分かち合いたい。
みなさん、たくさん書かれていますので、あらすじは省きます。
今作のチカは、全て捧げます系です。
育ての親ともいえるセザールに全て捧げて、受け入れられた後で、全否定されます。
存在そのものを否定されます。ひどいです。
チカは傷つきます。泣きポイントです。
が、結局、骨の髄まで染まってるので。
やっぱり、セザール大好き!…って、そうなるように育てられてるんです。
その上で、あのセリフ!(他の方参照して下さい。)
ここで号泣。読書、一時中断です。
チカの気持ち考えたら、震える。
悲壮感が漂ってないのが、もう、ね!
チカが全て。チカに救われる。チカ万歳。
そんな終わり方。愛はセザールを救う。
年齢的には、私はフレデリコと同世代。セザールはちょい下。
パパ友、ママ友的な感覚になってしまうので、ちょっとアンタ達ねー!って言いたくなってしまったわ。
ひどい言い草だけど、面白かったですよ。
葵居先生の作品て、なんかキャラ濃い気がします。
でも、先生は意図してないような。私の受け取り方が歪んでるのかしら。
何作か読んで、ジワジワきてます。脳に染み渡るんですよ。侵食されて、日常生活のふとした瞬間に葵居作品が蘇る。。沼の予感。
異種族愛のファンタジー。
自分勝手なセザールは、チカに隠している事がある。
物語の進捗につれ、セザールの虚構が剥がれていく。
でも、チカの愛は不動。
・・チカは健気というより、洗脳が解けない愚者に近い。
事件が起きて、チカを失いかけてセザールは初めて後悔する。
★以下、あらすじ。・・ 激しくネタバレするので、嫌な方は読まないで。
天才セザールは執念深くて「心の偏差値」が低い自分勝手。
愛されたいのに、愛し方も愛され方も知らない、冷血漢だった。
己を裏切った雌うさぎと王へ復讐するため、生まれてすぐのチカを王宮から攫い、18年育てる。
絶望を与えたときに深く心を抉るように、チカに呪文のように愛を呟く。
でも、セザールが復讐したいのは、雌兎のイウリと王のはずで、チカは無関係。
そもそも、チカの母イウリは、セザールを裏切っては居ない、
セザールは、嫌がるイウリをもの扱いして拘束する。
自分専属のうさぎとして強引に契約し、結婚も意思確認せず押し付けるセザール。
王に紹介すれば、イウリは観念すると思ったら、逆だった。
セザールの不在の間にイウリは優しい王に恋をして、王の子を身籠る。
激怒したセザールは、赤ん坊のチカを拉致して図書遺跡に籠る。
王は常に自分を責める人。セザールを咎めることができない。
チカも、父親似で、自分が悪いと考える。
チカと王様がじれったいけど、面白かった。
チカの兄、亡くなったエンリケ王子の事をもっと知りたかった。
大きな七つの島でできている世界。
発掘された書物から、知識や技術を読み取り生活、発展しています。
特に図書搭からは多くの書物が発掘されています。
発掘し、書物を読み解く役割を果たすのが読書士。
書物の匂いや気配に敏感で、読書士と共に発掘に同行するうさぎ。
五の島の図書搭で暮らす半獣うさぎのチカと、読書士長のセザールのお話です。
銀髪ロングのセザールと垂れたうさ耳のチカの美麗表紙を見ただけでワクワクします。
育ての親のセザールを恋慕うチカの片思いのような描写から始まります。
あらすじにもあるように、18歳目前にセザールに抱かれます。
そして数日後に自分が王子であるという事実を知らされます。
片思いの相手に抱かれて実は自分が王子様だったなんて、夢のようなお話〜、と思っていたのですが
「夢みるうさぎのお話」ではないんです。
そこから明らかになる愛憎入り交じる真実。
ふわっときゅんとするような感じではなく、結構ドロリとした感じなんです。
ドロリとしているので、チカの健気さに救われます。一途健気受けって最強ですね。
結構エロに割かれている割合が多めでした。
内容もエロエロだなと感じました。
セザール様、言葉攻めタイプでとてもエチでした。
