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表題作甘い運命

樫崎一。パティシエ
湯原和弘。教師

その他の収録作品

  • 甘い運命
  • チョコレート・ホリック
  • あとがき

あらすじ

フレンチレストラン、ル・ジャルダン・デ・レーヴのパティシエ・樫崎一は元担任の湯原と彼の姪と同居中。人の好い湯原は一の想いに気づかないが…。
『愛と混乱のレストラン』、番外編!

作品情報

作品名
甘い運命
著者
高遠琉加 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
愛と混乱のレストラン
発売日
ISBN
9784576100173
4

(61)

(29)

萌々

(11)

(16)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
17
得点
239
評価数
61
平均
4 / 5
神率
47.5%

レビュー投稿数17

幸福の甘さ

愛と混乱レストラン番外編。
1巻の最後に短編で載っていた二人、パティシエの一(いち)と先生のお話です。

母に愛されなかった一、母親を亡くした海ちゃん
そしてそんな二人に優しい愛情で接する先生。
世間的では一般ではなくても、3人にとっては幸せな家族のかたちだったと思います。

甘いもので幸せになれる。
そんな思いが一を最高のパティシエにしているんですね。

先生への思いを気付かれ、家を出た一が切なかったです。
ちょっと不器用な先生も良かった。
切ないけど、甘くて素敵なお話でした。

3

誰でも幸せになれる

愛と混乱のレストラン」番外編と言うことでしたが・・・本編より先にこちらを読んでしまいました(笑)
子供の頃、母親から虐待を受け、心を閉ざして生きていた樫崎一が高校教師の湯原とその姪、海との生活の中で生きる意味や愛を知り、幸せになっていくお話。
一の過去が辛くせつなかったけれど、家族になった湯原と海の一を思う心、職場の久我をはじめとするスタッフの暖かさがとても良かった。
一のつくったデザートを食べてみたい♪

1

擬似的家族

帯『こんなおじさんの体を触りたいなんて、君、本当にどうかしてるよ』

本編中にもちょっと出てた一の話ですが、今回はそれだけで丸々一冊スピンオフ!
気になっていただけにこうして読めるのは嬉しい限り。

犯罪を犯して少年院から出て来た少年一と、その元担任教師湯原の元で一緒に暮らす事になります。
この作品の中盤は、所謂疑似家族的な繋がりと描写とが丹念にえがかれています。
彼等の大事な存在であり、彼等を擬似的家族として結び付ける存在でもある子供の海。
それだけに今回、海の父親が出て来た時には、そしてその父親が本当にいい人で海はこの人の所へ行った方が良いと本気で思える父親だったというのは、良い事なんだけれどもその擬似的家族の中心が突然にスポンと抜けてしまう感じ。
ラスト付近のエロですが、自分的にはキスとペティング位で終っても良かった気がします。

1

キャラと文章に参りましたっ!ツボリまくりの本作!

【愛と混乱のレストラン】のスピンオフ。
寡黙ながら存在感が半端なかった「樫崎一(いち)」が、気になって気になって、早く読みたかった!
一の今までが語られた本作は、心の琴線を強く揺さぶりました!

【甘い運命】
もの心が付いた頃からの母からの虐待に、母から嫌われない様にとする一がとてもいじらしいのです。
その幼い心にも、怒りや自己嫌悪や言い訳や辻褄合わせやら、ごうごうと捻じれ混ざり合っていたんだよね?

アパートで1人暮らしを始めたのも、成長し母の暴力が及ばなくなるに比例して壊れていく母の為だし。
そこで巻き込まれた殺傷事件で、事実に反する“殺意の肯定”をする一に、自分を諦めている事を、読者は知るのです。
家族さえ来ない面会に、元担任の湯原は通って来てくれる。
それを訝しく思いながらも、心の隅では・・・。
それが、一が湯原を想う始りでした。

自分は、心の弱さに年齢は関係ないと思っています。
だから、一の母親やゆきの彼氏の弱さは理解はできます。
でも、自分を守る為だけの暴力はどうしたって許せない!
その矛先を変える事ができるはずだから!
だけど、裁判で情状酌量の理由となる事もあるから、そういう暴力を社会は赦しているととれるよねっ?!(怒)
(話が逸れてきた、すみません;)
一が悩む“暴力の連鎖”に湯原が答えをくれて、嬉しかったぁ!

