愛に執着するあまり、心がすれ違う男たちのたどり着く結末は・・・!

HOME (新装版)

HOME (新装版)
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神26
  • 萌×29
  • 萌9
  • 中立5
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
17
得点
198
評価数
54
平均
3.9 / 5
神率
48.1%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
藤田貴美 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
発売日
価格
¥900(税抜)  ¥972(税込)
ISBN
9784883863891

あらすじ

片思いしていた男が死んだ。篤は男が育てていた姉の子供を、彼と思い引き取って育て始める。少年は篤にまったく打ち解けなかった。
やがて子供は大学生にまで成長したが、愛した男の面影は見えなかった。
篤は自分の役目が終わったことを感じ、結婚して身を固めようとするが・・・。
書き下ろし20~30ページ!
木原音瀬、衝撃の問題作!!
(出版社より)

表題作HOME (新装版)

片想い相手の甥 黒田直己・18歳
弟の恋人の甥を引き取った会社員 青木篤・33歳

その他の収録作品

  • HOME 2
  • HOME others
  • あとがき

評価・レビューするAIの精度がアップいたします

レビュー投稿数17

そうきたか!

木原先生にハマり、立て続けに数作読みました。その中でも1位2位を争うのではないかというほど、驚愕に次ぐ驚愕…
主役の2人もかなり歪んでいて、何度も「ひーーッ」と読みながら叫びました。ほんとに。
攻めの直己が可愛らしくいじらしい姿を見せても「いやいや、ほんまはなんか裏があるんじゃないの?」とつい疑ってしまう。なんか薄ら怖い。篤に愛されたいが故の行動がぜんぶ怖い。

はっきり言って「ときめきたい」人は読むお話ではありません。そんな生半可な気持ちで読むと痛い目に遭います。ほんとに。
だけど、とにかく面白い!そう、面白いんです!
展開がまるで読めないし、私たちの持つ「BLってこうだよね〜」みたいな馴れ合いを全て蹴り飛ばしてくれる。新鮮な驚きが絶対にある。
なんだか、BLとしての新しい在り方を見せられたような気がします……

木原先生は、ほんとに天才だと思いました。

0

成長のない人たち

だけど、世の中成長できる人達ばかりじゃない。とあとがきを読んで、確かにその通りだ。と、深く納得しました。


事故が、事故さえ無かったらなぁ〜
なんて思ってしまうけど、それが無ければ話も進まないから仕方ない。

途中で本人も気付いてたけど、篤が一度は反省?してたはずの直己への接し方と同じ事を繰り返しているっていう腹立ち( -᷄◞ω◟-᷅ )

何をやってるんだい!って言ってやりたい…。

直己の篤への想いは、いじらしいを通り越して痛ましかったですよ˚‧º·(˚ ˃̣̣̥᷄⌓˂̣̣̥᷅ )‧º·˚
辛い事たくさんあったけど、それでも最後が幸せそうで本当に良かった。。

0

二人の強い執着が羨ましい

篤と直己は、気持ちが伝わらなくても傷ついても、相手へ執着し続けます。
直己は篤を振り向かせるために無理やり体をつなげたり、果ては篤が昔好きだった男の顔に整形してしまいます。篤は直己に食べてもらえない食事を作り続けたり、喪失感から逃避するためにアル中になってしまい…。

そういう「好き」にはゾッとしながらも、強い執着を羨ましく感じます。
特に篤が、なぜ直己を諦められないのか、なぜ自分は悲しいのかと、自問し葛藤する描写にはとても共感しますし、そういう生き方は真面目で不器用だけれど、とても好ましく思いました。過去の恋に執着して直己を引き取らなければ、直己を好きになることも過去に決別することもなかったでしょう。
直己の振る舞いは乱暴ですが、それは篤にもっと自分を見てほしい、愛してほしいという叫びであり、直己にそうさせてしまったのは篤だったのですね。過去の想い人の面影を直己に求めて、直己自身に関心を向けてこなかったから。引き取られた理由を知り悔し涙を流す姿は、小さな子どものようで、可哀そうでかわいい。ハンストしたり、「あんたのココロが欲しいな」と言う直己もいじらしくて。
互いに強く執着するからこその二人の苦しみや無様な姿が、とても愛おしいと思いました。
恋愛において執着は甘く苦いエッセンスなのかもしれません。強くなればなるほど、より甘くより苦くなる…。

