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とても静かな作風の作家さまです。レビューで気になり読んだのは大分前なのですが、なぜこのタイミングでレビューをしたためる気持ちになったかと申しますと、同時収録作品に「こたつプレイ」があるから♡四十八手アンソロジーにもありましたけれど、見えないところで…って萌えますね。
表題作は、鉢植えのガジュマルから現れた妖精・カイとの彼氏と別れたばかりの智久との不思議な共同生活を描いたお話。ファンタジーといってよいのかもしれませんが、とてもリアルに感じられる切ない物語でした。映画にしても魅せられてしまいそうな独特の空気感が漂っています。
「砂漠の月」
姉の出産や女友達の失恋をきっかけに、ゲイの直哉と彼氏の泰幸がお互いの将来について見つめ直すお話。女の役割、男の役割を真面目に突き詰めていった先、男同士の関係は何も生み出さないかもしれない。けれどもそこに一緒にいる理由があるわけじゃない。二人が出した結論はとてもオトメで男前です。
「終末の空、茜色、そして宇宙」&「金曜、君に会いにいく」
こたつの回。タイトルが素敵です。高校で出会った二人なのかな?幼なじみではないと思うのですが、航と翔の微妙な関係を航の部屋にあるこたつが取り持ってくれた物語。淡々としているのにエロさと切なさを湛えているんです。プラス少しのユーモア。密かに萌え滾ったお話です。
「結婚行進曲はいらない」
高校の同級生三人組のこじれた関係の結果…、のお話。浦和と付き合っていた春日部が結婚した。お互い振られたと思っていた二人の間に大宮が実は絡んでいて…。終わりよければすべてよし。丸く収まったのでしょうか。
『オルタナ』は三角関係のお話でとても好きでした。この作品集もしっかり読み込むと何かしらカップルの間に第三者が関わって現状に変化をもたらす、という展開に近いのかなと気付きました。そこが妙にリアリティを感じさせてくれるカギなのかなとも。こういった派手さはないけれど読んだ後から沁みてくるような作品を描かれる作家さまに出会えると、凄く嬉しい。寡作な作家さまで現在は活動されていらっしゃるのか存じ上げないのですが、もっと読んでみたいんだけどなぁ、というのが正直なところです。
自分のなかで変わらない特別感のある一冊です。
ほかにも作者のお気に入り本があるのですが、こちらの本はふとしたときに無性に読みたくなります。各タイトルがまた素敵なんです。
作者の作品は、ほんわかする、やさしい気持ちになる、というような印象のものは少ないかもしれない、たとえほのぼのとしたシーンでさえも。その分複雑な気持ちが絶妙に描かれます。実際、ピリリと辛いものが印象的な作家ですが、私の場合この本は読後がとても爽やかでしたよ。いろいろと複雑でも、けっきょく甘めな関係だからかな。そして甘えん坊さんたちです。
『鉢植えの住人(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)』p.5-
『砂漠の井戸』p.89-
『終末の空、茜色、そして宇宙 』p.117-
『金曜、君に会いに行く』p.141-(上記1つ前の作品の続編)
『結婚行進曲はいらない』pp.151-174(初出:BLアンソロジー『CuCue VOL.1』2008年)
表紙のように振り返りながらも強く進んでいくような表題作は、とても前向きなエンディングだと思っていますが、一方でいつまでも終わってほしくないものでした。表題以外の短編も、ひとつひとつ、"強く感じる"ことのできる作品揃いではないでしょうか。実際読んでいて躍動感はあまり感じられないのですが、どの作品もよい意味でセリフがのしかかってくるため、それが現実味を帯びさせこんなにも心に残るのだろうと思います。
読み終えた瞬間の気持ちを大切にしたくなる一冊。
絵の好みがあるかもしれないけれど、ぜひ多くの方に読んでみてほしいなぁ。古街キッカ作品を初めて読もうとされている方には、まずこちらをおすすめしたいです。私だったら、ですけどね。
