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時の流れは残酷ですよね。
幼い頃は褒められる純真な感性も、いつまでも持ち続けることを世間は歓迎してくれない。
"真っ直ぐ"育った人達からは変なヤツ呼ばわり。
考えてもわかりませんが、考えずにはいられませんでした。
それはともかく...
ありのままの自分を愛してくれる人がいる。
その幸せを、読みながらこちらも分けてもらいました。
いい大人が大はしゃぎで雪合戦をする夜。
ふたりの幸せそうな様子を想像して涙が溢れました。
電子版には挿絵が入っていなかったのが一つ残念だったな...
シーモアには注記されていませんでした。
(あとでebookのページを見に行ったらこちらは注記がされていました。)
内容わかっていたので精神的に余裕でるまで積んでしまってました‥
思っていたのと違ったポイントがひとつ、
受けの障がいがはっきりしているわけじゃないので、天然のような感じもあります。
ちゃんと障がいってハッキリしているのかと思ったのでそこだけ違いました。それにより周囲の理解とか反応も健常者の天然に対するソレって感じなので、人によるとは思いますが睦じゃなければ、もっと生きづらさをかかえてもおかしくないなと思いました。
こういう一度離れる系はもう涙涙になります。
そして離れてる時間も結構長い!
途中章のタイトルが文中にあるかのような感じもして、気になりポイントがあるのでずっとモヤモヤはするのですが二人が気持ちを通わせるまでが切なくて切なくてたまらなかったです。
睦の親はあれだけかわいがってるけど障がい認定もらわなかったのかな‥となんかリアルな方の設定が気になってしまいました。
執筆されたときの時代もあるかなと思いますが、2003年なのにまだまだな時代だったんですね‥世知辛い‥
『イノセンス』 (INNOCENCE)
この内容だと、純粋とか、無垢、という意味で、睦のこと。
2005年発刊の古い作品。
『イノセンス~幼馴染み~』
『イノセンス~再会~』
2010年の再編版には、二つ書き下ろしが追加されて文庫化。
私が読んだのはその電子版。表紙の睦がとても可愛らしい。
「冬の向日葵」
「真夏の椿」
乃々山睦:やや発達障害傾向。
純粋で悪意が無い素直な美少年。
大好きなものは、クルちゃんこと来栖貴文。・・睦の「大好き」にクルちゃんは戸惑う。
でも貴文が大学入学で東京に行ってから、会えなくなる。
来栖貴文:睦の幼馴染。同じ年。
男女を問わない睦の「大好き」を、どう受け止めたらいいのかずっと戸惑う。
県議だった父の葬式で、養子だと知る。 恩に報いることを強く意識する性格。
クルちゃんを駅で見送る場面、睦は自分の喪失感をどうしていいのかわからず、駅で泣き続ける。
この場面で、睦はクルちゃんのような人が傍に居ないと、上手く生きていけないのだな、と思った。
『イノセンス~再会~』:8年後、貴文が大卒後に秘書職に就き、政略結婚を進める最中、睦と再会。
色々あって、貴文は睦の傍にいることにする、「真夏の椿」でハピエンに。
子供のような発達障害を持つ睦を見守るクルちゃんや、睦の家族は優しく忍耐強い。
愛情深い人が、睦の周りにはいつも居る。睦は人の縁に恵まれている。
読後感良い作品だった。・・心の汚れを流す落涙小説。
すごい内容だったな~とじわじわ後から感動がくる作品でした。
高純度の幼馴染みラブです。とにかく純度が高いです。普通の幼馴染みものとの大きな違いは、受(睦)が攻と一緒に大人にならないところです。心が子供のままなのです。一般社会で生きるにはハンディキャップというのかもしれませんが、恋愛の障害にはなっていないし、彼自身そのことで不幸ではなく、かわいそうという視点もないのがいいです。本当はこういう風にいられたらいいんだろうなとも思いました。また、睦を特別視せずに対等に接する仲間たちが集まる素敵なコミュニティで、主に睦の視点から描かれているせいか、そこから改めて社会や人の奇妙なところが見えるようで、いろいろ考えさせられました。
来栖(攻)ですが、睦に対しての気持ちが、ただの劣情なのか恋愛なのかわからなくて葛藤→大人で汚い自分はキレイな睦にふさわしくないと葛藤する様子にじれったさを感じました。そうしてモダモダする彼に「クルちゃんはジュンスイなんだね」と、スルっと睦に言わせる演出が素晴らしいです。変わらず無垢であり続ける幼馴染に対して、変わっていく自分とのギャップに苦しみながら、本当は睦の心と同じでありたいと願う来栖の気持ちこそが、実はイノセンスなのかなと思うのでした。
この題材を読んだのは二度目。最初に読んだのは依田沙江美先生の「ブリリアントblue」だったが、読んでいるときに感じていた思いは共通で、それは「こんなに男同士っていうのが障害になる設定ってない…」というもの。
「ブリリアント~」も同じように幼馴染のお話なんだけど、どちらも「受けが女の子だったら、なんの問題もなく高校生から付き合えたし、来栖は将来睦と結婚するって、大人になっても言えたんだろうな」と思ってしまう。
初めて睦に対して、性的な感情を自覚した来栖の絶望たるや、想像を絶するなと。
睦が男の子であるがゆえに、来栖は自分の想いを押し殺し、少しでも睦に似た女の子と付き合い、彼から逃げるように上京し、好きではない女性と婚約までする。
なぜなら睦は、単純な、蒸したプリンや卵焼き、戦隊ヒーローに対しての「好き」と、「付き合いたい」「恋」という意味での「好き」の区別もつかないような子。
彼の思い描く「付き合う」というのは、「一緒に遊んで、ゲームしたり、絵を描いたり」するというようなレベルなんで、とてもじゃないけど、勢いで押し倒したりなんてできない。
全部で四本のお話に分かれているのだけど、最後の書き下ろしを除き、全体を通して、受けへの想いから自由になりたいのになれなくて、葛藤してしまう攻めの想いに胸が詰まる。勿論、自分の「好き」という想いが特別であるとわかってもらえない受けも、かなりつらくって…。「なんでもしてあげる券」のくだりでは、涙腺が大決壊。「一緒にいたい」というただそれだけのことが、大人になるとこんなに難しいなんて。
大学進学からの、会わずにいた八年間を、後に来栖が「一方的におまえを切って捨てた」と言うのが切ない。そうやって切り捨てなければならなかったものが、彼には他にもあったけど、本当は捨てたくなかったものもたくさんあって。だけど、一番大切なものがなんなのかを知るために、ふたりにとって、それは必要な回り道だったんだと思いたい。
来栖の、捨てたはずの子供の頃の宝物を、睦がずっと大事に持っていたというエピソードが印象的。これからの人生でまた来栖がなにかを失ってしまったとしても、いつだって睦が、にこにこしながらそれを取り出して、目の前に見せてくれそうな気がする。