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pixivでずっと追いかけてきた「ばらとたんぽぽ」が商業化されると聞いて、それはもうテンション高く発売日を心待ちにしていました。
コミカルで、シリアスで、そして深い愛情をこんなにも上手にミックスさせた作品はそうそうないなあ、といつも思っていまして、ただ「セフレ」という存在がごく当たり前のように登場していたり、性暴力の描写もあるので苦手な方は注意が必要かもしれません。
内容をざっくりと。ネタバレ含んでいます。
人気少女漫画家・征士郎には恋人がいる。
彼が「トモちゃん」と呼ぶ、夏目朝春、32歳の舞台俳優だ。
イケメンで、何をやらせてもパーフェクトにこなす完璧男子(何しろ現職は人気漫画家だ)の征士郎はトモちゃんを心から愛しているが、けれど二人の間には身体の関係はなく―。
家事全般が得意で仕事も家事もそつなくこなす征士郎。
が、一方のトモちゃんはズボラ男子で放っておけば食事もろくに取らないような男性。尽くす男・征士郎と、征士郎から受ける愛情を当たり前のように享受しているトモちゃん、という図式があります。そして二人が未だ身体の関係を持てずにいるのは、トモちゃんが行為を拒否をしているからで…。
と、こう書くとトモちゃんがやや難アリの男性のように思えます。
が、トモちゃんがセックスができない理由がきちんと存在していて、それがまあ胸糞で腹が立って仕方がない。そんな不憫なトモちゃんに、読んでいて少しずつ傾倒していきますが、トモちゃんを応援したくなる理由が、他にも存在しています。
それはハイスペック男子・征士郎の性癖。
トモちゃんとセックスができない征士郎は、トモちゃんの公認を受け、数人の…、と話が続きます。
遠浅さんのデビュー作『潮騒のふたり』を読んだときにも思ったのですが、遠浅作品は商業BLらしからぬ、というと語弊を招くでしょうか。昨今のBL作品では、恋人が何かしらの理由でセックスができなかったとしても、だからと言って外で発散する、という展開のものはあまりお見掛けしない気がします。
そんな「王道」からはあえて外れたストーリー展開が遠浅作品の醍醐味かもしれません。「性」と「愛」をすべからくイコールで繋いでいない。恋人ではない男たちと関係を持つ攻めさん、という展開でありながら、ベースにあるのは征士郎とトモちゃんの深い愛情。素晴らしいです。
「ばらたん」は1、2巻が同日発売になりましたが(ちなみに2巻完結の作品ではありません)、1巻は過去のトラウマでセックスができないトモちゃんが少しずつ征士郎に歩み寄り何とかEDを克服しようとするところまで。その過程が甘々なだけではなく、時にコミカルに、そして時にシリアスに紡がれていきますが、根っこにあるのは二人の相手への愛情なので読んでいて萌えしかない。
そして1巻の終盤で、トモちゃんが信頼してやまない「先輩」が登場するところまでが描かれています。そして2巻へ続く!となります。
トモちゃんが征士郎の好きなところ、として、征士郎のどちゃくそなところが好き、と告げるシーンがありますが、さながらそれは今作品を一言で言い表しているワードだなあ、と読んでいて思いました。
甘いだけでもなく、エロ重視でもなく、時にコミカルに、時にシリアスに進む、いわばごった煮の内容。でも、それが良い。
それらを上手にミックスさせ描いていく遠浅先生の手腕にKOされたところで、続巻へと続きます。
作風が、私の好みではなかったし、正直、征士郎がかっこいいとも思えなかったんですが、読み進めていくうちに、征士郎の揺るぎない愛に心をつかまれました。
セフレが5人いて、風俗も行っている。そして、ラジオでは下ネタばかりって、好きになれない気がしました。でも、一心にトモちゃんを愛していますよね。こんなに何でも持っている人なのに、演じることしかできないトモちゃんを深く愛している。
それも、エッチもできないのに、2年間同棲して愛し続けている。
すごいですよ、征士郎さん。
セフレも風俗も大好きなのに、トモちゃんとエッチができるようになったら、全てと手を切るつもりだし。
キョーレツな性格だけれど、そういう所が大好きです。
それにしても、にーくら。
この人は自分の方が能力が上なのに、家柄のせいでトモちゃんより下に見られることに腹立たしい気持ちがあって、こんな行動になったのか。憎しみと愛情がないまぜになって、こんな行動になったのか。
とにかく許せません。トモちゃんを全否定して、家の中でレイプなんて、ひどすぎます。
