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2010年発表の短編集。
3作品収録で、うち2作品が現代のリアルもの、1作品がお得意の人外・日本の昔話的なお話。
「情人(イロ)」
金に困り、はした金でヤクザ幹部の栗原を刺そうとした気弱な青年・アオイ。
しかし逆に囲われ者となって、栗原の気が向いた時だけ乱暴に抱かれる日常を送るようになる…
物語的にはある意味お決まりで、アオイが栗原の中に暴力的ではないまなざしを感じ始め自分も惹かれていく、という展開ですが、これは2人のどちらが先にどうこうではなくて、同時発生的に躰を重ねていくうちに情が湧いてくるような感覚とでもいうのでしょうか。
アオイがヤクザと関係している事を心配して引き離そうとする刑事が出てきますが、この事で逆にアオイが栗原を選んでしまうのですね。
ラストは栗原も甘い空気を出してエンドです。
栗原の迫力あるオトナの魅力(背中に鳳凰の刺青あり)と健気なアオイがいい。
「スノーマン」
家族愛、肉親愛を知らない淋しい青年が、飯場で暖かな愛を知るお話。
お相手は相部屋のおじさんなんだけど、彼は北国出身で雪で農作業ができなくなると出稼ぎに来ている。妻とは死に別れ、小さな娘を両親に預け…
このおじさんが愛情深くて、方言で色々話してくれるのがとっても沁みるのです。
でもこの後はどうなるのかな…それを考えるとちょっと切ないかも。
「またいつかここで」
琥狗ハヤテ先生ならでは!の神話/言い伝え系人外もの。
山の奥で忘れられている小さな小さな祠。祀られているのは「ネノカミ」。
たった1人の猟師だけが毎日お供えをして手を合わせてくれる。ネノカミは問わず語りで愚痴を言ったり…
だがお山を畏怖する猟師にはネノカミが見えていた。心を通わせる神とヒトだったが…
そんな時、お山を揺るがす山崩れが…!
ハヤテ先生一流の展開!もう泣けるんですよね…たまんないです。
村人たちがネノカミを思い出してくれてやっと敬うようになるのが涙腺を直撃する。
多分…また2人は会える。その希望で暖かい気持ちになれる。
「いろ」
4コマのちみっこ絵での「情人」その後。
かわい〜の!
栗原とアオイはラブラブ。
アオイはお金や服や時計なんかいらない。そんなものより便利フライパンが欲すぃ〜のです。それは栗原に美味しいものを食べて欲しいから。愛、ですね〜。
「メールとしゃていと栗原と。」
ちみ絵での、栗原サイドからのアオイLOVE描写。
栗原はなんだかんだ言ってもアオイが可愛いし、アオイが気になってるよ、というエピソードです。
二十万で人殺しを引き受けたアオイ。標的はヤクザの栗原だった。殺り損なったアオイは栗原の情人(イロ)となる。抱かれる度に恋情が募っていくアオイ。ツンデレな栗原の本心が知りたい…。
シンプルなヤクザものなのですが、栗原が鳳凰を背負ってるんですよ。好きな作家さまの短編などでもヤクザものに遭遇することがあるのですが、いかんせん、お身体がまっちろなことが多い。組員全員が全員刺青を施しているわけじゃないとは思ういますが、あった方が迫力があって萌えてしまう。明らかトーンではなく、作家さまの手描きだと尚更気になってしまいます。
他、同時収録作品二編。「スノーマン」。出稼ぎの開発現場で一緒になった農家の仮谷と施設育ちのヒカル。短期間だが寝食を共にするうち、次第にお互い情が湧いてきて…。父性を求めるヒカルと、それに応えつつ可愛がる仮谷の様子が微笑ましいようでいて、彼の抑えられない欲情がいいですね。(浮気になるのかなぁ。)
「またいつかここで」は狩人・クマノとネノカミ様のお話。産神様に恋した男前と、彼と出逢ったことで本来の役割を再認識するネノカミ様。切ないお話です。
