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表題作ひだまりの窓

柘植麻人 ジュエリーデザイナー
仰木瞳也 高校生

あらすじ

親父の残した借金のために、学校に通いながらもバイトに明け暮れてる俺、仰木瞳也。ところが出来心で忍び込んだジュエリーデザイナー柘植麻人の部屋で、小さなリングを見つけてから俺の生活は一変した。逃げ出した俺の前に柘植が再び現れ、親父の借金を肩代わりする代わりに、自分のものになれと言い出したんだ!いくら貧乏で単純だからってバカにするな!!最初は俺もそう思っていたはずだった…。不器用なふたりのせつない恋心を描く、泣き笑いのセンシティブ・ストーリー。

作品情報

作品名
ひだまりの窓
著者
鹿住槇 
イラスト
安曇もか 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784044371029
2

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萌々

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中立

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趣味じゃない

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レビュー数
1
得点
1
評価数
1
平均
2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

攻めのキャラクターが

歳の差もので主人公が不敏な境遇にあるという、設定そのものは好みでしたが、如何せん、攻めも受けもキャラクターがちょっとクセがありました。

主人公の瞳也は蒸発した父親の借金を背負い、かんばる母親と二人暮らし。貧乏だけといつか母親に楽な暮らしをさせたいと頑張る姿は健気。
そしてこの親子を襲う悲劇がものすごく涙を誘います。
BLとは関係ない部分なんですが、この親子が支え合っている姿は本当にうるっときました。

しかしながら、この主人公には盗癖があり、人の財布から現金を盗む行為を、いけないとわかっていながらやめられない。
貧乏だからといって許される行為ではなのですが、この盗癖が結局最後まで健在なんです。反省するでもなくうやむやになってるのが気にかかりました。あなた、母親が知ったら悲しむよ!と。

ある日、高級マンションに盗みに入った瞳也は現金のかわりに指輪を盗むのですが、その持ち主が攻めである柘植です。
柘植は瞳也に一目ぼれし、借金の肩代わりを申し出ますが、瞳也はそれを怪しんで、盗んだ指輪を大金で買って欲しいと持ちかけます。

小説なのにこんなこと思うのは頭が固いのかもしれないですが、この主人公はこれでいいのかしら?^^;
柘植も、泥棒である瞳也に一目ぼれして2000万の借金を出してあげるというのもあまりに唐突な展開です。

その後いろいろあって、瞳也はお金と引き換えに愛人になることを受け入れます。
この作者さんの本って歳の差の愛人ものが割と多くある気がするのですが(お金で体を買ってもらうとか)これもそんな一冊です。
私は主人公の盗癖にうーんとなりつつ、柘植がなぜ瞳也にそこまで夢中になってるのかの説明もないことが腑に落ちないながら途中までは歳の差ものが好きな自分にはそこそこ楽しめたのですが、途中から攻めのキャラクターがどうしてもぶれてしまう出来事があり、これは…となりました。
以下は完全にネタバレを含みます。

柘植はお金持ちのジュエリーデザイナーだと思っていたら・・・実はジュエリーデザイナーの女性に囲われているヒモだったという展開です。
要するに愛人なのに愛人として瞳也を買っていたわけですね。
当然瞳也は怒ります。その女性も怒ります。
瞳也を買っていたお金も、借金の返済に使ったお金も、その女性のお金で住んでるマンションも女性のものという・・。

何で最初から自分がセレブのように振る舞って「借金を肩代わりしてやる」と言ったんだろうかと心の底から不思議です。
女性に愛想を尽かされたら一文無しでマンションも追い出されるらしい彼は、じゃあ、借金も全て柘植に頼んだ瞳也はどうなるの??ちょっと無責任というか、考えなしというか…。
しかし、じっくり読んでみるとどうやらもともとこういう軽いキャラなのかもしれないと印象を持ちました。

ど~もかっこよくない^^;後先を考えない性格のようです。
ラストは結局ボロアパートで再出発を果たす二人ですが、先の見えないつめの甘さがあるなあと思いました。
幸せなら勿論それでいいんですが、高卒の瞳也と今は一文無しの柘植がまたあの高級マンションに住めるようにがんばろう!みたいな感じで終わるのは一見夢があるように見えて、ここで無責任にぶつ切りのような気がしました。
続編があるらしいのでそちらでなんとかなるんだろうとは思いますが、カップリング萌えのようなものがそもそもあまり感じられなかったため続編を読むほどの興味もあまり湧いてこないといいますか・・・。
せめて攻めがもう少ししっかりしていたらな~と思います。

蛇足なのですが、瞳也も瞳也で、柘植にもらった指輪を取り返したくて
柘植の主人の部屋に盗みに入り、見つかったらカッターを出して居直り強盗にチェンジするという・・・。
最後はもうここまでくると犯罪者レベルですので、ともかく将来が不安でいっぱいで大丈夫かと心配になってしまう二人でした。

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