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表題作警視庁十三階にて

瑞木貴穂,警視庁公安部外事一課第四係長,警視正
綾瀬尚登,二階級降格のキャリア 

あらすじ

仕事の失態から二階級降格、警視庁公安部に異動した綾瀬尚登。上司となったのは、徹底した能力主義の警視正・瑞木貴穂だ。綾瀬の冷徹で非情な知性を気に入る瑞木は、傲岸不遜で物言いも容赦がない。身内の捜査妨害も平気で行い、現場で厳しく指導する瑞木に、始めは反発していた綾瀬だけれど・・・!?

作品情報

作品名
警視庁十三階にて
著者
春原いずみ 
イラスト
宮本佳野 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
警視庁十三階にて
発売日
ISBN
9784199005725
3.2

(15)

(2)

萌々

(4)

(5)

中立

(4)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
45
評価数
15
平均
3.2 / 5
神率
13.3%

レビュー投稿数6

恋愛よりもお仕事がおもしろい

まだお話が広がりそうなキャラ設定だと思うので、萌ですが、大変好みでした。面白かった。

舞台は警視庁公安部外事課。
冷徹無比なアンドロイドと言われたキャリア組みの綾瀬尚登が、二階級降格で異動してきます。
どうやら彼の外見や性格、仕事ぶりに惚れこんだ係長の警視正・瑞木が自ら拾ってきたらしいのですが、このいきさつはさらっと流されていて詳しく語られていません。
ロシアのスパイと、彼に情報を流す日本人を追尾し“国益に反する事件を未然に防ぐ”という特殊な仕事をする公安部外事一課第四係に配属され、今まで正確無比な刑事としての仕事に自信を持っていた綾瀬は、瑞木の傍若無人さも手伝って、戸惑いと焦燥を感じるようになります。
「この人が・・・私を壊す・・・」と思ってしまうほどに・・・

度が過ぎるほどの冷静沈着な綾瀬と、どこか崩れたところがあるものの、仕事に関しては非の打ち所の無い瑞木。
そこに、(最終的に明かされますが)色々裏がありそうな高検の検事・辻斬りの陸や、綾瀬の幼馴染み悦夫が絡んでくることによって、非情と私情の狭間で悩む綾瀬と彼を振り回し囲い込んでいく瑞木の策を堪能することができました。

前述しましたが、瑞木サイドの背景がさらっと流された状態で済まされてしまっているので、シリーズ化にでもしていただいて、瑞木の心の中であったり、陸との関係であったり、また、その後の綾瀬との関係であったりを読ませてもらいたいなと思いました。

警察といえば刑事事件絡みのお話が多い中、公安という特殊なお仕事にわくわくできて、お仕事スキーな私は大満足でした。

5

職業ものとしては面白いのに、BL部分が浮いてしまって残念

公安ものは、ベールに包まれている世界だけに、小説等で見かけると内容が気になってしまいます。

途中までとても面白かったんです。ドラマを見ているかのような臨場感たっぷりのストーリー展開に惹きこまれました。無駄が無い理知的な文章で繰り広げられる職業ものに腐女子の食指が動かない筈がありません。今まで目にした公安ものと違う所もあり、新鮮でした。

ところが途中から、気になる事件の方は据え置きで、やたら繰り広げられるBL展開に頭がついていかず、「ところで肝心の事件どうなったの??そっちの方が気になるんだけど・・」とカップルにツッコミを入れたくなりました。インテリジェンスの世界の中で「美人」とか「姫君」という単語が行き交うのも違和感を感じざるをえなかったです。まぁBLものだからエンタメ重視になるのもしょうがないのかもしれませんがww 公安という性質上、もう少しスタイリッシュなLOVEの方が良かったように思います。途中から急にBL展開が悪目立ちしてしまった感があり、そこが惜しかったです。

最後は真相等もしっかり描かれ、各登場人物の職業意識というものに感じる所がありました。何はともあれ、この作家さんは職業ものをしっかり描ける方と確認できたので、他の小説も買ってみようと思います。

登場人物が美形揃いなのに、イラストに宮本佳野先生を持ってくる所でお察しを・・って事ですよね〜。
なかなか個性的な作品でした。

2

一度読んでみて!

