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表題作Fly me to the moon

浅羽涼生,29歳,弁護士
小川悠,16歳,アルバイトで生活費を稼ぐ

その他の収録作品

  • Ombra mai fu
  • いつくしみ深き
  • あとがき

あらすじ

天涯孤独の少年・悠は、偶然知り合った弁護士・浅羽と週に1回一緒に食事をする約束をしていた。彼を好きになってしまう悠だが…。
出版社より

作品情報

作品名
Fly me to the moon
著者
雪代鞠絵 
イラスト
テクノサマタ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344816077
3.8

(75)

(26)

萌々

(21)

(22)

中立

(3)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
17
得点
283
評価数
75
平均
3.8 / 5
神率
34.7%

レビュー投稿数17

蜂蜜色で美味しそうな満月。
月に見惚れて。
月まで歩いていければ。
本編ではたくさんの月の描写があり、ショートでは、最愛の人を月のような人だと例える。
美しい月がいつも頭の中に思い浮かぶような、優しいお話でした。
きつねの童話は私にとって懐かしく、それもまたお話に優しさを添えるようで。

お話を読んでいる間中、いやしい私の頭には常にあの月を模った銘菓がチラチラと( ´ ▽ ` )笑

本編は「Fly me to the Moon」
「Ombra mai fu」というお話も150ページ弱入っておりました。(本編も150ページ弱)
Fly〜が付き合うまでを。Ombra〜は付き合ってからを。
ショート「いつくしみ深き」
文庫版の超ショート「HUMORESKA」
私、無類のSS好きなのですが、こちらのショートも可愛くてお気に入り。
本編が受け目線で、ショートは攻め目線でした。それもまた良い萌え。

1

童話と重ね合わせて微笑ましくも切ない(;///;)

雪代さんの作品をいくつか読みましたが
【大人×子供】の組み合わせと不憫受けはなんでこう泣かせにくるのか…(;///;)
honeyとビューティフル~がすごく好きで定期的に読み返しては泣いてるのですが、
この作品も仲間入りしそうです。

文庫化されたのは早10年前。
ノベルス版はなんと14年前。
どれだけ年月が経とうが心に響くものは関係ないですね(;///;)
というかその時代だからこそ書けるものもあるのか…?
(いまはあまり露骨な大人×子供は少ないですもんね;)


表紙には、袋から零れんばかりのお菓子とふんわり包み込む男性。
"お菓子"は子供っぽさを連想させる為のモノと思ったのですが違いました。
度々キーアイテムとして登場するお菓子に泣かされます(;///;)

受けは身内の不幸で天涯孤独の身。金銭的な余裕もなく、
中卒でコンビニバイトをして細々と生計を立てています。
世間のことを教えてくれるような頼れる大人は誰一人としていない環境。
むしろ後ろ盾がないことをいいことにバイト先では都合良く使われています。

孤独で淋しい気持ちばかり。
ポケットに詰め込んだお菓子だけが心を癒やしてくれます。
そんな日々の中で偶然知り合った攻めと少しずつ親しくなります。

攻めは弁護士です。
鷹揚とした優しさを感じられる大人の男性。
受けの心の淋しい部分を埋めてくれて、無自覚ながらも惹かれてーーーと展開します。


世間の汚い部分も散々見ている弁護士の攻めと、
世知辛さに痛みを感じながらも純真さを失わない受けと。

大人と子供の年齢差・経験の差なんでしょうかね。
見ているモノが違ってすれ違う様は切なく何度ももらい泣きしました。
すれ違った場合、どうしても傷つくのは子供の方なのです。
大切なモノを失いそうになる感覚で泣いてる姿は読んでて堪えますね…。
(そして傷つき萌え属性が刺激されてめっちゃ萌える)

というか、攻めですよ!!!
基本は優しいし、受けを大切に想ってるのもよく分かる。
けれど大切にしすぎて傷つけてるのを分かっていない。

一番ムカついたのは大事な話をするときに結論からズバッと言っちゃうところ。
大人相手ならそれで良いのです。結論をさっさと言ってくれた方が話が早いし。
でも子供相手にそりゃないだろーという切り出し方が…もぅ…(;ω;)

攻めが↑ここを改めればすれ違いは軽減出来る気がするぞ…?
子供だ子供だと自制心持つぐらいなら、己の足り無さをどうにかしろー!

