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2011年発表。
「あやしの君の恋煩い」の続編が表題作となっている短編集です。
「あやしの君の恋模様」
前作「恋煩い」では辺鄙な稲荷神社で社守修行をしていた阿宇良(あうら)と吽可(うんか)の2人ですが、本作では2人は伴侶であり妖孤族の頭首と副頭首になっており、なんと子供もいる!
一人息子のシュロ(吽可似)はすでに20才前後です(←実年齢は不明。何せ阿宇良たちは千歳越え!)
物語は、このシュロの恋物語。
お相手は、この世でたった一匹になった最後の狼・ロウラン殿。
はじめロウランはシュロを遠ざけていたけれど、献身的で素直なシュロを愛するように。
…すると、狐って耳がいいんですかね?寝ている阿宇良が飛び起きて『シュロの悩ましい声が聞こえる〜〜‼︎がぁぁぁっ!』
まあまあ、といなす吽可。そして素肌をチラ見せして言うには。
『お前の愛は ロウラン殿に負けるのか?』
今の吽可は一枚も二枚もうわて…
弱気だった前作からグッと強さの出た吽可です。そしてシュロの素直さがいい!
「あやしの君の恋夫婦」
遡って、シュロの誕生秘話。
阿宇良が遂に妖孤族の頭首に。
しかし挨拶回りもそこそこに、吽可を捕まえて頭首にならないと使えない妖術・魂練成の術により、吽可との間に子を成そうとする阿宇良。
2人の尻尾の妖力で新たな生命を作り出す…この一回のHで即、吽可の尻尾から赤ちゃんが爆誕!それがシュロです。
赤ちゃんシュロがまあ〜〜可愛いのなんのって。
さて、ロウランと結ばれたシュロはお嫁入り?父2人は寂しい…
2人目作ろっか…?と吽可が誘います。
「情熱のカーラアシュア」
擬人化もの。
本作は何が擬人化されているかというと、何と「栄養ドリンク」。
言う事聞かない後輩のお世話に疲れ切ったリーマンが買った栄養ドリンクから、ランプの精みたいな美アラブが出てきた!そしてリーマンを抱いて栄養と愛情を注入してくれます。
「ミリオンダラー・フレーバー」
こちらも擬人化もの。
缶入りのノンカフェイン紅茶、の精・フランです。
ジャケットを着込んだ金髪男性で、湿気や日光がダメで夜しか出てこない。
卒論に煮詰まって努力がツラくなってきた真面目な大学生・ヒロに努力の大切さを必死に説くフランです。
今になって考えてみると、「擬人化BL」を初めて読んだのがこの2編だったかも。
2編とも描き込みがしっかりしているし、キスシーンがいい。
「あやしの君の育児日誌。」
ちみっこ絵の4コマ漫画3本での構成。
第2子が爆誕しました!今度は阿宇良似の赤ちゃんですが吽可に抱かれて悪い顔でニヤリ。阿宇良は本気で赤ちゃんと吽可を取りっこ。
そこで雷を落とす吽可。結局吽可が一番怖い存在なのです。
琥狗ハヤテさんの描くちみっことモフモフが大好きです。前作の「恋煩い」の阿宇良と吽可の子供が出てくると知り、ワクワクしながら読み始めました。
2人の子供のシュロちゃん、吽可に似ているからか阿宇良の親ばかっぷりが半端なくてキュンキュンしました。そして、シュロちゃんの無自覚な色気!無防備に寝ている姿に私も鼻血が出そうになりました…。おまけに健気!!そりゃあ、ロウランも好きにならないわけがないと!!欲を言えば、続きがもっと読みたかったです。
でも何と言っても、ちみっこ達のキュートさにクラクラしました。二人目と言わず、何人でも作って欲しいです(笑)
とっても萌え萌えだった前作と今作だったので、続きが出ないかな~と楽しみにしたいと思います。
前作で恋人同士になった阿宇良と吽可になんと子供がーっ!!
