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表題作コメディアンブルー

福砂九介,若手芸人,24歳
北六花,若手芸人,福砂に片想い中,24歳

その他の収録作品

  • 描き下ろし「板の下」
  • カバー下

あらすじ

隣に立っていてほしくて「俺も好きや」と嘘をついた


芸歴4年目の漫才コンビ・アオイ。
ツッコミの福砂とボケの六花は高校時代の同級生で、
一つ屋根の下で下積みの日々を送っている。
親友兼相方として六花のことが大好きな福砂だが、
芸人としての評価の差、賞レースで結果が出ない焦り、
そして高校時代、漫才コンビを組み続けるため
六花からの告白を受けたことに複雑な感情を抱えていた。
自分に向けられる六花の恋愛感情を利用してきた罪悪感と、
結果を出すことで頭がいっぱいになった福砂は
新人漫才賞の2回戦でネタを飛ばしてしまい――。

作品情報

作品名
コメディアンブルー
著者
時羽兼成 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リイド社
レーベル
SPコミックス mimosa
発売日
電子発売日
ISBN
9784845859856
4.6

(46)

(30)

萌々

(14)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
212
評価数
46
平均
4.6 / 5
神率
65.2%

レビュー投稿数6

巧みな心理描写に引き込まれる…!

作家買いです。もう、すっかり時羽先生の虜です。
お笑い芸人BLと言う事で漠然とコメディかなぁ…なんて思っていましたが、とんでもない。

"隣に立っていてほしくて「俺も好きや」と嘘をついた"

このキャッチコピー通り切なくて、序盤から六花(受)に同情してしまい、胸をヒリつかせながら読みました…
表情や仕草から福砂の事が大好きな気持ちが溢れていて、六花の健気さに胸が一層締め付けられます。
そんな彼のいじらしさを、自分のエゴで六花の好意を利用する福砂も痛いほどに感じていて…もう、2人共しんどい!

六花への恋愛感情は全く無いのに、相方になって欲しくて六花からの告白を受け入れる福砂。一見、卑怯に感じますが、福砂自身も六花の好意を踏み躙る自分を責め続けていて、決して悪い奴じゃ無いんです……
六花を騙して芸人の道へ引き摺り込んでしまった罪悪感から「何としても芸人として成功しなくては…」と自分を追い込み、空回る姿は見ていてとても切ない。

売れない若手芸人の焦燥感や罪悪感、自分より評価されている六花への嫉妬心など、複雑な心理描写が丁寧に描かれていて、福砂の葛藤する気持ちに胸が痛みました。

「恋愛感情は無い」と言いつつ、六花の隣に俺以外が居ると嫌だし、取られそうになると焦る…無意識の内に六花への独占欲を募られていて、大切に思う様子にキュンとします!
そして、六花に対して欲情までしてるのに未だ「好きじゃない」と言い張る福砂に、読者としては「早く自分の気持ちに気づけーー‼︎」と焦らされました。

一方、六花も初めから福砂の本心には気づいていて……
福砂に恋愛感情が無い事は分かっていても、それでも相方として側に居たい。理想の相方であり続けたいのに「好きになって欲しい」と葛藤する六花。
芸人として目指すべき目標は同じなのに、もう、2人のすれ違いっぷりが凄い……

序盤から切なくて「どうなっちゃうの…」とハラハラしましたが、無事にハッピーエンドで本当に良かったです!
【親友→相方→恋人】へ変化する2人の関係が丁寧に描かれていて、友情と恋愛の狭間で揺れ動く感情にヒリヒリする反面、ラストでの甘さが凄く心に沁みました。
六花の一途な気持ちが報われて本当に良かった!
そして、188cmの福砂との体格差が最高!濡れ場は少なめですが、六花の表情や仕草が色っぽくてドキドキです♡

友人や恋人とは少し違う、「相方」の関係性。それが上手く絡み合い、複雑な人間模様を堪能できる作品でした。
緻密に練られた構成で読み応え抜群な一冊!ストーリー重視派さんにもお勧めです。

▶︎シーモア/白抜き
※受にすね毛描写があるので体毛苦手な方はご注意を…!

7

甘くない

大きな気持ちと夢を抱えた漫才コンビの話。

ずっと胸が痛かった。表情の描き方が本当に上手で
ふたりが笑っている時嬉しくて、泣いている時悲しくて、凹んでしまった時は私まで落ち込んでしまいました。

"一緒に漫才をやる為"に告白を受けた福砂と、そのまま恋心を抱えている六花。甘くない世界でのふたりの葛藤を読めてよかった。

名前のセンスが毎回ぶっちぎりで好き。
なんにせよ今作も絵もストーリーも最高でした。

1

愚図な攻めも嫌いじゃない めんどくさいけど

作家さまが読ませたい部分を根こそぎ見過ごす と言うか気づかずに通りすぎちゃって 不完全燃焼で燻ることが多々あります

気をつけて読んでるつもりなんですけどね



男同士 同じ舞台に立つ相方で ライバル

そんな関係かと思いきや
夢を追う男に惚れたのが悪いのか 夢を追うために利用したのが悪いのか

互いの中の願いはずっと同じで 一緒なのに



方言男子がだいすきです が どういうわけか関西弁は少々気後れしちゃって および腰発進
なのに こっちのへっぴり腰お構いなしでずんずんお話はすすむ さすが関西人の押しの強さか?