HOME2の最後で、篤は直己に「帰っておいで」と言います。篤は直己のHOMEになるためにどのように変わったのか?具体的なエピソードを読んでみたいと思いました。厳しく叱るとか、どうしてダメなの?と踏み込むようになったのかしら。本編とはうって変わってほのぼのとした話になる気がします。
書下ろしのothersでも直己の毒舌ぶりは相変わらずですが、生徒の前でゲラゲラ笑ったり、整形したのは好きな男のためだと話したり、だいぶくだけた感じがします。でも元の顔には戻していないところに、篤への「ずっと自分を好きでいてほしい」という強い執着が垣間見えて、やっぱり直己だなと笑ってしまいました。

2

愛情の表現って難しい

こちらのお話、めっちゃ好きです。木原音瀬さんの痛々しいまでのパンチの効いた話が読むのをやめられなくしてしまう。すっごく単純な「好き」っていう気持ちを自分で気づいたり、伝えたり、分かったりするのにどうしてこんなにも傷ついて傷ついてお互いをここまで落としてしまうのか…人間の良くも悪くもの内面がよく描かれた作品で旧作も手元にありましたが新装版が出版されるにあたり改めて購入しました。その後の2人が気になっていたので、書下ろしが読めたことが嬉しかったです。

3

凄いということと、好きだということ

木原さんの作品とは相性が悪い。
読む作品読む作品、筆力には脱帽しながらも
肌に合わないというか、好きじゃないというか……
でもコミカライズをきっかけに一気読みした「吸血鬼と愉快な仲間達」が良くて
じゃあ、久しぶりに何か読んでみようかと手に取ったのが、本作。

好きな藤田貴美さんの挿絵。
表紙の淡い色合いを見ながら、イヤ、こんなはずないでしょ?と読み始めたのだが
こんなはずないどころか、ほのぼのしたタイトルと表紙とは真反対の作品でした。
油断させられて突き落とされる的な?衝撃的なある意味木原さんの凄さ全開の作品。
ああ……

               + +

一卵性双生児の篤は、親や世間の顔色を見ながらビクビク生きている。
そんな自分をちゃんと見てくれたと感じた相手に恋をするが、
彼は、同じ顔だが性格は対照的なの双子の片割れと恋人同士になってしまう。
諦め切れず気持ちの折り合いをつけられずに過ごす日々、
そんな時事故で二人が一度に亡くなり、
彼らが育てていた恋する人の甥・直己を引き取って育てることにする。
年月が過ぎ、子どもだった直己が高校を卒業する年齢になったところから
物語は始まる。

愛を求めて暴力的な行動に走る、寡黙な直己と
相変わらず顔色をうかがって生きる篤。
恋した相手の面影を求めて引き取った故に、
ちゃんと生身の直己に向かい合わず年月が過ぎ、
一つ屋根の下で暮らしながら、様々なボタンが掛け違っていく二人。

一途というか自己中心的な直己の愛は、ある意味ホラーだが、
本当にどうしようもないのは、更に自己中心的で自己完結している篤。
そういう意味では究極の似たものカップルなのだと思うし、
これからも強固な閉じたHOMEの中で生きていくのだろう。


お互いにそれで幸せならば、傍からは何も申せませんが、
正直、私は見たくないというか、見せられたくないというか……
だからこそ、閉じた輪の中から篤を救おうとして力及ばなかった立原に
いたく同情してしまうのだった。

