【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】
高杉×勇
『トロイメライ』は、
孤独を不安定な旋律に乗せた、
切なく美しい共依存のメロディー。
下巻
人は孤独に弱い生き物だ。
寂しさ、虚しさ、苦しさ・・・限界に達することもある。
不安定な旋律に渦巻く独占欲や欲望が、
心の中や夢まで、
衝動から逸脱した妄想に宿ることもあるのかもしれない。
高杉は、
学校で自分の前ではなくてもピアノを弾く勇の姿に憎悪の念を抱いた。
彼の理性が崩壊しそうな危険な妄想が、
現実で暴走する前に、
勇から逃げることを決意する。
しかし、
自分を大事にしてくれた勇が
愛しいと思うようになる。
高杉は徐々に勇に惹かれていく。
勇は
高杉からくれた思いを音無しにしてはいなかった。
眠れない高杉に、
母親が彼に教えたトロイメライを弾いてあげたい。
彼は高杉のことを忘れられず、
自分の中に居続けるためにピアノを弾き続けていく。
勇が不安で寂しくて、
会いたい・・・会えなくて込み上げてきた涙は、
彼の愛が行き過ぎている証明でしょう。
愛は、
依存という形で行き過ぎてしまっていると言える。
2人は辛く苦しいと感じるほど狂気を心に宿し、
本質的な愛を偽っても、
依存愛を絡み合わせるしかないのかもしれない。
結論的には、
高杉は、
死別した奥さんに「必要とされる」ことに執着し過ぎており、
ずっと別の人を彼女の身代わりにしていた。
そこで、最適な相手である勇が現れました。
勇は、
親や兄の愛に飢えており、
心の中で渦巻く寂しさに苦しんでいて、
「大事にされたい」ということで癒されることを求めていた。
そこで、兄の面影がある高杉が現れたのです。
「必要とされる」=高杉の存在価値、
「大事にされる」=勇の存在価値
2人は、
相応しい関係性に執着し、
共依存に囚われていた。
それは純愛とは程遠いものでしたが、
依存愛から回り回って、
後日談では真の愛となっているでしょう。
「全ての花は 折ることができるが
春が来るのを 止めることはできない」
全ての思いは 捨てることができるが
孤独が来るのを 止めることはできない
それでも、
「良い方向へ進まなければならない」
だからーー依存に囚われ、
共犯者という名で愛いし合い、
安心や幸福を感じ、
笑っている2人。
美しいトロイメライに流されながら、
心の欲求に苛まれ・・・
歪んだ感情が交錯し、
胸に杭を打ち込むような深い感情が描かれる作品でした。
気になる点:
・上巻のあらすじに「暴力で支配していた恋人と別れて途方に暮れる臨床心理士の高杉」と書かれていますが、上下巻を読み進めても「暴力で支配する」というイメージは描かれていません。
(『肩甲骨とワンピース』を先に読まないと、謎になるかもしれません。)
・高杉は同性愛者ではなく、奥さんがいたことを考えると、女性の彼女を選んだ方がストーリー上合理的だと思います。
・勇が女子でも全然問題ありません。むしろ、女子の方が、高杉の死別した奥さんに似ているという特徴を補完することができます。BLにした理由は少し疑問が残りますが・・・。
・男同士、年の差、先生と生徒など、魅力的な設定がたくさんありますが、それらをより深く掘り下げるためにも、ストーリー展開や登場人物の内面描写によって、より複雑な問題や困難に直面する展開を示すことが必要かもしれません。
ドストライク
まず元嫁を愛してるから執着してるのではなく、必要としてくれた入り口だっただけで入り口は誰でもよかったんだろうなぁと感じる闇がたまらなく好きです。それから死別し1人になって必要とされなくなって病。代わりを見つける根っからサイコパス気質な攻め。二葉を囲い、二葉が思い通りにならなかった事で精神崩壊した話が今作
はーっ好き(´;ω;`)♡
勇がまー可愛い!肩甲骨とワンピースの時から可愛かったけどほんっとに可愛い!少し強気だけど弱くてでも負けん気もあるでもやっぱり弱い可愛い!!
元彼どころか女の子と話すだけで仕事だとわかってても泣いちゃう勇はきっと元嫁の存在に嫉妬するだろうけど、心の底を見せ合って本当に愛し合ったのは勇だけだよ!!!!!安心しな!!!
これはダークトーンに入るのかな?色んなお腐れさんにおすすめしたいです!
「トロイメライ」とはドイツ語で「夢」「夢想」を意味する語で、ドイツの作曲家ロベルト・シューマンのピアノ曲。親しみやすい旋律にもかかわらず、ドイツ・ロマン派特有の複雑な書法もみられ、高度な内容もある音楽となっているとのこと。
作中で勇が弾いているピアノ曲で、ふたりの関係も物語っているようなタイトルでした。
「肩甲骨とワンピース」のスピンオフですが、今作を先に読みました。
その為、最初から高杉の目線で読んでいたのか「肩甲骨とワンピース」のメインカプであるひかると二葉の恋愛を純粋に楽しめなかったので、「肩甲骨とワンピース」を先に読んだ方がいいと思います。
前作でそれぞれが依存していた高杉の恋人の二葉と勇の兄(従兄)のひかるが恋人同士になったことで、ひとりになってしまった高杉と勇。「寂しい」「ひとりでいたくない」ふたりは「共犯者」になります。
今作では「肩甲骨とワンピース」で謎だったDV男の高杉の過去、「KAORI」の正体、「共犯者になろう」のセリフの意味などがわかります。
~下巻についてお話します~
高校生の勇は成長していきます。高杉出会い恋をしたことで心が安定し、笑顔を見せるようになり将来の夢やピアノに積極的になっていきました。
それを素直に喜べない高杉。またひとりになってしまうと不安になる高杉は、勇のいる学校のカウンセラーを辞めてしまいます。
ふたりが会えなくなった間にふたりは変わっていきます。
高杉を好きでまだ必要としている勇は、過去の父親との想いや高杉への想いに蓋をしないと決めます。ほんの数か月の間に本当に勇は成長しました。
そして高杉はずっと誰かを守っているつもりで自分が依存していたこと、自分自身の答えを出さなかったことにようやく気付きます。ひとりになってようやく自分を冷静に見つめることができるようになりました。
勇の留学前にふたりは再会します。そしてハピエンへ向かいます。
かわいい勇がたくさん見られますので、ぜひ楽しんで読んでください。
「先生の初めての何かが欲しい」と互いにピアスを開け合うんですが、エロくて狂気的でふたりらしくてとてもよかったです。ふたりの瞳がとても印象的なシーンとなっています。
年齢的には受けの勇の方がかなり年下ですが、高杉は攻めているようで守られている、そんなふたりのお話でした。
上巻がインパクト強かったからか、下巻はサラッと読めてしまいました。
え?もう読み終わっちゃったの?という感じ。
本来、勇は良い子なんでしょう。上巻は、自分を見て欲しくて、ちょっとわがままな所もあったけれど、下巻は先生を癒したい気持ちが強いせいか、すごく良い子でした。
そのせいか、インパクトが薄くて気付いたらエンドロールでしたよ。
先生も牙が抜けた感じで…
上巻に比べて下巻があっさりし過ぎた感じがしました。高杉先生、あのカフェで行われたコンサート、あそこで告白するとは思わなかったな。でも良かったね。
勇のお父さんは、お母さんの事を愛していたんでしょう。お母さんが死んだ後は一時の恋人を作ったり、仕事に打ち込んだり。
今は落ち着いて、勇に向き合えているんじゃないでしょうか?勇は、もっと愛されるべき存在だと思うんです。もっともっと成長してほしいですね。
高杉先生もよく眠れて穏やかな人になれたようなので、これからも少年少女の心を救って欲しいです。また学校勤務して欲しいですね。
これまではたくさんのことから目を背け、楽になれる道を探しながら。結局苦しみは増していき、また同じことを繰り返して…
自分でもよくわからないままそのループから抜け出せずにいた高杉にとって、勇との出会いは希望であり恐怖であり。
また逃げ出して終わらせようとしたけれど、やっぱり勇のことが大切だと気付いていくわけです。
圭織の死、そして過去の自分と真正面から向き合うことでやっと前に進むことができた高杉。
勇への気持ちを自分自身で受け入れられたことは、彼にとって大きな第一歩で。少しずつ心が解けていくのが表情からも伝わってきて、動き出すことができて本当に良かったなと思いました。
勇もまた、自分の進む道をしっかり選ぶことのできる強い人間へと成長していて、その姿からもふたりの出会いは必要なものだったのだなと感じました。
ふたりの気持ちが同じように重なるところまでは予測できましたが、まさかこんなに甘い展開まで見れるとは!
色々なことを吹っ切った高杉はしっかりと感情を伝えて勇を愛していて、すごく幸せな気持ちになれました。
ちょっと選択を間違えば、共依存をしているだけになっていたかもしれない。
でもお互いに"自分"を大事にすることで離れていても同じ道を歩んでいけることを知ったふたりは、これから先もうまくやっていけるのだろうなと思いました。
ものすごく闇の深いところから始まって、ふたりとも救われるところで終わる結末に安心できた下巻でした。