うみと実父のくだりや、うみが居て繋いでくれた湯原と一の家族愛にも、優しい思いやりに溢れています。
それぞれの立場での、その先の愛の形への戸惑いは、こちらの想像する彼らの実生活ととても合っていて、感情移入しまくりでした。

【チョコレート・ホリック】
チョコレート12粒、1日1粒・・・
一のキャラ、こうなっていくの?元からこうだったの?
緻密で大胆な湯原獲得作戦に、読んでてちょっとドキドキ!
天然な?湯原の成分説明に、ほっこり!

高遠先生の的を得た、背景や一瞬の動作や心情の表現が沁みて・・・ふぅと息が漏れる事、何度も。
何でこんなに良いんだろう?この文章にどんどん嵌っていってます!

0

感動しました…

『愛と混乱のレストラン』の番外編ですが、わたしは本編よりこのお話のほうが好きです。シリアスなおじさん受け。
・エロ成分は少ない。お話としてイイ。
少年院を出た主人公、一(いち:攻め)は行き場がない。
そんな彼を元担任教師の湯原(受け)が家にひきとる。そして、湯原が育てている姪の海がいて。この3人が関わり、「家族」として絆をつくってゆく過程が主軸として描かれてゆきます。
そのためか、エロ成分は低いように感じました。「家族(関係や、家族愛)」と、「エロ(!)」は日本人にはなじまないと思うー。欧米じゃないんだし、しゃあないと思います。エロよりも心の交流がいい。こと、一の思いが切なくて、涙してしまうのです。

「親に虐待を受けた」というトラウマ話はBLにあふれるほどあると思うのですが、焦点の当て方が新鮮で、また心理の描写に、リアルさと切実さを感じました!
虐待を受けた当人がなにを恐れ、どう行動するか…。リアリティを持って描かれていたと思います。 虐待を受けたゆえ、暴力の遺伝子を持っているだろうと自分が信じられない一。(虐待された子だから、おのれも虐待を繰り返すだろう、暴力をふるうだろうと自分自身に恐れを抱いている…)、そんな彼が湯原とともに海を育ててゆくことで、自分を確立してゆく。自身が育てられてゆく。
自分を愛する為には、他人を、湯原や海を愛することが、一には切実に必要だった。
一緒にいようと、受け入れてくれた湯原。彼を愛することは、一には必然だったんでしょう。魂を救ってくれた存在だから。
湯原の涙を一が泣き、一の涙を湯原がこぼす…。その、絆。

テーマから重たいお話にも、逆にお涙頂戴なお話にもできそうにおもうのですが、高遠先生は偏りすぎず、エンタメに仕上げられたと思います。
ラブ成分は同時収録の作品で補えるかとw

0

ごちそうさまでした

海がいなかったら、この二人は結ばれなかったんだなと、しみじみ思いました。
子供が登場する作品って大好きなんですが、その取り扱い方を間違ってると一気に地雷になります。
さすが高遠琉加さん、本当に素敵な「子はかすがい」モノでした。

キュンキュン切なくて、なにげないシーンでちまちま泣かされて、どうしようもなかったです。
エピソードを重ねることによって積み上がっていく信頼関係が愛しい。
恋愛と関係ない部分でもツボが多くて、たとえば海の実の父親が、海に「髭が怖い」と言われてすぐさまコンビニで剃刀を買って髭を剃るエピソードとか。
どちらかというと間抜け──っていうかスマートさの全くないエピソードなんですが、ゆえに泣かされた。
この父親の気持ちも分かるし、それを嬉しいような悲しいような気持ちで見てる一と湯原の気持ちも分かるし。
キャラの性格を、セリフやら説明やらではなく、エピソードそのもので示唆してくれる作家さんって、意外と稀有なんですよね。なにげないことだけど、高遠琉加さんはこういうのが本当に上手いと思います。

しかし一よ、チョコレート大作戦は、アンタのキャラ的に恥ずかしくて仕方なかったぞ!w
たまらないムズ痒さなんだけど、やっぱり萌えてニタニタしながら読んでしまいました。
年下攻めのまっしぐらっぷりは萌える。
で、もちろん湯原にも萌えました。非常にかわいらしいオヤジ受けっぷりで。