               + +

人の幸せや愛の形なんて、本当に様々で、それを評価する権利なんて誰にもない、
分かっていてもモノ申したくなる、そんな自分の中の驕りや偏見に満ちた思いが
あぶり出される気分が不快なのかもしれない、と、思いながら本を閉じる。
それをあぶり出す木原さんの筆は凄いと思うが、
好きと思えるかどうかは、全然別の問題なのだといういつもの結論。

3

愛されたがりの二人

木原先生の作品を読むのはこれが3冊目です。
読むたび、すごいなあ…と思います。
何がすごいって、こんな2人がくっつくのか?とか、
こんな最悪な状況からどうやってBがLする展開になるんだ?っていう
無理としか思えない状況から、男たちが愛しあう結末までもっていくところ。
特にすごいのがその展開が全然無理矢理じゃないところ。
心理描写が卓越。展開や結末に納得させられてしまう。


受けの篤は、想い人が自分の双子の弟のものになってしまっても尚、彼を諦めきれなかった。
その想いのあまりに、彼が亡くなってしまった後、彼の育てていた子供・直己を引き取る。
引き取った理由が、好きだった人と遺伝子が近かった、いつか成長して似ればいいと思ったから。
ご飯を作ったり衣服を用意したり生活の世話はするけど、「植物を育てるように子供を育てただけだ」とは言い得て妙。
直己から懐かれている感じはしないし(本当は違うんですけど)、共に暮らしているのに会話はほとんどなく、家族らしさもない。
引き取った理由が理由だしなあ…と思いましたが、毎日3食用意して、学校行事に会社を休んで参加して、叱るときに手をあげたこともないっていうのは、素直に偉いことだと感じました。
自分の子でさえ、育児放棄したり暴力をふるってしまったりする人もいるのに。
篤は、直己が好きだった人に似るんじゃないかと期待していた育てていたんでしょうけど、それだけじゃなく、好きだった人に似た人からではなくとも誰かに愛されたかったからという理由もあるように思いました。
直己からの見返りがないのにこれだけ献身的になれるのって、それでも、どうしても見返り=愛を求め続けたからじゃないのかな。
でも直己も愛されたい側の人間なんですよね。
「自分が存在している価値が見つけられなくて苦しかった」という言葉が切ない。篤も同じものをずっと抱えてて、似た者同士だなあと思いました。
双子の弟と比べると素っ気ない印象を与える篤だけど、本当は寂しがりで優しい。
普段は無口で仏頂面だけど、素直になった直己はとてもいじらしい。

篤も直己も本当に不器用で、どちらかが、あるいは両方が酷い目に遭うというきっかけがないと感情を伝えられない、素直になれない。(強姦やらハンストやら事故など…)
篤の友人・立原の方がよっぽど二人を理解している。

私は、割れ鍋に綴じ蓋的な関係のBLが大好物なのですが、この二人はまったくの逆で立原が言うように『合わない』。「ほかに行くところがない。あんたのところしか帰る家がないんだ」と直己は言うけど、『帰れる居場所』に篤はなれているのか正直疑問。傷つけあわなければ正直な感情を吐露できない。一緒にいて、お互い高めあったり成長していける関係じゃない。なのに、すごく萌えてしまった…。

HOME2で、自分が身代わりに引き取られた事実を知って篤を憎むようになった直己だけど、やっぱり憎み切れなかった。愛せなくなんてならなかった。愛して、愛されたくて整形までした。
異常とみるか、究極の愛とみるか。

