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佐伊先生を知ったのは「精霊を宿す国」なんですが、こちらの作品の方が先だとはこの本を読んでから知りました。久しぶりに指が強張るほどの厚さに思わず笑ってしまいました。しかも上下巻同時発売!
ですがこの奥深い世界は上下巻同時発売で一気読みしないと理解出来ないのと、発売を待たされたら発狂してしまうと思うので正しい選択だったと思いました。
登場人物がかなり多いので巻頭の人物紹介に戻りながら読み進めました。お話の進め方としては「精霊を宿す国」と同じく、レスキア皇帝のアリオスや小国ネバルの王子であるセナを取り巻く人々の視点もあり、大きな流れを俯瞰的に眺めているような気分になりました。
そしてここでレスキア皇帝であるアリオスか、セナが産んだレスキア皇帝の子であるアスランとセナの護衛官のイザクのどちらを推すかでこの作品に抱く思いも変わって来るかと思いました。
私は断然レスキア皇帝アリオス推しでしたので、終盤までセナが実に憎らしかったです。www
アリオスの孤独と諦観と慈愛に良い男だと思うと同時に、これほどまでもう1人の主要人物が去ったことに安堵感を覚えたことは有りませんでした。セナの悲しみになんて同調したくなかったです。
セナに好感を抱かないまま上巻を読了しましたが、文句なしに面白かったので神にしました。
なんという圧倒的ボリューム!
なんという圧倒的世界観!
手に取っただけで分かる、圧倒的存在感が書店でも目立っていました。上下巻合わせて広辞苑ほどもある厚みにビビりましたが、それよりもどんな世界が広がっているのかと私のBL好奇心がズクズクと疼きました。
上巻だけでもズシッとくるその重さに、ある種の心地よさを感じながらこの作品の世界に誘われました。
尋常じゃないくらい練りにねられた世界観に、1ページをめくったそのときから誰しもが気付くはずです。登場人物紹介に物語の設定といった、この世界のあらましがびっしり。この作品を読むに当たっての手引書というべき情報量の多さが、これから向かう物語の世界がいかに深く広く緻密なものかを表しているようでゾクッとしました。
読む前からこんなに圧倒されて、読み終わる頃にはどうなっていることやら……と不安と期待が入り混じりましたが、読み始めたらもうそんな感情も忘れ、後戻りができないほどにこの世界にどっぷり。すっかり魅了されました。
「竜王の婚姻」のタイトルを見て、主人公が竜王と結婚する話だと思った方も多いかも知れませんが、竜王と婚姻するのは主人公・セナではなくて、その息子です。神山に住む世界の神である竜王の婚配者(伴侶)として、セナの小さな息子がその候補者に選ばれたことからストーリーが大きく動いていきます。
この設定、すごく斬新だなと思ってて。簡単にいうと竜王の伴侶争奪戦の話なんですが、当事者である息子というより、そこに巻き込まれていくセナたちの方にスポットが当てられているのが面白いんですよ。しかもただの候補者選抜の話になってないから更に面白い。まー…この分厚い本からも見ても一目瞭然なんですけどね^ ^
数千年に一度の節目になってしまったこの状況を利用して、四大国の思惑や牽制といった、それまでのパワーバランスが大きく崩れ始めるのと同時に、絶対的立場にある者たちの利己的な権力乱用によるおぞましい事件まで勃発してきて、どえらい見どころ大爆発な展開にガクブルです((((;゚Д゚)))))))
なんかすごくて…。セナの息子の婚姻話からここまで広がりを見せていく様相がすごくて息切れしそう。
こんなストーリーを見せられたら、普通の小説では満足できる身体じゃなくなりそうで怖いなぁ…とか思いつつ(笑)、睡眠時間を削ることも楽しく読み耽りました。
オメガバースっぽい要素もありで、でもこの作品の独特の設定となっているところも面白いので、こちらにも注目して下さいね。
発情し妊娠可能な惹香嚢の体質持ちのセナのラブロマンスが、BLの部分で一番の見どころポイント。大国の皇帝と小国の王子の政略結婚から始まるストーリーの先にある困難と苦労と陰謀が渦巻く展開にハラハラさせられていく一方、2人の男に激しく愛されていく三角関係から目が離せません。
セナを愛しているのにその想いを伝えきれていない皇帝・アリオス、人としての感情が制御されている護衛官・イザク……どちらにも惹かれているセナですが、上巻ではどちらともハッキリ心を通わせる段階に至っていません。セナが惹香囊体がゆえにどちらとも身体の関係を持っている状態で、それがかえって、どっちとくっつくの?どっちが好きなの?と疑問が尽きることがないんですよね。
混乱の世界情勢と絡みあう複雑な恋模様に今後どうなっていくのか分かりませんが、しっかりと見届けていきたいと思います。
一度読み始めたら後戻りはできません。
この壮大なファンタジーBLの後半戦…下巻に行ってまいります♪( ´▽`)