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なんだかすごく懐かしいというか、昔の少女マンガの匂いがして
とりわけ新鮮という訳じゃないのに、心を囚われてしまう。
泣きました。
舞台は多分現代、で設定はファンタジー。
「多分」と書いたのは、攻めの人生だけでも80年が経過するんですが
(受けに至っては何百年!)その割にはずっと現代みたいだから。
時代設定は今ひとつよく分からないのですが、ファンタジーですからね!
* * *
幼い頃、父を殺し家族の破滅させ幸せを奪い去った「宝石を食べる魔女」。
苦労して育ち、復讐することだけを考えて成功したタカクラは、大金をかけて魔女を捜す。
そんな彼の前に現れたのは、貧しい身なりの少年のような容姿のカズナだった。
引き取ったカズナを散々いじめるタカクラ。
健気に耐えるカズナ。
靴磨きだの窓拭きだの(シンデレラw?)辛い労働を強いても、素直に頑張るカズナ。
自分の心を持て余す苛立ちに、強姦までしてしまうタカクラ。
復讐をしようとしていたのに、共に日々を過ごすうちにどんどん心が揺らぐ。
そして過去の真実を知った時、タカクラが選んだ道は…
カズナのピュアさとタカクラの葛藤、互いの優しさに胸が絞られ涙が流れる…
不老不死の魔物と、老いて死ぬ定めの人との交わりの切なさ。
古今東西、ファンタジーやおとぎ話の中で扱われてきた永遠のテーマではあるが、
どれほど愛し合っても人の時間は有限であり、残される魔物の哀しみには救いがない。
読み終わると、この展開や結末は予め知っていたような気がするところが上手い。
ちゃんと伏線が張られていて、ストンと落ちるこの感じが
おとぎ話の味わいを深くしている。
『昼となく、夜となく、愛に守られて
いつか結ばれつ 世にはなき交わりよ…』
※ この本には、もう一編「11月の花嫁」が納められている。ページの分量的には1/3程。
評価は、表題作のみで「神」。
「11月の花嫁」はなんだか既視感のある話で、それほどピンとこなかったので
こちらの評価は「神」には含まれません。
何か小説をお探しの方!
騙されたと思って是非ご一読を!!!
この、読後の、
何とも凄まじい幸福感!充足感!
私めの貧困なボキャブラリーでは、お伝えしたい言葉がとても追い付かず、多くを語る事が何とも恐れ多く、とても歯痒い……
でも、
どうか、1人でも多くの方に読んで頂きたい!!
こんな風に思ってるヤツがいるんだ!と1人でも多くの方にお伝えしたい!!!
それだけの思いで今、
レビュー(らしきもの)をしたためさせて頂いております。
本を読む事の素晴らしさを改めて教えてくれた、
またこんな作品に出会えるなら、もっと、もっと本を読もう。
そんな気持ちにさせてくれた1冊でございました。
「…なにも心配いらない。わたしなら、鷹倉をひとりにしたりしない。
十年でも、二十年でも、百年でも……もう顔を見飽きたと云われたって、
ずっとそばにいるよ」
受けのカズナから攻めの鷹倉への言葉。
私もこんな風に人を愛したい。愛せる人になりたい。そんなふうに想える人に出会える自分でありたい。
せう思わずにはいられませんでした。
将来子供が産まれたら、「カズナ」と名付けようと本気で思った。
ひちわ先生……
ネ申 。
ティッシュは必需品でございます。
宝石を食べ、自身を得たものに繁栄を約束すると言われる魔物、カズナ。
復讐心からカズナを捜す男、鷹倉。
おとぎ話のようなカズナの存在を主軸に置き、
ストーリーにもおとぎ話的な要素が盛り込まれてはいますが、
地に足のついた描写と予想のつかない展開で、しっかりと読ませてくれます。
印象的だったのは宝石を食べる時の描写。
シュワシュワ弾けるダイヤモンド、キャラメルに似て『歯にくっつく』琥珀。
文章のいい作家さんって、食べ物の描写がすてきな人が多いんですよね。
特に二人きりのディナーの、輝くような描写には、なんだか涙が滲んでしまいました。
カズナがどんなに喜んだか、鷹倉がどんなにカズナを喜ばせたかったか。
文字では殆ど書かれてはいないその時の二人の気持ちが、
キラキラ輝く食事風景からめいっぱい伝わってくる。
一気に読み進めた終盤では、じわじわと、胸がいっぱいになりました。
まさしくおとぎ話のような終演…なのですが、
この描き方、心理描写、さりげなく散りばめられたキーワード、ひちわさんだなあ…!
