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普通、年下攻め×おっさん又はオヤジ受けのお話しを描写する場合、どんなに攻めと受けの歳が離れていても、それ(年齢)がハンデにならないくらい"光る何かを持っている受け"という風に描写されることが多いと思います。
何故ならそういう設定がないとどう頑張っても、年若い男と中年男(いや、ここではあえて半世紀男と言わせていただきます)が恋愛に発展することなんて、あり得ないですから。
でもですね、本作の受けはその"光る何か"が微塵もないんですよ。
もういっそ、別作品のオヤジ受けの爪の垢でも煎じて飲ませたいくらい、魅力がない。
仕事ができるとかこの上なく優しいとか、顔立ちが整ってるとか攻めに対して一途だとか、はたまた攻めとは幼少期からの繋がりがあるとか……
そういったものが、一ッッッッ切ない!!それどころかマイナス点ばかりである!どうやってもこの二人は恋愛に発展しようがない!!以上!!っていう、二人がですよ。木原マジックにかかると恋愛に、なるんですね〜…これが。
福山は、遊びで始めたはずの関係に知らず知らずのうちに本気になってるんですけど、その流れに不自然さもなく…
自分自身、いつのまにか、なんの魅力もない仁賀奈に、福山同様グイグイ惹きつけられてるんですよ。
ぶっちゃけ仁賀奈(受)なんて、道端の小花どころか、枯れ草ですよ枯れ草。他の人だったら目に留めるどころか踏んでることにも気付かないような枯れ草男に、夢中になって愛を捧げる福山(攻)が途中、滑稽で滑稽で………めちゃくちゃ美味しい展開でした。不憫攻めは良いなあと再認識。
そして、終盤になって完膚なきまでに叩きのめされる福山は哀れですらあります…ホロリ
序盤の福山は確かに嫌な奴だったのに、途中から福山を全力で応援したくなっているミラクル。
ほんと、自分は不憫攻めが好きなんだったんだな〜と思いました。
先の方もレビューで仰っているように、木原節が炸裂しています。
未だ嘗て、受けのことを
シーラカンス男
仏壇に飾られる落雁みたいに食欲をそそらない中年男
などと表現したり、攻めが受けを抱いた後に
「俺から半世紀の匂い、しない?」
などと言って馬鹿にするような作品があっただろうか。いや無い。
常人では思いつかないような表現の多様さ絶妙さに、自分は絶対、作家にはなれねえなあ。と唸った一作でもありました。
木原作品でなかったら絶対に読まなかった、50歳の受け。
私にとってはその辺が神作品。
オヤジ同士ならともかく(それはそれでいい)30歳の相手が50歳ですよ。
普通、プロットでもそんなこと考えない……すごいなぁ、と感心しながら読んだ。
読んだ……別に変じゃなかった(笑)
うまくいかない恋は年齢に関係ないし、恋に容姿や年齢は関係ない。
自分自身の持論ではありましたが、お話にはロマンを求めてしまうもの。
木原さんの作品は恋愛の部分だけでなく、それって人間としてどうなのよ?って人が度々出てくるんですが、実際世間にはそう言う人もいるわけで、むしろいい人の方が少ないかも知れないし、恋もうまくいかない方が多い。
あばたもえくぼと言うし、人の好みはそれぞれ……と色々な言葉を思い出したりもする(笑)
つまり、木原さんの作品はファンタジー的にはどうなのよと思うけれど(BLはファンタジーともいうので)人間模様としてはこれほど面白く納得させられる話を書ける人は居ないと思わせる作品です。
はじめにこの本を知った時、30歳と50歳のお話と聞いて
読んでみたいという気持ちがほとんど湧いてきませんでした。
そして、実際に読み始めてみても
最初の何ページかを読んだ時点では
「こんなくたびれたオジサンのこと、何処がどう転べば好きになっていくのかわからない」
という印象しか持てていませんでした。
特に見た目が若い訳でもなく、とてもハンサム(敢えてイケメンとは言わないw)と言う訳でもなく
仕事がバリバリ出来る訳でもなく
しかも、50歳になるまで男女共にお付き合いをしたことがない童貞中年・仁賀奈。。。
かたや、20代の頃は道を歩けばあちこちから声を掛けられるくらいにもてていて
恋愛は遊び位にしか思ってないような最低な男・福山。。。
それが、酔って記憶をなくしている間に
このサエナイオッサンをお持ち帰りし、セックスまでしてしまったことをキッカケに
自覚のないまま、仁賀奈に嵌っていく様が見事なまでに描かれていて
この辺りまで来ると、読者もすっかりこの福山の気持ちに自分の気持ちがリンクしてきて
なぜかどうしようもなくこのオジサンがかわいく思えて来てしまってるんですよね^^;
この時点では、仁賀奈がまるで初心な乙女の様だな、と思ってました。
(その思いは、後半大きく裏切られるわけですが。。。)
福山も、もうすっかりこのかわいいオジサンに夢中になってたワケで
このあと、仁賀奈の行動に振り回され、傷つけられても
それでも何度も何度も期待をして、また打ちのめされるのが痛々しくて
報われない福山の気持ちを考えると、涙が止まりませんでした。
もしかして、このまま福山は救われないままなのだろうか?
