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表題作デンキの速度で伝われ!

柴篤宏・29歳・大物アーティスト
根岸治仁・アマチュアバンドのボーカル・高三

あらすじ

高校三年生のハルの目標は、フツーに生きること。
だがアマチュアバンド活動で不動の人気を集めつつあり、何度もプロスカウトを受けていた。
大物アーティストである柴がある日ハルのライブに訪れ、自分の理想が目の前に広がっている場面に呆然とする。
その瞬間に恋は始まっていたのだ。
柴は音岳活動を中止し、ハルのプロデュースをすると宣言。
ハルの生活は一変し、柴のファンであったハルは怒りにさえかられ、ふたりの距離は急接近し―。

作品情報

作品名
デンキの速度で伝われ!
著者
麻生玲子 
イラスト
片岡ケイコ 
媒体
小説
出版社
ジェーシー出版
レーベル
GUY NOVELS
発売日
ISBN
9784894652576
2.5

(2)

(0)

萌々

(0)

(1)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
4
評価数
2
平均
2.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

ホントはた迷惑な男だ!

帯『強引な策略家がお膳立てした、はた迷惑なシンデレラストーリー』

帯に「はた迷惑な」とあったんですが読んでみたらホントにもっそいはた迷惑っぷりでした。

人気アマチュアバンドのボーカル・治仁ことハル[受]のバンドはアマチュアライブなのにダフ屋が出る程の人気っぷりでスカウトも何度かされていますが、気ままで縛られる事が大嫌いなハルはその度きっぱり断わってます。
メンバーの中にはプロ思考を持つ者も居るのですが、何せ一番人気のハルが嫌だと言うのだから仕方ないって感じでどんな大手のスカウト話も蹴りまくり。

普段のハルは勉強嫌いの普通の高校生で平凡ながらも楽しい学校生活を送ってます。
そんなこんなでアマチュアバンドのボーカルという事を除けばいたって普通の高校生ハルで彼はそれに満足しているのですが、ある男に目を付けられた事から彼の運命は強引に大きく変わって、いや変えられて行きます。
その男とは大物アーティストの柴[攻]
彼は独立して事務所をかまえた所で、新人アーティストを捜していたところ、知り合いのクチコミでハルのバンドのライブを見に行き、猛烈にハルの歌声に魅かれ惚れ込みます。
そこからの柴の行動は素早く、即楽屋へ。
ハル自身も柴のファンなので無下にも出来ず、しかしプロになる気はないときっぱり告げるも柴は諦めません。
学校の校門前で車で待ち伏せし、一緒に食事に連れて行ったりを繰り返しようやく携帯番号ゲットすれば、毎晩の様に電話をしまくる強引な押しっぷり。

ここまでならまだハルだけの迷惑で留まってたんですが、何と柴は己の独断でハルのプロデュースに専念したいから音楽活動を中止すると突然発表しちゃったからさあ大変。
柴にそこまでさせた高校生とは?とマスコミが学校や実家にまで押し掛けての大騒動になっちゃいます。
しかもハルはプロになるって言って無いし!!
また多くのファンを持つ柴が音楽活動を中止すると知った熱狂的なファンはハルへと憎しみを向けます。
平凡な高校生活はどこへやらで、もう柴の強引っぷりはまさにはた迷惑の一言!!
大騒ぎで実家に戻れなくなったハルは、暫く柴宅に泊らせてもらう事にします。
ここまで大事になったらもう後戻り出来ない状況に追い込まれたハル。
しかし柴宅で、彼の歌を聴かせてもらったり一緒に歌ったりする内に次第にハルの心も変わって行き、そして柴自身にも魅かれ始めちゃう。
柴もハルを恋愛対象として見る様になっていたので最後は目出度く相思相愛エロ。

それからどうなったって?
柴はハルに言われてコロッと音楽活動中止を取り下げ、新しいアルバムにハル達のバンドを参加させた後に、彼等をプロデュースして彼等は人気アーティストの仲間入りするのです。
確かにシンデレラストーリーだけど、帯コピーの通りホントにはた迷惑な強引っぷりでした。
あまりに強引なのでそこがまあ面白くはあったです。

1

受けは可愛い

高校生のアマチュアバンドもの。作者様の好き具合がわかるなー。あとがきで、アマチュアのバンドなので芸能界ものではないと断言されていましたが、本編終盤はそれに近いのでは…?という展開。

高校生のハルがボーカルを務めるクール・フールは個性的な歌声が人気で、小さなライブハウスでもダフ屋が出るほど。複数のレーベルから度々スカウトがきても、若干一名を除く残りのメンバーはプロデビューする意志が全くありません。

業界とは無縁だった彼らは、クール・フールに時々ゲスト参加しているスタジオミュージシャンの口コミがきっかけで、有名アーティストの柴と引き合わされることになります。

ハルの声とパフォーマンスに惚れ込んだ柴は、自分が立ち上げた事務所のアーティストとしてハルたちをスカウトするのですが…

ハルはもともと柴の大ファン。だからといって、ファン心理に左右されることなく柴からの熱烈オファーを撥ねつけるところがブレなくて、いいぞー!って。

本作の受けもかなり自分というものを持っている子です。気が強いというより意志が強くて、単純で素直で、元気な男の子って感じで嫌みがなくて、わーい、麻生先生の受けだー!と喜んでいましたが、今作は攻め受けの恋愛感情を汲み取るにはささーっとあっさりめで物足りなさを感じました。攻めのキャラにパンチが足りなかったせいかな?

なにより二人の心情描写が少なすぎました。麻生作品といえば、男に抱かれる男の葛藤が個人的に読みどころだったのに、とうとう三人称視点の定型に乗ってしまったかーといった感じです(読みやすいに越したことはありませんが)。レーベルに合わせたのかわからないけれど、エチシーンも作者様にしては申し訳程度で残念。

とはいえ、年下が年上に甘えたくない対等感とか、セックス(するんかい)は侵略と供与だとか、理想の関係性や行為自体の意義付けがチラ見えしていて嬉しかったかな。

片岡ケイコさんはイラストが綺麗で上品ですごく好きなイラストレーターさんでした。

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