ーーーと思いつつ。
大人×子供ゆえの噛み合わなさに切なキュンを堪能しました(;///;)
大人攻めが受けを大切にしてるつもりですべて裏目に出てしまったり、
子供受けが攻めと対等になれない・なにもしてあげられないと泣く様だったり、
良いですね。年の差。王道ですがこういう切なさに弱いです。
またお菓子が受けの心理状態を図るバロメーターになってた部分も泣きました。

所々童話と重ね合わせて微笑ましくも切ないお話でとても良かったです(;///;)

3

優しくて甘い

 天涯孤独な少年・悠は、中学卒業と同時に、おじの家を出て、コンビニでアルバイトをしながら一人で生活をしていた。
 そんなある日、ぼーっとしていた悠の前に一台の車が飛び込んでくる。
 それに乗っていたのは弁護士の浅羽で、彼はやせ細った悠を心配して、週に1回ご飯を食べに連れて行ってくれるようになる。
 寂しさや辛いことも受け入れ、一人慎ましく暮らしてた悠だったが、次第に浅羽の優しさに触れて、彼に惹かれていく。

 という話でした。
 ちょっと世間知らずだけれども、一生懸命で、自分を曲げない悠は、挿絵と相まって本当にふわふわしていてかわいい。
 誰でもぎゅって保護したくなるような雰囲気。
 そして、浅羽はそういう悠を一生懸命なところが本当にかわいいです。
 一生懸命でかわいい小さい男の子をちゃんとした大人が一生懸命守ろうとするけど、うまくいかないこともありながら二人で頑張る話。

 優しい甘い話なので、穏やかなBLをご希望の方にはオススメします。

1

餌付けの恋

電子書籍で読了。挿絵なし。(テクノサマタさんの絵、好きなのに……残念)

まず、何と言っても悠くんが可愛らしい。
健気でいじらしいのは勿論なんだけれど、何て言ったら良いのかな?
小動物?
浅羽さんには「こぎつね」呼ばわりされているんだけれども、野生のけものの匂いは全くしません。
どちらかと言えば、飼い主を失ったペットっぽい。
犬猫感はないのだけれど……(フェレット?フェレット飼ったことないんだけれど)
なんでそんなこと思うかと考えたら、浅羽さんと悠くんって「ご飯を食べさせる」関係で繋がっているからかもしれません。
悠くんは飼い主を見つめるワンコのごとく浅羽さんを見つめるのだろうなぁ。
そういう一途さにキュンとします。


2

癒されたい夜に

話としては、とてもわかりやすい「足長おじさん」の話。
割と最初からラストは想像できた。なのに、受けの健気さと切なさが胸に沁みました。涙出ました。
特に、受けが後に「こぎつね」と呼ばれることになるエピソードがたまらなく可愛かったです。

そして、この一冊の中には、「Fly me to the Moon」+「Om bramai fu」「いつくしみ深き」+SS が入っています。
表題作は、いわば本編。他二作とSSは、本編の後の騒動の話。

最近、どのお話を読んでも「本編完結後、二人はどういう風に生きていくのか、ちらっとでいいから読みたい」という気持ちが湧くようになって、後日談大好き人間になっていたので、この一冊は本当に端から端まで堪能できた!という気がしました。
ハッピーエンドは終わりであり、始まりであるという構成、いいな、と思います。

4

甘いです

大好きな気持ちを喩えた『あんまんみたい…』

ほっこりあたたかな気持ちになりました。

1

こぎつねくんとお月さま

読み終った後、思わず「あ~」と感嘆の溜め息。
久々に読んでいて、凄く凄く幸せな気分に浸れる作品でした。

お話自体は、本当に王道中の王道です。可哀想な受けを包容力があって仕事も出来る攻めが可愛がるっていう。
特に奇をてらっていないし、大きな事件や横槍が入る訳でもない。
でも、その非常にシンプルに、且つ密度高く丁寧に作られたこの作品は、まるで昔からつづく老舗のお菓子のよう。
ふわっと柔らかく、でもしっかりした甘い甘いお味でした。

何となくですが、多分この作品は学生さんとかより社会人向けかな、と思いました。
働いてみて、世の中の理不尽さや心ない人の言動に傷付くことって沢山あって、そうした経験を経ると、悠のあの理不尽な環境の中での純粋さや、浅羽の遥を心配するあまりに一人でから回っている不器用さが無性に愛しくなります。