警視庁公安部のお話しです。警察物の小説が好きな方は楽しめると思います。受けの上司は、俺様系。だけど仕事ができてかっこよくて、そりゃ誰でも惚れてしまいます。
エロ度は高くないけど、ドキドキしながら読み進められます。
読み終わったあと、また続きが読みたくなるお話しでした。ありがとうございました。

2

ロシアスパイvs公安の美しきエリート…だけど

昨今、BL小説の新作はファンタジーばかり、と乗り遅れ感を感じている私です。
BLにハマる前は元々ミステリ系が好きだったので、警察モノ、刑事モノ、本作のような公安モノというのは大変好みに合いますね。

本作は、ロシアスパイに国家機密を漏らしている政府関係者を追う公安たちが主人公。
優秀すぎて情の無いアンドロイド的エリート・綾瀬。
彼が降格人事で公安に回され、上司になったのが綾瀬に勝るエリート・瑞木。
今まで自分よりも頭が回り自分を振り回す人間に遭ったことのなかった綾瀬は、ペースを崩されまくっている。
…という設定。
ロシアのスパイを内偵していた瑞木班の前に内閣府の軍事衛星研究者が現れるが、彼は綾瀬の幼馴染だった…!
硬派なストーリーが始まる!と期待大だったのですが〜…
捜査に私情を挟む綾瀬ですが、それを許さないのが瑞木。綾瀬を自分側・公安側に抑えつけるためにする行為が、キスであったり強姦行為であったり。
BLですから?そうなるしかない?
無理やりに躰を開かれ、激痛と共に自分が作り変えられた、という流れで圧倒的な瑞木の下に身も心もひれ伏す事になる綾瀬、といった展開で、何で綾瀬に言う事聞かせる行為が「強姦」なのよ、何でゲイ設定でもない瑞木が綾瀬に執着するのよ、とかいう疑問は全く解明されません。
何よりも、ロシアスパイに漏洩される情報/機密がどうも小さいのよ…
だから防衛とか国際紛争とかいう部分でちっともわくわくしない…そこがとても残念だった。
綾瀬が親に無視されていた子供時代に声をかけてくれた、という理由だけで真城を100%信じるのも非情なエリートにそぐわない設定だと感じました。

0

警視庁公安部外事課です

実に淡々とした、ブスブスと燻ったような熱が底から湧いているような、そんな温度のお話でした。
だから、というわけではないのですが宮本佳野さんのイラストがとてもしっくり合っていて(宮本さんの絵も温度が低めですもんね)小説と絵のマッチングはピッタリでした。

主人公の尚登は、成績優秀のエリートで若くして警部補まで上がったキャリアなんですが、その氷の仮面と呼ばれる人の心を鑑みない態度の為、二階級降格の憂き目にあった人物です。
そんな彼を刑事部から公安部に引き抜いたのが、外事部でスパイの偵察をするのには目立ちすぎるのではないかと思われるほどの容姿を持つ係長・瑞木警視正でした。
その端正な外見に似合わない、くだけた口調と尚登をおちょくるような態度に尚登はとまどい振り回され、追尾対象を追って行くうちに、だんだんと自分のかぶっていた仮面がはがされていくのです。

この主人公達の性格にはブレがありません。
何だか全てわかっていて、子供を掌の上で遊ばせるような瑞木の態度に、一体どこに尚登への愛があるのかよくわかりません。
欲しいと思ったから引き抜いたという、その瑞木の気持ちは、仕事上もですが、氷の心を持つ尚登を見透かしていて、それを溶かして見たいと思った、手に入れたいと思った欲望なのか、そのどちらなのか、、その点は不明瞭なので、自分で推察するしかありません。

ただ、確かに尚登は変わっていくのです。
追尾対象が、自分の不満に思っている過去に唯一信頼を寄せた幼なじみだったこともあり、自分の信じていたものをうたがわなくてはならない苦悩。
しかし、全体の温度が低い為に実に淡々と、淡々と、、
エチのシーンでさえ、尚登の殻を打ち破るための瑞木の儀式のような、とても自然に展開し、終わっていくのです。
あまりに自然すぎて、読み終わり、印象は薄いです。
しかし、大人なお話だったと思います。

5

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