ごちそうさまでした。

2

いち

萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
読み終わり、何とも言えない満足感がありました。
「愛と混乱のレストラン」では、人を刺したことがあるというエピソードが印象的だった無口なパティシエ・一(いち)。彼の話は予想していたものよりもずっと繊細で、温かかった。
恋愛話というよりも、一という青年のお話と言った方がいいかも。
寄る辺ない者同士がくっついて、疑似家族のような関係を築いていく話は個人的にドストライクなのも手伝って、お気に入りの一冊になりました。

一と湯原は、高校時代の元生徒と元担任です。
傷害事件を起こし社会復帰するも自分の居場所が分からず途方に暮れていた一。その一に、たった一人で赤ん坊を抱えててんてこ舞い中だった湯原が手助けを乞う形で、二人と一人(赤ん坊の海)の同居が始まります。
家も学校も居心地が悪く、夜の公園が唯一好きな場所だった一の孤独なくすぶりが、その日々によって解けてゆきます。

随分前に何冊か読んだ高遠作品がたまたま、トラウマ系…特に家族愛に恵まれないような生い立ちのキャラが多く、訳ありの過去がキャラクターの付加価値のようだったりと、正直な所演出っぽく感じてしまい、面白いと思っても微妙に乗れきれなかったりしました。(先生&ファンの方ごめんなさい)
このお話もトラウマものではあるし、あらすじの流れだけならドラマティックですが、非常に淡々とした緩やかな空気があります。
一の心の動きをじっくり書き上げてあるから。そして何より、一の人柄のおかげだと思います。

自分が暴力を振るうかもしれない将来を恐れ、感情を押し殺してきた一。甘いものを頬張る人の幸せそうな顔が好きで、そんな理由でパティシエになった一。人の役に立てることで、自分の存在意義を見い出しているような一。ようやく見つけたこの場所を失うことが、一番怖いと怯える一。

一は優しい。
無口で無表情だけどいつも人の感情を優先していて、例えそれが自分を傷つけるものであっても、静かに受け止めてしまうような優しさが、少しだけ哀しい。
そんな彼だからこそ、自分の居場所だと思える相手を見つけられたことにほっとしました。

一と湯原は二人とも、相手と一緒にいることで心が満たされるんだなあというのがよく分かる。そこがいいなあ。
生活を共にして過ごした日々の上に生まれた恋愛感情は、熱にうかされたような一過性のものではなく、この先も一生続いていきそうな確かなつながりを感じられます。
家族愛の延長線上にあるような恋愛です。
でも、一にはベストな形の恋愛だと思えました。

じんわりと沁みるような、いいお話。
本編既読でしたが、単独でも何ら問題ない作りで、未読の方にも文句なしにオススメです。

1

“愛する”ということ

『愛と混乱のレストラン』のスピンオフ。
あちらも理人と久我の恋愛模様+壮大な人間ドラマでしたけども、
こちらの作品も、人と人の深い愛と絆を感じました。
このレストランシリーズは本当に愛に溢れた作品ですね。

『愛と混乱のレストラン』でパティシエとして登場した一。
少年院にいたという暗い過去を抱えつつも、その優しそうな人柄から
一体どうなって罪を犯したんだろう…と思っていた方も多いはず。
今作ではそれが明らかになります。
やっぱり一は自ら望んで罪を犯したわけではなかったんですね。
それでもその出来事は、一の中に大きく傷跡を残していきました。
ただでさえ「母親に愛されなかった」という出来事が一の心に深く残っているというのに
この事件は、さらに一自身のコンプレックスを増長させました。
子供のころから甘えることができず妙に大人っぽかった一。
愛されることを知らなかった一。
それでも、湯原と海の愛に包まれて、自然に愛することをおぼえていった一。
最初は本当に一はどうなってしまうんだろうと不安でいっぱいでした。
正直、冒頭は辛いです。
一が不幸すぎて…。
最初は救いがないです。
しかし、湯原と海が一の家族になってからは、一も人間らしい生活ができ、
文章を追いながら、一の人間としての成長を感じられます。

今作は“一と湯原の恋愛”よりも“家族愛”に重きを置いているように感じました。
湯原の存在はもちろんなのですが、海の存在は一にとって非常に大きなものでした。
愛されることを知らない自分が、他人を愛することができるのか。
その問題は、ずっとずっと一について回っていたものだと思います。
それでも、一は海を愛することができた。
最後の海との抱擁、また海を愛することができた幸せをかみしめた一が湯原に伝えた言葉。
あのシーンが何よりも一番、胸がいっぱいになりました。
かつて愛することも愛されることもわからなかった一が、一人ぼっちで流した涙を見た湯原も
ようやく愛すること、愛されることを知った一を見て、さぞかし嬉しかったでしょう。
そんな“愛”に溢れた物語。
恋愛とも家族愛ともとれる、微妙なラインでの湯原と一の愛。
レストラン本編とは違う意味で涙がボロボロとこぼれた作品でした。

