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表題作美しく燃える森

日比谷勇気
新進気鋭の画家
土谷昇
雑誌編集者

その他の収録作品

  • にぎやかなランチ
  • スパイシーサングリア
  • 懐かしい夜
  • あんまり美しく燃えれない日々
  • 愛が壊れる時。

あらすじ

昇の片目がある日突然開かなくなってしまう。原因不明の症状に、心配した勇気は自分の趣味も兼ねて昇を焼き物教室へと誘う。教室では急用ができた陶芸家の大澤の代わりに講師役を買って出て、女性の生徒たちに相変わらずのフェミニストぶりを発揮する勇気。陶芸の癒しどころか、昇の機嫌は徐々に悪くなっていくのだが、そんな憂さも吹き飛ばすような騒動に巻き込まれて……。
同居一周年のエピソードも収録した、待望の真夜中を駆けぬけるシリーズ第3弾。

作品情報

作品名
美しく燃える森
著者
依田沙江美 
媒体
漫画(コミック)
出版社
二見書房
レーベル
Charade books comics
シリーズ
真夜中を駆けぬける
発売日
ISBN
9784576100876
4.5

(30)

(22)

萌々

(3)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
11
得点
134
評価数
30
平均
4.5 / 5
神率
73.3%

レビュー投稿数11

勇気x昇シリーズ その3

3冊ものの3巻目。一応完結?

勇気と昇がひとまず一つの形を選んだ前巻でしたが、本作ではこんな展開になりますか?と正直驚きです。
表紙絵でわかる通り、昇が眼帯をしています。
でもそれは怪我でも結膜炎でもなく、まぶたが開かなくなっていた。
脳に異常はない。視力もある。顔面麻痺でもない。どうして目が開かないのだろう?
そして度々思い出すようになった暗い階段の踊り場。なぜか不安で、なぜかそれ以上思い出せない。
自分と同居するようになって精神的負担になっているのかも、と考える勇気。
勇気が気分転換に、と昇を陶芸に誘います。
有名な作家さんの窯で、そこの娘・萌さんが会社を辞めて帰ってきているのですが、彼女が訳ありである事件が起こります。
彼女との会話で過去にあった「ある事」を思い出して、勇気が萌さんにかける言葉で記憶の奥に封じ込めていた自分の心が浄化される…
え……昇が、そんな事⁉︎ ちょっぴりショックですね。
後半は骨董の重鎮たちにも可愛がられている勇気、絵だけでなく皿や造形も創作に加えていく勇気、
芸術家の孤独、感受性、有限の命、そんな感傷もありつつ、昇が勇気の素晴らしい作品の大皿を割ってしまう!という悲劇なんだかドタバタなんだかの展開があります。
勇気も昇というパートナーを得て、自分の創作、自分の世界観に自信を持っていく。
『もう道連れになってしまったのだ』この昇の独白。
これが全て、今そしてこれからの2人を表していると感じました。
このシリーズはこの巻で終わりますが、もっと年月を重ねた2人を読んでみたいですね…

1

3巻目

まるごと一冊がひとつのストーリーでした。

一見、熟年夫婦のような二人。
この2人の、極々日常が描かれているような、そんな感じなのですが・・・
でも、スゴイです。
・・・なにが?・・・読後感がスゴイんです。

「自分を許したかった」という言葉には、胸に響くものがありました。
人間みんなあると思うんですよね。心の中でずっと苦しんでいるような事が。
それを許容しながら、許容する事で成長していくと思うんですが、
許容できないと昇のように、気づかぬうちに蓋をしてしまうのかもしれないですね。

2人の関係性がちゃんとした大人の世界・生活であって、
他の作家さんには決してない世界観、今回も・・・
いえ、今回はより一層楽しめました。
大好きなシリーズ作品です♪

1

すげえ(( ゚д゚)

前半は昇の話。

学生だった勇気の浮気性に悩まされていた頃、昇は勇気以外の男二人と関係を持ちます。無理矢理に近かったせいか、昇の中に残ったトラウマは心身症という形で表面化します。

エイズの検査で陰性が出た時の昇の反応が泣けます。神様なんて信じるタイプじゃないくせに「神様」って言うんだもん。せっかく勇気と一緒に生きていくと決めたんだから、そんな残酷なこと起きちゃいけません。