やっと好きと伝えられて良かった…!と思った矢先HOME2でどん底まで重苦しい現実を見せられて、しんどい…と辛くなりましたが、ラストでとりあえず落ち着いたので良かったです。othersで二人が社会的な生活をちゃんと送れているんだとわかって、ほっとしました。
この二人が一緒にいることは最良ではないのかもしれないけれど、篤は直己じゃないとだめだし、直己も篤じゃないとだめなんだなあ…と。
愛は、相性の悪さも乗り越えるものなんですかね。
好きだとか愛してるだとか語り合う話よりも、こう、どんなことがあっても傍目には狂気としか見えなくても、互いを強く求めあう話が自分の萌えなのかなと思いました。いや、どうなんだろう。萌えって難しい。


初レビューでした。お目汚し失礼しました。
自分で文章を書いてみるとその難しさから、木原先生および作家の方々の凄さを改めて実感します…。

5

他人にどう思われても、二人はこれが幸せというなら

「HOME」 木原音瀬先生 読了
つい夜ふかしして一気に読み終えてしまいました。これは…涙腺崩壊するやつだ!読み終えて、ストーリーの内容を振りかえすと、タイトルの意味がさらに切なく思える。
篤はおそらく直己が自分とどこか似ていると思って、その彼に惹かれているんだろうね。二人ともこの世の全ての人に捨てられ、否定されてきた自分を、唯一に認めてくれた人を好きになった。しかしそれも告げることができず、長い年月にその苦しい片思いを抱いて生きてきた。
篤の場合は結局好きな人は昔っから自分と比べされてきた双子の弟と付き合うことになり、さらに一緒に事故で死んだ。死んでも二人は永遠にいることに羨んで、悔しくて悔しくて、弟に代わりたいとでも思う篤を見ていて涙が止まらなかった。木原先生が書いた片思いはいつもとてつもなくリアルで、胸に刺さる。
小説を書くこととは、言葉の羅列で、ストーリーを組み立てることだと思う。なんの難しい言葉も使っていないのに、木原先生の文章はなぜかすごく心に響く。やっぱり文章力がすごすぎる!しかも木原作品ではBLによくある「キラキラ設定」はあまりなく、逆に普通な一般人がけっこう出てくるので、読んでいて「世の中ではきっとこのような人間が生きているんだな…」と思ってしまう。現実味が帯びている一方、これこそ人生だ!とまた違う意味で楽しめる。むしろ木原作品は、ボーイズラブがメインではなく、ボーイズラブを手段として世の中の平凡な人々の生活を描いていると思う。
直己目線も読みたかったが、定番(?)の第三者目線が読めて大満足でした。あの形ではありますが、なんとかお二人が幸せになってくれてほんとに良かった。まぁ衝撃な終わり方なので中々消化できず、しばらくこの余韻が抜けないと思うけど(笑)。
今回も素敵な作品、ありがとうございました!

5

HOMEとは居場所のこと (。・_・。ゞ

「HOME」というほんわか温かみのあるタイトルや、淡い色調の表紙イラストからは、優しいイメージしかなく、どんな衝撃的展開が待ち受けているのか、興味津々で本書を手に取りました。

目次
HOME(篤視点)
HOME2(篤視点)
otheres(大学生の裕太視点)

とても面白かったです。この作品も、私のお気に入りの一冊となりました。毎回思うのですが、木原先生の作品には先の展開が読めない面白さがあります。一体このあとどんな展開が訪れるの?BLとしてこの展開はあり?もしやバッドエンドか?などドキドキハラハラしながら読み進めるのが楽しくて楽しくて…時を忘れて読み耽ってしまいます。

「HOME」のあらすじ
青木篤(受)には忘れられない初恋の男がいました。その男は篤(受)の双子の弟と恋人同士になり、2人とも交通事故で他界。篤(受)は、男の甥で遺児の黒田直己(攻)を引き取り育てることを決意。8年が経ち、篤(受)33歳、直己(攻)18歳になったある日、篤(受)は母が勧める見合い写真を持ち帰ります。その見合い写真を偶然見ることになった直己(攻)は逆上し…。