『チョコレート・ホリック』では、一のしたたかな部分が明らかにw
散々泣いた本編とは違い、一の一挙一動に「ひゃ~~~」となりましたww
甘いです、ロマンチストすぎますwwそして強引かつ計算的すぎる(笑)
性欲なんかもあんまりなさそうな一ですが、湯原の思いを掴むために試行錯誤した末の結論がコレだったのかと思うとなんというか…
恥ずかしい気持ちが半分と、なんて策士なんだwwと思う気持ちも半分んですね(笑)
それでも湯原が受け入れてくれた瞬間の一は本当に嬉しそうで、私もとても嬉しかったですw
また湯原視点で進むので、案外早い時期から湯原にとって一が特別だっことや、湯原の戸惑いとかが明らかになってもうもう、萌え禿げてしまいそうでした…www
そういえば久我もストレートな物言いで、私のハートを鷲掴みでしたが(笑)、一もなかなかストレートな物言いでドキドキしますねw
ただ久我のほうが俺様で強引な分キュンとしてしまうし、一のほうは無垢な分ストレートさが恥ずかしいですけどwww

ちょっと個人的な希望を言えば、一視点で理人&久我を見てみたかったですw
まぁこの二人は小冊子に期待ですけどね

1

一(いち)の運命を決定づけた『甘い』との出会いと別れ

『愛と混乱のレストラン』シリーズで
ル・ジャルダン・デ・レーヴのパティシエをやっている樫崎一と
彼の高校時代の担任で、現在の同居人・湯原“先生”とのお話です。

『愛と混乱のレストラン』の書き下ろしで
彼らのある日のひとコマが描かれていたので
彼らがどういう経緯で
小学生の女の子・海(うみ)を含めた3人暮らしをする事になったのか
とても気になっていたのですが
物語は、一が高校生の時のお話から始まっています。
子供に暴力をふるう事でしか子育てができなかった母親のせいで
すべての感情を押し殺すようになってしまった一に
「甘いものは人を幸せに出来る」と教えてくれた
アパートの隣りの住人・ゆきの存在は
悲しい結果を生んだものの
その後一が進むべき方向を決める大きなキッカケになったと思います。

それは、あることがキッカケで始まった湯原とワケアリの赤ん坊・海(うみ)との生活で
さらに確実なものとなっていくんですが
そんな2人が、海の子育てを一から協力してやっていくことで
本当の家族になっていくのは微笑ましく
彼らだけではなく、この幸せがずっと続くように祈らずにはいられませんでした。

湯原も、海を育てる事になった経緯はとても悲しく
それだけでも自分を責めてしまうようなことなのですが
そんな湯原を立ち直らせたのも、赤ちゃんの海だったわけで
この小さな女の子は
一のことも湯原の事も救った救世主だったんだと思います。

それだけに、その後に待っていた別れは
湯原も一も、そして海も誰も悪くないのに
避ける事が出来ない別れで
3人それぞれの気持ちを考えると涙が止まりませんでした。

しかし、海がいなくなって関係がギクシャクしてしまっていた湯原と一が
再びきちんと向き合えるようになったのも海のおかげだったんですよね。
海が、他人のことを思いやれる優しい子供に育ってて本当に良かった!

ラストは、この3人にとってこれ以上ない幸せなものだったと思います。

最後に収録されていた「チョコレート・ホリック」では
一の年相応の部分も垣間見れたし
湯原が、戸惑いつつも
自分と一の気持ちを受け入れていくのが可愛くて(オジサンだけどw)
タイトルとは別の意味の「甘さ」を堪能出来てとても満足でした。
そして、最後のギリギリまで湯原の事を「先生」と呼んでいたのも結構萌えましたw

1巻目の書き下ろしも含めて
BLとか恋愛とかだけじゃなく、さまざまな人間模様を見せられ
考えさせられる事も多かったですが
その分読み応えもある作品でした。

2

家で読んでたら、泣いていたと思う・・・

「愛と混乱のレストラン」シリーズ番外編、パティシエの一のお話です。
電車の中で読んでいたのですが、泣かないようにするのに努力が要りました。

母親に虐待されていた過去を持ち、早く自立したがっていた寡黙な少年・樫崎一が巻き込まれた事件と、その後高3のときの担任・湯原とその姪・海と擬似家族として暮らしているエピソードがほとんどです。

