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ひちわゆかさんの描く色んなタイプのヘタレ攻めに、もう私メロメロです。
「13階のハーフボイルド」のキング・オブ・ヘタレ攻め、「今夜、雲の上の~」の毒舌不器用なヘタレ攻め、「12時の鐘が~」の勘違いヘタレ攻め。
この小説のヘタレ攻めも、美味しいヘタレ攻めでした。豪快で無神経で自信家、いちばん「実はヘタレだと分からないタイプ」だと思います。
毒舌メガネ受けとの相性は抜群で、二人が会話してるだけでニヤニヤ笑いが止まらない。ひちわゆかさんは毒舌のさじ加減が上手いなァ。
主人公ふたりは昔の恋人同士です。再会するところから物語は始まります。別れたときの事実はゆっくりと明らかになりますが…二人ともバカですw
軽妙な語り口に安定の文章力、印象的で生き生きと動くキャラクター。面白かったー!!
ご本人のあとがきが、そのまま的確な作品紹介だったのでちょっと抜粋。
***
こんな男とだけは、暮らしたくない。
そんなサイアクなやつが、もしも周りに一人、いたとしたら。
好き、だけど、顔を合わせればついつい文句ばかり。
くたばれ!と唸りつつ、なんだか憎めない。
有堂のような男に振り回されるのはまっぴらですが、
対岸の火事なら見物も気楽にできようというもの。
強引、頑丈、無神経。三拍子揃った男を愛し、
愛されてしまったエリートサラリーマンのまさに「最悪」な日々。
***
有堂は「最低な男」ではなくて「最悪な男」なところがミソ。
ろくでなしやダメ男ではなく、むしろ男としては非常に優秀でデキるやつ。
すごく性格が悪いというわけでもない。むしろ気のいい男。
けれど一緒にいると時に気が狂いそうになる、ブチ切れてしまう…
そんな英彦の気持ちはすごくよくわかる。
でも結局見放せないし惹かれてしまう…
そんな英彦の気持ちも、すごくよくわかる。
なんだかズルいなあ悔しいなあと思いながら、やっぱり有堂が愛しいし可愛いし、
がんばれ英彦、どうかそいつを見捨てないでやって…と願ってしまう。
プライドがあったり、譲れないものがあったり、男同士ならではのエピソードが良かったです。
軽妙でコミカルなテイストですが、決してそれだけではない。
心理描写や日常のやりとりが丁寧に描かれているわりに、
内容はボリュームがあり、きっちり読み応えを感じる不思議。
誤解やすれ違いもありがちな予定調和ではなく、本気で先が読めないのではらはらします。
予想がつかない二人の、思いがけない反応に、思わず涙が出てしまう場面も。
有堂の振る舞いがなかなか強烈なので、人によっては好き嫌い別れるかも?
私も冒頭はウッ…と思いましたが、でも気がついたら可愛くてたまらなくなってました。
振り回される英彦も可愛くて、でも肝心なところはしっかり男らしいのがいい。
新装版書き下ろし「運命」は、念願の有堂視点!可愛かった…っ
本編から数年後の二人と、二人の出会いの回想です。
35ページくらいの短編ですが、読みたかったものが詰め込まれてて嬉しかった~~!!