早く、トモちゃんの鰹節化が治まりますように。
トモちゃんの「鰹節を削ってくれ・・・中にいるおれを取り出してくれ・・・」が心に響きました。
征士郎はきっと鰹節から本当のトモちゃんを取り出してくれるはずです。
下巻で、にーくらが出てきそうですが、彼が反省してくるような展開を期待しています。
まず、ページめくって最初に思ったのが
ん。
ヤバイ。
読めるかな。
コマ割りが苦手かも…絵も苦手…かも。
かもかも…と、思いながらも読み進めていくうちに止まらなくなりました。
シリアスとギャグが絶妙です。
少女漫画家のハイスペック征士郎と心因性EDの舞台俳優ともちゃん2人のお話です。
インド人のカップルヨガで笑いました。
漫画アシさんのカネゴン視点の回も好きです。
征士郎のともちゃん愛が大きくて、とってもカッコ良いです。
ともちゃんの鰹節を早く削ってあげて欲しい…。
ともちゃんのトラウマの原因…
にーくら、許すまじ。
最後に登場した佐智先輩が気になる〜。
早く下巻読まなきゃ。
あらすじについては他の方が書いているので、上下巻読んで私がこの魅力に感じたポイントを。
【個性的な画とテンポと笑い】
青年漫画のような画なので、少女漫画系の漫画しか馴染みがない方は最初抵抗あるかもしれませんが、それで読まないのは勿体ないです。この画とコマ割りとテンポが面白くてとにかく笑わせてくれます。セックス恐怖症のともちゃんが固まってしまう様子をマグロを超えた鰹節で表現したり、局部を擬人化してお互いに会話させたりの表現が独特でかなり面白い。
笑いのツボは人それぞれですが笑える日常を描いたBLが好きな方には、試し読みだけでは、この感じは分からないので、ぜひ手にとってもらいたい。
以下はキャラクターの性格について。
【個性的な愛すべきキャラクター】
○攻めの征士郎
BLの攻めって、完璧な攻めが多いですが、この攻めはちゃんと長短あるキャラクター。
インテリ多才のイケメンですが、小学生女子向けの魔法少女漫画家であり、ラジオパーソナリティという異色の経歴。ラジオで性生活を赤裸々に語りつつ、世の中も斬る毒舌家。
受けのともちゃんにベタぼれで性欲旺盛。でも、セックス恐怖症でEDのともちゃんに無理強いはしない。それでも生活能力のないともちゃんの世話をせっせと焼き、諦めず常にともちゃんとスケベをすることをハァハァ狙い中。
これだけだと良い攻めだけど、かなりのナルシストで、ともちゃんのLINEの返信を勝手にする、プレゼントセンスが悪いと否定するなど、たまにモラハラ・セクハラを働く。ともちゃんに向けられない旺盛な性欲をセフレ5人と風俗で発散。嫉妬心はぬいぐるみにさえ向けられる。
○受けのともちゃん
育ちがよく、純粋で飾らず素朴。社会性ないけど、演技力が素晴らしく売れてないけど実力派俳優。
このともちゃんの素朴さに癒される~
・いよかんを散歩先で食べようと誘ったり
・馬の民芸品を集めていて、ポンちゃんという馬のぬいぐるみを大事にしてる
・節分など年中行事が好き
などなど…見た目はアラサーの男性なのに、とにかく可愛いエピソードが。
ただ、社会性も家事能力もなく、家では置物のように何もせず。
征士郎のセクハラに呆れつつも、天然なのでどこかずれたところあり。
こだわったキャラクターとエピソード、先生の笑いのセンスで、作品の世界観にどんどん引き込まれていきます。かなり癖になりました。
もうずっと二人の日常を描いてほしい。
ともちゃんのセックスのトラウマを植え付けたモラハラモンスター幼馴染みのにーくらも今後登場するのかな。
あぁ今後も楽しみです。
遠浅よるべ先生の作品を読むのは初めてになります。最初はコマ割りと見慣れないタッチの絵にちょっと引いてしまいましたが、読み進めるうちに「こんなの知らない」「こんな漫画があったんだ!」と、どんどん作品の世界観に引き込まれていました。
なんと言っても征士郎のキャラが魅力的でした。どんなトモちゃんでも愛する芯の強さが格好良いのです。前向きで強かで明るい征士郎に不覚ながらキュンと来ました。セフレが5人いようが風俗に通っていようが、全然彼の良さを損なっていませんでした。w
セックスに対する恐怖感から鰹節のように硬くなるトモちゃんに、安心させるべくゆっくり進もうとする征士郎がとにかく格好良いのです。
そんな征士郎だからこそトモちゃんも漸く自分に向き合って行く事を決めた時は感動したし、トラウマを植え付けた「にーくら」を許すまじと思ったし、傍観してた父親を抹殺したいと思いました。
多くの方に読んで欲しい作品です。