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意外な事件の展開、切ない愛のサスペンス!
 この雰囲気めちゃくちゃ好き
                    この雰囲気めちゃくちゃ好き
				80年代のニューヨークが舞台のお話で、刑事と制服警官のカプ。シリーズ一巻目の本作での二人は、身体の関係を持つようになり、一応付き合っている状態にはなったが、気持ちがついてくるのはこれからっぽい。続きが楽しみすぎる。
ハリーは気弱な性格で、腕力も射撃の腕もなく、警官としては頼りない。だが嫌な卑屈さは無く、適度に力を抜いている印象。まだ未知であったエイズの恐怖が蔓延する中で、流されるように溶け込むように生きている。この作品の独特の空気感にどっぷり浸からせてくれる主人公。
ドイルは優秀だが一匹狼で、組織内で疎まれるタイプ。誰に対しても遠慮なく発言し、嫌味や皮肉も忘れない。その堂々とした振る舞いはいっそ清々しく、傲慢な物言いもクセになる。公私の区別がハッキリしており、プライベートで甘々になるギャップが好き。
事件モノではあるが、推理モノとは言い難い。制服組のハリー視点なので、基本的に外から見ている感覚が伝わってくる。全体像は捜査の中心にいるドイルから最後に明かされる。だがそこより、事件を通してハリーの内面や感情を見ていく感じかな。事件そのものはこれ一冊で一区切りついているため、すっきりできる。
お互いゲイで好みだったことから唐突に始まった関係は、まだまだこれから。ハリーは元彼を忘れられそうにない状態だし、ドイルにはまだ謎が多い。今後の二人はどうなっていくのか、とても気になるので早く二巻目を読みたい。
 甘さ控えめ。翻訳ものみたいな空気
                    甘さ控えめ。翻訳ものみたいな空気
				2009年発表、設定は1980年代NYの、刑事と警察官の物語。3巻もの。
本作は、BL的なLOVE観点は薄い。
警察官と刑事の立場の格差、世間的にゲイを隠さなければ生きづらい風潮、大都会で日常的に起こる軽犯罪・傷害事件・発砲事件に立ち向かう警察官の奮闘…
主人公の警察官と、分署を移籍してきた刑事が共に(偶然)ゲイで、これまた偶然に同じアパートの住人となって、周囲に隠れて関係するようになる、という設定があって、廃墟同然のアパートメントで死体が発見された事件を共に捜査する、という物語となっています。
居合わせたヒスパニック系の大学生(ルカ)や、その友人(アリエル)、気弱な警察官ハリー、ハリーの相棒のベテラン警察官ジェフリー、有能だが協調性のない刑事のドイル、ドイルの相棒刑事だがコケにされているミルズ、彼らの性格や行動がリアルに淡々と描かれます。
警察ものとしての事件、そして事件の謎解きが主としてあって、その根底の設定として、人種のるつぼとしてのNY、ハリー、ドイル、ルカ、そして事件の関係者・ニールがゲイ(全員一応クローゼット)、ハリーの隣人・マリアがトランスジェンダー。
80年代のNYのエイズの蔓延、エイズはゲイへの天罰、という一般の空気感。
それらが絡み合ってかなり読み応えがあります。
BLとしては正直物足りない気も。というのもいわゆるHシーンは無く、朝チュン描写のみ。
主人公のハリーは、前の恋人(日本人男性)との別れに未だ傷ついたままで、今恋が始まった刑事のドイルとの間にまだ壁がある。この辺のモダモダはまどろっこしいけれど、だからこそリアル。
汚くて、危なくて、いつも道路工事中で道がデコボコのニューヨーク。
そんな80年代の「穴だらけの林檎」の姿の、スタイリッシュ感と両立する泥臭さ。そこが面白い。
 翻訳小説みたいです
                    翻訳小説みたいです
				積み箱から発掘。
お話は80年代のニューヨークが舞台の警察官物。
翻訳ものっぽいような、なんか冷淡な感じが好ましかった。
