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一心恋情~皇帝の番と秘密の子~

isshin renjo koutei no tsugai to himitsu no ko

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表題作一心恋情~皇帝の番と秘密の子~

ユーハン、現王の嫡男の王子
ジン・リキョウ、町の書記の息子

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

東方の小国シキ。王族や貴族が住む城塞の外で質素に暮らす庶民の少年リキョウはある日、一つ年上の王子ユーハンと友達になった。 明朗闊達なユーハンとの交流はその後も続き、いつしかリキョウは片恋を抱くように。 十八歳になったころ、ユーハンから近侍になってほしいという申し出が…。いずれ妻を娶る彼の傍らに居続けることはつらい。 恋心と友情の間で揺れるリキョウに初めての発情期が訪れ、二人は一夜を共にしてしまうが…。

作品情報

作品名
一心恋情~皇帝の番と秘密の子~
著者
桜部さく 
イラスト
ヤスヒロ 
媒体
小説
出版社
三交社
レーベル
ラルーナ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784815532819
3.7

(28)

(9)

萌々

(9)

(7)

中立

(0)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
4
得点
102
評価数
28
平均
3.7 / 5
神率
32.1%

レビュー投稿数4

かなり重いけどお勧めです

いつも読み応えある作品を書かれる桜部さく先生ですが、今作も期待通り凄く面白かったです。

今回はアジアを舞台としたオメガバでしたが、東方の小国であるシキでは物語に書いてあるような伝説級の存在なので、周りに存在しなければ誰もに知識が無いんです。

なのでリキュウに初めての発情期が訪れて、ユーハンと初めて結ばれた時も2人は何が起きたか分かっていません。

ここまでの王子ユーハンと城外に住む庶民であるリキュウのお話は、やんちゃなユーハンと初めて出来た友達に嬉しくてしょうがないリキュウの関係が微笑ましいんです。
そして読者は両片思いであると感じ取り、いつ王にリキュウの事をユーハンが話すのかと期待すると思います。ちなみにシキの王は懐が広く身分差とか問題にしないような人物です。

ここまでの展開が早くて疑問に思って所で帝国の侵略を受けて、シキの王は属国になる苦渋の決断をするんです。そしてその際に色性(オメガ)であるリキュウが連れ去られてしまいます。

ここが凄く上手いんですよ。読者は2人が初めて結ばれた時に番になってる事に気がつく筈です。なのにどうしてリキュウがオメガだと皇帝に分かってしまったかというと、ユーハンがリキュウを守ろうとしたある装具からでした。これが無知故の悲劇なんです。

そして既に番の居るリキュウを殺さずに皇帝が利用しようとする理由も面白かったです。この皇帝は悪人で同情の余地も無い人物ですが、残虐で恐れられるまでになってしまった背景に妄想が滾りました。こういう人決して嫌いじゃないです。この人が主人公ならこんな話をと性癖を刺激されました。www

父王に代わりシキの王となったユーハンがリキュウを取り戻そうと帝国に反旗を翻して力をつけて行く様子を、リキュウが帝国の書簡から読み取って待ち続ける様子は緊張感に満ちていました。そしてタイトルにある通り2人の間にはあの時に出来た子どもがいます。

リキュウは庶民の出であり容姿はたおやかですが男気のある性格なので、しなやかさがあり強かなのです。なので感動の再会を果たしても冷静でした。この辺りがかなり焦ったくて萌えました。

両思いになってから2人が離れ離れになっているので甘さはかなり少ないです。そしてお互いに生死をかけた闘いの中にいるのでお話の内容はかなり重いです。でも読み応えはあります。

因みに登場人物の名前はカタカナなので、漢字の難解な名前が苦手な方にも安心です。
それからユーハンの幼馴染みのシュインの立ち位置に萌える方もきっと多いと思いました。

とても力のある作家さまだと思います。

4

春秋時代風の英雄譚BLかな~

「悪役を描き切りたかった」とあとがきにあったけど、
悪役暴君は偽装α
冷酷非道にバサバサ斬りまくり、暗殺を恐れながら恐怖統治を行う人。
そうなった切っ掛けは、愛する妻子を暗殺されたから。
・・と、読み終わったら、「根っからの悪党は誰も居ない」という展開だった。

シキ国の王子、ユーハンが闘い続けて暴君を倒したのは、たった一人の為。
略奪され寵姫にされた恋人を取り戻したい。

・・伏線仕込みが凄く面白い
結末が覇王別姫にならなくてよかった。

一冊読み切りが定めのBL小説・・頁制限で短くあっさり展開
読み足りない感否めない。
面白い仕込みなので、勿体ない。長編の補足版を出して欲しい。

1

一途な想いは歴史をも動かす

中華寄りのアジア系オメガバース作品です。
アルファは「阿性」、オメガは「色性」と呼ばれています。
オメガバースと言っても、その色合いはあまり濃くないです。"妊娠できる男性がいるんだってよ"みたいな、バース性に対する伝承性や神秘性が強い印象でした。
アルファである阿性、オメガである色性は出てくるものの、ベータに該当する呼称は出てきませんでした。


あらすじを簡単に触れますと。
シキ国の王子・ユーハンと、庶民の子リキョウが子どもの頃に出会ったことから物語が始まります。身分違いの2人は意気投合し、成長してもその親しさは変わりません。2人の身分違いに良くない感情を抱いている者も少なからずいますが、ユーハンの方は意に介していない感じ。彼は王子とは言え、大らかで懐の大きな性格なので、リキョウの住む門外(貴族以外が住むエリア)にも気軽に出掛けて行きます。

