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主人公の優一は5人兄妹の長男。
父親を早くに亡くして、しかも頼りの母は今は入院中だ。
そんな中なんとか家を家族を守ろうとしてひたすらにがんばっている子。
この子がまた良い子なんです。誰よりも優しいせいで、貧乏くじを全部引いちゃってる気がする。
榎田さんは普通の人を感情的に追い込むのが上手いと思う。
がんばってがんばってがんばって、それでも駄目でもまだがんばろうとしてどうにも立ちゆかなくなってしまう感じ。
そこに自分を認めて欲しいとか誰かに必要とされたいとかそばにいて欲しいとかそんな「想い」を絡めてくるから、共感して読んでる読者はとても切ない気分になるのかと。
特にこの藤井沢商店街シリーズ、規模が大きすぎないところが好きです。
誰もが当たり前に持っている痛みを描き出すのが上手いというのかな。
や、攻の世羅はホテル王の孫でかなりスケールの大きなキャラですが。
でもそのスケールの大きな人が自分の力で優一を守ろうとするのはほろっときます。
書き下ろし続編の「横暴と心配性」
展開的には王道中の王道というかベタ中のベタという感じなんですが、最終的な着陸地点が家族愛でそれがすごくよかったです。
きっと単純に二人の愛の力だけで解決されたらがっかりしてしまった気がするので。
そう、家族愛。それもこの作品の見所の一つです。
榎田さんは文章が上手だなぁ。引っかかりなくサクサク読めて、物語の世界にスッと入りこめる。
あらすじを読んだときの印象とは、かなり違うお話でした。
金髪セレブな世羅と、大家族庶民な優一の恋です。
世羅が「庶民の暮らしを学びたい」と優一の働く不動産屋に部屋を借りにきたところから物語ははじまります。
生活能力のない世羅を優一が助ける話かなーお互いの価値観の違いを浮き彫りにさせたドタバタ劇かなと思ってたんだけど、ちょっと違った。
むしろ優一の家族に重点を置いた話でした。
話のテンポはいいのに、しっとりしていた。
とくにクリスマスプレゼントのエピソードは秀逸で、思わず泣いてしまった。
後半にある続編の『横暴と心配性』はイマイチでした。
藤井沢商店街シリーズの4冊目。
世間知らずの御曹司×不動産屋を営む5人兄弟の長男。攻は金髪だけど日本人。修業のための古くて狭いアパートを探していて。金髪キャラ萌えはしないので、年下で王子と見紛う攻がいくら気障でも何とも思わないのですが~。まだ幼い弟妹がいる受は、恋愛に生きることができない。我慢して生きている優しい性格。でも本当は自分がいい子でいたいだけで、長男であることがイヤだと思いながらも長男の立場にしがみついている。多分、誰でも多少なりの我慢をしながら生きているんじゃないかな。それをたまには誰かにわかってほしいだけで。恋愛ではなく家族との関わりのシーンを読むと、ティッシュの箱が必要になります。あっけないなあ、自分。
王子様が日常から連れ出してくれるのではなく、同じ日常を過ごして同じごはんを食べてくれるほうがいいですよね。ちくわぶの入ったおでんとかね。
このシリーズはお父さん(もしくはお母さん)が
亡くなっている事が多いというのに気付きましたが
父の代わりに遺志を継いで仕事を頑張るのは素晴らしいことだと思います。
ただ、今回の優一が本当に優しいんですが
自分を犠牲にしてまでも人の為に行動することで
君の幸せとは一体…と苦しくなりました。
相手の気持ちがプライスレスというのもあるんでしょうけど
なかなかここまでしてあげられないですよね。
「自由になりたい」と酔って世羅こぼした本音はとてもよくわかります。
兄弟が多い長男の葛藤は読んでいるだけでもしんどくて
ここまで人に尽くせるものかと胸が痛みます。
クリスマスプレゼントのシーンだなんてボロボロ泣いてしまいました。
でもコミカルさで笑わせてくれたり
人情でほっこりさせてくれたりと
幸せの余韻が残る読後を用意してくれている榎田さんの作品が大好きです。
そんな優一に惚れた世羅、
王子萌えというものがあまり無い私ですが
序盤の世間知らずさに思わず笑い、
優一への愛に目覚めてからの健気さにじんわり。
優一と出会う前の世羅は本当の生きる意味を知らずにいたけど
何より大切なことを教えられたのは一生の宝物ですね。
それだけではなく優一と家族を守ろうとする強さまで身につけて
パチスロで10万スッたおぼっちゃまが嘘のようでしたww
季節ではないのにおでんが食べたくなって困りましたし
うちではちくわぶを入れる風習がない為
今度おでんを作る時には絶対入れてみせる絶対にだ!!と強く決意しましたww
萌×2寄りの萌です。
榎田さんのお人柄なんでしょうか。エピソードはすごく、エッセンスでまとめられているのに主人公の気持ちが分かりやすくて、泣けました。
続編はさほど、でしたけど、本編はとてもよかった。わかりやすくて。