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表題作篝火の塔、沈黙の唇

十左,世話係
椿,幽閉されている盲目の少年

同時収録作品同作品

有吉(椿の実父,敷島子爵家)

同時収録作品同作品

高男、満流(椿の義兄)
椿

その他の収録作品

  • 翡翠の庭
  • あとがき

あらすじ

島の灯台に幽閉され、腹違いの兄達の慰みものにされている椿は、敷島子爵家の嫡男として生まれた。
しかし生まれてすぐ盲目となったため、家を継げず、今は兄二人に嬲られる日々を送っている。
ある日、椿のもとに十左という男がやって来る。
十左は椿を救おうとしたとはいえ、椿から父の庇護を奪った男だった。
名を隠し椿の世話係となった十左は、兄達に仕込まれた薬で苦しむ椿を慰める。
やがて二人は心を通わせ始めるが…。

作品情報

作品名
篝火の塔、沈黙の唇
著者
玄上八絹 
イラスト
竹美家らら 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784344810044
3.7

(24)

(9)

萌々

(4)

(7)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
7
得点
85
評価数
24
平均
3.7 / 5
神率
37.5%

レビュー投稿数7

え待って…これもっと語り継がれるべき

文章としては読みにくかったり主語が分かりにくかったり、少々酔っている箇所もあったのですが、素敵過ぎるエピソードと時代の雰囲気、退廃的な灯台暮らし、今は余り見ない幼児虐待と兄弟虐待とが詰め込んであって読み応えありました。

盲目で離れに幽閉されている椿に、山での果物や綺麗なものを取ってきては触らせ、いずれ帯刀を許されれば必ずお守りすると誓う若き武士の十左。かわいい…

椿が実の父に覆い被されていたところを一閃で切り殺した十左。それから数年の後、灯台で物資と引き換えの暴力を甘んじつつ細々と生きる美人の椿と世話係、そこに義兄からの嫌味で加えられた昔の仇という構図が良い。

玩具や薬で椿を壊し、十左にはそれを目撃させ、後に手当てさせ、慰める。
あるところから椿は十左に時にわがままになるのも微笑ましかったです。入ってはならぬ上階の灯台の作業場に居付き、そのせいで十左はそこを丹念に掃除せねばならず、何をしているにも椿はふかふかの座布団に寝転んでいる…可愛い。

世話する千代が許さなかった体の関係をあっさり交わしたり、「最も重い罪」とあれもこれも挙げて一体どれが一番なのと思ったりもしましたが、もう少し助けに来るタイミングも他にあったよねぇとも思いましたが、この作品にしかない儚さと退廃、純粋な幼児期の恋は凄く良かったです。表紙がもっと歴史ものと感じられたらな。

0

理想の主従

痛々しいからこそ美しい話。
椿があまりにもひどい目に遭うので可哀想ではあるが、だからこそ、それぞれの想いが際立つ。
あまりにも痛々しいので、2人にはプラトニックな関係を築いてほしいと思ったほど。
最後に衝撃の事実が明かされるので、読み返したら印象も変わりそう。

このジャンルの作品にしては珍しく登場する女性が皆素晴らしい。
文章は読みづらい部分もあったが、とても良かった。
お互いを思い合う理想の主従が読めて満足。

0

温かい物語でした

あまり慣れない文体なので理解するのに時間がかかる部分もありましたが、時間をかけた分、情景が浮かびやすく物語に入り込めました。
痛々しいはずの描写も詩的に感じられ芸術的なSMを感じさせるようなものでした。著者の本意ではないかもしれませんが…

ただ、千代の手紙にあった言葉で、「決して生きることを諦めてはならない」と椿を託されたのだから、もう少し最後まで死にものぐるいで生への執着を見せて欲しかったです。それでももう手立てが尽き、死にかけた時にようやく綾倉家がやってくるくらいの方が椿の十左への想いがもっと高まったのかもと。十左は生きるか死ぬかの厳しい環境にいたのだし、何の知恵もない人間ではなかったはずでしょうから、自分の扶持だけ椿に与えて死を待つなんてのはちょっと頼りないなと思いました。二人の邪魔をする本家もいなくなったのだし。
でもあとで人物の特性を見たら十左はヘタレとあったので、それでよかったのかもしれませんが(笑)

最後の回想を読み終えたあとに何度も所々読み返したくなりました。
2人の境遇が悲惨だっただけに、最後はほんとに心温まりました。

1

閉じられた世界

自分は小説を読むペースは比較的速い方なんですが、この作品はじっくりゆっくり読みました。
息子椿[受]は本家の嫡男でで有りながら母親によって盲目にされひっそりと隠し育てられ、父親の死後は孤島の灯台に幽閉されています。
島と言っても食料も無く灯台だけが有るというそんな環境で、年老いた女中が一人世話をやく為に居るのみ。
椿の異母兄弟の兄2人は、時折舟で食料を運んで来ては椿を慰み者にします、この辺の描写は結構ハード。

その灯台に椿の父親を殺した男、十佐が下男として世話役に入る事になるのです。
彼は椿の前では口をきく事を禁じられ、ひたすら彼の為に尽くします。

とまあざっとこんなストーリーなんですが、この作品の魅力というのは閉鎖されたあまりにも狭い空間の中で繰り広げられる精神とのふれ合い、そして十佐の苦しみと犠牲愛。
椿という少年の汚されてもいたぶられて、諦めている様にも見えてどこかしらつかみ所の無い措底辺に流れる強さ。
何より灯台という閉鎖された空間描写が溜らなく美しい文章で丹念に書かれています。
ラストは救いの手が差し伸べられたにも関わらず彼等は灯台に留まる事を選ぶのです。
孤島の閉ざされた空間のその灯台に。

5

ちょっと苦手かな

かなり痛い話でした。痛くて痛くて、途中読むのを躊躇されるものがありました。だからお兄さん達の鬼畜名場面はすっ飛ばして読みました。

2

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