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表題作魚と水の森 2

仮)イェンス
ヴァンの伴侶、神族
仮)ヴァン
イェンスの伴侶、人魚

その他の収録作品

  • 描き下ろし「おまけ漫画」

あらすじ

イェンスの伴侶となり、ヴァンは二人きりでの島暮らしを謳歌していた。ある日イェンスから、自身が“幼い頃に事故で死に、黄泉還った”人間であることを教えられる。その命の代価として、魔法使い・ドロメによって島に呪いがかけられ、新月のたった一日しか島の外に出られなくなってしまったことも…。話を聞いたヴァンは、なんとかイェンスを救うことは出来ないかと考え――ドロメに代価を払うことを決める。心優しい青年と元・人魚が織りなす、感動のヒーリングファンタジー、第2巻。

作品情報

作品名
魚と水の森 2
著者
本郷地下 
媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
発売日
電子発売日
ISBN
9784834233421
4.9

(36)

(33)

萌々

(3)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
177
評価数
36
平均
4.9 / 5
神率
91.7%

レビュー投稿数6

これ以上ない最高の伴侶。

前巻で描かれたヴァンの過去も辛いものだったけど、この巻で語られたイェンスの過去は想像以上に重いものでした。辛いとか哀しいとか……まさに言葉にならないような。
自分で望んだわけじゃないし、村人たちの自業自得ではあるけど、自分を思ってやってくれたのも事実だし、村人全員の運命を変えさせてしまったのも確かだし、でもいちばん重い運命を背負わされたのは自分だし。
一人ぼっちになってしまっただけじゃなく、こんな思いを抱えて生きていかなくちゃならないなんて。

イェンスって落ち着いていて淡々としていて、「黄泉還り」だとか「呪い」だとかとイメージが今ひとつ結びつかなかったけど、むしろあれは一種の諦念みたいなものだったのかと納得しました。全てを割り切って受け止めるようにしなくては到底生きていけない。
アイノ婆だけに漏らした「おしまいでもいいかなぁ」という言葉が泣けました。
知恵と慈愛に満ちたアイノ婆の言葉も心に沁みます。

イェンスを助けたいと決意したヴァンのとった方法はすごく意外だったけど、「今どんなに幸せか伝えたい」「ヴァンが意味になった」と迷いなく言い切れる強さに痺れました。ヴァンを伴侶に選んでほんとに良かったね、イェンス。
“救う”ではなく“掬う”という漢字を当てているのも素敵です。

この巻までのところで愛と絆はしっかり育まれたけど、欲を言えば恋心も芽生えるのが見たい……その点では、あともう一押しが欲しいところです。
1巻と比べたら少しは兆しがあるかな?という程度。添い寝したり、さらーっとキスもしちゃったけど、恋愛というより親愛のキスのような。

けど、ツバメちゃんがまだまだ波乱がありそうな予言をしてくれているので、いい意味で二人の関係がさらに変化していくことを期待してます。
そういえば、1巻から仄めかされている“ヴァンの体が普通ではない”という件が明かされていないし。変にBL展開にはしてほしくないけど、ちょっと萌えも欲しいという、贅沢な希望を抱いて次巻を楽しみにしています。

0

生きる事、生かされる事、生きて行く事

「丁寧な暮らし」とは無縁な生活をしてる私の心がバシャバシャと聖水で洗われるような、、、本当に美しい作品です「魚と水の森」

1巻で全体的な世界観に触れ、この2巻でグーーーっと人物に焦点が合い設定とストーリーが重なり合って、深い理解に繋がるような読書感に包まれました
まるで彼らしか住んでいない島の何かしらの生物に転生して2人を見守っているような感覚になって読める深い没入感があります

もしまだ未読の方がいらっしゃれば1,2巻を通して読まれる事をおススメしたいです‼
まだ続くのですが、一気にこの世界にダイブして包んでもらえる感覚になると思うので是非とも…‼