後半は勇気の話。

昇が可愛がる猫、昇が美しいと言った炎や月などからインスピレーションを得た勇気が次々と作品を生み出します。勢いに乗った勇気は、長く交流があった美術批評家の塩野女史の入院をきっかけに大きな美術館で個展を開きます。

1巻のLONG NIGHTでは、世間や好きな女と感性が合わないことに不満を感じる勇気が描かれていましたが、この巻では勇気の不満がはっきりした形で解消されます。

自分の作品に自信が持てず売れセンばかり描いていた勇気が感性を共有する昇と再会して恋に落ちて自信を取り戻して大きな美術館で自分の作品を堂々と発表します。

昇と勇気がそれぞれ慢性的に抱えていた苦しみを乗り越える姿に胸を打たれます。

ホントにすげえとしか言えない完成度です。

6

今までで一番ラブラブです。

前二作を実家に置いたままなので、再読できていないのですが、記憶からすると、笑いと切なさのバランスのよさで言うならこの3作目が一番かもしれません。

こんなに穏やかで幸せな二人をみれるとは!
昇が勇気にとことん愛されていて、本当に嬉しくなりました。前作を得て、更に近づく二人の関係に幸せ感じちゃいます。

そして昇の子供っぽいところ沢山見れて、めちゃくちゃ楽しい。あまりの可笑しさに思わず吹きますって!

しかし、このシリーズの話は一筋縄にはいかない。和やかななかであっても彼らの心の痛みと共に描かれていたりするのです。伏線が巧みに張ってあって、中身が凄く濃い。

昇の涙と、あの心の叫びには胸を掴まされます。
自分を許すことって案外難しいですよね。そもそも自分で自分を苦しめていることに気付くことが、まず難しいのかも。さりげなく深い、こういうセリフを勇気に言わせる依田さんが凄いなと思いました。

全編通して、昇を癒せるのは勇気しかいないし、勇気にとっても昇が最大の理解者なんだってことを再認識しちゃえる幸せな一冊です。


またいずれ続きを読めることを願ってやみません。
彼らの先をまだ見てみたいです。

4

無条件で愛しい二人

もし「すべてのBL作品の中で、一番好きな関係性の二人は誰ですか?」という質問があったら、私は迷わずこの二人を選ぶと思います。
で、この二人の関係性の良さって、年齢を重ねないと見えてこないんじゃないかなと思ったりもします。
通常のBLとは違って、ラブラブいちゃいちゃしてません。
えっちしながら他のことを考えてたり、構われるのを本気でウザく感じてたりw

しかし勇気は完全に女っけがなくなったね。勇気が浮気しなくなった理由は「昇相手にしか発情しない!」みたいないわゆるBL的理由ではなく、「いや、やろうと思えばできるしキモチいいんだけどさ…でももう昇を不機嫌にしたくないし、昇の顔色伺ってビクビクする生活もしたくないし…」みたいなアホ臭い理由なんだろうな。
あと年齢的なもの。年を重ねると、セックスに付随するアレコレ(行為そのものより、それに付随する駆け引きめいたもの)が面倒くさくなっちゃうんだよw
でもそこがイイ。
夢はないけどリアルがある。私はそのリアルさに萌えます。
昇の片付けられない病も健在だしねw

『美しく燃える森』では昇のトラウマがキーワードとなってくるんだけど、最後の後まで勇気は昇のトラウマを知ることはない。
それが良かった。
セオリーなら、勇気が昇の心の闇に気づいて、昇は泣きながらそれを告白して、勇気がかっこいい言葉を吐いて、昇はそれに感動してトラウマ脱出!じゃじゃーん!→激しいエッチ!みたくなるんだろうけど、依田さんはそうしない。
ただ、昇が密やかにトラウマを脱出するきっかけになったのが勇気の言葉だったというのがいい。

二人とも確固としたパーソナルスペースがあって、それはパートナーにも絶対に踏み込ませない。
だからといって相手のパーソナルスペースを全面的に守ってやろうとするかというとそういうわけでもなくて、適当に相手の領域に踏み込んだり、踏み込まないように努力したり、「無意識にテキトー」でw
で、どんなにテキトーでも根底に互いへの愛と信頼はある。
その根底だけはけしてぐらつくことがない。
ここにリアリティのある基盤のしっかりした愛情が感じられる。だからこの二人の関係性が好きです。
BLカップルには未来予想図が見えないカップルが多い(それはそれでいいんだけど)んだけど、この二人には着実な未来が見えるんだよね。

14

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