かわいい――愛しい――欲しい――。 高遠琉加2ヶ月連続刊行第2弾!

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作好きで好きで好きで

堂島慎一,会社員,23歳
三浦郁彦,花屋店員,23歳

その他の収録作品

  • ラブソングみたいに
  • 君がしあわせになる前に
  • あとがき

あらすじ

フラワーショップで勤める三浦は、高校時代に片思いをしていた同級生の堂島と再会する。しかし堂島には恋人がいると分かり、友人に戻ろうとする三浦だったが、ある出来事から、身体だけ重ねてしまい…。
(出版社より)

作品情報

作品名
好きで好きで好きで
著者
高遠琉加 
イラスト
六芦かえで 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784044550066
3.7

(104)

(43)

萌々

(20)

(20)

中立

(13)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
29
得点
368
評価数
104
平均
3.7 / 5
神率
41.3%

レビュー投稿数29

片想いの苦しさ、切なさ、そして人を好きになる嬉しさ

「好きで好きで好きで」の題名通り、主人公・三浦の片想いがテーマです。
高校時代の同級生であり片思いの相手であった堂島に偶然再会した三浦。
しかし、堂島は三浦のバイト先の花屋の娘・由布子の恋人で――

前半は三浦視点で語られます。
高校時代、二人はふとしたきっかけから友人となりますが、三浦は堂島に片想いをしていて、
三浦の告白が堂島に拒絶されたことにより、二人の友情関係は終わってしまった。
そのことから恋に臆病になっていた三浦は、再会後も堂島を避けようとしますが、
堂島は“友人”としてどんどん近付いてきて…
三浦は5年たった今でも堂島を好きで好きで、でも堂島には由布子がいて…
ダメだと思っていても好きだと思う気持ちを止められません。
自然と目で追ってしまったり、体が触れただけで全神経がそこに集中してしまったり。
高遠さんの繊細な描写が、片想いをする三浦の心境を事細かに表しています。
恋ってこんな些細なことでも特別で、好きな相手のどんなコトにでも敏感に反応してしまうもんなんだ、
「好き」ってこんな感情だったんだなー…と、その甘酸っぱさを味わうことができました。
しかしこの片想いが相当つらい。
三浦の好きになってはいけないと思う気持ちと、どうしても堂島に惹かれてしまう葛藤が
どんどん自分を苦しめていってしまってます。
三浦の二度目の告白は、かなり胸にきます。
それに追い打ちをかけるような、堂島の無自覚の優しさ。
一度だけ、と体を重ねた後の三浦の後悔も、辛すぎて辛すぎて、見るのもキツかったです。

後半は堂島視点。
三浦語りでは完璧な男のように描かれていますが、
実は堂島はずるくて無神経な男だと思いました。
由布子を選んだ理由も、わからなくもないけれど、堂島はきっと恋をしたことがないんですよね
綺麗事だけじゃ恋はできない、もう衝動みたいなもんだと思います。
堂島と由布子は結局お互いが「王子様」「お姫様」な関係であって
その胸の内には三浦やアキのような情熱はなかったんですよね。
三浦を失った堂島は、初めて恋を知ります。
そして初めての恋に、堂島はとてもカッコ悪い男になってるわけで…
それを笑顔で見守る三浦が健気で可愛かったですね。
こんな堂島のカッコ悪いところを見られるのも、三浦の特権ですもんね。

書き下ろしは由布子の結婚式に参列する二人。
由布子の結婚式ですが、この二人の結婚式みたいなもんでした。
そして二度の拒絶がトラウマになっている三浦も切なかったです。
堂島は、何が何でも三浦を幸せにしてほしいですね。
でも堂島を幸せにできるのも三浦しかいないでしょう。
堂島もすでに、三浦を「好きで好きで好きで」たまらなくなっているようですしね。

最初は本当にツラい片想いの心情がこれでもか!と語られます。
しかし、人を好きになるのってここまで純粋で綺麗な感情なんだと思わされました。
誰かを好きになりたいと思う、そんな一冊でした。

14

再読しても切ない

受けの片思い物をお探しの方には、特にオススメしたい切ない話です。
書き下ろしと全サ企画の為に、新書版も持っていたのですが購入してみました。
何十回目かの再読なのに、切なさにいまでも浸れます。
高校生時代に好きだった人に振られて、23歳のいまになってアルバイト先の娘さんの恋人としての再会。
よりによって、なぜ?という位、三浦に切ない状況が整っていてそれだけで泣けます。
眠っている堂島の頬に触るのでさえも悪いと思って遠慮してしまう三浦の健気な性格が、切なさをより加速させるのかも。
堂島が普通に性格がいい人なだけに、誰が悪い訳でもなく、ただ思いが相互にならないだけ。人の気持ちだけは、どうしようもなくて。
このもどかしさを悲劇のヒロインになりすぎず、淡々と切なく書かれているのに、胸をうたれました。