手放したくないがためついた嘘
決して恋愛ではないその 好き に感じる後ろめたさや どんなに努力しても追いつけないものへの劣等感  夢や憧れ 不安や焦り

そんなものをたっぷりと読ませにくるので へっぴり腰もギックリ腰もありゃしない
強制連行か?ってくらい あっと言う間にお話に引きずられのめり込みましたよ


たった1回の失敗が尾をひき それまで自信満々だった福砂を追い込む


自分の中にあるモヤモヤを自覚しながら 掛け違えたボタンのお陰でその理由に辿り着けない福砂の苛立ちが自滅を呼ぶんだけど 挫折までいってない中途半端なところでグズグズし続けるのがね

いや めんどくさい
めんどくさい めんどくさい めんどくさいぃ 福砂がめんどくさすぎる (ほめてます)

ごめん そのめんどくささがいいんだけど とにかくめんどくさいッ(っ絶賛褒め讃えちゅう?)!←どっちや



ただ単純に 純粋に福砂を想っての行動なのに疎ましく思ったり
自分の不安に押し潰されそうになって 六花を試す企画にのりかけたり

もうほんと だんだん陰気なっていく福砂がね じれったいとか通り越してめんどくさい ←何回目?


何時の世も笑わせたいのは 好き の証拠なのにねッ

一途すぎる六花がほんとよかった 
諦めきれない想いだけでしがみついてるのが時に寂しくて 時に哀しいけど

ひと一人の人生を潰した 足を引っ張ってるのはいつも自分
とにかく交わらない平行線な想いの端々に見える どこか安定の破れ鍋に綴じ蓋感ってのもよかったんだろうな



悩みに悩んで2ヶ月続けて時羽さん読んだけど 好みはどっちか聞かれたら こっち推しちゃうかな
いや 今まで読ませていただいた時羽さん作品のなかでもイチオシするかも?(読みやすさが決めてです)


ほんとに上手くまとめられてて不足があるなら 賞レースでの彼らの雄姿くらいかな? なんてカバー下めくれば至れり尽くせりな結末もあって あぁぁってなりはしたんだけど

お笑いだけしか見えてない福砂のダメンズぶりとか 六花の天然なのか健気が故なのかちょっとずれた感じ
漫才のネタより面白そうなふたりの日常のやり取りに イケずな先輩に同期 お話しのよさにまだまだこの先を読みたい ってやっぱり思ってしまう


ううううん あの朴念仁相手に六花が掴んだ幸せをもうちょっと見たかった てのが本音なんだが 欲はいかんよな欲は

8

この攻めを好きになれるかどうか

漫才の物語として面白く読んでいて楽しかったです。心理描写が丁寧だったので、話に厚みを持たせてくれるように感じました。

ただ恋に対する攻め側の感情だけは、どうしても理解することができませんでした。
受けの気持ちを利用するだけだった立場から、急に恋愛感情になるものなんでしょうか。受けの自慰シーンを目撃して、知らないふりをするくらいだったのに。

受けが自分の手元からいなくなってしまいそうに感じて、急に気持ちを自覚する。
そういう変化があることは理解できます。
でも、この攻めにはもっと漫才を切り離したところで、感情を爆発させて受けに向き合ってほしかったかなと思いました。

受けが一途に攻めを想っていて、あまりにいじらしく...
完全に彼に同情していたので、どうしても攻めに対しては冷ややかな目を向けてしまいます。


物語として完成されていて面白く展開も丁寧だっただけに、個人的にはこの部分がより際立って目立って見えてしまいました。

最後は受けが本当に幸せそうだったので、それだけで攻めの酷さがぶっとんでしまいました。彼が笑顔になれて良かったです。

3

葛藤をこえて

コンビを組む漫才師同士の福砂と六花。
初めてみんなの前で漫才をした学校祭のステージから、プロになった現在まで。
微妙な気持ちのズレを抱えたふたりが様々な葛藤を乗り越えていくようなお話となっていました。

「漫才師として成功したい!」という目標は同じなのに、なんとなく噛み合っていないように見えるふたり。
六花の気持ちを利用しているのではないか?という福砂の後ろめたさがそうさせているのかなと思っていたけれど、六花もまた違うところで福砂との距離感やコンビとしての越えるべき壁の存在で葛藤していて…
そんな風に悩んでいる彼らの切なさにすごく引き込まれました。

笑いを作り上げる日々は楽しいことばかりではないというのもリアルで良かったし、長い時間はかかったけど福原の気持ちが六花に向いていく様子も素敵でした。

漫才師のお話というと明るめの作品が多いイメージですが、表に出ない部分がよく見えて新鮮で面白かったです。

2

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