衝撃的な展開が幾つかありました。
まず、養い親の篤(受)が、養い子の直己(攻)に無理やり襲われるシーン。とはいえ恋愛ものとしては割と王道(苦手な方はご注意を)。

次に、上記のことがあってから篤(受)が直己(攻)を怖がり、ひたすら避け、逃げ回り、恐怖に怯えるシーン。私がこれまで読んだ恋愛小説の中で、これ程まで相手を恐れ戦く主人公っていませんでした。大抵は相手を毛嫌いしながらもなんとなく意識し、だんだん惹かれていくパターンが多く、篤(受)のように震えあがりビクつく主人公は、ある意味斬新。

そして直己(攻)がバイク事故を起こし、死の淵を彷徨いながらも生還するシーン。この事故をきっかけにようやく本当の自分の気持ちに気づく篤(受)。母親にも「恋人は直己(攻)」だときっぱり宣言。明るい未来が開けそうと思った矢先、直己(攻)は障害が残ることを憂い、飛び降り自殺を図ろうとします。でも篤(受)はそうはさせまいと必死で止めます。愛の告白をし、生きて欲しいと伝え、最後こんな言葉で語りかけるのです。

「早く元気になって、家に帰ろう。一緒に帰ろう」
「家に帰ろう」は、正にタイトルの「HOME」。心に沁みました。



「HOME2」のあらすじ
「HOME」の続編。バイク事故で、左目と左耳と左足に障害を負った恋人・直己(攻)。めでたく退院出来たものの引きこもり気味。篤(受)はなんとか外の世界に連れ出そうと、週末ごとに直己(攻)をドライブに誘うものの、乗り気ではないと分かり…不機嫌な恋人を持て余していた篤(受)に、突然の直己(攻)の別居宣言。寂しがりの篤(受)はアルコールに救いを求め始め…。

こちらの続編も衝撃的でした。前半は、重苦しい閉塞感の中で私たち読者は我慢を強いられます。後半は篤(受)の思わぬ失言から、篤(受)の過去の想い人が直己(攻)の叔父であったことを直己(攻)に知られてしまいます。

「悔しいよ。どうして叔父さんに似なかったんだろうって、そう思う自分が悔しい…。結局、あんたはどこまでも『俺』を否定するんだ」
これは直己(攻)のセリフですが、重みのある言葉です。直己(攻)も篤(受)と同じ寂しがり屋でした。きっと篤(受)に引き取られた当初から、自分という存在を認め、肯定して欲しいと心ひそかに願っていたのでしょう。

直己(攻)は家を去る際、こんな捨て台詞を残していきます。
「俺はもう何の迷いもなく、あんたを思う存分憎いって思うことができる」
愛と憎しみは表裏一体。恐らく直己(攻)は、自分が篤(受)を愛するのと同じ分量の愛を貰えていないと感じ、憎むことによって篤(受)を忘れたかったのかもしれません。

二人ともとても不器用。似た者同士が恋をして空回りして弾けてしまった。でも心の中では今でもお互い相手を想って苦しんでいます。篤(受)は直己(攻)を失った寂しさをアルコールに求め、その間、直己(攻)は顔の整形手術を繰り返していたのかな。

そう…直己(攻)は篤(受)の想い人と同じ顔に作り変えていました。ショックでした。そこまでする人なんてなかなかおりません。いや皆無でしょう。でも、だからこそ「究極の愛」を感じました。

「いじらしさに胸が詰まった。直己(攻)はおかしい。考え方も、やり方もおかしい。それでも自分を好きだと言う気持ちは痛いほどわかる。わかるから…切なくなる」
ホント!切ない!!一言相談してくれれば良かったのに…!