『君がしあわせになる前に』
建設会社勤務・堂島慎一(23)硬派攻め×花屋アルバイト・三浦郁彦(23)健気受け
2人が恋人になってからのその後のエピソードです。
恋人になっても、三浦の不安は去らなくて。
まだ好きな人が自分の傍にいる幸せに慣れていない三浦の不器用さが切なかったです。
意外にオチが呆気なくて驚いたのですが、逆にその深刻になりすぎない所がよかったです。
そこで、その発言を出来るようになった三浦に強さと成長を感じました。
堂島のヘタレ部分が暴露された感じで可愛かったし、いいエピソードだったと思います。
最後に、糖分補給が出来てよかったです♪

エロ:★3 切ない誘い受けや、普通
総合:★5 切なさ有、糖分補給有で、前よりバランスがよくなった気がします。

11

大雨洪水警報発令、ゲリラ豪雨状態になってしまった。

もうダメです、涙腺決壊しました~!!
前半の受け視点、後半の攻め視点、どちらも自分の中に入り込み過ぎて、どうしてこんなに浸透力が高いのか。
主人公達と自分が同化してしまう高遠マジックは素晴らしいです!!

人を好きになる気持ちは、ある些細なふとしたきっかけ。
側にいられるだけでいいと思うものの、触れたい、触りたい、抱きしめたい、そんな欲情も感じるようになってしまったら、それはもう止めることをやめられない。
最初はそれを三浦が、そして次に堂島が、時間は違うけどそれぞれに感じて、初めてそれが交わる時、二人の気持ちは通じるわけで。
その片思いの最中の心情が切なくて、切なくて、、
男だから、女だからという性差は、好きになる気持ちにはないわけで。
だから、このお話にのめり込んで感情移入できるのでしょう。

三浦の堂島に二回目の失恋をするシーン、三浦の自らの恋心を傷つけて別れるその心情が悲しくて、堂島にやり場のない憤慨を覚えるも、次、堂島の視点で描かれることによって、堂島の気持ちが理解できる。
一粒で二度おいしい味わい。
堂島は、人を守りたい気持ちと愛する気持ちを同じに考えていて、その違いに気が付いていなかった、とてもある意味傲慢で我儘な性格だったといえるでしょう。
三浦の捨て身の行動で、初めてその執着が恋なんだと気が付かされた堂島は、もう骨抜きなんだと思います。
まるで甘えることを初めて覚えた犬や幼児のように(?)

『君がしあわせになる前に』では堂島の元カノの結婚式シーンがありますが、これはひょっとしたら堂島と三浦の誓いの場面でもあるような気がします。

攻め視点、受け視点、共に泣けてしまったのは初めての体験だと思います。
まだピュアなハートを持っていた自分に少し安心、、

8

実は雑誌のショートストーリーが一番萌えました。

今回の新装版に収録されるかと思っていたら
それは全サ収録だそうで、嬉しいような嬉しくないような(どっち?)
どちらにせよ書下ろし目的で全サは申し込むつもりなので
どちらでも同じことだったかな…。

単に読んだ順番のせいかもしれないのですが
(なんだかファーストインパクトにやられる性質もちな私)
最初に掲載されたショートストーリーはハンパなく衝撃度がありました。
めっさ萌えた!せつなかった!
なんかわからないけど当時心をつかまれました。
(未読の方は是非小冊子申し込んでみて欲しいです)

高校時代の切ない片思いから幾星霜のはての再会劇
しかもまたしても壮絶絶賛片思いの幕開けで
何回読んでもいい具合に胸をキュ~っと絞られます。
旧版では(先を知らずに読んだので)本編ラストで号泣
続編でちゃっかり救われました。

ちゃんとわかって読んでいても
本編ラストは泣きそうになりますね…。

本文ちょこちょこ手直しがあるようですし、
旧は旧で佐々さんの美しい挿絵が大好きなので、
読み比べを楽しみつつ、二冊一緒に本棚に納めることにします。

書き下ろしの幸せな二人が見れて嬉しいです…。
全サ書き下ろし、ナルナル教授との2本立てが叶うといいな~!

7

これでもかこれでもかというほどの片思いのお話し

 あとがきで高遠さんも書いているように、これでもかこれでもかというほどの片思いのお話し。息が苦しくなるほどの。

 高校の同級生だった堂島のことを好きになった三浦。ずっとずっと好きで。一回振られても好きで。振られても5年の間好きで、偶然再会した堂島に気持ちを隠せずにボロボロ泣く三浦が切なかった。しかも3回も。
「俺だってこんなつらいのもう嫌だ」と三浦が堂島に気持ちを吐露するところも切なかった。
 そうなんだよ。報われないと分かっていても止められない。コントロールできない。生まれることと、死ぬことと、恋することは思い通りにいかないんだよ。
 そんなまっすぐな思いを自分に向け続ける三浦を気にしだす堂島。おう。よかった。堂島がいいやつで。
 
 好きになってもらえて、自分のその相手に思いを返せることってすごく幸せなことだ。この作品を読んで、人が人を好きにあることの尊さについて、あらためて気づかされた。恋って、怖いけれど、やっぱりいい。

7

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP