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表題作愛と混乱のレストラン

フレンチシェフ・久我修司
支配人・鷺沼理人

その他の収録作品

  • 愛と混沌のレストラン前編
  • 愛と混乱のレストラン後編
  • 愛のよう甘い

あらすじ

赤字続きで休業に追い込まれたフレンチレストラン「ル・ジャルダン・デ・レーヴ」復活のため、本社外食事業本部から出向してきた鷺沼理人は、若手シェフ・久我修司の引き抜きを試みる。確かな腕を持ちながら暴力沙汰を起こし、今は実家に戻っているという久我は、理人の依頼を「あんたが気に入らない」と言下に拒否する。それでも通い続けてくる理人に久我が提示した交換条件は「言うことをなんでも聞く」というとんでもないものだった。しかしある理由から店の再興を失敗できない理人は、その崖っぷちの選択を呑むことに――。
“夢の庭”(Le Jardin des Reves)の実現は果たして――。

作品情報

作品名
愛と混乱のレストラン
著者
高遠琉加 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
愛と混乱のレストラン
発売日
ISBN
9784576080154
3.8

(93)

(39)

萌々

(23)

(18)

中立

(4)

趣味じゃない

(9)

レビュー数
20
得点
345
評価数
93
平均
3.8 / 5
神率
41.9%

レビュー投稿数20

プリンの味とは

2007年の晩夏、休刊直前の雑誌「シャレード」でこのシリーズのプロローグ編が前後編で掲載された。
やや駆け込み気味だったとはいえ、まさに同雑誌の有終の美を飾るに相応しいノスタルジックなグランドホテル形式の物語である。
魅力的な数多の全ての登場人物達が、物語展開上欠くことの出来ない動力源(エンジン)として有機的に繋がっており、作品全体を活性化させている類い稀な名作BLである。
これはシャレードレーベルの長編シリーズが長年培ってきた“お得意”の手法でもあり、同誌デビューの秘蔵っ子(?)である著者の渾身の一本にも見える。
…無論、ファンの欲目かもしれないが。

この作品は、(タイトルからも察せられる通り)瀟洒なフレンチレストランの再建を通じて“食卓の理想”を追求する物語である。
この題材を美味しく料理するフィクションは、媒体を越えて古今東西世界中に沢山ある。
映画の「フライド・グリーン・トマト」や「バグダッド・カフェ」、漫画ならひうらさとるの『パラダイス・カフェ』や佐々木倫子の『Heaven?』、あるいは三谷幸喜のテレビドラマ「王様のレストラン」等など。
最近映画化されたばかりの小川糸の『食堂かたつむり』なんかも、ココに列挙して良いだろう。
はてさて、では幸福な食卓(の記憶)に通じる理想のレストランとは一体何なのだろう?
それは、“美味しい”を知覚出来る心穏やかでかけがえの無い幸福な時間を共有する場(フィールド)。
即ち、まさに“プレイス・オン・ザ・ハート”である。

オレサマ系シェフの久我も、癒し系ナビゲーター兼ギャルソンの桃瀬も、そして我々読者も、ディレクトール鷺沼理人の人生経験に間接的に接触することで、否が応でも幸せの儚さを思い知らされる。
主人公兼ヒロインである理人は、ほとんど致命的と言っていい疵を心に抱えている。
幼い時代の過去の凍てついた記憶から、レストランに執念を燃やし、憎悪を滾らせ続ける孤独な彼の、“味方”はいつも少ない。
久我修司という野生味を帯びた精悍な“力”溢れる新進気鋭の暴力シェフによって、見かけで取り繕っていたそんな彼の内面は呆気なく暴かれ、ギリギリだった心の均衡は脆くも崩される。

サイは投げられた、のである。
二人のロマンスはここから始まり、愛と混乱で錯綜した舞台のような、映画のような、著者が仰るようにテレビドラマのような怒涛の展開が待っている。
乞うご期待。

故、続きが読みたくて辛抱堪らなくなるシリーズになること請け合いなので、三巻まとめ買い推奨。
以上。

9

まさに「愛と混乱のレストラン」!!

3冊同時に買わなかった自分を呪いました。
つ、続きを早く・・・!!