うさぎは好きな相手を前にすると花の匂いを発してしまうので、周りにバレバレなのとか
セザールが周りを気にせずにスキンシップをするところとか可愛いくて甘美な雰囲気がありました。
七つの島や図書搭等の世界観がとても素敵だったので、この世界観をもっと深く知りたいとも思いました。
ですが、ラブがしっかり描かれていたのでとても満足感がありました。
作家買い。
葵居さんの新刊はちょっと独特な世界観を持つファンタジーもの。ほっこり…、な作品かと思ったら二転三転するストーリー展開を見せる1冊で、最後まで一気に読んでしまいました。
図書塔、と呼ばれる場所がある。図書塔はその名の通り書物がたくさん埋まっている場所。人々は書物を見つけ出し、その書物から様々な知識や利器を身に着けていく。だから書物は人の生活には欠かせない。
が、どこにどんな書物があるのかは全くの手探り状態。危険な場所にあり、見つけるのも一苦労。だから書物を見つけ出し文字を解読し、人々の生活に役立つ知識を探してくれる「読書士」は尊敬される人物だ。
そんな中、書物がどこにあるのか、どんな書物があるのかを見つけるのが上手な人物がいる。「うさぎ」だ。かつては人に愛でられ可愛がられる存在だったうさぎは、今では人と同じ姿を持ち(でもケモ耳はついている)、数もめっきり減り希少な存在だがうさぎがいれば作業も捗るため、読書士にとっては欠かせないパートナー。契約を交わすことでずっと一緒に作業をすることができる。
という、ファンタジーもの。
今作品の主人公は、その「うさぎ」であるチカ。
チカには恋焦がれている人物がいる。有能な読書士であるセザールだ。両親のいないチカを引き取り、子どもの時から愛情深く育ててくれた。けれどセザールはチカの想いを受け取ってくれることはない。セザールの恋人になれなくても良い。「うさぎ」として読書士のセザールと契約を交わすことがチカの目標だ。
けれどその優しく温かな日々を送る二人のもとに一人の人物がやってくることで亀裂が入ることに。セザールの師であるオラーヴォだ。温厚で知識豊かなオラーヴォをチカは尊敬しているが、セザールはいつも素っ気ない態度を取る。それには理由があってー。
両親がいないチカを慈しみ育てるスパダリ・セザールと、セザールに恋焦がれるチカ、というほのぼのな2人の描写から物語はスタートします。葵居先生らしい、ほのぼのなお話?
そう思いつつ読み進めたのですが。
そうきたかー!
という、波乱に波乱を呼ぶ展開です。
チカの両親、セザールがチカを引き取り育ててきた理由、セザールがオラーヴォを避ける理由。そういったものが、少しずつ繋がり始め、怒涛の展開をみせる。さすがベテラン作家さま。めっちゃ面白い…。あまり書いてしまうとネタバレになりすぎてしまうのでこれ以上書きませんが、二転三転するストーリー展開をぜひとも満喫していただきたいです。
で、古澤さんの挿絵がこれまた良い。
チカの可愛さとか、セザールの男の色香とか、めっちゃヤバい。
チカは「うさぎ」なわけですが、BL作品におけるうさぎちゃんといえば、「発情」。快楽に弱々で、攻めさんに触れらるとすぐにスイッチが入ってしまう、そんなイメージが個人的に強いのですが、このチカちゃんといううさぎちゃんもそのイメージを損なうことのないエッチな受けちゃんです。ビッチさんなわけではなく、大好きなセザールに触れられることに喜びを感じてしまうという可愛い受けちゃんで、そこもまた良い。うさ耳がついている可愛いビジュアルにこのエロさ。ヤバいです。そしてそのエロ可愛さを古澤さんの挿絵で堪能できるという眼福さよ。
途中シリアス展開になり、ハラハラしつつ読み進めましたが、最後は大団円。これ、二人のお子のお話も読んでみたいな。
独創的なバックボーンも面白いし、キャラはみんな素敵だし、甘々なだけではないストーリー展開は秀逸だし、絵柄は素敵だし。めっちゃ萌える、そんな1冊でした。