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表題作月は夜しか昇らない

玖月論
警視庁刑事部捜査支援分析センター第三捜査支援課一係巡査部長,26歳
戸明依史
玖月の監視対象者,弁護士,31歳

その他の収録作品

  • 夜明けの月と僕(書き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

薬物所持被疑者の監視任務についている玖月は、変化のない毎日を送る対象者がある日流した涙が気になっていた。その彼・戸明と街で遭遇し……? 近未来が舞台のミッドナイト・ランデヴー

作品情報

作品名
月は夜しか昇らない
著者
砂原糖子 
イラスト
草間さかえ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784403525513
4.6

(81)

(59)

萌々

(16)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
13
得点
375
評価数
81
平均
4.6 / 5
神率
72.8%

レビュー投稿数13

夜明けのこれこら(*^^*)

犯罪防止の為、24時間での被疑者の監視が可能という、いつかありそうな近未来の世界のお話でした。

攻様は、モニター越しに被疑者の監視をする部署に勤務する警察官の玖月。
”16番”という名称で監視対象者の1人であるのが、受様である弁護士の戸明。

玖月は偶然にも戸明と出会い、言葉を交わし、名乗りあってしまう。
交互視点ですすむので、過ごす時間は短いけれどお互いに好意を抱いていくのが分かって( *´艸`)

罪悪感にかられながら、戸明が監視対象者から外れる日を待っていたところ、意外な人物が戸明の家を訪れ。

感情の起伏が少ない、冷静すぎる玖月だったので、どうもたんたんとストーリーが進んでいるようで、イマイチのりきれなかったのが、この辺りからが違う面が見えてきていいじゃないの~♡

攻様の苦悩、大好物なのですよ(≧▽≦)

真面目で慎重だと思っていた戸明からの言葉も好きです。
戸明から動かないと、玖月からはいけなかったでしょうからね。

夜から始まった2人の夜明けを見せてもらって、とても嬉しい気持ちになりました。

0

切なさと幸せが押し寄せてくるラスト

近未来のお話で、監視する者×監視される者という、面白い設定。常に夜が続いているような、静かな雰囲気もとても良い。表題作ラストは切なさと幸せが押し寄せてくるようで、じんわり泣きたくなった。この作品、めちゃくちゃ好き。

盗撮されている被疑者を常時監視する刑事の玖月。対象者である戸明のことは、一方的に見ているだけで、内面までは知らない。実生活では全く接点のない二人が、どのように出会い近づいていくのか、わくわくしながら読み進める。

きっかけは玖月の方から。後に明かされた戸明視点の回想で、玖月が戸明の傷付いた心の隙間に綺麗に入り込んでしまったことが分かる。借りたハンカチを返すために、負担にならないお礼の品まで用意して、玖月を待つ戸明が可愛い。

が、二人がゆっくり仲を深めていくにつれ、戸明が真実を知ったときの衝撃を想像し、胸が痛くなってくる。プライベート空間での自分を全て見られていたと分かったうえで玖月の発言を思い返すと、複雑な心境に陥るだろうと思う。

監視業務は当然すんなり終了することはなく、思わぬ事態へ。結果的に玖月の口から事情を伝えられたのは良かったのかな。とはいえ、拒絶も忘れるという提案も玖月主導のもので、振り回される戸明は気の毒としか言いようがなかった。

ラストは二人の出会いのやり直し。ベタだけどおしゃれで、やっぱりこういうのに弱いと思ってしまう。素敵な余韻に浸れる終わり方だった。

その後のお話では、改めて二人の関係をはっきりさせる。お互いにヤキモチを焼き合う二人が微笑ましい。ちょっと陽の気配を纏う玖月を見れたのも良かった。

ちょっと気になったのは、戸明の弁護士とは思えない発言。法に詳しいはずの弁護士にしては違和感が……と思う場面が何度かあった。まあ専門分野が違うのかな。

世界観や空気感にハマるタイプの作品で、すぐに読み返したくなった。静かな夜にぴったりだと思う。

0

心臓が脈打つような恋

しっとりとした夜の空気が漂う作品でした。
綺麗な月夜が印象的なはずなのに、どことなく梅雨の湿度も感じるような大人の恋愛模様が本当に素敵な作品。
草間先生のカバーイラストも作品のイメージにぴったりでうれしい。

ずっとその目で見ていた、決して出逢ってはいけない人に声を掛けてしまった。
本来ならば許されない恋をしてしまった。
ただ淡々と一対象者である「16番」を監視する側だったはずが、なんの変化もない生活を送っていた彼がふいにこぼした涙の理由を知りたくなってしまった。

被疑者を監視をするだけの淡々とした日々を過ごしていた玖月の心臓が徐々に脈打っていく姿というのか、モニター越しに見ていた16番の「先生」こと戸明と接点を持ってしまって以来、止まらない彼の胸の高まりが読み手にどうしようもなく伝わって来るのです。
近付いてはいけない。これ以上はいけないと思いながらも、もっと会いたくなってしまう。
もっと相手のことが知りたくなってしまう。
1度走り出したら最後、流れるように落ちるとはこのことかなと、人が恋に落ちる姿の描き方が非常にドラマチックなんですよ。
2人の心の距離が近付けば近付くほど、玖月が言い出せない隠し事という後ろめたさと背徳感が効いていてもどかしく、その丁寧な心理描写に唸ってしまいます。
砂原先生は人間の感情の揺れの部分を描くのが本当にお上手ですよね。
それでいて、ストーリー展開も先が読みたくなる面白さなのだからもうすごいとしか。
予想が外れる面白さもあり、感情通りにはすんなりとは上手くいかない大人のままならない恋が堪能出来る読み応えのある1冊でした。

1

しっとりドキドキ

草間先生の表紙が素敵なちょい近未来もの!

何事にも動じない監視者×真面目堅物監視対象者

モニター越しで一方的に知るだけだったのに、関わり合ってはいけない2人なのに、知る程に惹かれ合う…
しっとり穏やかの中のドラマチックさにドキドキしました。

スーツと眼鏡で武装した人からこぼれる可愛さは格別すぎました!!
純なのに感じやすすぎるって反則!
優しくしたいと泣かせたいの押し方がすばらしい年下攻めで…
どんどん戸明さんに心惹かれてく様が胸熱でした!!!

あとがきよ草間先生の眼鏡受けを書いて欲しくて…に分かる~と、ありがとうございます!の気持ちでいっぱいです!
挿絵もピッタリ素敵でした!!

1

攻めが恋の沼にずるずる落ちていく様子が良い

近未来SF。
麻薬所持容疑者の自宅の監視が任務の警察官攻めと監視対象者の弁護士受け。攻めは夜間の監視担当で受けの夜の様子が筒抜け。

攻めは感情の起伏が少なくて他人に関心がなく、容疑者達のプライベートを監視し続ける仕事に適正があるんだけど現実世界で受けとばったり出くわしてしまってから歯車が狂っていく様子が面白かった。職務を逸脱していると理性ではわかりながらも会いたい気持ちが抑えきれなくて苦しんでいる姿がいい。

受けも可愛らしい人で好き。攻めに恋をしてからの意地らしい様子が攻めには筒抜けで、その可愛らしさに攻めはノックダウンされちゃう。連絡先を交換した晩に、連絡する勇気は出ないけどアドレス帳のページをずっと眺めていたりとにかく健気。デートの前日に一生懸命洋服を選んでいた事もバレバレで攻めにちゃんと褒めて貰えて良かったね、と微笑ましい気持ちになる。

攻めの幼少期のエピソードに絡めた締めのセリフも好きだった。

3

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