店の売上と体面ばかり気にして、食に全く興味のない、フレンチレストラン「ル・ジャルダン・デ・レーヴ」の支配人・鷺沼理人。
そして理人が土下座してまで引き抜いてきた、性格に難ありの天才シェフ・久我修司。
最初はケンカップル的な関係かと思っていたのですが、ケンカップルではすまない仲の悪さ。
仲が悪いというよりは、性格が合わないんでしょう、ぶつかってばかり。
最初はこの二人の衝突を見て、ちょっとだる~い気分になっていたのですが、
後半で理人の過去が明らかになってからが、物語が一気に動きだしますね。
理人の、食に興味がない(というか憎悪?)理由、レストラン経営に執着する理由、臆病なくせに強がっている理由…
理人を形作っていたものが明らかになっていきます。
そしてそれが明らかになった時、今までの理人がバラバラになって崩れ落ちました。
また、それを知った久我が理人に対し、「俺が変えてやる」と言い放った久我もカッコよかった。
いろんな不幸な過去を抱えて、そこに立ち止まったままの理人。
それを変えてやると宣言した久我。
理人は久我と出会った瞬間から、この男に壊されてしまうかもしれないと恐れていました。
今までエリートのボンボンを装っていた理人ですが、久我のおかげでそれが剥がれかけている。
本人にとってはいいことなのか悪いことなのかわかりませんが、
過去と向き合って前に進んでいくには、いいことなんじゃないかと思います。
冷酷なようでいて、本当は愛に飢えた可哀相な理人ですが
久我がそんな彼を孤独から救いだしてあげてほしいと思います。
そしてラストには、理人が「おいしい」と言って笑顔を見せてくれるといいな。
正反対で犬猿の仲である二人ですが、正反対だからこそ、惹かれるものがあるんでしょう。
今後この二人がどのようにして恋をするのか楽しみなところです。
そしてきっと二人にとってやっかいな存在になるであろう叶が、どのように絡んでくるのかも見物。
お願いなので、これ以上理人を傷つけないでほしい!

パティシエ・イチの番外編も収録されています。
無口・無表情な男の切ない純愛ですね。
こんな彼がこのオジサン相手にどのような恋をするのか楽しみです。
イチの話は一冊の作品として今月発売です。

本当に途中からグイグイ引き込まれてあっという間に読んでしまいました。
続きが非常に気になります。
高遠琉加さんの作品は繊細だけどすごく読みやすくて、本当に大好きです!

6

食べ物の描写が秀逸

傾きかけたレストランを盛り上げる為、
力を合わせなければいけない支配人(鷺沼)とシェフ(久我)ですが。
二人の意見は真っ向から対立・衝突の連続です。

食べる事を嫌悪しているかのような鷺沼。
そんな鷺沼に料理を愛する久我は『食に携わっていて欲しくない』と。

しかし後半になって明らかになる、鷺沼の過去。
なぜ彼は食べ物に興味がないのに、食に係わる仕事をしているのか。
それが語られる訳なのですが……これがなかなかハードな内容です。

食べ物の大切さは分かっていても、食べる事を楽しめない鷺沼に、
食べることの楽しさを教えてやると、久我が宣言。

フレンチレストランを舞台に、この二人の関係がどうなって行くのか?
鷺沼の傷ついた心は癒されることが出来るのか??
とにかく続きが気になる作品です。

今回はシリーズ第一作目ということで、
濃い濡れ場はありません(今後に期待)。
しかしとても素敵でときめくキスシーンがあります!

4

はあぁ~何度読んでもやっぱり素晴らしい…

最近グッとくる作品になかなかめぐり合えないので
高遠先生の作品を読み返すことにしてみました。
中でもかなりのリピート率を誇るこの作品、大好きです。
墓場まで持ってくリスト上位に入ってます。

みなさんがレビューしておられる通り、
高遠先生の数多い魅力のうちのひとつが何といっても
文章の素晴らしさですよね。
難しい言葉を使うでもなく、文章がだらだらと長いでもなく
かといって単純な文章じゃない。そしてわかりやすい。
料理の表現も秀逸です。
最初の方の、理人(受)が北海道の修司(攻)の実家のレストランで
料理を仕方なく注文する場面、チキンピラフです!!
たった5行の文章で、猛烈に美味しそうなチキンピラフが
脳内にイメージされ、食欲中枢をこれでもかと刺激されるんです!!
あぁ腹減った。

BL的要素から見ても、文句なしです。
キスまでしかしてないのになんでこんなに萌えるんだろう。
この巻ではお互い自分の気持ちにハッキリと気づいてすらいない
段階だけど、そんな2人の心情が高遠先生の素晴らしい文章によって
表現され、より想像力を掻き立てられるんですよね~。たまりません。

あぁ、話の内容はみなさんが既に詳しく説明してくれてるので、
思いっきり個人的な感想に走ってしまった。
とにかく未読の方には心からお勧めします。
ぜひ全巻揃えてから読んでみてください!
もし2巻まで読んでしまったら3巻が気になって安眠できませんから!!

