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メインカプにハマれないまま3巻に突入。進藤自身が望んでいた変化の兆しが見られ、BL的なハピエンもありつつ爽やかな締めくくり。
が、個人的に2巻あたりから気になっていた点に触れられず、進藤へのモヤモヤは残ったまま。あともう一歩成長して欲しかったかな。
3巻は1~2巻に比べると、いろんなことがバタバタ起こる。ヤクザ色もちょっと出て来て、槙原が主役かつ悲劇のヒロインっぽい。自棄になってばかなことをしてるけど、槙原がより一層好きになった。
進藤の過去は、2巻の話で終わりでなくて良かった。進藤自身のモノローグで語られた理由に納得。
それにしても、進藤は難しい子だと思った。自分の世界を変えたくて刑務所に入り、ヤクザと付き合って変化を実感し、人生のスタートを迎えた気分になれたんだろうか。居場所探しのスケールがすごいというかなんというか。
引っかかったのは、進藤は賢い・頭が良いと執拗に評されるキャラなのに、自分の行動が与える影響を深く考えていないこと。告発を決心する流れでやっと奥田の状況に思い至り、警察への迷惑も考えてはいるが、被害者遺族のことは頭に無い。
そもそも進藤が罪を被ることで、遺族は被害者が殺された真の理由も真犯人も知る機会を奪われたと言えるし、相手が金のない進藤だから慰謝料請求を断念させられている。それで4年後に事件を蒸し返されるなんて酷い話では。
ここにモヤモヤしてしまったので、一人で晴れやかな気分になって富樫を呼び出す進藤を見ても、あまり楽しめなかった。BL的には一番のシーンなんだろうけど。
富樫はやっぱりヤりたがりオジサンな印象を覆す魅力が見つからなかった。
こいつがいなきゃダメだ!をはっきり示してくれた槙原と富樫の関係性が好き。相手が槙原なら、富樫がどんなに傍若無人でも気にならない。
メインカプが刺さらなくとも、続きが気になり全巻読んでしまう作品ではあった。
ヤクザや刑事もの、サスペンスなんかを好んで読んでるんですが、谷崎泉さんの本はこれが初めて。
いきなり二段組でちとビビりましたが、なんのことは無い、読むうちにどんどん入っていけました。物語はヤクザの本部長の富樫(攻め)と少年院を出てきて真面目に働いていたのに、母親の借金が原因でクビになってしまった進藤(受け)とのお話です。
しかし、、、富樫と進藤はもちろん、居酒屋の女主人、富樫の部下である槙原、この人達まで過去がややこしい!(笑)
それが物語を深くしているんですが、その部分とBLな部分がちゃんと関係していて、かつ、進藤が女性の愛人では構成が軽くなるような形になっているので、良く錬られているなと思いました。
最後の方では新藤の感情の移り変わりと、富樫のワンコ的な思い入れ様が垣間見れて良かったなと。進藤は「富樫ホイホイ」になってますね(笑)
まだまだ読んだことのない作家さんが沢山いらっしゃるなと。谷崎泉さんの作品は他にも良さそうなので読んでみようかなと思います!
シリーズ3冊、最高面白かった(*´◒`*)!!
