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北九州・小倉の街を舞台に繰り広げられる、男たちの人生ゲーム!!
舞台となるのは北九州。繁華街の外れにある、こじんまりとした一昔前のパチンコ店パーラー・レトロ。
今作が発売されたのは2007年。レビューを書いている2023年現在から16年前の作品になるのですが、初読時から妙に記憶に残るなぜか忘れられない作品のひとつです。
今回久しぶりに再読し、どこに惹かれるのか考えてみた結果、やはり攻め・飛良の小倉弁という方言の力が大きいのかもしれないなと思います。
自分が触れてきた方言とは全く異なる言い回しだからなのか、飛良の感情がよりストレートに伝わって来たように感じたのかも。
もちろん方言以外にも見どころはたっぷり。
女子校の元英語教師で、いわゆるわけありの主人公・優也が何の縁もゆかりもない味のあるパチンコ店に、寮完備で特に職歴等も問わないことを理由に職歴を隠して転がり込むわけです。
レトロな店にとっては売り上げの命運を賭けると言っても過言ではない、パチンコ台の釘を締めたり緩めたりするプロ・釘師の飛良に気に入られ…と進むお話。
まず、職業設定が面白いんですよね。釘師もそうですが、パチンコ店の業務内容も描かれた作品はあまり見かけないのではないでしょうか。
職業描写も面白いのですけれど、私が惹かれたのは攻めの飛良と受けの優也の関係性の変化と、読み始めのキャラクター像と読み終えた後の見え方が別ものになっていくところ。
当初は頼りなさげでぼんやりとした…なんというか、水分が足りずに覇気のない観葉植物のようだった優也がまるで別人のようなんですよ。
その一方で、店に勤務する者たちからは「先生」と呼ばれ、どこか貫禄があって余裕もありそうな食えない人物に見えていた飛良が、過去が起因して年相応以下の幼い面を抱えていたりと、人物の掘り下げとギャップが読み始めからは想像がつかなかったもので面白いんです。
レトロなパチンコ店での出会いをきっかけに、2人の過去・トラウマ・裏社会のあれこれ…と、広がっていきます。
受けの優也が、攻めに守られる一方の受けではなくて、色んな意味で不器用な攻めの弱みになれる受けになるんですよ。最初からそうなのではなくて、飛良と過ごす内に自然とそうなっていくのが良いんですよね。
飛良の「好いちょう」がかわいらしく見えてすごく好き。
意味違いの「両刀」だったり、「イースターエッグ」だったり、いつき先生によるユーモア溢れるキャラクターたちの言い回しも好みでした。
珍しい職種ものが読みたい方はもちろん、受けのファーストピアスを攻めが開ける図がお好きな方や、方言萌えの方もぜひ。
方言を話す元ヤクザの飛良、彼はバイで釘師。
その店に新しい見習いで清掃員としてやってきたのが優也。関西弁はたまに見るけど、主役がガッツリ方言ってのは珍しい。
優也が事情を抱えてパチンコ屋に住み込みで働き始めたものの、朝に台を調整する飛良は凄みがあり、店長も逆らえないが、彼のお陰で仕事を続けられているようなものだった。
優也が真面目で過去は英語教師だったこともあり、飛良が暴力をふるったりすることに真っ向から指導するので、興味を持たれてしまう。あるきっかけで、飛良のイロとして過ごすことに。
優也が段々に、そして無意識に飛良に惹かれていき、慕うようになる気持ちがゆっくりと書かれています。早いうちに飛良は優也が好きだというんですが、優也の方は男同士だし、気持ちが整理できないままなんですよね。なのに無理矢理抱かれてしまったのが失敗で。
しかし、飛良はその一件以来、よくぞ我慢しましたね。それだけ優也のことが大事だったんでしょう。途中で出てくる阿南との攻防も、最後は飛良に話をすることでさらに優也との間は強固なものになったんだと思います。ちゃんと当て馬としての役割も果たしてくれてた。
優也の真っ当な、普通な人生が女子高生のおかげで狂い始め、でも飛良と出会い愛し会えたことで帳尻はあったのかも知れませんね。
幸せそうな二人が見えるようで、読後感の良い作品でした。
