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クローゼットゲイ・リーマンが幸せをつかむまでの物語
上巻の感想でシリアスかと思ったらそうでもなくよかったと書きましたが、下巻できました。
起承転結の転…ゲイだからというだけでなく、物語/人生において壁はつきものですもんね。
上巻で共感の嵐でしたが、下巻は更にすごかったです。読んでいると普段考えていることがそうそう!と怒涛のように浮かび 物語に集中できないほどでした。
根津と西片、どちらの気持ちもわかる。
性格、価値観、考え方の違い。
どちらが悪いわけではない。
どちらも傷つき、傷つけたと反省し、自分を見つめ直し、相手を尊重したい…と変化していく流れがいい。
空橋さんの件も、空橋さんが彼氏を理解したい、根気よく向き合いたいとなったのも誠実で聡明だわ〜。
「彼の気持ちを勝手に推測する それ自体が暴力的かもしれません」にハッとさせられました。そういうことは往々にしてありますもんね。
孤独の描き方も好きでした。
大切な人や家族がいても孤独を感じることがある。
孤独は悪いように言われがちだけどそうじゃない。そういうものだと思うのでとても共感できました(孤独と孤立は別ですもんね)
カミングアウトについても
「言いたいと思う気持ち、そうじゃない気持ちも 全て尊重されるべきです」
がその通りだと思います。
LGBTQ運動などでカミングアウトを推奨することがありますが、ゲイの方の「そういうのはいいからそっとしといてくれ」との言葉を聞いたことがあります。
性的マイノリティは個人的かつ社会的なことでもあり、それぞれ事情が異なるので一括りにするのは難しいですね。
なので根津のこのセリフがぐっときました。
勉強不足な私にも刺さる描き方がすばらしい。
根津がカミングアウトすると話す姿が喜びと誇りに満ちていて感動しました。
仕事についても2人の内面とリンクした描き方がよかったです。お仕事BL大好きなのでそういう面でも読み応えありました。
正直なところ、クローゼットゲイについての話…今までBLで散々見た隠れゲイが悩むやつか、と最初は興味を持てなかったのですが、好きなBL漫画家先生がXでRPされていたので読む気になりました。
や〜読んでよかったです。
これまでと時代は違うのだし、その辺を盛り込んだ新しいBLで発見がたくさんあったし、BL好きとして勉強になりました。BLとしてもめちゃくちゃおもしろかったです。
過去の別離から受けたショックとか、カムアウトの考え方の違いとか、仕事が多忙な中でのお互いの存在とか…。働き盛りの2人が直面する問題は色々
相手が同性というだけでなくパートナーとの向き合い方、コミュニケーションの重要性、価値観の擦り合わせ…みたいなものを考えるお話だったなぁ。自分にとって相手はどんな存在なんだろう、相手にとってもどうだろうか、1つタイミングがズレてそのままだったら…?
だからこそラスト近くのあるシーンはとてもグッときた。あの時の西片の顔とてもいい顔だったなぁ。
この作品が同人誌で日の目を見なかったら私はとても残念な事をしていたと思います
そのくらいとても良い作品でした
私は商業誌で知る事が出来てとてもラッキーでした
世間ではだいぶセクシャルマイノリティの事についての考えは広くなって理解もされて来たけどまだまだこれから。
その中のどこにでも居そうなリーマン恋物語
お互いのことを想い合い、行き違いもあり離れ、男泣きがとても綺麗で私は胸をキュッとする思いをしました
といけ先生、これからも応援しています✨‼️
といけ先生。
初コミックスで上下巻の重厚なストーリー、素晴らしかったです。
上下巻を通して、主にモノローグで孤独に向き合います。
急にポエミーになって戸惑うところもありましたが、丁寧に丁寧に描かれた素敵な作品でした。
モノローグで人称が"わたし"と"あなた"をメインに用いられているのも他の作品と異なるところで、独特の余韻を残します。
長い長い夜を経て、ささやかな希望の光が差し込むような終わりもとても良かったです。
とても丁寧に描かれており、静かに沁み渡ります。
また他の物語も拝読したいです。
勢いと気持ちの熱で突き進んでいく恋愛ではなく、傷つき傷つけながら言葉を尽くして気持ちを寄せ合っていく、そんな理性的な恋模様を描いた作品でした。
上巻で長い間根津のことを待たせた西片。2人の久しぶりの再会から始まる下巻。最初恋に浮かされてドキドキしている西片に比べ、根津の表情からは熱を感じられず、ものすごく不安になりました。案の定根津はどうしてそういう態度を取るのか説明せず、西片も長い間待たせた負目から思いを素直に伝えることが出来ず、このまま終わってしまってもおかしくないくらいのスタート。
結局この2人がうまくいったのは一度ものすごく傷つきあったあと、それでもやっぱりあなたといたいという静かながらも思いの強さがあったからなんじゃないのかなぁと思います。
下巻の1番グッときたのは、なんやかんやあまり表情に感情を表さなかった根津が泣いてるシーンでした。彼の孤独と悲しさ、寂しさがものすごく伝わってきてしんどかった。
ちゃんと言葉で伝えたり、2人で一緒にいるだけの時間を大事にすることができるようになった2人の関係は長続きしそうだなぁと。どうか末永くお幸せに!!