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シリーズ2冊目も、相変わらずBL的な進みはゆっくり。だがそれ以外のところがとても面白く、また理人の心理描写が素晴らしいので、ぐっと引き込まれていった。
ラストは続きが気になりすぎる終わり方。次巻を用意しておいて良かった。
主な新キャラは久我の元彼女。理人がモヤる描写はあるものの明確な形にはなっていないため、よくあるヤキモチ焼かせ要員としては活躍していない。次巻で登場させた意味が見えてくるんだろうか。
久我は理人への気持ちを自覚する。最初から気になる存在だったのが、ここにきてはっきり“つかまった”と認識する。劇的な出来事があったわけでなく、ちらちら見える理人の内側を覗き続け、その結果久我の中に蓄積された何かが溢れた瞬間だったのかな。
分かるような分からないような趣味だな……と思わんこともない。なんとなくこの男に好かれる理人に同情したくなる気がしたりもして。まあ一言で言うと面白い。
で、BLそっちのけだが本題は理人。叶と『ゴルド』買収の話は確かに1巻でしていたが、あれが本気だったとは。その後も叶の存在感は久我のそれを上回りそうだと思っていたら、理人の過去絡みで一つの事実が明かされる。
驚きなのは、こんな立ち位置でこれはBL小説なのに叶がメインカプでも当て馬でもないところ(今のところ)。が、叶の意図が一番興味深い。足音を消して現れるとか、理人に対し同情や罪滅ぼし以上の感情がありそう……あるといいな。
長年秘密にされてきた真実を知り、同時に心の支えを失くした理人に、久我は結果的に付け込む形になってしまった。今作では叶に持って行かれた感があり、久我の新たな魅力は見いだせなかったため、次巻で挽回して欲しいと思う。
現状では叶の方が好感度が高い。
BLとして萌えるかといわれると困るが、ストーリーに読み応えがあり、小説として読んでいて楽しかったので神。次巻も期待大。
3冊合本版で読みました。
前巻「愛と混乱のレストラン」のレビューで"まさに1冊の本の3分の1あたりまで読んだなという感じ。"と書きましたが、こちらも同じで、この1冊だけだと少々物足りず…3冊揃ってやっと萌えどころもあり完成する印象でした。
特にこの巻、主役2人含め登場人物からどんどん心が離れていく…『ル・ジャルダン・デ・レーヴ』のメンバー(主役2人除く)は好きなんですけどね。修司と理人はなんとも自分勝手としか言いようがない。コメディ然とした作品ならまだしも、そうでもないからな〜
愛と混乱のレストラン2作目。
レストランはだいぶ回復し、スタッフのチームワークも良くなってきましたが、理人だけは未だに一線をひいて心を開けていません。
でも明らかにお互いの視線を意識し始めた久我と理人。
「やばい」「かわいい」と心でつぶやいて恋に落ちた瞬間のシェフは可愛かったです。
一方の理人はついにあしながおじさんと対面し、放心状態に・・・。
(どちらも可哀想で切なかった)
そして動揺した理人を前に歯止めがきかなくなってしまったのは、やはり久我でした。
壊されたのか、救われたのか。
続きが気になります。
文豪の本を読むと、その繊細で緻密な表現に『自分には作家は到底無理だ』と思わされますが、高遠先生の作品を読む際も毎回こう思わされます。
文章がキラキラ輝いていて、すごく切ない。
短い言葉一つ一つに感動させられて、本当に文字通り胸が痛くなります。
このシリーズは、3冊とも素晴らしいんですが、中でもこの2冊目が好きでした。
特にジビエの調理シーン。
理人とは違い、私は割りと食事に対して嫌悪感は持っていないけれど、それでも『食べるのが面倒だから、ゼリーだけでいいや』って思う時もあるので、「命の味」という言葉に改めて食に対する想いを強めました。
この作品は、私のように食事を面倒とか苦痛に感じ始めた方にこそ是非読んで貰いたい作品だと思います。
そして、この調理シーンに続く、修司が理人への恋に落ちるシーン。
高遠先生の、こういう理屈ではなく気づいたら落ちてしまったという書き方は凄く上手です。
まるで実際に目の前で展開されているかのように鮮やかに書かれてあり、この場面は読んでいてずっと胸が痛かったです。
最後、無理矢理の場面もあるので、苦手な方は苦手かもしれませんが、全体的にはそれを越えるくらい優しい作品だと思います。
食事を摂るということは、生きるということ。
当たり前ですが、そんな大切なことに気づかせてくれる作品です。
一冊目はレストラン再建し始めの仕事描写がっつりな内容だったが、二冊目からは修司と理人の心情にじっくりと浸る事ができる。
タイトルの『美女と野獣と紳士』について、作者の高遠さんは美女=理人ではないと明言されているが、私はどうしてもサラではなく理人を当てはめたくなる(笑)。
ところでこの小説は時折キャラクターの視点が変わっている場面がある。
一人称、三人称とかの視点が定まっていない小説って作家によっては読みづらく感じる時もあるが、この話では気にならずに読める。
多分それは他の人のレビューにあるように、私も高遠さんの書くキャラクターの感情表現に惹きつけられるからだと思う。
あと個人的に、読んでいて妙な回りくどい表現ってのがないなと感じた。
その中でも修司視点で、反発していたはずの相手、ディレクトールの理人に対して惹かれていく様子やはっきりと恋に落ちた瞬間にはグッときた。
恋を自覚した途端に理人の事を好きで好きで堪らないという衝動、自ら作る料理で彼の笑顔を見たいという想いが強く出ている。
但し、この巻でも理人はまだ頑ななままなので彼が美味しそうにフレンチを食べるシーンを読めるのかどうか、最後まで引っ張られているけれど。
今回は理人が長年気にしていた足ながおじさんの素性に、上司・叶との関係がどう変わっていくのかも気になるところ。
理人自身は上司・部下の線引きをきっちりと意識していても叶のほうには別の感情が育っているようで…。