自分の中に潜んでいるかもしれない暴力の種に怯えている一と、後悔と自責の念に駆られながらも、必死に子育てしようとしている湯原は、海という存在のおかげで前向きな人生を歩みだすのです。

その、密かに湯原を想う一の、穏やかで幸せな時間に“結婚”や“海の実父の出現”という波が立ち、自ら別れようとするのです。
しかし、今度は湯原が一人に耐えられなくなって・・・。

長い長いプラトニックラブのお話だったのですが、つくづく思ったのは、「湯原先生って罪な存在だよねぇ」ってことです。
一が他の生徒に比べて、どれだけインパクトの強い生徒だったのかよくわかりませんが、担任でなくなってからも積極的に会いに行く時点で先生の方が一をより意識していたんじゃないだろうか?って思うんですがね?「気になる生徒」ってだけじゃ済まない何かがあったと思うんですよね。
一は、その熱意にほだされちゃったんだと思うんですよね。

まぁ、そのあたりについてはその後のお話「チョコレート・ホリック」で多少語られておりますが、最後の最後でやっとプラトニックから解放されましたよ。
まぁうぶなオジサンだこと。

0

こんなおじさんの体を触りたいなんて、、、

あああ萌え!じゃない神!

元々すごく期待して待っていた作品だけれど、帯見て、
「ああ、これはやられる。」
と読まずして判断致しました。

『こんなおじさんの体を触りたいなんて、君、本当にどうかしてるよ』

案の定、悶えました。
悶えすぎて、本を持ちながら体がよじれました。
*一の生き方、考え方にシンクロする部分が多々ありまして、ボロ泣きでテンションがおかしくなっていたのかもしれません。

まだ一歳にも満たない女の子を庇って、
『まだ嫁入り前だから!!』と必死でオムツ変えを阻止するお父さんぶりもあり、
元生徒にこんなことされて…っていちいち最中に考えては羞恥している せ ん せ い。。。
イラストもね!ちゃんとおじさんで良かった!どこにでもいる柔和なおじさんだ!!((



メインストーリーは傷害事件をおこした一の人生と、彼の健気な想いなのでしょう。
一の孤独と恐怖。切実な分だけ水分持ってかれます。
だけどあえて先生/おやじの魅力をおすすめしたい!
(メインは他の方が細かく書いていらっしゃるので割愛)

オヤジオヤジしていない綺麗なおじさん?ではありますが、
私は満足です。
ありがとうおじさん。

2

幸せということ

『愛と混乱のレストラン』のスピンオフです。無口なパティシエが主人公。本編は良作だと思うのだけど、狙いすぎな感じがして、感想はスルーしました。が、こちらは本気で泣きました。
虐待された子供が一人暮らしをして、隣に住む人のために初めてお菓子を作り、そして少年院に入り、高校の先生と同居するようになり、子供を育て、居場所を作っていく。本当の家族ではなくて、壊れそうなのに幸せで、失いたくなくて自分の気持ちに気付く。ずっと一緒にいたいのはこの人だけだと。
恋愛よりも深い愛の話です。愛されなかった子供が、大人になって人を愛することができるようになる。そうなりたいと願うことができるようになったのは、先生と先生の姪っこがいたから。人を幸せにできる。甘いものを食べたときのように、ふっと顔が綻ぶ幸せ。
姪っこの海ちゃんが本当に可愛いんです。カラーの3人が手をつないでいるのですが、ちっちゃい子だから、人差し指だけ。幸せな家族のあたたかい日常です。
海ちゃんが父親に引き取られ、先生とは家族から恋人になった1ダースのチョコレートの話はBLでした。チョコレートを使って、少しずつ先生を落としていく攻。丁寧な口調で、少し強引。若い男の子だなあ。この話がなくても、すごく幸せになれる作品でした。守れない約束はしないという、真面目な姿勢もよかったです。

先生が、海ちゃんを一番大事に思ってくれる人と結婚しようと考えていた箇所。川原泉さんの『夢だっていいじゃない』を思い出しました。そうして、誰も残らなかったという話。この作品は違う選択だったけれど、やっぱり夢のように幸せな未来だと思います。