ここ数日、夢中になって読みました。それこそ寝る間を惜しんで。
BL小説って、シリーズものでもナンバリングされていない物が多く、普段はそれぞれのタイトルを楽しんだりもするのですが、こちらは真音①②③とシンプルなタイトル。…ありがたい。
二段構成で読みごたえタップリ。…嬉しい。
シリーズ3冊通した感想(富樫×進藤)
おや?なんだか普通の受けさまじゃないぞ、とのっけからグッと掴まれました。
不幸受けというのは総じて、健気だったり、可愛かったり、庇護欲をそそられるキャラが多いと思うのですが、今作の進藤は、幸せとは言えない生い立ちながら、しっかり者の超クールキャラ。甘える事を知らないまま、大人にならざるを得なかった子。
作品が違えば攻めとして萌えられる要素を多分に持っている進藤ですが、そんな進藤が受けだったからこそ、ここまでの萌えがあったのだと思います。
攻めの富樫は、まさに傍若無人そのもの。
我が儘で気まぐれなんだけど、決めるところではしっかり決めてくれる安心感。たまりません( ´ ▽ ` )♡萌えたー。
この作品の特筆すべきところの1つに、多くを語らないという事が挙げられると思います。
主要キャラは受け攻めの2人と、富樫の部下の「槙原」、進藤が働く居酒屋の女主人である「さめ」の4人。(さめさんはおばあさんなので女性キャラが苦手な人でも大丈夫だと思いますよー(^o^))
4人が4人共、暗い過去や事情を持って生きているのですが、それぞれ深くは聞かないし、語らない。
無駄口を叩かないと言ったらなんだか偉そうになりますが、そんな感じ。それぞれの会話はとてもシンプルで、ここも心を掴まれた1つ。
お話自体には特に派手なところは無く、心情に重きを置いた丁寧な作品。
自他共に認めるモテ男の富樫が進藤にハマっていくさまは、なんとも痛快。
初心で人に甘える事を知らない進藤が富樫に見せた甘えは、ほんのささやかなものでしたが、最高に萌えたし、可愛かった。
派手なところの無い話と先述しましたが、それでもストーリーは面白く、本当夢中になって読んだんですよね。
谷崎先生、ベテラン作家様ですが、初読みでした。読ませる文章を書かれる素敵な作家さん。本当良い出会いでした。
最後になりましたが、こんな素敵な作品をご紹介くださった姐さまに感謝を込めて。
「真音」、3巻で完結です。
こちら、体裁はヤクザもののBLということになるのでしょうが、どちらかというと「人情物」ですよね。暴力団同士の争いとか人の生き死にとかの要素も無くはないのですが、派手なドンパチやスリルよりも、登場人物たちが自分の中で思いや過去に折り合いをつけて、それがベストかどうかは分からないけど先に進んでいこうとする物語でした。
だけど、ちゃんとBLとしてのトキメキもありますよ。主人公の進藤がほんの少しずつ変化していく様子などは読んでいてたまらないものがあります。セクシーなシーンもね。
このシリーズは、砕けすぎない文体で登場人物の視点が割とコロコロと変わりながら描写されるのですが、混乱したりすることもなくサラッと読めます。ボリュームのある作品ですが、読みにくいことはありません。派手ではないけど、人物の心理描写が丁寧な作品がお好みの方は、どうぞ手に取ってみてください。
電子書籍版にはイラストは収録されていませんが、夜のお布団の中で没入した雰囲気で読むのもなかなか良いものでしたよ。
あと、これは蛇足の超余談ですが、進藤くんが住んでいる居酒屋の二階の住居には洗ったシーツを干すスペースはあるんでしょうか? 乾燥機付かしら? とかなんとか思ったりしました…。
真音最終巻です。
このお話は893ものなのに騒々しくなく、ちょっと暗く静かな(テンション低め?!)雰囲気の中で展開するお話でした。
このじわじわ引き込まれる感じが大好きでした。
なかなか富樫に心許さない進藤でしたが、富樫の優しさ過去に対するアドバイスを通して、ついに自分の気持ちの変化に気付きます。
富樫のマンションから「ただ会いたい」と電話しちゃう進藤が可愛かったです。
そして、小田原からすっ飛んできちゃう富樫も最高です。
(そりゃー、槙原にも鼻高々に自慢しちゃいますよ)
二人にはいつまでもこの慣れ過ぎない距離感で仲良くしてもらいたい。
そして青木の四十九日で再認識した富樫と槙原の強い信頼関係にも感動しました。真音に槙原は欠かせない存在です。
本当に面白かったです。