描写力がズバ抜けてるだけでなく読ませる、伝える力も漲っています
だからこそ惹き付けられて読んでしまうのだと思います‼
本当に素晴らしい作家さまの素敵な作品です(*˘︶˘*).。.:*


詳細が明かされて行くイェンスの過去、そしてヴァンの想いを知る事で「生きて行く」という事の意味に自然と自分の心が向き合っていくのを感じるのです

誰かの想いの向こうで「生かされた」命
誰かの為に対価を払い喪失したまま時を過ごす日々
その過去は変えられないけれど、1人で抱えた時間を誰かに知ってもらう事でただ時間が過ぎて行くだけの日々からの変化が訪れる

自らの意思をもって「生きて行く」と思える事
その想いを知っていてくれる人が傍に居る事の歓びと安堵と生への張り合い
本当の意味で互いが伴侶となっていく日々が本当に〝貴い〟

命を繋いで行く事自体の奇跡を単なる軌跡にするのではなく、自我を伴い意味を持って「生きて行く」事がどれだけ恵まれた事なのか、、、

本人が望んだ訳ではないのに「生かされた」イェンス
彼の過去を知り自分の中に生まれる”もどかしい”という気持ちを感じる事が出来たヴァンス
声だけでなく人魚の誇りである髪を王子に奪われたヴァンス
余りにも失ったものが多く、死んだように生きていたヴァンスがイェンスとの出会いにより自分の中で感情を育てている事が既に感慨深い

イェンスはヴァンスに出会い誰かに食事を振る舞い、共に温かい時を過ごす喜びを思い出し、そして1人で無い事に安堵をし、生きている事、生きて行く事を肯定出来る日を取り戻す

改めて「伴侶」という言葉がピッタリだな、と思う2人
伴侶には配偶者という意味以外にも仲間や連れという意味も含めて「 行動や考えをともにして一緒に連れ立って行く者」という意味があるのだそう

イェンスは神族に愛された人の子、ヴァンスは人魚
種を超え、それぞれの抱える枷を枷と思う事なく補い合える2人


1巻レビューでストーリーテラーとしてホッコリさせてくれる、と書いたツバメ達がまさかのドロメだったとは、、、ここは結構衝撃でした(゚Д゚;)
それを知って1巻を読み返すとまたなんとも言えぬ”ちぐはぐ”を感じなくもないのもまた新たな発見でした(•ө•)(•ө•)(•ө•)
ドロメは憎いハズなのに、、、なぜか憎み切れないのもキャラの描き出しの上手さですね…!!

一方ヴァンが感じる〝ちぐはぐ〟は払った代償に見合った対価をイェンスに受けて欲しいという想いから来てるんだろうな、、、
だって黄泉がえりはイェンスが望んだ事ではないのに、それをその身一つで請け負い、それでも”おしまい”にせず「生きて」来たイェンス、、、
そんなイェンスに食事の温かさを教えて貰い、温かい寝床に清潔な空間と安心出来る時間を貰っているヴァン
イェンスが幸せじゃない!なんてきっと許せないんだろうな
その想いの全てを自身の誇りを対価として自ら手にして、声にして目一杯イェンスに届けたヴァン

改めて表紙を見ると胸が思いっ切りキューって詰まるのに、どうしようもなく温かさも広がるような、、、もう私の胸中がせわしないったらない。゚(>ㅅ<)゚。

そしてその想いを受け取り答えたイェンスの言葉が忘れられない
この素晴らしい言葉を作品を通して受け取れただけでこの作品を読む価値があったと確信出来ます
レビューはこの素晴らしい言葉と共に終えたいと思います
感無量…‼

3巻も心よりお待ちしております(ღ˘͈︶˘͈ღ)