有堂の目には英彦はこう見えてるのね…っていうのが見えて、うわーうわー、とニヤニヤ。
レビューのために書き下ろしを読み返したら、結局本編も読みたくなって再読。笑
改めて、この二人ほんと好きだなあ…と実感しました。
キャラが生き生きした小説はやっぱり良いですね。
ちょっと時間を置くとまたなんとなく読み返したくなる。読み返す度にまた好きになる。
大好きな本です。
間違いなく男同士だ!受けがヘタレていない!もうそれだけで神です。
ワイルドな社長・有堂(作者曰く、強引・頑丈・無神経)と大学時代からの腐れ縁、総合商社課長・橘のお話。
大学時代に起業して、金融業を営む有堂と、大学時代は恋人同士として暮らしていたものの愛想を尽かし彼の元から去った橘が、思わぬ災害で再会し・・・
どっちもどっちなくらいお互いに惚れこんでいる二人なので、これからどうなる?といったハラハラドキドキはないのですが、有堂のワイルドすぎる性格と、抱えているコンプレックスが大きすぎるからか、彼に振り回されいちいちひがみ、イラつきながらも放っておけない橘の言動で読ませてくれる作品です。
お話の主軸は橘の会社の仕事がらみなのですが、橘が活躍するのではなく有堂が輝いちゃうわけです。
で、そのたび橘は惚れ直し、ほだされて、前のことなど帳消しにしてもいいと思っちゃうくらいなのに・・・また有堂は同じことの繰り返し・・・
「悪運」の方では報復を企てるのですが・・・
とにかくお約束のように橘を振り回してくれる有堂なのですが、最初に出て行かれてから再会するまで、ショックで不能になっていたといういきさつがあるので、橘もすぐに許しちゃうんだろうなと思います。
ホンっと割れ鍋に綴じ蓋カップルです。
橘が有堂との関係を「なにがお察ししますだ」と心中ぼやくところがありますが、有堂だからこそ惹かれてしまったのだということが痛いほど分かりました。
今回の書き下ろしで、大学時代の馴れ初めが語られ、さらにちょっと心を入れ替えた有堂を垣間見ることができましたが、最後の落ちは・・・
やっぱりそうですよね。そうじゃなくっちゃ。
実はビブロス版を持っているはずなのですが未読のままマグマの方へ・・・
先日CD発売になったので、先に聴いちゃったらハイテンションな台詞回しに大感激。
これは読まないとと思って、これも積読だったのを引っ張り出してきた次第です。
丁々発止なやり取りがとても楽しく、キャラ良しテンポ良しストーリー良しの、個人的にはひちわさんの中で3本の指に入るお気に入り本です。
傲岸不遜を絵に描いたような「最悪」な男・有堂×堅物なクールビューティー・英彦の、言ってしまえば数年越しの派手な痴話喧嘩。笑
しかしこれ、ただの痴話喧嘩じゃない。
どうしようもない「男のプライド」が立ちはだかる、これぞ男同士ならではの痴話喧嘩!
男としても実業家としての素質もピカ一、しかもずば抜けた強運の持ち主。でも中身はどうしようもない無神経の塊。
英彦の言葉を借りるなら「図々しくて自信家でズボラで下品でちっとも人の話を聞かなくて、ヘビースモーカーで巨人ファン」な「最悪」な男・有堂。
そんな男に振り回された恋人としての過去を、汚点のように苦々しく思う英彦は、眼鏡がよく似合うクールな商社マンで、異例の早さで出世街道を突き進む超エリート。
これぞ俺様×ツンデレですが、俺様の俺様たるゆえん、ツンデレのツンデレたるゆえんが発揮されています。
何が良いって、いかに恋人であれど…いや恋人であるからこそ刺激されてしまうプライドと劣等感のありようが、紛れもなく男×男。
天才型と努力型、ズボラと神経質、容姿も素質も何もかも対極にある二人ですが、傍から見れば、実に好一対という組み合わせがとても痛快です。
最早どっちが振り回してどっちが振り回されているのか…とゆうか、どっちもどっち。笑
クールでつれない口も態度も悪い英彦が、セックスの時には乱れてしまう落差や、自信家の代名詞のような有堂がヘタレる瞬間が、これまた美味しい。
石原さんのイラストも、心底ぴったりなコンビなんです。
せっかくなので書き下ろしの「運命」について。
友人を交えての、英彦(海外赴任だった)の帰国祝いの日の様子と、学生時代の出会いを振り返るという内容で、かねてより読んでみたかった有堂視点。
英彦への惚れっぷりが、過去と現在に渡って大暴露されていて、もうニンマリです。
三十路になっても相変わらずくだらない事で喧嘩してる二人に、大いに楽しまさせて頂きました。オチも最高!