途中、浅羽の言葉足らずの行動のせいで悠が傷ついていたりするけれど、考えてみれば、悠からすると大分大人に見えるけど、浅羽だってまだまだ社会人としては若輩者。
むしろ、最後の方にあったように、悠の方が浅羽より器は大きいかも。
悠の将来の夢も彼にぴったりで、これから二人でゆっくり成長していくんだろうなぁと微笑ましくなりました。
段々いい男になっていく悠に浅羽が焦りそうですが笑

悠の叔父さんへの詐欺?とかもう少し詳しく取り上げても、とも思いましたが、悠本人が納得しているならそれでいいのかも。
むしろ、この作品は現実世界を忘れてこの甘い月の世界に浸った方が楽しめると思います。
評価は迷いましたが、ほんと神に近い高評価。甘く切ない気持ちにさせてくれたことに感謝を込めて。
テクノサマタさんの優しい絵も、これ以上ないくらい作品の世界に寄り添っていました。

4

挿絵効果抜群

今回のカップルは、年の差13歳。
しかも攻は弁護士……攻で弁護士といえば俺様思考の話聞かない系が結構多いような気がしますが、こちらは割と理性の箍が外れにくい硬派でした。
そして受は健気です。
健気のお手本のような健気で、安定の雪代受でした。
攻のことが好きで好きで好きで好きで好きで、もうしかたないってのが体中からだだ漏れです。
そのだだ漏れ具合が、非常に萌えを擽り、読みながらごろごろと転がり回る始末。
攻に嫌われたくなくて一生懸命で、我儘言わないように色々我慢して、我慢して、そして爆発した時にはちょっと目頭が……。
何この子、かわいい。

どうしてセックスしてくれないのか

なんて恥ずかしい悩みで、もんもんとしてるとかね。
しかもこの作品の攻、必死でえっちしてくれないと訴えてくる受に、『その話はもうおしまいにしよう』と逃げまでうちます。
この理性、ヘタレを通り越して仏じゃないでしょうか。
強姦まがいのことを平気でするその辺のBL攻に、爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいですが、この攻は攻で、あんたは悟りでもひらいてんのか、とツッコミ満載。
もちろんそれには理由があったわけですが、とにかく純愛でした。
挿絵がこれまた可愛くて、癒し効果も抜群。

健気な萌えが詰まってます。

8

雪代さんの真骨頂

ちょっと癒されたいーと思い、こちらを読んでみました。
雪代さんの作品は健気受けが主流ですが、今回もかなりの不幸健気さんでした。
ノベルズ版は未読です。


受けの悠は両親を事故で亡くし中学を卒業した今、高校へ行けずコンビニでバイトをしながら一人暮らしをしている15歳。
頼る人もいず、赤貧です。

攻めの浅羽は29歳で、独立し事務所を持つ弁護士。
悠と偶然出会ってから彼を気にかけ、毎週金曜一緒にご飯を食べています。


どうよ!この不幸のミルフィーユやあ!は!
キャラ紹介書いただけでもう、目頭が熱くなってしまいます。
もちろん健気なのですが、それ以上に現実がこれでもか!というくらい不幸。
波のように押し寄せてきます。

雑誌掲載が二本と書き下ろしSSが一本。
ざっくり書きますと、表題作はふたりが出会って紆余曲折(大袈裟だけど)の上、心を通い出し一緒になるまで。
こちらでは不幸をご堪能頂けます(苦笑

二本目では、悠が浅羽の援助を受け高校へ通い出し、さらに一緒に暮らし出しています。
浅羽の昔からの友人である吉住という、ちょっと意地の悪いキャラも登場。
こういうサブキャラ、雪代さんの定番という気がします。
わたしはこちらの二本目の方が好きかな。
こちらの売りは切なさでしょうかね。

そして書き下ろしのみ攻め視点です。
ただ、この書き下ろしは多分本編よりもかなり後に書かれているのだとは思いますが、なんだろ、悠の会話文を読むとひじょうに違和感が。
別人のように感じられてしまって。
もちろん最初の頃の悠は本当子供だったわけで、今は高校へ通い出しているわけですから成長したんだよってところでしょうが…
雪代さんの中の悠像が変化してしまっているのかなー。
あんまり年月が経ってから続編や書き下ろしがあっても、こういう違和感があるかもしれないんですね。

