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タイトル見て、幽霊とか出てくる話かな?と思ってましたが全然違いました。
心が死ぬような、死にたくなるような経験のせいで、心を殺している二人が出会って…というお話で、読後にちるちるを見て「夜明け」となっているのをみて激しく同意した次第です。
夜明けの手本みたいな作品だな!!と。
読後感は夜明けなのでいいんですが、その道中がかなりヘビーでしたね…。
胸糞悪くなる脇キャラが二人、しかもそいつらが攻めと受けの心を殺した人たちときたもんで登場もそこそこあるし、出てきた時の毒成分のつよさといったら…!
佐埜の敵は、モラハラ毒全開のクソ野郎だけど、完全悪過ぎてかえって割り切りながら読めるのに対して、りく(受け)の母ときたら……
もうりくが不憫で不憫で不憫で仕方なかったし、同じ母親として、目を覚ませ!!!と300回くらいビンタしたい衝動に駆られるというか。
めちゃくちゃイライラさせられました。
子を亡くして心が病んでしまうのは罪ではないけれど、りくの犠牲のうえで心の平安を保っているというのが胸糞悪すぎて…それを許してる父も同罪。
なので、後半立ち直るのがちょっと嘘くさく感じてしまいました……。ご都合主義っぽくて…
おいしそうな変わり種おにぎりの数々や、攻めのハーフアップの挿絵の眼福さなど楽しめる要素は色々あったのですが、受け母の狂乱かつ悲劇のヒロインパワーが私には強すぎて萌評価です。
内装業の職人(佐埜)とおにぎりメインの食事処の店主(月島)
他人の「死の匂い」を感じとることのできる月島。その匂いを発する人間とは深く関らないようにと生きてきたが、「死の匂い」のする佐埜と親交を深めるように。
家族を喪った辛い過去のある月島。今も辛い状況から抜け出せずにいる。
佐埜も、他人には触れさせたくない辛いものを抱えている様子。
お互いに距離感をはかりつつ近付いていく感じ、よかった。
月島が佐埜に自分の辛さをさらけ出すシーンは好き。佐埜の受け止めも安心感があって、優しさがしみる。
ただ、後半は佐埜が性的に手を出してくるのがやや唐突に感じた(二人ともゲイじゃないのに)のと、胸糞要素が胸糞悪すぎたので、期待していたほどは楽しめなかった。
解決展開も、あまり納得がいかなかった。
月島の母親は、事故の前から長男しか眼中になかった(長男が話題に出してはじめて次男にも目を向ける)のに、
長男の死を認識したところであんな風に次男に謝罪したり楽しく共に過ごすようになったりするものだろうか?
心の病が改善したところで本来の人間性まで都合よく好転しているようで気味が悪かった。
佐埜の妹の件にしても、最初に警察が「事故」として処理してるのはどういう理屈なのか。
月島たちが想像するように栗原の介入があったとして、命じられた末…だとしたら自殺に見える状況になると思うのだが。
そもそも大の大人がベランダから転落するような事故、というのが想像しにくくてこまる。
あと、栗原の執着心や歪んだ人間性を考えると一度警察に捕まったくらいじゃ全く安心できない。いずれ二人を殺しに来そうで怖い。
メイン二人のキャラクターはかなり好きなので、後半の胸糞要素がもう少しマイルドだったり、解決展開の整合性がとれてたりするとよかったなと思う。
キャラ文庫さんのフェアに合わせて(特典のクリアカードが欲しくて…)、中原一也先生作品の中で未読だったこちらを購入、読んでみました。
”家族の死”をテーマにした、苦しく切ない内容。
でもその奥深さと面白さにページをめくる手が止められず、一気読み。さすが中原先生だなあ、と感嘆せずにはいられない、深みのある内容です。
攻め受け共に不幸で暗い背景を持っており、今でもその影に苦しめられている設定。
薄暗さと切なさと悲しみの感じられる作品でした。
笠井あゆみ先生の美麗絵に、苦しくなる心が慰められる( ; ; )
主人公は、事故で兄を亡くして以来、人が纏う「死の匂い」を嗅ぎ取れるようになったという特殊能力を持つ青年・りく(受)。
死を匂わせる人間とは極力関わり合いたくないと思っていたところ、営むおにぎり屋の改装工事を担当していた年下の職人・佐埜(さの・攻)から”あの匂い”が漂ってくることに気付きます。
できるだけ関わらないようにしようと密かに思うりくですが、ある日佐埜が客として来店し、帰ろうとむずがる子供相手に思わぬ特技を披露したことから、二人の交流が始まっていきー
と続く、特殊能力+サスペンス要素の入った物語です。
兄を失った悲しみに耐えられず、精神をおかしくしてしまった母親のために兄に擬態するりくの姿が切なくて、読んでいて胸が苦しかった…
そして、そんなりくを嗜虐的に追い詰めようとする攻めの義兄が憎たらしかった!
