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似た境遇の2人
生花店で働く叶(受け)は叶の作るブーケを気に入ってくれた常連の松本から大きな仕事を依頼されます。
怖気付く叶の背中を押してくれたのは店の四葉。
身だしなみを整える一環で荒れた指先の見栄え良くしようと四葉に紹介された男子限定のネイルサロンへと足を運びます。
そこにいたのは華やかな見た目のネイリストの生蔦(攻め)でした。手を他人から触れられるのはのは初めてで恥ずかしったけれど、心までほかほかになり大変満足します。指先を美しくしてもらってからすこし前向きな気持ちになるのです。
それ以来、生蔦のことが気になって何度もサロンに通うようになります。
叶は幼い頃母親と妹を海で亡くし、養護施設を経て遠縁に引き取られました。
が、新しい両親に教育虐待を受け、両親の望む通りに育たなかったため、養子をもう1人迎え存在を無視されるようになり、外聞のためだけに家族でいることを強要されています。
耐えられなかった叶は大学から家を出て独り立ちしていますが、行事ごとに呼びつけられては傷つけられています。
その生い立ちが叶に自信を無くさせています。
そんな叶に四葉や松本、生蔦たちが背中を押してくれるのです。
5歳歳上なだけですが、叶にとって生蔦はとても大人でなんでも冷静に考え行動できるように感じて精神的に頼ります。が、生蔦は年上のプライドでちょっと無理しているだけなのです。同じような生い立ちの叶に共感できるのが2人にはとても大きいのだと思います。
叶の義両親はかなり酷い人たちですが、義弟はうまくやっています。
これは同じく施設出身でも家族の愛を知っている叶と全くない義弟との違いだったのでしょう。嫌な態度の義弟でしたが彼は彼で居場所を作ろうと必死な気の毒な人だと思います。
縁を切るという行動が取れて本当によかった。生蔦の存在が大きかったでしょう。
2人の恋は激しく何かあるというわけではなく、流れるような感じでした。
どちらかと言うと、義家族とのわだかまりから解き放たれる話だったように思いました。
2人がこれからお互いに良い刺激を与え合って前に進んでいく日々がきてよかったと思いました。
【もっと俺を溺れさせて。生嶌さんなしでは生きていけなくなるくらい愛してほしい(叶)】
エロス度★★★
おやおや、ネイリストとフローリスト・・・2種類のお仕事BLを堪能できるのが魅力的ですね。
生嶌と叶・・・2人が抱える背景の心の深い傷がしんどかったですが、2時間の逢瀬を重ねるごとに惹かれていくのが止められないのが尊い。
生嶌の優しさ・温もりに支えられ、彼に抱いた初めての恋心に救われていく叶がたまらなく、優しい人たちに応援されてフローリストとして自信を持っていく変化もよかった。
胸の虚無感を愛で埋められ、寂しい夜を熱で包んで傍にいてくれる・・・。
愛が重たい者同士の恋模様が素晴らしかった。
最近はネイルをしている男性も増えていますよね。
骨や筋がはっきりとした手に映えるネイルカラーは、女性がするのとは違った魅力があるなと思います。
男性専門ネイルサロンのネイリストと、駅構内で働くフローリストの2人にフォーカスを当てた今作。
個人的にどちらも素敵で興味のある職種のひとつだったので、一体どんなお話になるのかなとわくわくしながら手に取った1冊でした。
結果、タイトルの官能的という言葉よりも、全体的に控えめで落ち着いた淡いダスティカラーのような雰囲気がある物語だなと感じました。
自身の出自・生い立ちに悩み・葛藤を抱えながら生きるフローリストの叶。
そんな彼がとあることから足を踏み入れたのは、男性専門のネイルサロン。
新しい扉を開くようにシックな扉を開けると、アッシュブロンドの美しい男性・生嶌が迎え入れてくれて――
フローリスト…いわゆる生花店で働く叶と、ネイリストの生嶌。
叶視点でフローリストとしてのお仕事描写を楽しみながら、生嶌のネイリストとしてのお仕事描写も楽しめるのは、1冊で2度の美味しさが味わえてとても良いなと思います。
初めて訪れるネイルサロンにどきどきとし、やがてサロンへと通う頻度が上がるにつれて、別のどきどきに変化していく様子も良かったですし、2人の間に流れる穏やかで甘やかでじわりと広がる癒しのような雰囲気は心地良かったです。
生嶌が叶の指先にさり気なく入れた場所とカラーチョイスががずるい。
食事の描写がどれも美味しそうだったのも良かった。
生嶌の施術を受ける度に、叶の心の中の何かがするすると解けていく様子や、魔法のような2時間の中で癒しと多幸感に満ちていく様は読んでいて悪い気分にはなりません。
ただのネイリストと客の関係だった2人の間に、少しずつ甘さを含んだ雰囲気が広がっていくのも悪くない。
決して悪くはなく良かったのですが、あまりにもさらさらと読めてしまったというのも正直なところです。
序盤から主張が激しかった叶の家族や、意味深だった叶の過去を考えるとバランス的にはこうなるのかなと思いつつ、奇妙なほどに叶の周囲の人々が優しく、都合が良い発言をしてくれているように見えてしまったのです。
生嶌が叶に思慕の念を抱いている理由もやや駆け足だったので、良かった部分とうーん?となった部分がきゅきゅきゅきゅっと急速にまとまって終わってしまったように感じました。
良く言えばコンパクトにまとまっていて読みやすい。
欲を言えばもう少しじっくりと読みたかったです。
2人の雰囲気も優しさ溢れる会話のやり取りも、お仕事描写も良かったので評価に悩みつつ、今回は中立寄りのこちらの評価で。
今回は男性専用ネイルサロンのネイリストと
フラワーショップのフローリストのお話です。
家族の柵に縛られ続けた受様が
攻様との出会いで生き方を変えるまで。
受様兄妹には父がおらず
母が仕事を掛け持ちする母子家庭で育ちますが
海に出かけた日に母と妹が波に攫われて帰らぬ人となり
跡継ぎを求める医師夫婦に引取られます。
彼らは受様を自分達の望む跡取りの枠に閉じ込め
受様の好みや意思を認めず
受様が彼らの理想から外れると見限って
新に希望にそう男子を引き取り、
受様の存在を無視するようになります。
受様は大学入学とともに家を出て
フローリストとしての道を歩き始めます。
今は駅構内のフラワーショップで働き、
常連客からはホテルの飾り付けの打診を受けますが、
受様は自信が持てずチャンスを掴めません。
ところがその常連客の店のパーティで
飾り付けをするはずだったスタッフが急病となり
受様は代打を引き受けることになります。
仕事にあたり指先の荒れが気になった受様は
最近オープンした男性専用ネイルサロンを紹介され
お試しな気持ちで向かい
オーナーである美貌の男性ネイリストと出会うのです。
彼が今回の攻様ですね♪
受様はジェルネイルとハンドマッサージの2時間コースを
攻様の話術と施術でとても気分よく過ごし
臨時で受けたアレンジメントも高く評価されるのです。
受様は2週間に1度攻様のサロンに通うようになり
顔を合わせるごとにリラックスして
攻様に手を握られる事が心地よくなっていった受様は
攻様自身にも惹かれている自分に気づきます。
果たして受様の変化がモもたらす未来とは!?