最初から読み返すとまた新たな発見や、裏にある様々な思惑が見えて感動。
同時収録作は、表題作とは全く別の短編。打って変わってかなりダークなお話です。
好き嫌いが別れるかもしれませんが、こちらも印象的でした。
大好きな一冊ですが、2作合わせて見るとちょっとイレギュラーな雰囲気でもあるので、
もし初めてひちわゆかさんを読むなら、
個人的には『今宵、雲の上のキッチンで』の方が読みやすくてオススメかも?
でも迷いなく「神」をつけたい作品です。
ジーン…。
感動しました。
ひちわゆかさんのプチ耽美な中編が二つ入ってます。
表題作は、宝石を食べる美しい不老不死の魔物と、それを飼う富豪のお話。
主人公は鷹倉。最初は、父を破滅させた魔物への復讐のために、その化け物を探しだして飼っていた。魔物の名前はカズナ。それで、イジメたり凌辱的に抱いたりしたんだけど、少しずつ惹かれてしまう。
後半で色々な真実が明らかになるんですが、ものすごいカタルシスとやるせなさで胸がいっぱいになりました。
結末は、よくできた寓話のようだった。真珠の寓話。
それから『11月の花嫁』も良かった。
監禁されてる男と監禁してる男の、すれ違い続ける愛のお話です。
余韻がスゴイ。
つーかひちわゆかさんすごすぎ。
表題作と「11月の花嫁」との2作入ってます、この2作は全く別作品でカラーも全く違います。
どちらも面白いけど表題作がやっぱり良いですね。面白い~。
昔、クレオパトラが真珠を酢に溶かして飲むという話を本で読んでこうシュワシュワーッと一気に溶けて美味しそうな飲み物なんだろうなーって子供の頃はうっとりしてました。
カズナは宝石を食べて生きる不老不死の青年なんですが、ふっとそれを思い出しましたですよ。
作中で宝石を食べるシーンが凄く美味しそう~~途中で鷹倉と共にディナーを食べるんですがそこで何と宝石を使ったフルコースが出てくるんですよ、これがむっちゃ美味しそうー!!
宝石食べるシーンが印象的ですが、話自体の根っこは復讐劇。
実業家の鷹倉[攻]は「宝石を主食とする女性求む」と新聞募集記事を出し続けています、謝礼は一億円。
実は鷹倉はかつて父親が宝石を食べる魔女に財産を注ぎ込んだあげくに亡くなりその後は妹と苦労して生活するも妹は貧しさの中で死亡という過去があります。
若くして財を築き上げた鷹倉はその魔女を捜し出して復讐しようと考えてるんですね。
そこに現れたのがカズナ。
宝石を食べる設定なので現代ファンタジーの部類なんでしょうがその設定のみなのでファンタジーが苦手って方にも読みやすいと思います。
自分はファンタジーがあまり得意ではないんですがこれは抵抗無く読めました。
話自体はよく出来てて、甘さと苦さと辛さを上手く取り混ぜてありバランスが良いです。
カズナがただの天然じゃなくて実はしたたかな面もあるところが良い。
ラストの余韻も良くて一捻り具合が実にスッとハマって面白かったです。
「11月の花嫁」
こちらはガラッと雰囲気が違って、青年が旅行中に偶然失踪した姉の元婚約者を見付ける所から始まり、監禁され視力も失っていたその元婚約者の青年はそのいきさつを語り始め……という出だし。
こちらは甘さ要素は皆無で切なくて痛い系でエロも多め。
表題作が「神」で「11月~」の方は「萌」、評価は表題作の方を取りました。