ボタンを押すと即立ち読みできます!
笑いながら楽しめる作品が好きな方にはぜひともおすすめしたい作品です。
食べ物が出てくる作品が好きなので買ったこちらの作品のおかげで、梅松町江さんという素晴らしい作家さんに出会えた喜び。食べ物大好きで良かった!
というわけで本棚整理をしつつ、手元にある好きな作家さんの作品のレビューを書かせていただいているのですが、読み返してもやっぱり好きだなあ。同時収録までいとおしい。
表題作+後日談と同一カップルの短編が2つ収録されています。
【ショクドー・ディナーショー/ショクドー・カーテンコール】
大学生のイチがバイトする平田食堂の常連で、必ず生姜焼き定食を注文する涼。食べっぷりの良さに好感を持っていたものの、あるとき食い逃げした客を涼が捕まえてくれて…、という始まり。
ノンケ同士の恋です。
登場人物がみんなすごく良くて。
イチは完全に恋する乙女で可愛らしく、涼は一緒にごはんを食べたくなる豪快な食べっぷりが魅力。食堂のおじちゃんは食い逃げ客を捕まえてきれた涼に「暗い顔して肉体派だね」なんてさらっと失礼なことを言ってしまうし、おばちゃんはかかあ天下。イチの大学の友達でバンドメンバーでもある3人組は辛辣ながらも優しい子たち。
そんな人たちが交わす会話がいい。小さい文字まで落とさずに楽しんでほしいです。
「嫁に来てほしくなる香り」という言葉を聞いて、「その会話、気になる!」と思った方はこのノリを楽しめるはずです。
イチの気持ちが「カッコいい」から「ときめき」に変わっていく流れの作り方もうまいです。基本的にBL作品を読むときは「主人公のしあわせを願う親友」スタンスなので、主人公の気持ちや目線に共感できたらもう完全にハマってしまいます。ハマりました、まんまと。段階を追っていくうちに、どんどん涼がカッコよく見えてきました。
ちょっとした出来事でイチが落ち込んだり暴走したり、また落ち込んだりするのですが、この出来事というのが、分かってしまえば何てことないことだけど、恋する乙女にはそう見えるだろうし、恋していなくても腐った目で見たらそう思えるという内容なのです。それがまたおかしくて。
ちらほら出てくる食べ物を楽しみつつ、ほのぼのと読みながら胸きゅんも味わえる素晴らしい作品です。
わたしの好みや読み方に「わたしもそう!」と感じた方は読んでみてください。
全然関係ないけれど、イチはどうもギターがそんなに上手くないようなのですが、7弦ギター弾きです。スゲー。7弦というと思い浮かぶのはKORNとかヘヴィメタばかり。メンバーに女子もいるので、どんなバンドなのか気になります。
【真夜中コーヒー、やがて夜明け/バラいろアオ写真】
作家の北村とリーマンの和史の話です。
1つ目は北村の自分勝手さに疲れた和史が呼び出されたコーヒーショップで別れを告げるところから始まって、予想外な着地点へ辿り着く短編映画のような味わいのある作品。
2つ目は一緒に住む家引越してきた日に北村が「玄関で写真を撮る!」と言い出すところから、和史が出会った頃を思い出すという回想がメインです。
北村が破天荒すぎて、どんな枠にも嵌らないタイプです。自分の直感だけで突き進む、周りの見えないタイプを「面白い!」と思える方はきっと好きになる人物です!
振り回される和史も可愛くて、ツッコミ笑いながらほのぼのできる。そういう作品がツボな方には読んでいただきたいです、ぜひ。
表紙の雰囲気からシリアスで重く暗そうなお話かなと思っていたもので、良い意味で拍子抜けです。
だって帯の文が…
「信じて」って君は言ってくれたけど、多分、僕はその言葉のすべてを真に受けることができない――。
ってさあ…暗そうでしょ?まあたしかに、明るくはないんですが、モノローグでぶふっと吹くシーンも多く、話の進め方のテンポが良くてセリフも自然で、先生のぐるぐるした思いも共感でき、なにより全体を通して気負ってないというか、カッコつけてない感じがとても好きです!
高校の現国の教師である青木は、自分が高校生の頃、恋愛で悲しい想いをし、それからは誰とも真剣に付き合うことができずにいたが、あることをきっかけに、一回りも年下の教え子である斉藤君に告白される。
この斉藤君、なに考えてんだかよくわかんないというか、何も考えてないのでは?と思ってしまうようなワンコ君ですが、ちゃんと色々彼なりに悩んだり深いとこまで考えてたり、先生から見ると当然子供なわけですが、同年代からすれば実はけっこう大人っぽいコなのかもな~と思いました。
もう1話は、高校時代付き合っていた二人が、11年後再会して…というお話ですが、これまた鼻にツーンとくるお話でね、おいちゃんこういうの大好きだよ!!
