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表題作アナタの見ている向こう側

関東光一
受様の会社近くに出来たカフェのシェフ
宮本薫
美人で愛想も才能もあるが俺様なデザイナー

あらすじ

美人で俺様のデザイナー・宮本は、行き付けのカフェでシェフ・関東の視線をいつも感じていた。だがそれが自分にではなく、宮本が可愛がっている後輩に向けられたものだということにも気付いていた。武骨で口数も少ない関東の一途な想いを好ましく思い、彼本人にも興味を抱いた宮本は、その恋を手助けするつもりで関東に近づく。やがて自分が関東のその強い視線を渇望するようになるとは思わずに…。
(出版社より)

作品情報

作品名
アナタの見ている向こう側
著者
火崎勇 
イラスト
松尾マアタ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラノベルス
発売日
ISBN
9784778110338
3.3

(24)

(1)

萌々

(8)

(14)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
8
得点
79
評価数
24
平均
3.3 / 5
神率
4.2%

レビュー投稿数8

本当の恋を知る、『外面如菩薩内面如夜叉』w

見た目が麗しくて、グラフィックデザイナーの才能も溢れる宮本は
自分に自信があるし、好きなように生きているような人間です。
自分の性格が悪いのも自覚していて
気に入った人は可愛がるタイプ。
新人の福原が、ちゃんと主張のある柴犬みたいで
相談に乗ってあげたりご飯を奢ってあげたりするのです。
行きつけの「かなりあ」というカフェのシェフ・関東が
愛想は無いけど美味しいランチを作る男で
どうやら福原に視線を送り続けている様子。
自分には素気無い態度をとるくせに
福原の美味しそうな顔を見てほころんだ表情をしたり
変わらず熱い視線を送るその姿に興味を持ち、
少し協力めいた事をしてやるのですが…。

宮本の「この俺の描いた絵が落書き!?謝らせてやる!」みたいなところも
おいおい宮本サンよぉ…とも思いつつ
褒めてもらいたくて関東の好みのタッチで絵を描く姿が
好ましくなってきちゃいましたw
今まで本気の恋なんてした事が無かった分、
ただ見ているだけでもいいという関東の気持ちがわからなくて
その目で自分だけを見て欲しいと思うまでの過程が
とっても自然で説得力があるように感じました!!

最初から望みのない恋に落ちるなんて
それこそ彼の人生にはあり得ない事だったでしょう。
それでも、彼が欲しい気持ちを簡単に消せない切なさが素敵でした。

関東の福原への想い、
というのはさすがにネタバレ無しで読んでいただきたいです!
福原が、本当ならば宮本の恋敵なのに
若いなりに自分を持っていて、
やっぱり可愛がってやりたい気持ちもわかります。

同僚の深田も、恋によって変わったうちの一人ですが
なんかいいなー…って思ってしまいましたよw

関東が宮本に上っ面だけでなく接してくれて
筋がいちいちしっかりとおっているし
カフェのオーナーへの感謝や、仕事の姿勢、
口数が多くないところも込みで男前度が高いヤツでした!!

火崎さんの作品の中で一番好きです!!!
マアタさんのイラストがかなりハマってました♪

6

宮本がかわいかった

火崎さんの作品って印象として、主人公がポジティブで、そこが好きで読みやすい。
この作品の宮本も、ルックスが良くて、才能があって仕事ができて、おかげでちょっとはお金もあってと、自分に自信があるから、自分のワガママを通すし、プライドもある、すごくポジティブで明るい俺様。

そんな宮本が、行きつけのカフェレストランで、自分を見ずに一緒にいる福原だけを見ているシェフの関東の視線に気付いて…

今まで、何でも前向きに解決してきた宮本が、本当の恋に落ちて、グズグズになるところがかわいい。
グズグズになっても、ちゃんとお仕事する大人な所もかっこいい。
結末はかなりベタだけど、ちゃんとみんな収まるところに収まって、後書きみたいな未来が想像できて、読後感も良かったです。

そして、松尾アマタさんの挿絵。
やっぱり、松尾さんの絵って、素晴らしくお上手で、とっても好き。

4

気持ちの良い俺様

今回の火崎作品、ものすごくよかった!!
いつも、何か物足りなさを感じてしまうのですが今回は主人公に入れ込むことが出来たし、何と言っても受けが明るいポジティブ俺様だったので、展開も次はどうなるの?とワクワクして楽しみになってしまう作り。
松尾マアタさんの絵もあいまって、すごく好みに仕上がって、ラストで怒涛の種明かしといういつものパターンも全然苦になりませんでした♪♪♪

宮本は才能にも美貌(?)にも恵まれ苦労しないで現在の地位も名誉もあるデキるグラフィックデザイナー。
自分でもそれを自覚していて、口に出していう俺様。
好き嫌いもはっきりしているし、すごく嫌な奴だな~と思う設定だとは思うのですが、彼の考えていることはまっとうだし、甘んじずにちゃんと仕事はしているし、屁理屈でもないし、公平な評価も出来るし、TPOだってわきまえた対応ができるし、嫌味じゃないんです。
だけど、彼が今まで付き合ってきた彼女達は、見た目と現実のギャップに幻滅して去っていくのばかり。
そんな彼が行きつけにしているカフェで、可愛がっている後輩の福原に視線を向ける、シェフの関東が気になりだすのです。
関東は、無愛想で怖い感じの人なんですが、良く見るとイイ男。
福原をどうしていつも見ているのか探るために接近した時に見せた、少し微笑んだ顔が印象的で、もっとその顔が見てみたいと思うようになるのですが、その気持ちが何なのか宮本にはわからない。