ーーーだからもう 命の全部で生きていこうーーー

4

少しずつ謎が解けていきますが

イェンスの伴侶になった元人魚のヴァンは、イェンスがたったひとりで生きている理由、幼い頃に黄泉還った人間であること、その代償として島に呪いがかけられて新月の日しか島を行き来できないこと、特別にただ一人の伴侶のみ外から島へ迎えられることなどを教えてもらいます。
そしてヴァンは自分を助けてくれたこと、自分が王子のために声を失くしたことを考えます。王子なんか助けないでヴァンを助けていればよかったのにと後悔します。若い頃に願ったことを後悔するのはよくわかります。特別な宝石を欲しいと思っていたのに、実はただの石で本当の宝石は後から見つかることってありますよね。ヴァンはどうにか自分がイェンスを救えないかと考え始めます。

そうするうちにいつもそばにいる3羽のツバメが実はドロメだったと気づきます。ドロメは何人もいて、1人のドロメに1つの願いと決まっていました。少しずつドロメの謎も解けていきますが、まだわからないことも多いままです。
1人のドロメに1つの願いということは、きっと一生に一度の願いのはずなんですよね。ただイェンスは幸運だっただけなのか、それとも別に理由があるのかもしれません。でもそのおかげで二度目の願いの時はイェンスにとってフェアに行われ、髪の毛と引換えに1日のみ声を出せるようになりました。寝るのも食べるのも惜しみ、ふたりはたくさんおしゃべりをしました。

それからイェンスはなんとかヴァンとコミュニケーションを取るために筆談という方法を見つけ、ヴァンに読み書きを教え手話を一緒に勉強をして、ふたりは語り合い互いを愛しみ合います。
1度でもヴァンの声を聞けて、本当によかったなと思える2巻でした。これからもたくさん語り合いながらずっとふたりで生きていってほしいと思いました。
最後に出てくるとある小さな命がふたりにこの先どう影響するのかも楽しみです。

激しい恋愛感情や行為はありません。BLとは違うと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、とても素敵な物語だと思いますので、おすすめです。
島でふたりが秋の恵みを満喫し、冬の寒さと美しさとふたりでいる暖かさと愛情が感じられる作品です。本郷地下先生の描く美しい自然や美味しそうな食事などに囲まれたふたりが、それぞれ相手のことを思いながら季節は廻っていくのを見るのもこの漫画の楽しさのひとつになっています。

5

大好きです

切ない、哀しい、優しい…とてもとても良いお話なので、沢山の人に読んで欲しいなぁ〜と思っています。
3巻も楽しみです。
紙の本は装丁もとても美しいです。

2

切なく優しいお話に癒されます

1巻に続き発売を楽しみにしていました!2巻も胸がキュッとなるイェンスの切ない思い出や、ヴァンのイェンスに対する覚悟の誠実さに胸いっぱいになり温かな涙が流れました。
こんなに読んでいて癒されていくなぁ…と実感できる作品はあまりありません。

イェンスが語る過去の思い出。ドロメに村人がイェンスの命を願った代償が大きすぎて、村を出る事が不本意だった村人達もいただろうし、それでも村に残ると決めてイェンスと一緒に居てくれた村人達が一人、また一人、と最後イェンス1人になるまでに彼がじわじわと感じていく寂しさと孤独感を思うとよくヴァンに会えるまで一人で生きていてくれたと抱きしめたくなります。
また、そんなイェンスを掬いたい(ヴァンもまたイェンスによって掬われて今がある)と願い、ドロメと行う交渉。ヴァンなりにたくさん考えて考えて…の結果なんだろうな。
ドロメに一泡食わせてやれたのはちょっと気分が良かったです笑

そして全読者が望んでいたであろうシーン!
ヴ、ヴァンが言葉をぉぉぉぉぉぉ泣
たった1日だけだったけどそれまで微妙〜にズレていた2人がやっとお互いに話し合えた気がしました。言葉ってすごいと改めて思います。

イェンスの言葉に対する閃も良かった!コミュニケーションが取れるってこんなに仲が深まるんだなぁとにっこりしました。じわじわと2人の中に生まれて来ているものもあって♡

ラスト新たな出会いもあり、次巻が楽しみです!

2

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