本編はシリアストーンですが、巻末の四コママンガと番外編がチビキャラでかわゆい。琥狗ハヤテ先生を開拓するきっかけになった作品でございます。
作家買いしている、琥狗ハヤテさん。毎回、ちみっこが楽しみなんです。
『スノーマン』
方言がこんなに萌えるとは!ユキオがヒカルに話しかけるたびにぞくぞくしました(笑)「君がどうにも可愛(めご)くて…」なんて言われたら、もうノックアウトです(笑)
寂しさから解放されたいと、最初から一人でいるヒカル。
娘を故郷に置いて、出稼ぎに来ているユキオ。
一夜だけでも…と身体を重ねる二人。
エッチの後に、お互いが、ユキオの故郷に行こうと考えているのがホノボノとしました。
もちろん、表題作も良かったです。ちみっこマンガも。手下のアドバイスで一生懸命打ったメールに、「具合が悪いのか」と心配された栗原が可笑しかったです。
ファンタジーなお話もあって、いろいろと楽しめました。
どこにでも居そうな青年、アオイは20万円でヤクザの栗原を殺そうとします。それでもヤクザの栗原が負けるわけはなく、アオイはあっという間に彼の情人になるのです。栗原からしたら、ただの玩具のような扱いだったのですが、彼もアオイを訪ねていくということは、意外にまんざらでもなかったのかも(笑)
まさか、栗原まで情がわいてくるとは思っていなかったので、CP成立が面白かったです。ヤクザの栗原と一般市民のアオイが付き合うことで、警察の八田もでてきますが、二人してアオイのことを取り合っている姿が笑えます。
「スノーマン」
工事現場に冬の間だけ出稼ぎに来るおじさんのユキオと、まだ若いヒカルのお話ですみんなから離れての鍋、ユキオの子供へプレゼントを選んだりと、ちょっと親密さがうかがえます。
一線を越えてしまっても、それでもどこか、「冷たさ」や「切なさ」が残っているのが素敵なお話でした。ユキオが星のおもちゃを頭につけるのも萌えました。
「またいつかここで」
山の神であるネノカミと、いつもその神にお供え物をしていく男の話です。アワのにぎりめしをほこらに備えていく男ですが、男は最初からネノカミのその姿を見ることも、声を聞くこともできていたというのです。
ネノカミは山を守るために、その命を代償とします。決してハッピーエンドではないけれど、ちょっとほのぼのします。
琥狗先生の絵は、タッチが荒いのですが、そのタッチが「働く男」とすごく合っていました!このコミックでは体の場面も多いですが、働く男の逞しさがあふれていました。
本編も好きなお話ですが、最後に4コマでのページがあり
その方がラブラブで好きだなぁvv
●情人●
20万でヤクザの殺しを請負ったのはいいが、
逆に捕まって、そのヤクザの情人にされてしまう。
自分を殺そうとした人物なのに、扱いは酷くなく
逆にお互い意識し始めて…
ヤクザの方も自分の仕事に危険がつき物なのは解ってます。
なので自分の元から離れるチャンスをやったのにもかかわらず
結局は情人の方が別れられなくて元鞘。
途中、面倒見のいい刑事も出てきたり4コマではいい味出してます。
●スノーマン●
孤児院で育った子が、冬の出稼ぎで来ている男性に恋するお話。
田舎から出てきてるので勿論方言。
その台詞とキャラがマッチしてなんだかいい感じ。
●またいつかここで●
お得意のファンタジーものですね。
御山には必ず守り神様がいて、その山の小さな社にすむ神様のお話。
村人からも忘れさられるような、小さな社。
だけど1人(狩人)だけ毎日お供えしてくれる。
その狩人となにやらいい雰囲気になりそうな時、村を襲う地滑りが!!
神様はその地滑りを防ぐ為に力を使い果たしたのか、そのまま姿は消えてしまいました。
それからは村人達は自分達がちゃんと社を奉っていなかったと後悔し
神様が戻ってくるように毎日お供えしてます。
勿論、あの狩人も…
明日、来年、十年後と、神様に会えることを祈って。