1

無口なロマンチスト

「愛と混乱のレストラン」でのパティシエ・一のお話です。
……やっぱり高遠さんはすごいです。

お話は一が高校生だった頃からスタートします。母親との確執がすべての切欠となり、とどめの傷害事件が起き、どこにも居場所のなくなった一。冬の夜の公園で元担任・湯原と再会し、そのまま湯原宅へ住むようになります。
それから始まったのは、湯原の亡くなった姉の子ども・海との3人の同居生活。この3人での日々が、一を生き返らせていきます。
ずっと3人で過ごしたい、それ以上はもう何も望まない。
そんな一の願いと、3人での生活は反比例してしまいます。亀裂の入る幸せ。誰一人悪役がいないというところが、苦しみに拍車を掛けます。

徐々に徐々に燻りだした一の湯原への想いは、海がいなくなってしまった後で一気に加速します。ある出来事が切欠で、湯原の元を離れた一。そうなってしまって寂しかったのは多分、湯原の方。このすれ違いは切なかったです。

紆余曲折ありまくりの上で、くっ付くまであと少し!というところで、同時収録の「チョコレートホリック」へ。こちらは湯原視点で進みます。
一の先生を口説き落とすための手段はなかなかに凝っていて、エロい。一気に落とそうとせず、じわじわと攻め立てていく一。その手管に見事に捕まって、湯原を手に入れます。
自分を「ずるい大人」だと自覚している湯原もよかった。元生徒に振り回されている先生だということも分かっています。一歩を踏み出せて本当によかったです。笑

帯にあった湯原の台詞に、親父萌えの(経験の)ない私は一瞬ためらいましたが、その不安は杞憂に終わりました。しかも久我の弟・雅紀とくっ付くものかとぼんやり思っていた私…。無粋でした。
あと作品を読み終わった後に口絵を見ると、胸にくるものがあります。

シリーズ既読ですが、読んでいなくても問題はないかと思われます。ただ、シリーズ後の久我と理人をちょっと読めただけでも嬉しくなっちゃいました。小冊子も是非応募したいと思います。

3

これからは、甘~い生活

「愛と混乱のレストラン」の短編で2人の話を読んだときから、どんな関係なのか気になっていました。

本編での一は、”異常に自制心の強い人”という印象だったのですが、その理由が、幼い頃より母親から受け続けた虐待のせいであったとは、1人の親としてもショックでした。一母のおかれた環境・状態を考えると、そういう行動をとってしまう気持ちも解らなくはないのですが…

そんな育成歴を持つ一にとって、隣室のゆきとの触れ合いは、宝物にも等しいものだったのでしょうね。
湯原先生に対しても、気づいていないだけですでに心を寄せていたのでしょうし。

”愛されなかった子供(自分)は、ヒトを愛することは出来ない”と思っていた一を救ったのは、間違いなく湯原先生と最初は赤ちゃんだった海でしょう。

チョコレート・ホリックでは、両想いになった一が湯原先生に迫りまくります。とはいっても、あまり感情を表情に出すタイプではないので、ちょっと無表情気味なのですが、それが反ってそそります^^b
ボンボン・ショコラで、甘いモノ好きだけどアルコールには弱い湯原先生を籠絡していくなんて…… Good job!

出先で必ずと言っていいほど、チョコレートショップに足を向ける身としては、一の作ったこのボンボン・ショコラ、是非、口にしたいものです☆u☆

3

物語としての力

このシリーズは本当に再生と救いの物語なんだなぁと改めて思ってしまいました。
優しくて深い言葉の数々に一くんと先生と一緒になって心を慰められたり勇気づけられたりしてしまいました。

生きるって難しいけど、どうにか明日も元気出してやっていけそうっていうか。

海ちゃんは本当にかわいくて癒されました…。
子供の存在って素晴らしいなぁ。

一くんは大好きなキャラだったんですが、どうもオヤジ受け属性がないらしく、読む前から「恋愛としてはどうかな(あくまで読む側の自分にとっての話なんですが)」と思ってました。
や、ま、結果から言えばいわゆるベッドシーンは自分にとってはなくても良かったくらいだったんですが(汗)、でも、先生の魅力(人間的魅力)にやられましたよ!
一くんが先生に魅かれた気持ちは痛いほどよくわかりました。
本編でもマジ泣きでしたが、スピンオフでもボロボロ泣かせていただきました。
高遠先生は本当にすごい…。
なんだかんだで毎回泣きどころがあるような気がします。