80年代ってもう30年以上前なのかぁ、、、
この本自体が、いつから積まれていたのかわからないレベルの積み本箱から発掘したので、ほんとに古い本かと思いきや、出版されてまだ10年経っていないのね。
時代設定は、もう、なんだか、ほとんど時代劇っていうか歴史物の域だけど、その当時の空気感が結構生々しくて、2000年代に出版されているのが意外な感じ。
これ、シリーズの続きも読みたいけど、残りの本って家にあるのかな。
家の中を探すのと、古書店探すのと、どっちが手っ取り早いかな。
 映画を見ているようなリアルな情景
                    映画を見ているようなリアルな情景
				80年代NYのスラム街を舞台にした、警官が主役サスペンスドラマです。
ラブストーリーに重きを置いているかはちょっと微妙な作品でした。
というのも、主人公のハリーの大失恋から始まるストーリーなのですが、作中ずっと、ハリーは別れた恋人に未練たらたら。
結局最後まで心はまだ前の恋人にあるような感じでした。
同じ作者さんの「厄介な連中」のスピンオフらしく、ハリーとその元恋人のお話はそちらになるようで…そっちは読んでも読まなくても、みたいな感じであとがきでも特に大きく触れられてはいませんが、この内容からしてそっちを読まないとどうしても気になる!と私は思ってしまいました。
何度も何度も元恋人との回想が入るので、ちょっともやもや。
そんな失恋の痛手を引きずるハリーのお相手は新しく配属された刑事で、同じ歳ですが上司に当たります。
私は交流を経て次第に恋心が芽生える展開が好きですが、この2人は両方ゲイで、「好みだから」という理由で身体の関係から始める、どちらかというとドライな大人の恋愛というテイストでした。
身体能力が低くヘタレで警察にはとても見えないハリー(でも気が弱いわけでなく言いたいことははっきり言う)と傲慢でわが道を行く優秀な刑事ドイル。
恋まであと一歩、くらいの所で終わりますが、それでもこの2人の組み合わせが驚くくらい好みで高評価をしたくなりました。
それと、イラストもとても雰囲気に合っていて大好きです。
挿絵の回数が少ないのはちょっと残念でした。
アメリカ(特にNY)を舞台にしたお話を沢山描かれている作者さんだと記憶していますが、NYの描写はとても情景深いです。
作者さんはバブル期の平和な東京で育った分、治安が悪くほのぐらい地域であるNYに憧れていたとあります。私には縁のない土地ですが、ハリウッド映画なんかで見たような、暗いビル郡の合間のマンホールから立ち上る蒸気が目に浮かぶようで楽しかったです。
「愛している」=「死んでもいい」だと作中で解説がありましたが、そこまで深い「愛してる」にたどり着けるほどの愛がこの先この2人に芽生えればいいなぁと思います。
次回作が控えているため、期待をこめて星4です。
 古き良き時代、ニューヨーク。
                     古き良き時代、ニューヨーク。
				 荒んだ街。街を縦横に走る道路には、頻繁な工事の跡で虫食いの林檎が横たわるよう。
 そんな雑多な80年代、ニューヨークを舞台に、男前の刑事ドイル・アーデンと制服警官、気弱なハリー・ローゼンランドの事件を介しながら芽生える恋を綴った物語。
 柏枝先生の書くものは、ただのBLという括りでなく、純粋にサスペンスという側面からも楽しめます。最近すごくはまっている作家さんです☆
 また、槇えびし先生の描くかっこいいドイルと、脆さ加減がよく出ているハリーの挿絵もいい味出してます!!
 お互い31歳ということで、恋愛の姿勢に対しても落ち着きが感じられ、両思いになるにはまだ、ハリーの前彼への未練が邪魔になっているのですが、ドイルはそんなハリーを受け止められるだけの懐深い男なので、少しづつ二人の関係は近づいていくんでしょう。
 これは、是非シリーズ化してほしい作品です。
 