まぁ、普通はできない事なのでしょうが
妖狐の頭首にしか使えない術があるらしく、その名も「魂練成の術」!!
どうしても吽可との子が欲しくて(でもオス同士、普通には作れないわけで…)
そのために頭首にまで上り詰めた阿宇良すばらしい。
そうしてできた子(シュロ)が今回の主人公とでも言いましょうか。
なんでも最後の1匹となった狼ロウラン。
その世話役として側につくシュロ。
だけど、最初は側によるのも嫌がられるくらいに避けられて…
でも根の優しいシュロの行動にだんだんとロウランも惹かれはじめ
結ばれる事となりました(めでたし、めでたし)
それを寂しく思う親バカの阿宇良。
はいもう1匹頑張りましたよ!!
だけど2匹目の子はかなりの策士で
父親vs息子の母親を巡っての争いです(笑)
でも1番強いのはなんと言っても吽可という事で一件落着。
まずこのシリーズの世界設定が好き。
守り神、という設定は単なる擬人化を一歩越えてます。
そして位は高いけど神にさせられたのが遅いため、よその世界の事はわからない、永遠の命だってどうでもいい、おまけに野性そのままの憎しみまで抱え込んじゃってるひねた子供のような狼の神様ロウラン。
それにたいしてただ単に恐怖に感じる狐たちの中でシュロは父親たちの愛情にガッツリ抱え込まれて育ったよい子なので、孤独さを察し自分たちも分かってもらおうと懐いていくんですね。
父親たちはどっちも軽くツンだったわけですが、今回はどちらも本当はワンコなのかも。
そんなロウランが心を開き、シュロに逞しい肉体を見せるシーンにゾクッときました。
「お前を守るためにある」
というすざましいまでの包容力を保証できる分厚さがセクシーです・・・。
シュロの努力によって位は高いけど駄々っ子のよーな若さが目立つロウランが大人になった感じがしたのです。
それに対して抱かれてるシュロも結構いいカラダなんですよね。エロい。
そして続くのはそんなシュロがどうやって育ったのかを前作から繋ぐ子育て話。
うーむ。シュロのエロさは確実にウンカ譲りだな・・・。
そこまでの完成度のあるあやしのストーリーに付け合せ、な感じのする精霊話があまりにも安直な設定に感じた上に世界的に近くないのでそこでザクザクっと萎えて残念。
二人目爆誕四コマ漫画は好きなんだけどそこまでにもう一本、なにか欲しかったか、順番かえてほしかったかも・・・。
なにげに、ケモ耳物には弱いんですが、琥狗さんのモフモフは、格別です。
とにかく、この胸板のしっかりした肉体美。
デコラティブ、かつ微妙に露出の多い装束。
アクセサリー類や履き物までがいちいち行き届いていて、
これらをこのまま崩すことなく縦横に動かす画力!!
更に、間に挟まるチビキャラも、ファンシーなキャラクターとしての完成度が高いこと!
お話も、夫婦と親子と、そして愛し合う伴侶を得るまでと、とっても良かった。
ただ惜しむらくは、ケモ耳は前半で、後半は違うシリーズのお話が入っていること。
この、ドリンクの妖精とお茶缶の妖精のお話、このお話自体は、これはこれでおもしろいし、どっちの妖精も、なかなか好きなキャラクターだし、まあ、広い意味でファンタジーなのは一緒なんだけど、、、
コミックス1冊分に作品がたまるタイミングが、同じシリーズでまとめられるタイミングとずれちゃうのは仕方ないとして、せっかくの作品が、こんな風にバラバラに本になっちゃうのがなんとももったいない。
この妖狐シリーズだけを1冊にまとめて、カバーもBBCの標準デザインじゃなくもっときれいな紙を使って新装版とか出してくれたら、文句なく「神」にするのになぁ。