このお話、タイトルと北畠先生のカバーイラストのイメージとはかけ離れた内容なんですよね。カップリングはパチンコの釘師と元高校教師。ほとんど裏社会ものといっていい笑
教職を追われてパチンコ店で住み込みバイトをしていた優也と、営業日に毎日パチンコ台の調整にやってくる釘師の飛良。出会う前の二人は全く異なる世界に住んでいたわけですが、バイの飛良から優也にアクションを起こします。
優也は慣れない業界で何かと庇ってくれた飛良に心を許し、彼に誘われて宿舎を出て仮初の同居生活を承諾します。しばらくはこそばゆい関係が続いたものの、飛良の子供っぽい不器用さと優也の教師体質が災いしてか、気持ちのすれ違いが生じてきます。
飛良が暗に「好いちょうぞ」と優也に伝えているのに、本人には届いていないもどかしさ。優也に捨てられる不安。タチの悪い酒の勢いに煽られて、我慢の限界にきた飛良は優也を凌辱してしまい…。
本編のエチはそれだけ。その後、ヤクザ絡みの物騒な事件も起こりますが、結果優也が飛良の大事な指を守ることに成功し、二人は難を逃れます。エンコ詰めのシーンが真に迫っていて、うひゃーとなりました。
続編「二人ともにあるかぎり…」ではさらにもう一波乱。
授業料未納のため高校を中退している飛良は、ヤンチャして家出をしている間に家族に置き去りにされた過去がありました。その後ヤクザになり、釘師として身を立てる道を得て足を洗ったのですが、ヤクザの修行時代に世話になった兄貴分とはまだ繋がりがあるのです。
この兄貴、阿南がしつこく飛良を自分の右腕にと狙ってくるのです。優也は自分の知らない飛良の過去に介入すべきか、葛藤するのですが…。
全編を通して、本当に読み応えがあります。飛良の小倉弁や舞台となっている北九州の土地柄などが味わえるのも一役買っているのかな。小倉祇園太鼓のお約束(浴衣)シーンも堪能できるので大変うまうまです。
個人的に最も萌えたのは優也が飛良の刺青に嫉妬するシーン。自分にも飛良の柄と対になるような墨を入れたいと訴え、猛反対されます。その代わりに飛良が優也の耳にピアスを開けてあげるのがなんともエロティック。
北畠先生が好きで手に取った作品なのですが、キスシーンの挿絵が笑えてずっと手元に置いています。
とある事情があって、勤めていた勤務先から追い出され、馴染みのないパチンコ屋に勤める優也とそこで釘師として勤める飛良。
最初は接点も何もない二人だったけれど、間違って開店前に入ってきた外国人を優也が、流暢な英語で店から穏便に追い出したところから、二人の距離感が変わっていく。
そして、優也が抱えていた過去。
それは教え子から自分のお腹の子の父親だと名前を挙げられたこと。
まったく身に覚えのない優也だったけれど、優也の言うことを誰にも信じてもらえず、半ば逃げ出すように過去を隠してパチンコ屋に勤め始めたのだった。
新たな勤め先にまで元教え子の父親に押しかけられ、行き場のなくなった優也に「自分の家に住めばいい」と飛良は言ってくれて……
というお話。
そうやって、立場も過去も抱えているものも何もかもが違う二人の距離がそっと近づいていく家庭が丁寧でとてもあったかい。
飛良は暴力の世界に生きていた男で、そのことから優也をトラブルに巻き込んだりもするけど、そこを乗り越えていく過程が好きです。
メリハリもあるけど、穏やかな小説が好きな方にオススメします。
この作品はおそらく方言萌えを感じてこそ何倍も楽しめるものだと思います。その要素を除くと…評価は「萌」かなぁ。北畠あけ乃さんの素敵なイラストに★1つ。
最初から最後まで優也という男性のパーソナリティが掴めませんでした。過去のことが詳細に語られていないのもあるのですが、気弱な面と強情な面が何の前触れもなく入れ替わって、キャラクターがぶれているように思いました。芯の強い人なんだろうなとは感じました。
飛良は、強面で強引なのに優也にメロメロなところにはキュンとしましたが、そこまで優也に惚れ込んだ理由が分からず…。全体的な展開も少々強引に感じました。
福岡市に長く住んでいたので北九州弁はちょっと馴染みがあるのですが、半端に知っていると方言萌えってしないもんなんですね…。同じ作者さんの「シェイク・ミー・テンダー」ではそんなに気にならなかったんだけどなぁ。