お話全体はすごーく切なくて、世知辛さやら初恋の余裕のなさやらてんこ盛りで大満足です。
読んだら元気になるような作品ではありませんが、夜中に読んだら泣けそうです。
また、テクノサマタさんのイラストが可愛くてすごーくあっていました。

6

月のあかりの下を歩きたくなりました

テクノサマタさん挿し絵の健気受け2冊め。
作者の方は違うのだけども。
こちらも大好きな感じでもうっ(*´Д`)
月が好きなので、所々に出てくるお月さまの存在が個人的にすごく好きで。
なんか違うところで萌えてるようなw
意外と余裕のない浅羽さんにはもっと、悠ときちんと話をしなさいと思った。
最後まで言葉遣いの丁寧な悠すごく好き。
恋人同士になったら、もっと砕けた話し方してもいいとは思うけど、わたしは逆に変わらないのが好ましかった(*´ω`*)
地味に悠の友人森本くんが気になるw
浅羽さんの若い頃に似てるなんて。

5

年齢相応には見えません。

なんというか・・・雪代さんの不幸・不遇で健気過ぎる受は好きなはずなんですが、悠(受)はちょっとその不遇さの背景について行けなかったんですよ。

耐え忍ぶ受そのものは一向に構わないどころかむしろ好きなんですが、その方向性が好みじゃなかったんですね。ここはただ耐えるところじゃないだろうと思ってしまったので、悠にそれ以上共感できませんでした。

浅羽(攻)は、もっと達観した大人なのかと思っていたらそうでもなかったですね。表題作はそれほどでもないですが、続編になると必死で大人の理性を保とうとしている姿や嫉妬深いところもあって、そこはまあよかったんですが。

う~ん、なんというかキャラクターがあまりにもお綺麗過ぎる気がしてしまったんですよ。私は本来ありえないくらいの不幸な健気受が好きですし、そもそも雪代さんはかなりの好き作家さんの上、これは非常に雪代さんらしい作品だとも思うのに、なぜか作品世界に没頭できなかったんですね。

ホントに、なぜこの作品についてはこんなに醒めた目で見てしまうのか、自分でも不思議です。

まあ、イラストの印象もあって最初15歳という年齢以上に、悠が幼く(感覚として小学生くらいに)感じてしまったんですよ。ただこれについては作中もかなり子どもっぽく描かれていましたから、まあいわゆる大人の事情で仕方なく年齢だけは15歳~にしたのかなあ、という気はしました。
悠が幼稚すぎたのも、どうも・・・と感じてしまった要因のひとつのような気はします。

4

初めて帯で。

新刊につく帯のセリフで「お?」と思いました。
『浅羽さんはどうして俺に優しくしてくれるんですか?』
随分前なので間違っているとは思いますが、とにかく普通のセリフが書かれてあったんです、ボーイズラブには珍しく!こういう作品を待っていたんだと思いました。
有り得ない設定というのがあまり好きではないので、こういう普通のセリフが書かれていると安心するんです。
コンビニバイトの悠くんと優秀な弁護士の浅羽さんの話。
とある切っ掛けで夕食を共にする仲になるんですが、なんせ立場も違って年の差もありますから当然受の方は色々と悩んでしまいます。誤解してしまいます。そんな展開に萌えまくりましたので神評価。
私はBL小説だけは変な読み方をしてしまうんですが、何というかパラパラとめくって目に付いたセリフがあるところで止めてそのシーンだけを読み進めていく……みたいな。まあ、キュンとしたシーンなんですが。だから読んでいないページがあったりして、後々読んでいるとああ、こんなシーンあったのかなんてことがよくあります。きちんと読めという話ですね…;
この本の場合、コンビニで万引きに疑われた受のシーンと受が攻の前から置手紙を残して去っていくシーンに撃ち抜かれました。そうです、受が悲しみで泣くと興奮する変態です。
すれ違いなどのせつない話は好きなので、十分満足させて頂きました(´∀`)