自己肯定力の低い受様が出会った
ネイリストの攻様との恋物語になります♪
タイトルイメージと秀作品という事で
エロスの香り高い作品かと思ったのですが
癒しと救済の物語でした。
受様は養父母の求める子供になれなかっ事から
彼らと義弟に虐げられても甘んじて受け入れてきます。
そのため家を出た今でも家族行事には
仲の良い家族演出の為の駒とされていても
否と言えなくなっていました。
攻様は施術中に受様の話を聞く事で
受様の気持ちを前向きに変えていき
それは受様の中で育たなかった自信へと繋がっていきます。
受視点なので受様が攻様を意識していく状況は
わかりやすかったのですが
攻様がどうして受様に思い入れを持つのかは
見えそうで見えず、その謎を受様とともに
知っていく展開は楽しかったです。
このタイトルは目を引きますね。
恋人または好きな人へのメッセージなのか、それとも読者に向けてのものなのか。そんなことを考えながら読んでみる楽しさもありました。
「官能」という言葉にドキドキしながら手に取りましたが、官能すなわちエロを期待していた私は大きな誤算(笑)この作品、官能がメインではありません。
家族の死、そこから生まれる心の隙間、愛に飢えた過程環境…などなど結構ストーリー的には暗め。作品の雰囲気は全然ピンクベースではなかったです。
でもこの誤算は私は大いに楽しみました。
主人公・岡崎の内面の苦しい描写が多く、シンドくてツラいシーンが多々あります。養子に迎えられた義家族たちが彼になんと冷たい態度をとることか。セリフをなぞるだけで本当に嫌になる。
小さい頃から気持ちを尊重されずに人形のように育てられてきた岡崎は、その身の上から自分に自信が持てません。仕事の評価は高いのに、チャンスや運に向き合うことに躊躇います。
そんなとき、フローリストとしての仕事を全うするため、ネイルケアを訪れることになるのですが、そこで出会ったのがネイリストの生嶌。岡崎と生嶌は次第に親しい間柄になっていく…というストーリーです。
ネイルの施術は2時間。
おそらくこれがタイトルの「官能の2時間」に掛かっていると思われます。そんなねぇ…仕事中にいかがわしいことをしてるとかそんなんじゃ全くなくて、生嶌はちゃんとお仕事をキッチリしてますよ^ ^
ただやっぱり岡崎には丁寧にマッサージやハンドケアを施しているので、下心がないかといえばあるとは思いますが、その間に岡崎の仕事の悩みや家族の悩みを癒すには十分な時間。
生嶌の施術は魔法の時間で、嫌なことをあっという間に忘れさせてくれるので、岡崎が生嶌に惹かれていくのも分かるかな。私でもうっとりして余計なこと話しちゃいそう(笑)
ネイリストと客という関係が次第に変化していくにつれ、岡崎の心の重い扉を開いていく生嶌の包容力はどれだけの救いになったことでしょう。生嶌もまた何か抱えるものがあるようで、だから岡崎の悩みに寄り添えたのかなと思います。
岡崎が色んな仕事にチャレンジする後押しをしてくれる大きな存在でもある生嶌は、岡崎の偽りの家族よりよっぽど家族らしい。
岡崎の家族は本当にイライラします。作者さんも書いていてイライラしたんじゃないかと思いますが、ヤツらがヒールに徹してくれたお陰で岡崎も心置きなく前に一歩夢進むことができたと思うので、そこだけは感謝しときます。
作品の雰囲気は全体的にしっとりめ。ナチュラルに大人の色気に包まれています。
官能というにはちょっと抑え気味なような?んー…でも私の感じ方なので、そこは実際に読んで感じてみて下さいね。
閉塞的な異質な関係からの脱却、抑圧されていた自分の殻を破って新たなに生まれ変わる主人公の応援ストーリーかなと思いました。自分のために生き、愛するのために生きてく明るい未来を感じることのできるエンディングでした。
派手なストーリーじゃないけど、多幸感溢れる素敵なお話です(*´︶`*)