電子限定おまけ付き
おバカでかわいいお話かと思いきや、思ったよりも重かったです。
最初の、自分の作ったキャラクターが自分から(勝手に使われるようになってしまい)離れてしまって、すごくストレスの溜まるところから、かわいい自作のキャラの影響力で、なぜかオメガバースの世界へ。
どちらの世界で生きていくのか、現世(元の世界)に戻った時の好きになった人が他人の状態とか、考えるとすごく残酷で絶望的な気持ちになります。ふわふわしてるけれど、実はすごく切ない状態ばかりなのでは?!とか、表紙のかわいさとのギャップがあって、なんだか切なくて。最終的には幸せで、自分の作ったキャラが人気になりそうなところで終わって良い余韻でした。
今井ゆうみ先生の作品は初めてなので、拝読させて頂くのが楽しみでした。
個人的、各項目5段階で
ファンタジー 3
エロ 2
オメガバース 1
な感じだと思います。
拓海さん×るかくんのカプです。
大事な自作キャラの「ミミじぇる」が、商品化など人気となっていく一方、仕事相手からの不誠実な扱いに耐え切れなくなったるかくん。仕事を辞め、遠くへ引っ越そうと飛行機に乗っていた筈だったが、気がつくと聞き慣れない「アルファ」や「オメガ」という言葉が飛び交ってて…。
今作はオメガバースものなのですが、それ以上にファンタジー要素が多くて驚きました。
物語り序盤では、普通の世界で生きていたるかくんだが、何故か気付いたらアルファやオメガなどの第2の性が存在する世界で、しかもオメガと診断されてしまう。更には自作キャラのミミじぇるまで存在しない。
転生もの?パラレル?それとも医者が言うように、るかくんに記憶障害があって、そもそもオメガバースの世界だったのかもしれないと、色々と疑問が残ったまま物語りは進んでいくので、個人的にはキャラ萌えどころではなかったですね。
更には、るかくんがぬいぐるみのミミじぇるに話し掛けているのは分かるのですが、ミミじぇるが存在しない世界でいきなりミミじぇるが動いて、るかくんに話し掛けてくるので、ちょっと助走も無しにるかくんとミミじぇるの、2人の世界が描写されたのには、どういうこと?と理解するのに時間がかかりました。
オメガバース要素は比較的あっさりめですが、ファンタジーぽかったり、るかくんとミミじぇるのやり取りなどが可愛くて読み易いと思うので、読んでみては如何ですか。
イラストレーターのるかは、自分が生み出したキャラ「ミミじぇる」をいつの間にか奪われて、仕事に疲れてすべてをリセットするために遠くに引っ越すことにします。すると飛行機が揺れ…気がついたら病院の待合室にいます。
どうやら引っ越し先で記憶障害になっているらしい自分。病院で聞く「第二性別」「オメガ」「ヒート」と言われてもわかりません。
訳が分からないまま引っ越し先に向かいますが、自分のPCの中にもネットにも街にもどんなに探してもミミじぇるはいません。自分が「描かない方がよかったの?」なんて言ったからかとショックを受けていると突然身体に異変が起きます。
身体が熱くなり息も苦しくなり倒れてしまいます。そこに助けにやってきたのは引っ越し先の管理人の拓海。内気で家族や友だちとうまくやっていけなかったるかの世話を何かと焼いてくれます。
何度もバイト面接に落ちるるかにバイトも紹介してくれます。そんな優しい拓海に惹かれていくるかですが、拓海にはずっと好きな人がいると知ってしまいます。
この辺りはあっさりと物語が進んでいきます。
でもるかは軽く考えているわけではなく、拓海と一緒に過ごして楽しいことやΩだからαだから気軽に好きになったわけではないことなどちゃんと拓海に伝えられているので、物語が無理やり進んでいく感じがしません。
また、ミミじぇるがイマジナリーフレンドとして現れてるかとおしゃべりした、りるかの手伝いをしたりします。現れるたびにミミじぇるの洋服が違うことやミミじぇるに性別がないのは、るかがミミじぇるを心の中で大事に育ててきて、ずっとミミじぇるだけが友だちだったことも伝わりました。
そして二度目のヒート。なんとなく気まずくなっていた拓海がるかの部屋へやってきてヒートを治める手伝いをします。るかは拓海が好きだからうれしいけど、拓海には好きな人がいるのにΩだから助けてもらってしまうことに罪悪感を覚えますが、拓海の様子からもう好きだとは読者にはわかります。
その後にふたりはちゃんと話し合って互いに好きだと言い、初めて身体を繋げます。ここでもるかが自分の気持ちを上手に伝えたり、かわいい顔をしたり、とてもよくがんばったねと思えたのですが……。
夢のような幸せの初エチから目覚めると、またミミじぇるのいる元の世界に戻っています。
本当の物語はここから語られてきます。
実は今までいた世界はミミじぇるが作った世界で、好きな人が出来て幸せになったるかがミミじぇるのことを考えなくなったので、ミミじぇるの力が弱まりるかは元の世界に戻ってきてしまったのでした。
るかが嬉しい時も悲しい時もずっと一緒にいたミミじぇる。一番にるかの幸せを考え、自分を忘れるくらい好きな人ができたことを喜びます。ミミじぇるがいなくなっても強くなってがんばると約束するるか。公園でのミミじぇるとるかのシーンはとてもよかったです。
そしてミミじぇるの最後の力で再びるかはミミじぇるのいない世界へ。
最後に向けて、拓海とるかは拓海がΩを嫌いになった原因をスッキリとさせます。その時に頑なだった拓海に決着を付けさせたのは、同じように大事な友だちミミじぇると離れてちゃんと別れを言えなかった後悔を拓海にさせたくないというるかの想いが強かったからです。
前の世界のるかは何も言えない内気な性格でしたが、Ωにって拓海とはちゃんと話し合えるようになったのは、るかにとって拓海はミミじぇるの役目を果たしてくれる人でもあるのかな?と感じました。
そしてまたハピエンの先にはミミじぇるが……。
この物語の主役はミミじぇるでしたね!
かわいい前面推しの軽い転生物かと思いきや、思いがけないどんでん返しもありとても楽しく読めました。
エロス度★★★★★
おやおやおやおや。ノーマルな世界からオメガバースの世界にトリップしてしまうとは・・・なんと興味深い。
拓海とるかが紡ぐ祝福の恋物語・・・開幕。
オメガ嫌いのアルファでありながらるかを助けたり世話を焼いたりする拓海からの特別なアプローチにキュンとし、るかも拓海に友達以上の気持ちが芽生えて両想いになっていくピュアさがよかった。
拓海からの溺愛や弱虫で内気だったるかがオメガバースの世界で得る幸せが尊く、ファンタジー要素や切ない展開もありますが、ミミじぇるがるかを幸せに導いていくのがグッときます。
受けのるかくんの可愛さの虜になること間違いなしです〜!顔だけじゃなく性格も可愛すぎます…。ただのオメガバじゃない、ちょっと不思議な設定にどきどき。るかくんの作り出したキャラクター、ミミじぇるも何とも可愛いー!ほっこり可愛いお話が好きな方にぜひ読んで欲しい作品です。癒されます。