詩雪さん
こんにちわ、はじめまして^^
古街キッカさんは作品数は多くないですが、どれもぶれていない、優しい感じの作風ですよね。詩雪さんの書かれている「よい意味でセリフがのしかかってくる」というのはまさにそうだと思いました。
深々と進んでいくのに、ハッとくるシーンや台詞がずっしりと(悪い意味でなく)いつまでも残る感じです。
絵柄からは想像できないリアルさがあると思います。もっと読みたい作家さんの1人です。
詩雪さんのレビューはいつも優しく語りかけるようでとても読みやすいです^^これからも参考にさせて頂きます。
それでは、失礼致しましたm(_ _)m
古街キッカさんの本はすべて読みましたがこの本が一番好きです。
さっぱりしたイラストからはちょっと想像できない、リアリティがあって深い心理描写までよく書き込まれた作風です。
表題作は精霊と人間の恋模様を描いていますが、ファンタジーというわけでもなく、やっぱりリアル…。人間の重々しい感情までよく描かれています。
BLはファンタジーなんてよく言いますが、生身の人間が恋したらきっとこんな展開なんだろうと現実感。
この本の中の砂漠の井戸という作品がこの作者の作品全ての中で一番好き。何回読んでも涙腺がゆるんでしまう。悲しいお話ではないんですが。
結婚にあせる同級生や、結婚に失敗した姉などとと話し、男同士のこの関係は何だろうねとゆるく話し合うカップルが描かれています。
といっても重々しい感じでなく悪魔でゆるい2人。結婚もできないし子供も生まれないし、じゃあ一緒に住む?と言われたら「気を使うからヤダ」返し、じゃあ指輪を買ってあげようか?と言われたら「それも気持ち悪い」と言う主人公。
この関係をなんて呼ぼうと関係なく、互いの面倒を見て一緒に行事を祝って、子供も出来ず最後はひとりになっても互いを選んだことは後悔しないだろうという結論で終わっています。
同性同士だというくくりに限らず、全ての人間関係において究極の結論ではないかと何だかこれを書くのに読み返す間もちょっとうるっとしてしまう…。
他の本も読んだけど、この方は中篇よりも短編のほうが上手い気がします。
古街さんの著作を初めて読んだのは、この話でした。
正直絵のバランスは微妙なんですが(頭部が大きいのかな?)気になる話を描かれる方です。
表題作も良かったですが、ゲイカップルの想いを淡々と描いた「砂漠の井戸」が好きです。
こういう話を描くのが上手い作家さんだなあと。
「オルタナ」が一番好きですが、この本を読まなかったらそこに辿り着く事もなかったので、出会えてよかった!!
これからが期待出来る作家さんだと思っていたのですが、今は商業やられていないのかしら。
二次は見かけましたが、絵ももう誰だか分からない絵になっていて勝手にちょっと淋しい気持ちになっています。
またいつか描いて下さるといいなあ。
この作家さんの作品は初読みです。
が、良かった!!!
台詞の流れや間がなんか面白くて、
笑ってしまう場面が多かったですwww
切ないけれど笑える部分があるから
重苦しくならずにライトに読めるような感覚。
表題作品の「鉢植えの住人」
ガジュマルの妖精のカイト、
恋人だった一謙のことを好きな智久、
智久と別れたけれど心残りのある一謙。
三者それぞれの心情が揺れて
最後はぎゅっと胸が苦しくなります。
私から見たら一謙の存在は許せなかったけど
智久のことを考えたらカイトと同じように
身を引くべきなのかな、と思ってしまった。
智久のことをことを好きだったカイトには
幸せな出会いが訪れて欲しい。
収録されてる三作品の中でも「結婚行進曲はいらない」
春日部と恋人同士だった浦和、
浦和のことが好きな大宮。
結婚した春日部に言われ、無意識のうちに大宮に
色々話したり頼ったりしていた浦和が、
大宮の元へ会いに行きます。
大宮の
「9年も待たされればキャラが変わるだろ」
「いい。百回止められても釣りが出る」
には、なんとも言えない切なさを感じました。
他の二作品も良かったです。
こたつでエッチには、私も萌えました(*´ω`*)ww