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もう、一人で震えなくていい
誰かの、ただ1人の唯一になりたいと、ずっとずっと夢見ていた頑張り屋さんが、そんな些細な夢を打ち砕かれて、それでも自分のいどころを築いていくお話です。
物語のお姫様のように華奢で儚げなシャニが、元気いっぱいな子どもたちを、これまた(その姿に似合わず)元気いっぱいお世話する姿がとても素敵です。日常の中で、シャニの愛情深さがたくさん垣間見えて、シャニが愛される姿が無理なく語られています。大好きな作品です。
伊達先生の受け様はかわいくて健気なイメージでしたが今作は受であるシャニが元軍人だけあってとにかくかっこいいのです!
雪山に捨て置かれても10日間生き延びられるサバイバル力。獣人でも5人がかりで立ち向かうような獣をも単独で倒す戦闘能力。なのに自分の価値に関しては無関心でサバけているなんてもう愛さずにはいられないキャラクターでした。
そのぶん後半の絶望ともいえる展開がつらいのですが大丈夫、我らがシャニは不屈の精神で巻き返してくれます。最後までかっこよかったです!
生贄として姫の代わりに差し出されたユーデイスティの王子シャニと、人狼の一族であるザノゥサの長グリトニィルが出会い、仮初のふうふから心を通わせるまでのファンタジーBL。
シャニの出身国であるユーデイスティ王国は、ザノゥサという人狼の一族の願いを数年に一度叶える代わりに、国を守ってもらうという契約を古くから交わしています。が、当時の歴史を知る者がいなくなるにつれ、契約もザノゥサの力も軽視されるようになりました。結果、嫁を要求されたにも関わらず、王家はいらない王子であるシャニを生贄に差し出します。
さて、このシャニですが、気の毒な境遇とは裏腹に、心も腕っぷしも強いので、見ていて終始気持ちが良い方です。ザノゥサの大人五人がかりで倒す強い生き物をひとりで討伐してしまう腕っぷしの強さと心意気で、周囲に認められていくシーンで読者の私も一気にシャニ様に惚れ込みました。
はじめは無愛想に見えたグリトニィルことニィルも、口下手ながら心が優しい青年で、ワーカホリック気味な生真面目っぷりがかわいらしいです。
シャニもニィルもとにかく生真面目で奥手なので、お互いに好き合っているのになかなか関係が進展しないのがもどかしいながらもとにかくかわいらしかったです。
「結婚式をした方がいいという声が上がっている」「誰から」「……俺から」というラストの会話に至ってはかわいすぎて笑い転げてしまいました。
人狼なので狼姿でぶるぶる水を飛ばしたり、もふもふの毛で触れ合ったりするシーンもあるのですが、伊達きよ先生の書かれる犬科の生き物の描写はどうしてこんなにも愛らしいのかと和まずにはいられません。
本筋とは関係ないところとしては、こんなにかわいいふたりなのだから、挿絵や先生のあとがきがあればもっと嬉しかったです。誤字がいくつか残っていたのも気になった(『特にもならない仕事』など)ので、アンダルシュさんにはぜひぜひ素敵な物語にのめり込めるよう、よりよいまとめ方をご検討いただけたらいいのにな…と勝手ながら一読者として願うばかりです。
心身ともに強い受けがお好きな方、真面目で初々しい人たちが甘酸っぱく距離を詰めていくお話がお好きな方は、絶対ハマると思います!おすすめです!
狼の民ザノゥサは、古からユーディスティ王国の北を護っていた。
そして貢物を捧げることによって、友好を保ってきたのだが、次第にユーディスティの王はなぁなぁにしてしまい、姫ではなく、王子のシャニを嫁がせてしまう。
そこで白銀の狼と出逢うが、置き去りされてしまった。
しかし数日後、人に姿を変えた二人がシャニの前に現れて、連れ帰り、、、
という始まり。
受けであるシャニは、海軍将校で日々苦しく厳しい生活を送ってきたこともあり、とにかくガッツがあります。
この経験があったからこそ、比較してザノゥサからの手荒い洗礼も、なんとか自力で乗り越え、自らグリトニィル(攻め)の嫁ポジションを確立していく姿が、かっこよかったです。
続けて出版された3作品のなかで、一番シリアスで硬質なお話だなあという印象を受けたのですが、途中、シャニの「あ、う」(←これは例えですが)など、ちょっとした言葉として成り立つセリフではないセリフに、いつもの伊達先生味を感じ、癒されました。(ほかの読者さんと着眼点違くてごめんなさい苦笑)
あと、伊達先生作品のなかではめずらしく? 伏線ががっつり張られたファンタジー作品だったかなあという印象です。
というのも、いつもどことなくほわほわした印象があったので。
ですので、このような作品も読めるんだあ! と新たな発見に感嘆しました。
個人的には、アラヌヌとシャニが心通わせていく場面と、狼笛を贈るシーンが好きでした。
あと、終始グリトニィルがシャニをラブすぎるのがダダ漏れでよかったです。(最初は分かりずらかったですが、、)