そんなユーハンに恋心を抱くリキョウ。そしてやたらとリキョウを構い倒すユーハン。
そんなとき、王子の側近となる近侍職を選定しなくちゃならんのですが、ユーハンはリキョウを勧誘します。リキョウが畏れ多くて断っても頑なに諦めないユーハン。
そんなこんなんしてるうちに、リキョウに発情に似た症状が現れ、そこに偶然居合わせたユーハンに抱かれてしまうことに。そこで2人は自分たちが子を成せる「阿性」と「色性」であることを知ります。

ユーハンはそれはもう喜びます。王子なので跡継ぎ問題がありますしね……しかも相手は大好きなリキョウ。結婚して欲しい、そんで近侍にもなって欲しいと怒涛のプロポーズ。リキョウも受け入れて、めでたしめでたし!

……とはいかないんですよねぇ〜。

両想いキタと思ったらここから2人の悲恋が始まってしまいます。ん〜…いや、見方によったら悲運でもないかも知れない。
隣国ゴウの皇帝が急襲かけてきてリキョウが色性と知るやいなや拉致っていきます。そしてユーハンとリキョウは引き裂かれてしまう。

天国から地獄とはまさにこのこと…
リキョウとユーハンの運命はどうなるんでしょうか。
この先の展開がね…ええ?そういうことかー!?な感じです。2人が初めて結ばれた日に劇的なことが既に起こっていて、その謎がリキョウが敵国に渡ったあとに分かります。表紙にも既にヒントがありますが、ぜひ読んでみて2人の行く末を見届けて欲しいなと思います(^ ^)


リキョウは幼少期から身体があまり強くなくて揶揄われたりいじめられたりしていましたが、両親からの「知識は力」の教えを実行し、コツコツと頑張る努力家でした。そのことがリキョウの転機に繋がっていきます。立身出世とまではいかないけど、リキョウを奮い立たせる魔法の言葉であったことは間違いありません。(素敵なご両親!)

知力が誇りに、誇りが勇気と自信に。
自分の置かれた状況が悪くともメソメソウジウジしないキャラは好きなので、楽しく読ませていただきました。
国の動乱の中、再び動き出した2人の恋愛模様は困難もあるけど非常に運命的。イラストも美麗でイメージにぴったりでした。

7

一途に思うのは愛する貴方だけ

今回はシキ国の王子と門外の書記の息子のお話です。

庶民出の受様が攻様の伴侶となるまで。

この世界で革命を成し遂げるのは
いつも豪傑の性である阿性と言われています。

そのため阿性と番うと子をなせるといわれる色性は
珍重されると言われますが、身近にいない民にとって
その存在は噂の域を出ることはありません。

小国シキの町役所の書記の息子として生まれた受様は
父のような書記なる夢を持っていますが
小柄で力も弱く口数も少ないため仲間はずれにされます。

勉学で着実に力を蓄えていっても悔しさや寂しさはぬぐえず、
森の沢で秘密の遊びをして気持ちを落ち着けていましたが
ある日、上等な上着を着た同じ年頃の男子と出会います。
彼が今回の攻様です♪

攻様は受様に気さくに声をかけてきて
受様が秘密の遊びを教えると次は攻様の宝物を見せる
と約束してくれますが

攻様が裕福な家の子ではなく、王子と知った受様は
その約束は果たされないものと思います。

ところが攻様は受様との友人付き合いを続け
受様は攻様に友人以上の思いを抱いていきます。
長じた攻様が受様を己をえる近侍に望むと
恋心を抑えて王の許可がとれたらと了承するのです。

両親が親戚の結婚式のために留守にした日、
受様はなぜか淫らな熱を抑えきれずに己を慰めていると
父王の許可を得た攻様に訪問されてしまうのです!!

受様は攻様を見て下腹が奥が萌えるように熱くなり
攻様もまた本能的な欲求が抑えられず
むさぼるように互いを求めあいます。

本能のままに結ばれた2人の未来とは!?

父のような書記を目指す受様と王の嫡男であるである攻様の
アジア風オメガバースになります♪

本作で阿性と色性は主役2人しか登場せず
詳しい説明は有りませんが、特に支障はないので
オメガバを読み慣れてない方にも読みやすいかと思います。

攻様は受様を本能的に求めて抱いてしまった事から
受様が色性で自分は阿性たと考え、
父王に受様を伴侶にしたいと訴えようとしたところに

無慈悲な皇帝を頂く大国ゴウが攻め入ってきて
色性と知れた受様を攻様の目の前で強奪
皇帝の阿性を強調する駒として使われる悲惨なターンに入り
どうなる事かとハラハラな展開になっていき

2人の恋物語としては
身分差の恋、攫われた恋人を取り戻す展開は
ドラマチックでいいかと思いますが

受様の生国が大国の帝国に併合されて属国になって
受様が皇帝に生国の貢ぎ物というか略奪品のようにされて
攻様が死に物狂いで奪還しようするのが山場なのに
受様の知った状況からの説明だけで展開するため、

攻様の受様の辛さ悲壮感に重さが感じられず
「萌」評価としました。

個人的な好みですが国単位の攻防を鍵とするなら
実際の活劇シーンが欲しかったです。

3

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