宮本が福原の為といいながら、段々自分の為に福原を出しに使って関東と話をしたりという、その姿が、本人無自覚の為に実にワクワクして面白いのです。
それにしても、関東が実に無愛想で、いかにも福原を愛している~vな風で表わされているので、何か訳があるだろうとの予測はできましたが、上手くラストまで隠しおおしましたww
どうしようもなくなって、とうとう宮本が捨て身のアタックに出た時の関東の態度には、思わずヒヤヒヤしました。
そのくらい、勘違いさせる態度だったんですよ=3
しかし、後になって明かされる”思いこんで、言ったつもりになる”という、案外に不器用でかわいらしい(相手に対しては不親切でしょうがw)性格が分かった時、思わず苦笑いがwww
俺様の宮本ですが、自分が本当に欲しいと思った相手は関東が初めてだったので、思いっきりヘタレて初心な子みたいになってしまう姿は、とても萌えました!

宮本の友人で同僚でゲイの深田、柴犬のような可愛い後輩・福原の恋愛もちょっと含ませながら、それが上手い具合に転がって決着がつくところ、中々に面白かったです。
それにしても、関東が福原に対して宮本に発言した数々の言葉、いくら隠したい事とはいえ、滅茶苦茶誤解させる言葉オンパレードでしたw
寡黙で不器用だけど、エチになると変身する攻めというのも好みですね♪
ということで、今まで読んだ火崎作品の中で自分的に最高ランク付けです☆☆☆

5

好感度の高い俺様

大抵の火崎作品は購入しているのですが、どういうわけか積読率が高くって・・・すみません。
今回はイラストに惹かれたのもあって、それなりに早めに読みました。
やっぱり読みやすいし、やっぱりちょっと説教くさい(ほめ言葉です)ところが私好みでありました。
他の作品も読まないとですよね。

お話の主人公は、三拍子も四拍子も揃った自信家のグラフィックデザイナー・宮本です。
自ら外見がいいことを認め、頭が良くて何をやらせても上手くこなし、仕事をはじめとする自己責任上の事象にすべて自信がみなぎっているという、見方によっては大変俺様で嫌な奴になりそうなのですが、「周囲に気配り」もできるので人間関係は良好という、一度なってみたいような人物です。

そんな彼が可愛がっている後輩・福原とよく行くカフェのシェフ・関東がもう一人の主人公。
宮本は、いつも福原を陰から見ている関東のことが気になって気になって・・・
理由をつけてはカフェに通う始末で、“後輩のため”に観察していたはずが、自分の方がどんどん関東の魅力に惹かれていくのです。

自信家なものだから、常に上から目線で、自分がしていることには間違いがないと思っているので、「後輩のために」から「一途な関東のために」なにかしたくなった自分がいても、「自分の気持ち」にはなかなか気付かないわけです。
そうこうしているうちに、関東と二人だけで会うことも多くなり、好きだとか愛して欲しいとかいう気持ちが高まれば高まるほど、自分に自信が持てなくなり、今まで築き上げた宮本の自己中心的なアイデンティティーが崩壊し始めます。
そこらへんからお話は思春期キュンキュンモードに突入です。
あれこれ気が回る分取り越し苦労もハンパ無く、他人のことばかり考えているから一番分からなくなっているのが自分のことで・・・

最後のほうで関東が言った「生意気なクセに妙に遠慮深くて、横柄なクセに妙に優しいお前に興味を持った。」という言葉が、宮本のことを端的に表わしていると思いました。
実際、そんな宮本だから、鼻持ちならない言動を繰り返していても全然嫌な奴ではないわけです。
だから読んでいて気持ちいいのです。

ある意味先が読めるお話でもありますが、頭がいいくせに自分の気持ちに振り回される宮本が可愛いので、お約束な展開も気になりません。

最後の関東の言葉「口数が多い。お前は黙って愛されてろ」!!!そんな二人の関係が微笑ましいのでありました。

3

関東×宮本、ラストまでの長い道のり

マアタさんの素敵イラストに惹かれて購入。

何でも成功してきたイケメン宮本には、いきつけのレストランで気になるシェフ、関東がいる。料理の腕は一流、寡黙ながら男っぽい関東が、いつも物陰から宮本のかわいがっている後輩、福原を見つめているのに気がついてしまう。”こいつはゲイで、福原のことが好きなのか?”
後輩を守ろうと関東に近づいた宮本だったが、別の意味で関東が気になる存在になり。。

というお話。メインCP関東×宮本だよね、この二人くっつくんだよね、え、ここまできてここからどんでん返しあり得るの?と思いながら読み進め、たどりついたラスト。サスペンスの種明かしを早く読みたい的な感じで読みました。そういう意味では成功してると思う。

文章はよいし、CPもまあまあ好みだし、日常描写の中に主人公の感情の移り変わりを丁寧に描いていて面白かった。
しかし、結局は想像できてしまったラストにたどりつくまでのひたすら思い込み・すれ違いな焦らしプレイにちょっといらいらしてしまった。
最後の種明かしにたどり着くまでの、多少強引で都合のよい展開がリアルに感じられず、残念。
最後に明かされるトリックは、半分、”あ、そういうこと~”的な爽快感はありつつも、これ聞くために延々もんもんしてたのかー、と、残り半分はがっかりした気持ちでした。

でも基本的な文章は楽しめたのでこの評価です。

3

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