12

Fly me to the moonレビュー。

絵の可愛さにやられて手に取りました。
そうしたら、中身は29歳弁護士と15歳(今年で16歳)のアルバイトで生活している少年の年の差ラブでした。

え?攻、弁護士なのに15歳のバイトで生活費を稼いでいる天涯孤独な子に手を出すなんて……!!
この2人の接点は後々明らかになりますが、ヘタしたらドシリアスになりそうな設定で、受の子がこういう性格のキャラだから甘い方向に行ったんだろうなぁと思う。

お菓子が食べたくなりました。
なんか、お菓子描写が凄く美味しそうだった。プリン…!
小さな幸せを、すごく大事に感じている受が可愛かった。薄幸、天涯孤独、ちょっとあまりに可哀想で幸せになってって祈りたくなった。
弁護士の攻と出会って、小さな幸せがいっぱい起きる様になって、受が沢山笑う様になって、なんだかそういう運命の相手と出会えて良かったねぇってじんわり思いました。

受の設定があまりにも可哀想過ぎるので、王道ストーリーなのが逆に良かった。こういう子は幸せになるべきだよって、読んでいて心が温かくなる話でした。

5

マッチ売りの少女的な幸せ。

以前のビブロス版の時も読んだのですが、手放してしまったので文庫も購入、再読。
わずかな甘いお菓子にだけ幸せを求める男の子。
男の子と言っても16歳なんだから普通ならもうこういうお話は合わないのだけれど、妙に子供っぽいのでOK。
まさか小学生にするわけにもいかないからこの年齢設定で、だから妙に子供っぽい16歳になったのだと思うけど。

子供っぽい16歳に(その保護者だからか?)妙にオヤジっぽい29歳(笑)
やりとりは恋人よりは親子のよう。
でも保護者攻め?が好きな私にはなかなか良かった。

そしてチョコレート一枚程度のものにしか幸せを求められない受けにいつも涙。
でも現実ってもっと悲惨だと思うからこれでもマッチ売りの少女じゃないけれど、ささやかな幸せがあるだけましなのかも……というか、そこに幸せを求められるのがすごい。
自分の分をわきまえて、余計な希望を持たないのは現実だったら哀しすぎるけれど、お話の中ではそこがまたファンタジーでいい感じ。
本人も言っているけれど、とかく人間はひとつひとつ、だんだんと欲張りになる生き物。
多くを望んではいけないと自分を律する受けは健気です。
読んでいるこちらは、そこに哀れさを感じるんだけれど、すれてない受けって読んでいる自分がいいオトナだけに感動する(笑)
ちょっとだけこちらも綺麗な気持ちになれるから好き。
そしてもうちょっと幸せになってもいいよと言ってあげたい優しい気持ちになる自分が好き(笑)
こういう話が好きなのは実は自分のためだったりします。
心がかさつく日常で、「心が洗われる」とか言う表現がありますが、忘れている素直さとか、優しさだとか、そして自分は恵まれている事とか、単純ですが忘れがちなことを認識させてくれる。
涙を流すと、私ってまだこういう話で泣けるのねと妙に安心もします^^;
切ないのが返って精神安定剤の役目になっているのかも。

今度は手放さずに手元に置いておこうと思ったのでしたv

2

妙にこそばゆくなってしまう作品でした

両親が亡くなった後、引き取られた先の叔父の家にも居られなくなり、高校にも行かずコンビニでアルバイトをしながらギリギリの生活費を稼ぎ、一人暮らしをしているという15歳(もうすぐ16歳)の少年・悠が主人公です。

内気な性格で思っている事を口に出せない悠は、仕事場でもあまりいい扱いをされていません。
そんな悠の唯一の楽しみが「コンビニの廃棄商品(プリンやお菓子)をもらって帰る事」で、その薄幸ぶりは慎ましいというか何というかたまらない気分にさせられました。
そのため弁護士の浅羽に偶然出会ったことで、悠の人生が変わっていってくれたのには本当に良かったねぇ…としみじみ感じてしまいました。

悠の置かれている状況からするとシリアスな雰囲気になりそうなのですが、どこかふわふわとした優しい印象の、お菓子や甘いもののイメージを交えた様な文章で書かれている事で、深刻さや暗さではなく悠の健気さや純粋さが強調されているような感じがしました。
ただその文章が読んでいてこそばゆいというか、ここまで純粋に来られると逆に落ち着かない気分になってしまったというのはあります。
特に二人が気持ちを通じ合わせ、悠が浅羽のものになるまでの話「Fly me to the Moon」はその純度が高かったというか、かなりムズムズしてしまいました。