自然消滅みたいな別れ方をしていた二人が、よりを戻すのって、ある程度どっちかが強引に迫らなければ進まないと思うんですよね。玉砕覚悟で。
それをやれるかやれないか。
過去の失敗を恐れていた二人が、一歩踏み出して大きく前に進む。いいねえ。遅れてきた青春ですよ。
2話ともなんとかなったあとの二人のその後を、描き下ろしで読ませてもらえて幸せな気持ちでございます。
食堂でバイトする大学生、イチと常連客のサラリーマン、涼の恋物語。
2人は住んでるアパートまで同じで、イチが一方的に涼が気になりソワソワしています。
なんてない下町食堂を舞台にしたほのぼのとしたお話ですが、ノリはコメディーでテンポがよく、可愛いと思う以上に笑えるお話でした。
イチの友人らが男性に恋したといっても応援してくれるのてすが、みていてとても面白い。
作者さんも書かれてましたが、涼が何を考えているかつかみにくいキャラで、気持ちが最後までよくわからなかったというか…キャラの性格がちょっとわかりずらかったです。
なのでもちょっと共感できるキャラだったら良かったのに惜しいなぁと思っていたら…
え、そっちが受けるのですか?
ここでいっきに萌え度が上がりました。イチが可愛いのでリバーシブルでもよさそうですが…。
これはこれでとてもよいカップリングだったと思います。
「真夜中コーヒー、やがて夜明け」
作家×サラリーマン。
BLに出てくる作家と学者は変な人が多い気がしますが、この作家もかなり変わり者で、お付き合いするのが難しそう…。いきなり別れ話から始まるお話です。
場面が一切移り変わらず、その場で淡々と終わってしまう構成がショートドラマのようで、こういう地味で綺麗にまとまってる話は大好きです。
地味ながらに萌えもきちんとあります。
2人のその後のお話と出会ったころのお話も入っていて、ストーリーとしてはこっちの方が表題より好みでした。
表題のカップルもとても萌えましたので、個人的にまるまる一冊オススメしたい作品です。
表題作、受攻が意外でした!
食堂でバイトしてる大学生×常連客のサラリーマンですが、二人は偶然にも同じアパートに住んでいます。 無銭飲食をした客を涼(サラリーマン)が捕まえたのをきっかけに二人は親しくなっていきます。
じわじわと恋に落ちていく市(大学生)がとても自然に感じられました。
二人共可愛らしい感じではありますが、涼の方が男らしい感じがするので攻めかと思いきや「柔道をやっていたから
痛みに強いんだ」と受けを希望したりのやりとりも微笑ましかったです!
もう一つのお話は短いのですがすごくキレイにまとまっていました。 変わり者の小説家と一目惚れをされてほだされてしまった和史のお話ですでにカップルです。
大きな動きがあるわけではないですがじんわりと心が温かくなる作品でした!
表題作連作、他2作短編収録。
主役のイチは大衆食堂でバイトしてる大学生で失恋したばかり。
その食堂で毎回生姜焼き定食を注文して見事な食いっぷりをみせる常連がいるんですが、その常連・涼が実はイチと同じアパートに住んでいる事が分かります。
実家からやたら食べ物を送ってきて量を持て余しているイチは、涼を自室に招いて一緒にご飯を食べるんですがそこでも見事な食べっぷりをみせてくれる涼。
そんな風に2人でイチの部屋でご飯を食べるシーンが出てくるんですが、何というか誰かと一緒にご飯を食べるってだけで良いのだなあ。
自分自身が一人暮らしなので、他人と一緒に自分が作ったご飯を美味しいって食べてもらうとそれだけで嬉しくなるっていうのは凄く実体験として分かる分かるー。
そんな風にして行く内に、次第にイチは涼に恋愛的な意味で魅されていく。
最初は相手は男だぞとか思ってるんですが、落ちてしまった恋には勝てない訳で、理不尽に涼を避けたりもしちゃうけど最後はハピエン。
イチはバンドを組んでるんですが、そのバンド仲間とのエピソードが微笑ましかった~。
あっ、あとてっきりイチが〔受〕側かと思ってたんですが、ですがっ……予想外に涼が受でした、まあこの2人の場合どっちでもいいかっていうかリバ希望。
他2編も、真面目なんだけどどっかすっとぼけててそのズレっぷりがたゆやかでよろしかったです。