大人気ないにもほどがある(笑)
喧嘩の内容はまるっきりガキ!
「絶対こっちから連絡なんてしてやるもんか!」な意地の張り方もガキ丸出しなんだけど、何せ奴らは経済力のある大人なので、キレてやることには金がかかってるんですよね。
いきなり引っ越したりとか夜逃げしたりとかね。
けどもやっぱり、ガキの癇癪にしか見えないんだなぁ…(笑)
そもそも「仕返ししてやる」って発想が、既に小学生っ!
さらに面白いのは、これでお互いにどうしようもなく惚れてるってことなんですよね~。
惚れてるし、惚れられてるってのもちゃんと分かってて、けどもそれとはまったく別次元で、「先に折れてなるものかっ!」って思ってるんですよね(笑)
基本的にカッカしてるのは主に受けで、攻めはどっちかって言うと「あ?なにを怒ってんだ?」って感じで飄々としていて、それがまたさらに受けのイラッと感を煽るという堂々巡り…。
この2人の、1ミクロンも噛み合わない会話が、もうめっちゃ面白かったです!!!
それで、面白いだけのギャグかといえば全然そうではなく、エロだけがガツガツしているわけでもなく、ちゃんとキュンもあるんですよね。
私は、暗い部屋にペタンと攻めが座り込んでたあのシーンで、いきなり心臓がバックンバックンしました。
キュ~ンってよりも、「わぁ…」って絶句しちゃった感じに近いかな。
惚れるわこれは。もうしょうがないわ。
なんかこの2人、ホントにガチンコ勝負なんですよね~。
なによりイイのは、よくある恋愛関係みたいに、「相手がいればいい」とか「相手のために何が出来るか」とか、そういう感覚が思考の中心にならないことです。
もちろん助けたいとか思うんだけど、だからって自分の能力以上の手を差し伸べたり、感情論で「頼ってくれ」と泣きついたり、しないところが逆に勇ましい。
それよりもともかく、お互いが自分の人生に一生懸命。
その上で、アイツが傍に居た方が自分の人生が倍楽しい!だから傍に居られるときは勝手に近くに行く!って感じが、すっごいカッコよかったです。
最後がまたすごい!
タクシーの運ちゃんとの有馬記念の会話あたりで、「なるほどね~」となんとなくオチが読めたと思ってたんですが、実際のオチは想像の遥か100万フィート上空を行ってました(笑)
むつこ
>>羊さん
世界の損失ww
いーや、宇宙の損失です!
(↑被せときました)
羊さんも、ひちわ作品のナンバーワンが『13階のハーフボイルド』って聞いて、嬉しいです。
この超名作のレビュー、まだ私しかしてなくて、「あんまし人気ないのかな…」と微妙に悲しい思いをしてたんですよ…w
羊
むつこさま
「13階のハーフボイルド」、羊も心から続編をお待ちしているんですの。
世界の損失ですわ!
ひちわさんの作品で一番好きなくらいなのに・・・
是非是非書いていただきたいですね!
むつこ
>>羊さん
こんにちはー(^^)
羊さんがレビューで「ドツキ漫才」って書いていましたが、まさにソレダ!と思いました。
私もひちわゆかさんには、脱帽しまくってます♪ヘタレ攻めが大好きになるきっかけとなった作家さんなんです。ただ、遅筆な作家さんなので、待つのがつらい日々ですが…
ひちわゆかさんでいちばん好きな作品は『13階のハーフボイルド』なんですが、続きが気になって仕方ないむつこです。
羊
むつこさま、こんばんわ(*^▽^*)
2人の会話だけでもうお釣りがきますよね!
歯ブラシやら、うなぎやら・・・まさに犬も食わない。
バカなのになぜか萌えちゃう、ひちわさんの筆力に脱帽です。