もうこの最低男を赦してあげて?
そんなことを心の底から願いつつ
ラストまでビクビクしながらページをめくることになりました。
普通のBL作品なら、ラストは確実にハッピーエンドになる、と思えるんですが
そこは木原作品。。。
このままもやもやした気持ちを抱えたまま本を閉じることになる可能性も有ったので。。。
ラストは、実際に読んで確かめてください。
この作品を読んで
恋に落ちる時は、なにがきっかけになるかわからなくて
しかも、相手の条件なんてあってないようなものなのかな?と
そんな昔の甘酸っぱい気持ちや
本気で恋をした時の終わりの辛さが蘇ってきて
そして、それでもまた恋がしたい、と思ってしまいました。
そんな気持ちにさせてくれたこの作品は
私の中では神作品です。
ユニットヴァニラの同人誌から、杉原理生さん名倉和希さんとの合同誌に渡り歩いて書かれた作品の加筆修正作品です。
同人誌では、46歳だったのに、更に年齢がアップして50歳です!!そして主人公の福山は同人誌で33歳だったのが、若返って30歳に!なんと年の差20歳!一回り違うと表現していたのが、今回親子にグレードアップしてるし。木原先生、さすがオヤジスキー。
仁賀奈の最後のどんでん返しは、このところの木原作品にあるパターンです。
好きだったと思わせといて、それはあなたの勘違いですって急に牙をむく恋人相手に、読者は主人公ともども、天国から地獄にまっさかさま。。じくじく血が吹くような胸の痛さを味わうことになります。
でも木原ファンは、また突き落としてほしくて新刊を待つんですよねぇ。
50歳だというのに、耳まで赤くして恥らうオヤジのかわいらしさをあらわす表現力、さすが木原先生です。
木原先生の作品が好きで読み始めたのが根本ではあるんですが、今回の一番の目的は、50歳のオジサン受にトキメイタためです。
有る意味初老・・・いや、まだ今は50じゃ初老とは言わんのかな。
最初にパラパラ見た感じでも、上手い具合にニヤニヤしておりました。
しかしですね、最終的にトキメキを頂いたのは攻でした(笑
しょっぱな、自分のほうが優位に立ち、俺様的思考。
なんて可愛げの無い酷い男だとおもったのですが、徐々に、いっしょに居ることが誰よりも楽で、なんでも心許せる相手になり。
だれよりも好きで、誰よりも甘えたくて。
だれよりも・・・・。
変化していく気持ち。
甘える姿がすごく可愛かったのです。
まさか、そういうことだったのかよ!!
という、オジサンのどんでん返しも面白かった。
あるいみ、木原先生の攻って同じ雰囲気を持ってると思うんですが、どの作品でも(私が読んだ作品中)同じ、こぉ・・・・純粋にまっすぐ好きっていう気持ちが溢れるというか。
好きな人への甘え方っていうか。
気持ちよりも、ちょっとした仕草というか。
めちゃんこ可愛かった'`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァ
オジサンに夢中になっちゃう若人っていう設定がとりあえずツボ