私のようにオヤジ受け属性のない方でもこの話は余裕でいけるはず!
本編の「愛と混乱のレストラン」と同じくらい(またはそれ以上に)泣けるいいお話だと思います。

3

胸が痛かった

「愛と混乱のレストラン」パティシエ・一のお話待ってました!
本編でチョロっとほのめかされていた少年院に入っていた話。
先生との同居の理由。
そしてその先生とはどういう関係なのか。
実に10年近い年月をかけてゆっくりとゆっくりと綴られた本作品、もう胸が痛くて締め付けられて。
無口で地味な二人だけに、その深さはウルっとくることしばしばでした。

一の家族の、特に母親との関係が彼の性格をつくっていたのでした。
そして彼が甘いものに、家で与えられなかったあったかさ、優しさのイメージを持ったことがパティシエへの道のきっかけになっていたなんて!
彼が罪を負うことになった隣の女性”ゆき”さん。
院を出て、どうしても身の置き場が亡くなった時に「一緒に住もう」って言ってくれた先生と、海ちゃんの存在。
特に海ちゃんの一言が、行動が可愛くて、やられます。

どうして先生が一に一緒に住もうと声掛けたのか、本編の中にその理由は語られていませんでしたが、先生目線の「チョコレート・ホリック」の中で明かされます。
ただ、その気持ちはさほど決定的ではないようなきもするのですが・・・
本編中でそのシーンを読んだ時には、思わず子育てが大変だから手伝ってほしくて声掛けたんかい?って思わず疑ってしまったのですが、、
しかし一が在学中の担任の頃から面倒見のよい先生だったことが綴られていますので、その理由がわかって安堵しました。

それにしても一は苦しかったと思います。
最初は好意とか好きとかそんな気持ちは一切なかったはずなのです。
それが一緒に子育てをすることで、家族を暖かさを知り、段々家族愛としての愛情に。
そして、全くの他人である自分を考えた時一緒にいる理由と、世間に対しての、もし自分が女性だったら、と考えた時。
その時が、先生を意識する転換になったのですね。

先生は、海ちゃんの本当のお父さんが現れて、一人になった時に側にいてほしい人は誰か?で初めて一を意識しだすのだと思います。
だから、ものすごく長い年月を要するのです。
その気持ちに到達するまでが長かった・・・
しかし、それと同時に一の性格が豹変したようにせっかちになるのが、「あれ?別人?」と思うくらいでおかしかったですww
チョコレートを毎日一個溶ける迄キスって、なかなか洒落てます。

「愛と混乱~」の作中ではまだ二人は何でもない同居人の関係状態だったんだなって、またほじくり返して本編もひろげましたとも!
食べ物関連ネタだけに、本当に味わいのある作品でした。

4

『愛と混乱のレストラン』のスピンオフ

本編で「人を包丁で刺した」と語ったパティシエ・一のその過去のお話と、『愛のように甘い』の少し後のお話です。

無口で落ち着いているように見えた一が高校生の頃に起こした傷害事件。
それは幼い頃実母に虐待されていたことが一因となっていた。
隣人・ゆきのDV彼氏に母の姿を重ね、衝動が抑えられなかったのだ。
心が欠けたまま成長していた一。

少年院退院後、自分の居場所を見つけられず、存在価値や生きる理由を見失っていた一に、「一緒に暮らそう」と誘ってくれた元・担任教諭の湯原。
湯原は姉の忘れ形見である生後半年ちょっとの海を抱え、慣れない育児に奮闘していた。
初めは迷惑な存在だと思った湯原に、一は次第に惹かれていき・・・。


この湯原の姪っ子・海がめちゃくちゃ可愛いです。
海を湯原と共に育てることによって、一は家族のぬくもりを知り幸せを感じることが出来ました。

「いっちゃんが優しい人たちと一緒で、よかった」
「遠くにいても、海はいっちゃんの味方だよ」

一の幸せを願う、まだ幼い海の純粋な愛情に心打たれましたね。
『好きで好きで好きで』より今回の作品の方が断然じ~んときた。


そうそう肝心の一×先生ですが、脈アリと思ってからは意外と強引な一。
パティシエの技術を生かした、なかなか凝った迫り方をしてますよ。
個人的には本編の久我のセリフの数々の方がきゅんときましたが。
(好みのど真ん中でした)

3

この作品が収納されている本棚

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