こちらは最後の最後にきちんと”ざまぁ”展開になってくれて、スッキリ。
佐埜は妹の死、りくは兄の死、とそれぞれ振り払うことのできない心の傷を抱えた両者。
そんな二人が惹かれ合い、死者や残された家族のためではなく、「自分のための人生」を生きようともがき、次第に再生していく過程がじんと心に響きました。
佐埜の思いがけない特技である”折り紙”の作品が、本作のテーマでもある「再生」をぴったり表現していて素晴らしかった…
笠井画伯の、さなぎから蝶へと変化するイラストのおかげで、よりそのシーンが鮮烈で印象的なものになっていたなあ、と。
BがLする萌え、としては少なめかもしれないけれど、個人的にはとても好きな夜明け系の物語。
ラストで胸に広がる感動をじっと噛み締めました。二人がちゃんと救済されて良かった。。( ; ; )
折り紙職人な左官職人 × おにぎりカフェオーナー
おにぎりメインの食堂を経営している月島りく(受け)は死の匂いをさせている生気あふれる男・佐埜(攻め)と出会います。
関わりたくないと思っているのに、なぜか目が離せない佐埜との付き合いが続くうち、親しくなっていくのですが、お互いが自分のことを知られたくないと境界を作って緊張感のある関係が出来上がります。
そんな時、りくの事情を話す機会があり一層親しくなるのですが、佐埜は自分ことを話してくれません。
それぞれの心を死なせる原因は無くなるのでしょうか。
りくは子供の頃、兄そらをら亡くしています。それもりくを庇ったため事故死です。
兄を溺愛していた母はそらの死を受け入れられず病んでしまうのです。
元々兄しか相手にしていなかった状態だったのにさらにおかしくなってしまった母。
しまいには成長したりくを見て兄と間違える始末。母の中で死んだのはりくで兄は生きていることになってしまうのです。
激しく傷つくりくですが、母が安定することもあって兄の振りをすることになって10年以上。心がすり減っていく毎日です。
そんな中で兄に褒められた料理作りが唯一の生きがいで美味しく食べてくれるお客さんの姿が喜びです。
そして、兄が亡くなってから、なぜか「死の匂い」を感じ取れるようになってしまいます。
佐埜の方も妹が亡くなっていて、それを自分のせいだと思っています。自分が幸せになってはいかないと思い込んでいます。
りくの生い立ちが本当に気の毒でした。
読んでいて、両親に腹が立ちます。
特に母親。元から兄の方を溺愛していて弟の方は無視に近い扱いをしていた上に、成長した弟を兄にして勝手に弟を殺してしまうなんて。
病むのは仕方ないかもしれないけど、残った子供のために前を向いて歩いて欲しかった。
そして父親は、確かに病んだ妻に仕事に家事育児と大変だっだだろうけど、それを子供を犠牲にすることで解決する方法を取るなんて親失格です。
楽になる誘惑に駆られ最初は弟を兄にすることに同意したとしても、すぐに我に返って欲しかった。10年以上も子供を犠牲にして心が痛まないのかと思うと本当に大人としてどうなのか。
予期せぬ悪意ではあったけど、ちゃんと向き合えるようになって本当によかった。
でも、彼らにはもっともっと反省してほしい。特に母親。読み終わってからもずっとモヤモヤしています。
そしてもっと許せないのは、佐埜の義兄で弁護士の栗原。完全に犯罪者でこれが捕まらないなんて世も末だ。
あの後どうなったのか気になるところですが、弁護士資格剥奪されてるといいな。
タイトル通り本当に「死んでいた」んですね。
死を乗り越えて2人が光に向かって歩けるようになってよかった。
これまで不幸の連続だったから、幸せになってほしいです。
死の匂いを嗅ぎ分ける能力のある月島と、彼の飲食店の改装工事に来た佐埜のお話。月島は佐埜の事が気になるけど、死の匂いがずっと佐埜から出ている事でなかなか心を通わせる事に躊躇しています。死の匂いを嗅ぎ分けられるきっかけとなった兄の死と、その後の家族の状態などもあって、人との関わりを深くは持とうとしなかった月島と、やはり、事情があって、人と関わらないようにしていた佐埜。
お互いに身内の死の影を漂わせてずっと話が進んで行きます。心を閉ざして、死の影がチラチラしていて、少しほの暗い感じなのですが、
月島が作るお店のおにぎりの美味しそうな所や、佐埜が得意としている折り紙が、この本を明るい部分として補正してくれます。
月島が抱えていた事情。佐埜が抱えていた事情。それらが段々と明らかになっていきます。そして、お互いをより理解する事で、お互いを恋愛対象として、深く関わって行くことを決心します。2人の抱えていた事情と言うのが、なかなか重苦しい感じでしたが、その悩みを克服する所が、このお話の爽快さでもあります。
そうすると、このタイトルは決して不穏なタイトルではなく、夜明けなんだなと理解できました。
心を殺して生きていた人の心の再生がテーマなんだと思います。読後感はとても清々しい気持ちなります。