恋人同士になった二人のその後「Ombra mai fu」では、浅羽がHをしてくれない事で悠が思い悩むのですが、ふわふわした雰囲気はありつつもH関係の悩みを悠が持ち、純粋一辺倒!という感じが少し薄れてくれて思わずホッとしてしまいました(苦笑)。
それに浅羽もいい感じでヘタレていたり、悪い大人の面が出ていたりしていたのも良かったです。

ストーリー的には王道だったので意外性などの面白さはありませんでしたが、健気で純粋そして甘くてふわふわした雰囲気を楽しめたので気になりませんでした。
まぁでも私の好みからするとちょっと可愛い過ぎる印象だったかな…

8

コンビニにお菓子を買いにいきたくなりました。

両親の突然の事故死で叔父の家に引き取られた悠は、中学卒業後ひとりアパートを借りてコンビニのアルバイトをして暮らしている。
そんなある晩、綺麗な月を見上げてつい道路の真ん中に出てしまった悠は車にぶつかりそうになり、運転していた弁護士・浅羽と知り合う。
強引に食事に誘われ、それをきっかけに週一回金曜日、悠は浅羽と夕食の約束をするように。
寂しさやバイト先での辛さを一人耐えていた悠は、浅羽の優しさに、やがて彼に惹かれていく。

13歳の年の差カップル。
悠は、可愛くて素直で頑張りやで、童話の「こぎつね」をなぞらえたいじらしくてかわいそうで健気な存在。
確かに子供っぽい主人公だが、いい子だし、普通に好感の持てるタイプでしたし、とても可愛らしいお話でした。

あまりに可愛いのでつい29の男が、しかも弁護士が手を出したらマズいんじゃん?と思ってしまうんですが、まあそれは言わないでおこう。(書いてるがな。)
初めてのあと、半年以上も手を出さず、まだ身体的にも発達途上な悠を思いやって、せめて高校卒業か二十歳になるまで我慢しようとした浅羽に免じて(笑)
誠実ないい男なんだけど、言葉が足りなかったり説明不足で悠を悲しませてしまう。
でも「保護者」と「恋人」の顔も持たなければならない浅羽は、どっちかひとつでも気苦労や心配はつきないのにそれが両方となっては、これから成長して大人になっていく悠に、精神的に振り回されるだろう。

書き下ろしとSSでは、そんな浅羽視点の一端が垣間見られます。
「恋人と同居」と言えば幸せいっぱいだけど、一人の子供の成長にかかる費用を何の心配もなく負担できる29歳ってスゴいよな。

3

お菓子と少年

高校に行けない貧しい事情がある悠、金曜日には決まって弁護士の浅羽と美味しい食事をする約束をしている。
両親を亡くし、慎ましい一人暮らしの悠。
彼は勤め先のコンビニで廃棄されるお菓子をこっそりもらって食べる事が唯一の楽しみだった。
偶然知り合ったとはいえ、どうして浅羽は悠を気にかけてくれるのか?
それは、自分がある弁護士が企てた詐欺の被害者だからだった。

コンビニでお金を盗んだ疑いをかけられても、絶対に怒らない悠。
浅羽が詐欺事件を起こした弁護士の部下だったと知っても、悠は怒らない。
いろんなものをあきらめてしまった悠は、感情を深いところに閉じ込め吐き出すことはしない。
ただ、お菓子を食べて自分を慰めるのだった。
貧しさゆえに、お菓子を食べることで何もかも我慢してしまう。
小さな悠が、ぽつぽつとお菓子を食べてるところを想像すると、とっても切なくなりました。

13歳年上の浅羽というキャラクターが、あまりに良い人すぎて少し物足りなかったです。
友達の吉住と一緒だと、ちょっとヤキモキ焼きのキャラが出てきますが、基本はすごくいい人で紳士です。
悠の優しい人間性も魅力的ですが、貧乏と孤独の生活の中で、お菓子と月で心を満たしていくっていうキレイすぎる設定に、どうしても満足がいかなくて…。
お話はとっても穢れないステキなストーリーなんですが、盛り上がりに欠け、先読みができてしまう流れが、読む側の好奇心を削いでしまいました。
こういうピュアな主人公は大好きですが、ストーリーを楽しめなかったのが残念。





8

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