「otheres」のあらすじ
裕太はN大学フットボール観戦会のサークルメンバー。同じサークルの女子に恋心を抱いています。その女子が「黒田先生がタイプ」だと聞き、濃い色の眼鏡をかけ、左足を引きずって歩く背の高い男を思い浮かべ…。

10年程、後のお話です。裕太という、N大学に通う学生の視点で物語が進行します。ここで「黒田先生」の面白いエピソードが語られるのです。それは「黒田」は女と経験がなく、裏で「妖精さん」と呼ばれているということ。もう一つは、男前だった顔を、整形で前よりも悪くしてしまったということ。

この二つの情報はとても貴重で、楽しく読ませて頂きました。女と経験がないと言うことは、直己(攻)の最初の相手は篤(受)だったことになります。直己(攻)は篤(受)一筋だったのだと分かるエピソード。嬉しかったです。

もう一つは、男前だった顔をそれよりも悪くしたのに、「俺もこの顔は気に入ってるんだよ」と笑って言える直己(攻)。直己(攻)は一般人の感覚から相当ずれている。でも人に迷惑をかけるわけじゃなし。それで当人が幸せなら、私は良いなと思いました。

7

所々に散りばめられた育て子(攻)の狂気と、衝撃の展開。

想いを寄せる男の甥を育てる受様のお話です。
余談ですがこういう設定大好きです。

読み進めて思ったのは、直己(攻)と篤(受)は似通った部分があるのかなーと。想いを秘め過ぎて、器用な表現がまるでできていなくて、長い時間をかけてふたりはこの結末へと動かされていったような…。

序盤、篤が直己に対して度々恐怖するシーンですが、私も読んでてリアルに何度かブルッてなりました。後ろから抱き締めてきたり、ニヤリとするシーンとかに直己の狂気やらが垣間見えてて、すごく引き込まれました。

読了後は、無意識に何度もため息が出ました。是非、未読の方には予備知識を仕入れずに読んでいただきたいなと思います。

7

篤、逃げてー!超逃げてー!!

最近の木原作品を読んでからだったので、こういうものをベースに今の作品が出来上がったのかと感慨深いものがありました。

正直、今の作品に比ると小品といった印象で、展開もいつものパターンです。この追うもの・追われるものの立場逆転パターンは、木原作品ではもうお約束なのでしょうか。

ずっと好きだった人に双子の兄(?)と付き合っていると聞かされた時に、篤の心は一度壊れてしまっていたのかもしれません。
その辺のエピソードは篤がかわいそうで、伊沢と隆に憎しみを覚えました。いくら篤がおとなしくて自己表現できないと言っても、隆が無神経すぎる。生まれた時から側にいる相手の気持ちもわからないなんて、人の気持ちをほんとに考えない子なんだな、と引きました。でも、周囲はみんな隆を評価するんですよね。なのでますます自己表現できなくなる悪循環。かわいそう。この双子カプの対比は、リア充vsぼっちみたいで篤が不憫すぎました。
で、この不憫な篤にはぜひ幸せになってほしいと思うのですが、これまたヤンデレ攻にほれ込まれてあえなく引きずり込まれてしまうのです。
直己(攻)の性格がかなりやばく、何考えているのかわからないあたりはヤンデレなのかサイコホラーなのかもはやわかりません。
篤も最初は抵抗するのですが、もともとメンタル耐性低いのに打撃が重なり、弱ったところを浸食されてしまうのです。これまた可哀相。

唯一篤を救おうとしてくれるのが友人・立原です。
ほんとにまっとうないい友人で、篤が変な方向に行かないように一生懸命頑張ってくれるのですが、差し伸べた手をことごとく篤自身に裏切られていくという報われないお方でした。どんどん深みにはまっていく親友の姿を見守るのは辛かっただろうなと思います。
メンタル弱かった子が自ら沼に飲み込まれてゆくのを助けられないもどかしさ。読んでいて、「なんでこれ立原とくっつけてあげないんだろう…」と木原さんの鬼っぷりにガクブルでした。

後日談「other」では、二人の仲の良い様子も見られるものの、やっぱり直己は性格破綻したままで、「篤、これでほんとによかったのか?」と心配が拭えなかったです。

4

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