4

3部作のプロローグ的お話。。。なのに充分萌えます!

近所の書店のおすすめコーナーにいつ行っても並べてあったこの作品。
あまりに毎回目に付くので試しにこの1冊目を購入したまま
半年近く積み本になっていたのですが。。。
すごい面白かった!!もっと早く読めばよかった!!

シェフが不在になって客足が遠のいて休業状態だったフレンチレストランを立て直す為
雇われ支配人としてやって来た鷺沼と
彼に見込まれて新たなシェフとしてやってきた久我修司。
俺様っぷり全開の久我と、レストランの再建を最優先する鷺沼は
出会いの当初からまるで水と油。
そんな2人が、どうやってお互いを認め近づいていくのか。。。

こういう「最初は大嫌いだったのに。。。」的なお話、大好きですw
しかしこの2人、そう簡単には仲良くはなってくれなさそう。
それでも、久我はなぜか鷺沼から目が離せないし
鷺沼は、いままで誰も触れてこなかった自分の心の奥に
ずけずけと踏み込んでくる久我に振り回されながら
少しずつ心の壁を崩していくのがいいんです。

結局、この1作目では
やっと2人がお互いのもやもやした気持ちの根っこにあるものが
お互いの事を意識しているからこそ、である、と気付くところまでで
やっとスタートラインに立ったって感じなんですが
それでも充分萌えさせていただきました。

脇を固める、レストランの面々もみんな個性的で魅力的だし
鷺沼が慕っている、本社の本部長・叶も
優しげな雰囲気でありつつも
久我より先に、久我の鷺沼に対する感情を読み取って
意味深な発言をしてみたりして、あなどれない存在だし
ますます今後の展開が気になります。

書き下ろしは、久我と一緒にパティシエとしてやってきた樫崎一(いち)のお話。
一の高校時代の担任教師・湯原とその娘・海。
一がどういう経緯で彼らと同居する事になったのかは書かれていないのですが
とても幸せそうな彼らの一コマと
一が抱えている不安な気持ちが何とも切なくて
もっと彼らのことを知りたい、と思わせるお話でした。

BL的なシーンは殆どなく、しかも誰も何も始まってないのに
充分いろんな感情を刺激してくれた作品でした。

3

菊乃

>ミドリさん

ノジケン!!その存在を忘れてました!
1巻読んだ時点ではゆうきゃんが合うって思ってたんですが
2巻まで読んでちょっとイメージ違うかも?って思ってたので
ノジケンさんだとかなり(・∀・)イイ!!
ああでも平川さんも合いそう。。。迷いますねw
修司はやっぱり低音ボイスですよね~。
川原さんもいいな~。
マジでドラマCD化して欲しいですね~!

ミドリ

しつこくすいませんw
脳内アフレコ、わかります(笑)
私の脳内では久我→川原慶久さん、理人→平川さんとノジケンで悩み中wですよ

菊乃

>ミドリさま

いや~。マジで良かったですよ~!
ミドリさんのレビュー読んで積み本から引っ張り出してきたんですが
もっと早く読めばよかった~!!

>このシリーズを早くCD化してくれ…!と願っておりますw
ああ、是非CD化して欲しいですよね!
私は勝手に、修司→安元さん、理人→ゆうきゃんで
脳内アフレコして楽しんでましたw

>小冊子もたのしみですよね!
ああ、スピンオフを買うと応募出来るんでしたっけ?
これも何が何でも手に入れなければ、ですね!

ミドリ

こんにちは、菊乃さんw
めちゃくちゃいいですよねーこの作品!
私も3作目が「このBL~」に載ってたのを機にこのシリーズを読んだのですが、もう主役二人の虜になってしまいました。
理人はその仮面がボロボロと崩れていく様が見物だし、
最初冷たかった久我のだんだんと見えてくる優しさにキュンキュンしたり。
このシリーズを早くCD化してくれ…!と願っておりますw
小冊子もたのしみですよね!

この作品が収納されている本棚

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